北野監督の作品らしく、”武スタイル”が安心して味わえる。素晴らしい1本だと思うし、完成度も高い。主人公が高みを求めないのも、今までの作品と同じだし、死生観というのが出ている。
でも、この安心感は逆に北野監督らしくない。『SONATINE』のような完成度はないし、『3×4X10月』のような驚きもない。
例えば、『KIDS RETURN』や『菊次郎の夏』などのヤクザ路線じゃない部分で北野スタイルに出会うと、あの初期に感じたような鮮烈さを見いだせる。もちろん、『あの夏、一番静かな海』もそうだ。しかし、『HANA-BI』『BROTHER』には、楽しさがあるが、あの才能に対する”恐れ”を感じないのだ。しかし、こんな状況を打ち壊してくれるのだろう作品をまた突きつけている時がきっとある。北野監督というのはそういう期待を持っていたい作家だから。