雨の藪沢

6月4日。朝の内はいい天気であった。私にしては珍しく超早起きで、午前7時にはもう竿を振っていた。この川に来るのは随分久しぶりである。三年ぶりぐらいだろうか。林道から川へアクセスしやすいのが難点で、ゴム長の足跡なんかを発見すると、魚が抜かれた感じがもろにわかって時折幻滅する、だが、ゴム長ではずっと川通しというわけにもいかない難所が数カ所あって、そんな区間に入ると、魚が残っているという印象である。

だから川通しでずっと釣っていると、釣れる区間と釣れない区間が交互に現れることになる。しかし釣れない区間でも時折魚は出てくるので、気を付けてないと、びっくりあわせをしたり、フッキングがおろそかになってばれるのだ。そうなのだ。なんか今日はばらしが多いのである。フッキングのミスなのかタックルシステム上の問題なのかよくわからないのだが、たぶんフッキングが中途半端なのではないかと思うのだが、それを意識してもバラシが続く。目立つハッチはガガンボなのだが、暗い谷の釣り上がりにはガガンボパターンは繊細すぎて使いにくい。

そんな感じで、バラしながらもぽろぽろと魚を釣りつつ、釣り上がる。今日の午前中はこの川の行けるとこまで行くというのが目標なのだ。行程の半分位を過ぎた午前10時頃、雨が降り始めた。最初はぱらぱら。暫くしてから風と雷を伴い激しい降雨となってきた。あわててレインウェアを羽織る。少々減水気味なので雨は歓迎なのだが、雷は勘弁して欲しい。谷底まで落っこちてくる物好きな雷様は少ないだろうが、林道と反対側の川岸には、周辺の杉よりもやたらと背が高いシナワサグルミやブナの巨木がところどころ残っており、こいつらに落雷しないともかぎらない。

風が強いせいか、落ち葉や花びらが川に落ちてくるようになった。暗い川底で、白いエゴノキの花が反転流に乗ってクルクルと回っている様子はなにやら怪しい雰囲気である。花を含め、雨以外にやたらと色々なモノが流れはじめたとたん(いやそもそもそこらあたりから竿抜けになっていたのか)、魚の活性が上がったような気がした。

途中、かなり良いサイズをマーチブラウンで引きずり出したのだが、バラしてみたり(^^;)、雨宿り休憩しながらアンパンくってみたり、大きめのプールでライズしてるやつを、この日唯一のガガンボパターンによるマッチング・ザ・ハッチで正統派フライマンのようにやっつけたのだが、即バラシをやらかしたり・・・まあ色々とやってると、遂に巨木が倒れ目の前を塞いでいる場所に到達した。巻いていけば多分進めるとも思うのだが、少し川が林道から外れてきはじめていて、このまま進むと帰りがやっかいそうなのでこの川からは上がることにする。車に戻ると時刻は既に目標の正午を大きく過ぎて、午後2時になっていた。

次の川の近くまで移動して、車の中で昼飯喰って少し寝ることにする。少々お疲れ気味なのと、早起きのため睡眠不足が重なっているのだった。ところが、眼が覚めると午後7時半。気温が低く車中の寝袋が快適過ぎたのも原因だったのか、爆睡しすぎたわけだ。イブニングで竿も出さずに帰岡するはめになったのである。