10月のちょっと小雨混じりのある日、
ロンドン近郊の理想のトレーニングセンターを訪問しました。
その名もThe Animal Behaviour Centre(動物行動センター)
イギリスの動物行動学者のロジャー・マグフォードさんが創設した会社=カンパニー・オブ・アニマルズの中にあるセンターです。
ロジャーは、コングやハルティ・カラー(ヘッドカラー)、バスケットマズル(バスケットタイプの口輪)などを発明した人で、
現在も動物行動の研究、発明とともに、犬だけではなくさまざまな動物のトレーニングや問題行動カウンセリングを行っている人です。
そういえば半年ぐらい前に、日本でイギリスのペット事情を特集した番組を放送していたのを、
日本にいる母に頼んで録画して送ってもらったことがあったのですが、
その番組の中でにKABA.ちゃんとさとう珠緒が彼のところを訪ねていました。
(彼にこの時の話を聞いたら、
「いやぁ〜この撮影大変だったんだよぉ〜。なんか、キャーキャーっていう2人でねぇ〜。フシギな人たちだったねぇ〜。」
と言っていましたが・・)
さて、この彼の動物行動センターは、
ロンドンではなく都心から車で30分ほどの緑多いサリー州にあります。
住宅街を抜け、地元のパブの横を通り、なだらかな丘を登っていくと小さな看板が出ていました。
農場の中に作られたセンターの敷地はものすごく広大で、これが全てこの人の持ち物なのかと思うとちょっとびっくりします。
敷地内をゆっくり歩いたら小一時間はかかります。
そこでは、犬猫だけでなく、なんと羊やアヒルまで飼われていて、
日々行動学の研究が行われているのだそうです。
犬のトレーニング場は屋外と屋内の両方にあります。
また、ここで飼われている羊やアヒルは、トレーニングの一貫として、犬を農場の動物に慣らすためにも使われているのだそうです。
ロンドンの都会とは違い、田舎の方では犬が放牧されている羊を追いかけてしまい戻ってこないという問題も発生するのです。
中には羊を噛み殺したり、行方不明になってしまうケースもあります。
子犬のころから本物の羊を見せて慣らし、しっかり呼び戻しのトレーニングをすることが大切になってくるわけです。
見学した日は、新しいトレーニンググッズを試す日でもありました。
これは、スプレーカラーと言って、犬が羊を追いかけるのに夢中になって、呼び戻しの声も届かないくらい遠くに行ってしまった場合などに使うのだそう。
リモコンを押すと首につけたカラーから、シュッと空気が出て、犬がびっくりして我に帰るという仕組みです。
ペットセンスのスタッフで一緒に見学にいたイングリッドが連れて行った犬(彼女がお預かりしてお散歩させているコッカースパニエルのレディーちゃん)
がこのお試し犬に抜擢され、さっそく新商品をつけて羊を追いかけてもらいました。
その時の写真がこれ・・・
でも、レディーちゃんはイングリッドがしっかりトレーニングしているので、羊を見たのは初めてだというのに、あまり追いかけずに、彼女のそばにいました。
見学した日は、3つのクラスが開かれていました。
パピークラス、クリッカークラス、
そして他の犬に対する攻撃行動の問題がある犬だけを集めたグラウル(Growl=唸るという意味)クラスです。
その他にもさまざまなクラスがあります。
グラウルクラスは大変興味深く見学しました。
4頭の犬が来ていたのですが、攻撃行動の原因はそれぞれ違います。
どの犬もまずはクラスに先立って個別カウンセリングを受けます。
そして問題の対処法を教えてもらった上で、他の犬に慣らすためにクラスにやってくるのです。
確かに、問題のある犬を普通のクラスにすぐに混ぜてしまうと、
問題のない犬の飼い主さんもあまりよい気分ではないかもしれませんし、トレーナーさんも十分に注意を払えないこともあるでしょう。
その点、このクラスは同じ悩みを抱えた飼い主さん同士なので、お互いに悩みを話していくうちに、
みんなが前向きな気持ちになり、問題修正プログラムに取り組めるというメリットがあるようです。
これには大変感心するとともに、なるほどなと思うところが多くありました。
来ていたのはボーダーコリーやジャーマンシェパードなど・・・
クラスの始まる前には吠えていた犬が、1時間で少しずつ落ち着き、わずかではありますが他の犬がいても
飼い主の言うことが聞けるようになるのには、感動しました。
もちろん飼い主さんが一番感動しているのでしょうね。
センターにはロジャー以外に専属の行動カウンセラーが何人かいます。
そして専属トレーナーもこれまた何人かいて、まさにカンパニー=会社のようでした。
それぞれのスタッフが自分の仕事に誇りを持って働いているように感じました。
センターに隣接する事務所では、ロジャーの発明品のカタログ販売や新しい商品の開発などを行っています。
ちょうど行った日は、新しいトレーニンググッズのパッケージのデザインを決める会議の日でした。
なんと私たちが部屋に呼ばれて、
「君たちならどのデザインや色を選ぶ?」と聞かれました。
いろんな人たちの意見を取り入れて、よりよい物を作りたいんだそうです。
私たちの意見が新商品に反映されるなんて、なんだかわくわくします!
ロジャーは最後に、最近開発された一番新しい形のハーネス(胴輪)のデモンストレーションをしてくれました。
これはハルティーハーネスといって、
単に引っ張りを防止するだけでなく、犬の気持ちを静め、落ち着かせる効果もあるのだそうです。
実際に外に出て、最近レスキューされたという興奮しすぎで問題のある、
引っ張りの強いスタフォードシャーブルテリアのミックス犬につけて試してみたら、
短時間であっという間に本当に静かに歩くなるようになり、みんなでまたまた感動・・・
写真はその時の様子。
犬を持っている男の人がロジャー。
その後散歩させているのは一緒に行ったクリスタです。
最初は引っ張っていた犬も、やがて落ち着いて
おりこうさんに歩いています!

トレーニンググッズはトレーニングの手助けをするものであって、実際にはそれに100%頼ってはいけない物です。
また使い方を誤ると、逆に悪い効果をもたらしてしまうこともあるかもしれません。
でも、時に問題行動のある犬の場合、最初の少しの期間でもグッズ正しく利用してみれば、飼い主も楽な気持ちでトレーニングに取り組める。
そんな場合もあるのだろうと思います。
見学中、もうひとつ印象深かったのは、事務所にスタッフの人たちの犬や猫たちがたくさんいたこと。
犬はきちんとトレーニングされているので誰にも迷惑をかけることなく静かにお仕事をしている飼い主の横にいます。
もちろん、定期的に外の農場をお散歩できますから、ストレスもたまりません。
猫の方はと言えば、パソコンのキーボードの横にデレ〜ンと寝ていたりして、ちょっと仕事がしずらかったりしますが、
これは猫のご愛嬌・・・
中が飽きたら気ままに外に出て、あひるにちょっかいを出して遊ぶこともできるというわけです。
リラックスしたトレーニング風景と合わせて、このセンターにはトレーニングや問題行動修正の、
そしてまたペット・フレンドリーな会社の理想の姿があるような気がしました。
ロジャーはといえば、とっても気さくでにこやか、そしてやさしい人で、
最後に「またいつでも見学に来てくださいね」と言ってくれました。
何だかほのぼのとした気持ちで帰ってきた私でした。
カンパニー・オブ・アニマルズについての詳細は
こちらのサイトを参考にしてください。
(といっても英語ですが・・・)
2005年10月 訪問記
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