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偏食のメカニズム |
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■偏食は何故起こるのか〜〜〜久野説 今これを書いているのは夏(2002年8月)であり、渓の状況はタイトルのような事態になることはあまりないのであるが(でも羽蟻というパターンはあり得るな)、思いついたことがあったので、ここに提示してみたい。 久野康弘氏は著書「ライズを釣る」の中で、偏食の原因は魚が餌に対してテンプレートを当てはめているからだと説く。これは餌にたどり着くまでに、どれが餌かという判断にかける労力を「省力化」しているという視点である。少し詳しく書いてみる。通常鱒達は、自分の視角領域に流れてくる流下物一つ一つに対して、その都度「これは食べられるものか否か」という判断を脳内の記憶データベース(そんなもの本当にあるのだろうか?という話しはまた別である。)に送り、「食べられる」という正解を得てから捕食行動をとるという仮説がこの「テンプレート説」の背景にある。そこでは偏食という行為は、こう記述できる。流下物の内、特定の特徴があるものだけに的を絞り、それ以外はばっさりと判断行為の対象から除外しておけば、捕食行動に専念できるからである。視覚認識から行動へ移る過程がより「機械的」になっているともいえる。これが偏食=省力化説の根拠である。 また偏食という現象は、様々なステージの水生昆虫が多量に同時に流れるときに起こりやすい。流下物が少なく、じっくりと「餌である/餌でない」判断を下す余裕がある場合は、省力化を起こす必要がないからである。久野氏はそれを回転寿司が高速で回転している状況で説明する。しかもその寿司屋は意地悪で寿司以外にもチューインガムなどお腹が満たされないものも同時に流れているらしい。このような状態で猛烈に腹が減っていて沢山寿司を食べようと思ったら、「寿司/寿司以外」という判断よりも「赤くて、てかてかしている=マグロの握り」という判断をしたほうがお腹がいっぱいになりやすいとの説である。 |
「ライズを釣る」久野康弘/山と渓谷社/ISBN4-635-36054-7
実は「記憶データベースの参照→判断」という過程があると考えるのは間違いではないか。ヒト、つまり我々でもそうだと思うが、意識的にそうするときとは対象物がかなり怪しいときだけである。また後述するが、図形特徴選択性を行うための脳の部品があると考えられるため、判定→行動はいつもほぼ一瞬である。 |
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■ここからは私の仮説 上記の久野氏の説はごもっともで特に異存はない。私なりに少し補足してみる。(補足と云うよりも蛇足の可能性十分だが・・・。)精神科医の計見一雄氏が著した「脳と人間」は色々な意味で示唆に富む良書である。実はこれから私が書くこともこの本に影響を受けている。もっともトラウトの偏食という行為に、人間の精神病理学からヒントを得た話を当てはめらるということは愚行であるし、というか無茶な話であって、トンデモ本的で眉に唾を付けて聞いてもらわないと、書いているこっちも恥ずかしいのだが・・・。まあいっちょやってみますので笑ってやってください。なお以下断定口調で書くが全て仮定の話なので鵜呑みにしないように。計見一雄氏の著作から得たヒントを端的に云えば「脳はさぼりたがりである。」、「脳には行動計画を策定する部署があり、行動計画の選択は実行に先立ち、やるという(促進的)選択ではなく、やらないという(抑止的)選択である。」ということである。 |
「脳と人間―大人のための精神病理学」計見一雄/三五館 ; ISBN: 4883201759 ; (1999/06/01) |
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■偏食が起こるきっかけ 上記にも少し触れたが、偏食行為というモードに魚が入るのに、流下してくる餌の量が多いということが経験的に知られている。魚の認知行動を以下説明してみる。その前に偏食が起こる前の通常の採餌行動を考えてみたい。 偏食が何故起こるかということ以前に、魚たちがどのような条件の下で採餌行動をおこしているかということを整理してみる。
以上の条件が揃わなければならない。(その他の項目には水温や流速、個体の健康度などある。) |
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■採餌行動パターン 様々なモデルが考えられるが、経験的に得た一般的事例を示す。
特に餌が水面および水面直下を流下している場合上記の行動が水面上に波紋をこしたり、魚体自体が水面を割って出てくることがある。それがライズである。 |
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■採餌サイクルタイムという考え 上記の1〜5をワンサイクルと捉えると採餌サイクルタイムという概念を導くのは容易である。魚が定位する水深、流速、水の透明度、魚種、魚体の大きさによる能力差などから求められるだろう。数式化して表現することも可能であると思われるが、後人に譲る(笑)。というのはちょっとつまらないので、以下適当にでっちあげてみた。 St(s):採餌サイクルタイム、r(cm/s):流速、w(cm):水深、a(cm):体長、fh(cm):餌と魚の水平距離(採餌動作初動時) なお、一般にサケ科の突進速度は体長の10倍と知られている。
なお平均速度を5aとしたのはあまり根拠がない。突進速度に到達するか否かは餌と魚の距離もあるし、一概にこうだとはいいがたいので適当な倍数を掛けただけである。St=t1+t2と表せる。 |
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実はt2の方がはっきりしない。採餌時の水面に対する入射角(という表現がいいのかどうかしらないが)によって採餌後水中へと潜る角度も違ってくるかもしれない。しかし非常に単純化して、どの場合でも水面から45度の俯角で定位点から上流方向に潜るということにした。水面で反転して直接定位点側へ、つまり下流へ戻るような場合も目撃しているような気がするが、いろんな場合を考慮していくと細かく詰める作業が大変なので割愛した。(優秀な学者さん学生さん研究してください。お願い。)さらにどの程度の深さまで潜るのかは、便宜上定位点の水深までとする。これも色々あるだろうけどねえ。したがってt2のときの魚の動きを時間軸に沿って説明するとこうなる。捕食後、45度の俯角で定位点までの水深へ潜る。この時の速度はt1時と同速の5aとする(根拠なし)。定位点の水深と同等レベルまで潜った個体は反転し定位点に戻る。このときの速度はやや遅く2aとする。魚にとっては水面の被捕食リスクが少なくなっているためである。(これも根拠はない。適当ですみません。)定位点で反転し最初の定位状態に戻る。 こうすればt2=√2w/5a+(w+fh)/(2a+r)+txと記述できる。(ここでtxはどのような水深、流速であろうとも変わらない定数とする。流下物発見後餌と判断し捕食体勢にうつるまでの時間や反転したり、もとの定位位置からずれた場合の微調整の時間ぐらいに思っておいて欲しい。) |
正確な時間を算出するということに主眼があるのではなく、この時間はどのような条件に左右されるのかという出力の性格を知ることが大切である(言い訳)。 |
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と、ここでちょっと脇道にそれるのだが、魚がどうして定位するのかの根拠についてちょっと面白い仮説をひらめいたので書いてみる。一般的に魚が定位する理由は、物理的空間を固定しておかないと他の個体のなわばりを冒すリスク、捕食される危険性増大のリスク、運動過多によるエネルギーロスのリスクなどを避けるためであろう。採餌するときに流速より若干早く泳いだり、ゆっくり泳いでも捕食位置さえ事前に判断できればいいのにもかかわらずそれをあまりしないのは上記以外に次のような理由もありそうである。 実は人間も水流の中で定位して水面上のボールを捕まえる実験をしてみればすぐ簡単に実感できることであるが、ボールが自分の真上を通る瞬間まで(がまんして)待っておけば、ボールを捕まえるのは簡単である。上流方向に泳ぐことを止めまっすぐ浮上することに専念すればいいだけなのである。なぜならこのときボールが流下するスピードと自分が流下するスピードとの差はゼロであるから、ひたすらまっすぐ浮上することだけ心がければ、自分の真上に動かないボールが必ずあるのだ。きっと魚もこんなことを知ってるのではないかなあ。これなら、自分の視界のどこに来れば餌にありつけるのかということさえ知っていれば良いのである。速い流れの中でも上手に餌を捕るなあと関心していたが、こんなからくりがあるのではないだろうか。 これを応用すれば、自分よりもかなり前方に餌を発見したとしても大まかに餌の方向に直線的に近づいた後、口の真上に餌が来たときに浮上運動に切り替えればあとは捕食するのは簡単なことなのだ。と、ちょっとした発見をしたような口振りになってしまったが、既知の話しで有ればすみません。(当然これは素直に流下する餌の話しであって、運動している餌を捕食する場合は別のシステムが働くのだろう。) ということは、げげっ、上記の採餌サイクルタイムの考え方も根本的に変えるべきなのかもしれないが、やめた。とりあえずこのまま論を進める。 上記の採餌サイクルタイムからどんなことがいえるのかといえば、一般的な条件を与えて得られる採餌サイクルは概ね2から4秒程度である。この間隔が最短のサイクルタイムとなる。要はこれがライズの最短周波数ともいえる。逆に多くの流下が伴ったとしてもこれ以上早くは魚は反応しないのだ。当然流下する餌が少量であれば、この最短採餌サイクルタイムという現象は見られないだろう。このことが釣りをする上でどのように役に立つのだろうか。早い話が、ライズが有ったときにどの程度まってそのライズにフライを送り込むかという判断に役に立つ。ライズに向かってはライズ直後に投げずに一呼吸おいて(3秒前後まって)からフライを投げた方が捕食される確率が高いのだ。もっとも上記の話しは魚が元いた場所へ戻るということを前提としている。ライズ後魚がどのような動きをしているのかが不明な場合はあてはまらない。この場合、目視等で魚の動きが分かるのであればその魚の鼻面少し上流にフライを送ることをに集中すべきだろう。 |
定位しているときは視覚的になにかベンチマークになるものが必要である。周囲に視覚把握が可能な物体がない、大きな深いプールでも魚はきちんと水面付近に定位することができる。なぜか。水面をみているのである。トラウト・ウィンドウ内の水面テクスチャー(肌理)をベンチマークにしているとしか考えられない。
だからナチュラルドリフトは大切なのだともいえる。
左記の垂直浮上で楽々捕食理論を考えるとあまり流速というものを採餌サイクルタイムに反映させるべきではないのかもしれない。
ちなみに各数値を変位させてみた結果が別表である。
傾向としては、流速がある程度あり、餌との水平距離が短く、水深が浅く、魚が大きいと採餌サイクルタイムは短くなり、逆だと長くなるということがいえる。
一呼吸待つのは、魚が定位場所に戻り、再び流下物に注意を向けはじめるまでは、フライを投げても無駄に終わる可能性が高いからである。 |
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■Predation Effective Range ではここで再び採餌サイクルタイムという概念を使って偏食の問題に話しを戻そう。魚にとっての最適な採餌とは、最も効率よくエネルギーのロスが少なく採餌できることである。となれば絶えず餌が流れていること、つまり採餌サイクルタイム以上の餌個数が捕食可能な範囲に流れていればよいということになる。例えば最短採餌サイクルが4秒という条件の魚がいるとすると4秒に一個以上の餌流下がフィーディングレーンにあると最適化することになる。 また話しが横道にそれるのをお許し頂きたい。鱒の水面上の視野範囲を「トラウト・ウィンドウ」と呼ぶが、その範囲は魚の眼を頂点とする概ね97度の逆円錐として知られている(`96増沢)。魚の定位する水深が深ければそれは広く、逆だと狭くなる。定位水深50cmの場合、トラウト・ウィンドウはtan48.5°×50×2=114cmの直径の円内、水深10cmの場合、tan48.5°×10×2=23cmの直径の円内になる。このトラウト・ウィンドウ内全てのポイントで餌の流下に反応するのかといえばそれは違うことは経験上明らかであろう。魚からまっすぐ上流に直線をひっぱりその直線の左右20cm程度の範囲が有効ではないだろうか。流速が早ければその範囲は狭まるし、また定位水深が浅ければ同様に狭くなることがいえる。さらに餌の流下量が多い場合わざわざ左右に大きく動いて捕食動作を行うメリットが魚にないため、範囲が狭くなると思われる。このウィンドウ内の捕食動作期待可能有効範囲をなんと呼べばいいのかわからないが、捕食有効範囲「=Predation Effective Range」略してPERと仮に呼ぶことにする。 釣り方の理想をいえば、このPERの直ぐ上流へ毛鉤を落とし、ドラグなしで流すことがまず第一条件である。さらにトラウト・ウィンドウ内に極力ティペットが落ちないように心掛けるべきだろう。 |
この辺り議論になってくると増沢信二氏の独壇場である。詳しくは「フライパターン・マニュアル」をどうか参照してくださいまし。 |
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■過剰流下への対策 〜流下量増加に伴う偏食の発生過程仮説〜 さて、話しが元に戻る。さきほど最適な流下量について触れたが、このとき魚の頭ではどのような情報処理が行われているかを考えてみたい。餌の流下量が過小から最適に至るまでの状態では、以前述べた採餌行動パターンの通りであろう。問題は最適値を越え過剰に流下した場合である。例えばPER内に常時三つの餌が流下しているとする。しかし同一採餌サイクルで捕食できる餌は一つだけ。あなたが魚ならどのような対処をここでおこなうだろうか。魚の単位時間あたりの情報処理能力が一定であると仮定すると、一つの解決手法は定位水深を上げ、PERを狭めることで範囲内の流下量(情報量)を減らすということが考えられる。例えば定位水深が50cmの場合29cmまで浮上すればPER面積が三分の一になる。もう一つが流速の遅い場所に移動することである。流速を三分の一に下げればよいのである。 |
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さらにもう一つの解決手法が偏食という方法である。PER内の流下物が増えても慌てずに捕食できる。(脳がさぼることができる。)例えば上記の例であれば、PER内流下物の内、スペント状態のものが一つ、ピンと羽を伸ばして流下しているものが二つあった場合、スペント状態のものだけに注意を向け、他の状態は無視(情報処理の対象から外す)すれば今まで通り最適な採餌サイクルタイムで餌を捕食できるのである。 こんな例を考えてみたい。あなたはゴミリサイクル処理施設で働く労働者である。仕事は、ベルトコンベアで流れてくるゴミの中からアルミ缶、スチール缶、透明ガラス瓶、色つきガラス瓶を選別し足下の箱に詰める作業である。あなたのノルマ(そして能力の限界ともほぼ同値とする)は一分間に50本の分別処理を行うことである。ところがある日、ゴミに混ざって空き缶や瓶が一分間に200本もベルトコンベアに流れてきたとする。あなたはとても処理が追いつかない。さてどうする? 解決手法は二つある。一つはコンベアのスピードをいつもの四分の一に落とすことである。もう一つはあなたと同じ能力の人間をあと三人連れてくることである。もしそれができないとすれば、どうするか。どうせ200本の内150本は無駄に流れていくのはしかたがない、あなたのノルマは50本の分別である。この場合無駄に脳の情報処理を使わず、疲れないで50本のノルマ達成だけに専念するとすれば、例えば色つきガラス瓶だけに絞るとか偏った選択を行えばよいのである。情報処理の負担が少なくて済む。 余談だけど実は四人で分別処理作業を行うときに分業を決めておけば、四人とも楽になるということもいえるのだ。 |
(実はこのあたりから話がさらに脇道にそれて、ゲーム理論なんかを援用して面白おかしく書いてみようかとも思ったが私の能力を超えているのでやめまする。簡単に云えば、個体として最適採餌は行っていないようにみえても、種[これは大げさかな。いいかえればその場に居る複数の個体でもいい。]として取りこぼしが少なくなるのである。例えば状態A、B、Cという餌がPER内を1個づつ計3個流下するような状態で、同一フィーディングレーン上に三匹縦に並んで捕食している事態を考えてみる。先頭の個体がAを偏食すると、次の個体は、BもしくはCの何れかから偏食し、三番目の個体は残りを食べればいいのである・・・ってこんな都合の良い話はないかなあ。)
大きい魚ほど偏食していることが多いと経験的に知られている。これは何故かと云えば、彼らが良いポジションをとるためだと考えられる。良いポジションには多くの餌が流下してくるから、必然的に偏食の傾向が強くなるのである。 |
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この偏食(何を選択的採餌の対象とするか)は恣意的であると思う。魚は餌の栄養価などあまり考えていないふしがある。なぜなら脱皮殻(シャック)を偏食する個体を考えるとどうみても中身の詰まった幼虫や亜成虫、成虫に比べ数量あたりの栄養価は低い。最適採餌理論は成り立っていない。従っていったんこの餌を食おうと決定する理由は適当なかなりいい加減な成り行きと思われる。(流下物の内の割合が絡んでくるのだとおぼろげながら想像する。) また偏食という現象は個別の現象である。同じプール内の同じようなポイントであれば似たような傾向になることが多いのだが、近い場所で釣れた魚が示すストマック内容が全く違うということもある。後者は、個別な現象であることの証拠である。 |
シャック=脱皮殻の栄養はどの程度なのか http://www.asahi-net.or.jp/~JV7Y-YMD/inst/koukaku.html 上記はヤドカリやカニなどの節足動物の例。水生昆虫もまあ大体同じじゃないのかなあ。実は栄養は少しありそうだ。 脱皮殻(クチクラ)の主成分はキチン、タンパク質、そして炭酸カルシウム等の無機塩類で構成され、その比率は、概ね30%:20%:50%である。水生昆虫も似たようなものではないかな。 |
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■補足 偏食モードになっている魚でもアンマッチなフライで釣れることもある。さらにルアーや餌でも釣れる場合も当然ある。これは偏食というスイッチが入っていたとしてもそれ以外の餌について興味をまったく失っているわけではないということを示す。(アフォーダンス理論で云えば、『餌としてのアフォーダンスは捕食者の空腹/満腹いかんにかかわらず存在する』ということになる…のかな。)偏食という事態は多くの選択肢の中で選ばれた一つの採餌手段であり、このモード下であっても並行して他の選択肢も生きているのである。階層で理解すればわかるかもしれない。 採餌という行為の最下層には根本的になにか餌が流れてくれば食うという意図がずっと存在しているのである。偏食という事態から最下層の捕食したいという意図を再び浮上させるには、どうすればよいか。テンプレートをブレイクスルーさせるための工夫が必要である。ハッチ状況と全く違う色、大きさ、動き、きらめきなど違うフライを大胆に選択したときのほうが反応があったりする。これが裏技ということになるのであろう。 |
実はアフォーダンス理論で偏食の問題を考えた方がもっと面白いんじゃないかと思ったが、私の手に余る。というか考え方が矛盾してきてしまうのだなあ。でも視覚という知覚について面白い話があるのでまた機会があれば書いてみたい。 視覚といえば、認知脳科学研究で有名な大阪大学の藤田一郎氏が霊長類の下側頭葉皮質で発見したように、元々脳内に「様々な形」に反応する為の図形特徴選択性コラム構造が魚にも何種類か用意されているとしたほうが、偏食時の判断過程はスッキリするかもしれない。 偏食はその「図形特徴選択性コラム構造」に連関したニューロンが発火をずっとキープしている状態だと思えばよいのだろう。(計見一雄的いいかたをすれば、その他のニューロンの発火を抑えている『抑止的選択』になる。)久野氏のテンプレート説はそんな意味でも秀逸である。 |
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■その他の説についてちょっとだけ その1.記憶保持説 前日○○の集中ハッチがあり満腹したという記憶が残っており、翌日もその○○を狙って食べるから。 反証:ある程度はその可能性も否定できないが、同じ種類の昆虫であってもある特定の状態、たとえばスペント(脱皮に失敗しおぼれている)だけを偏食している状態の説明ができない。 その2.味覚説 美味しい餌を選んで好んで食べるから。 反証:人間のように咀嚼してないし、たいてい彼らは丸飲みである。味わってるという証拠でもあれば・・・。 |
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■断章的資料 ・単位時間あたりのエネルギー収量がなるべく大きくなるような採餌方法をとるはず。というのが最適採餌理論である。 ・最適採餌理論とは、動物が餌、獲物を探す際の行動に関する理論であり、どうして動物がある餌を選択するかをコストと便益、つまり採餌時間と獲得餌量という二つの要素から定量的に算出される採餌効率によって解釈、予測するものである。 ・一般に選択的採餌と非選択的採餌の境界は餌の種類の多様性/非多様性と相関があるといわれている。食べられるものが沢山しかも多種あると選択性が働き、そうでないときは食べられそうなものは全て食べるという非選択性が働くと予想されるからである。 ・なぜなら「単位時間あたりのエネルギー収量がなるべく大きくなるような採餌方法をとるはずです。ただしそのためには選択的採餌、非選択的採餌を使い分ける必要があります。あんまり虫がいなくて探すのに時間がかかるときは、見つけた虫は手当たり次第食べる必要があります。たくさん虫がいるなら、大きい虫だけ選んで食べた方が効率がよさそうです。しかし実際は、それぞれ例外があることも報告されていますから、そう単純には説明できないようです。」 http://www2r.biglobe.ne.jp/~fruitbat/wonderland/foodclothingshelter/6-8.htm ・以上はコウモリの例である。しかし上記にも書かれているとおり例外だらけではないかと魚のストマックを観察すると思ってしまう。特に抜け殻、いわゆる「シャック」を偏食している個体などどう説明すればいいのだろうか。
・行動生態学の分野で進展した「リスク感応型採餌戦略(risk sensitive foraging)」のモデルに従えば,確実な選択肢から得られる食物が諸活動による消費エネルギーを十分に満たすことができれば,採餌者はリスク嫌悪を示すことが予測される。一方,確実な選択肢から得られる食物が諸活動による消費エネルギーを十分に満たすことができなければ,採餌者はリスク指向を示すことが予測される。 http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/yh-seminar/2002/Fukush ima_20418.htm
・偏食=選択的採餌は、嫌リスクである。
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