BULOVA
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創業年 |
1875 |
創業者 |
ヨゼフ・ブローバ |
創業地 |
アメリカ ニューヨーク |
現在地 |
1875年、ボヘミアからの移民である23才の青年、ヨゼフ・ブローバが、ニューヨークに小さな宝石店を開きました。これが、ブローバ社の始まりです。
1911年、懐中時計の製造を開始。
1912年、スイス・ビエンヌに時計部品工場を設立。
1934年までには、自前のスイス工場で製造したエボーシュを用いて、100万個の時計を製造しています。
1935年、創業者のヨゼフ・ブローバ死去。
1950年代初頭には、年間100万個の時計を製造。
1952年、電子腕時計・アキュトロンの開発を開始しました。アキュトロンは日差2秒の精度を保つ、と公約したのです。
1953年、ブローバ・リストアラームを発表。
1960年10月25日、ついにアキュトロン発表。これは1秒間に360振動する音叉を用いたトランジスター回路を持つ時計で、脱進器に相当するインデックス車(直径2ミリ)には320枚の歯が切られているという超精密加工が施されており、修理・調整にはもはやキズミではなく、実体顕微鏡が必要でした。精度は日差2秒。当時の機械式時計の常識からは考えられない高精度です。
初期のキャリバー214モデルは1966年頃までに約200万個製造。
その後4時位置にリューズのあるキャリバー218モデルが製造され、1975−76年までにアキュトロンは合計500万個販売されました。
1969年、アキュトロンはアポロ11号に同行し、月の「静かの海」に設置されています。
1970年、アメリカで最初の水晶腕時計であるアキュクオーツを発売。これは18金製のカレンダー付きで、1325ドルで売られたそうです。
1971年、婦人用小型アキュトロン発表。
このころ、1970年代初頭は、機械式、電子テンプ式、音叉式、クオーツの乱立状態であって、まさに戦国時代でした。
1969年12月にセイコーがクオーツ腕時計の量産を開始したわけですが、それに危機感をつのらせたブローバは、それまで独占状態であった音叉時計の技術供与にあわてて乗りだしました。当時、ユニバーサル、ロンジン、オメガ、IWC、エテルナ、シチズン等が一斉に音叉時計の発売を開始。しかし結局、ブローバの音叉式はクオーツ旋風に飲み込まれてしまいました。
1984年頃、ブローバは自社製の時計の製造を終了したようです。
当時の最新技術と高コストで作られた、これら音叉時計たち。最後期には、360×2の720振動のものも作られたようです(1974年バーゼルフェアでオメガが発表)。
現在、機械式時計はその工芸品的価値から復権を遂げています。同様に、機械式とクオーツの狭間に活躍した「電子時計」たちにも、再評価される日がきっと来るんじゃないか、と思っています。
Name
Circa
Case
Mov
Ref
Cal
ACCUTRON 1970's SS Tuning fork 218
ブローバ・アキュトロンの第二世代機です。日付、曜日はロレックスと同じで、夜12時ジャストでぱちっと変わるデイトジャスト機能付き。ほほ同じ機械が、シチズン・チューニングフォーク・ハイソニック(1971年10月発売)にも搭載されており、当然シチズンのモデルもデイトジャスト機能が付いています。
Name
Circa
Case
Mov
Ref
Cal
ACCUQUARTZ 1970's SS Quartz 224
ブローバ アキュクオーツ(ACCUQUARTZ)です。
ブローバは、音叉時計のアキュトロンで有名ですが、アキュクオーツというのはあまり聞いたことがないかもしれません。名前からすると、明らかにアキュトロンとクオーツを合わせて作った造語です。よく知らない人は、「ブローバが作った、普通のクオーツ時計?」という程度の認識しかないようです。ところが実際は、その名前のとおり、アキュトロン(音叉時計)とクオーツのハイブリッド時計なんですね。32768Hzの水晶振動子を用いて、そのコントロール下に音叉時計を制御する、という手の込んだものです。
もっと簡単にいえば、世界初のクオーツ腕時計・セイコーアストロンは8192Hzの水晶振動子を用い、その周波数をステップダウン(分周)して1Hzとしてステップモーターを動かして時刻を表示していたのですが、このアキュクオーツは、ステップモーター以下の時刻表示の部分を、従来の音叉時計メカニズムをまるごと流用して作っているのです。
音叉部分の周波数は、従来のアキュトロンが360Hzなのに対して、341と1/3Hz。32768Hzを96で割った周波数だそうです。ブローバのキャリバー218をベースとして、キャリバー224として開発されました。
なぜ、ブローバは、このようなコストのかかるハイブリッドクオーツを作ったのでしょうか?
それは、セイコーが世界初のクオーツ時計、アストロンを市場に投入し、時計業界に大混乱を引き起こした、1970年代初めの当時の時計業界の事情が関係しています。
アストロンが発売されてからしばらくは、「クオーツ時計は高価で大量生産できず大きく重たく壊れやすく水に弱く、実用性に乏しいので、現在の機械式時計や音叉時計にすぐとってかわるものではない」という、スイスやアメリカのメーカーの希望的観測が広がっていたのです。ブローバも、当分は音叉時計の精度があればクオーツを開発しなくてもやっていける、と踏んだようなんですが、実際はクオーツ時計のあっという間の低価格化や大量生産によって、クオーツ時計の優位性が明らかになってきました。
そこでブローバはあわててそれまで独占していた音叉時計の技術の提供(たとえば、1970年6月に、シチズンはブローバ・シチズン株式会社を設立。1971年10月に音叉腕時計をハイソニックという名前で発売しています)と同時にクオーツ時計の開発に乗りだしたのですが、なにせ何年も開発にかける時間が無い。それで、工場設備もアキュトロンのラインをそのまま使える、「音叉時計とクオーツのハイブリッド時計」をとりあえず市場に投入した、と推測されます。
メーカーの目的精度は、年差3分以内。セイコーのアストロンが月差5秒以内だったので、年差にすると1分以内のため、精度としてはやや劣るものでした。それでも、アキュトロンの4倍の精度だったため、当面のメンツは保たれたわけです。
このキャリバー224のあと、ブローバはキャリバー242という、音叉を省いたステップモーターを使用する機械を開発したので、キャリバー224が「最後の音叉腕時計」となりますね。
アキュクオーツ発売当時の、ディーラーむけの広報資料を紹介します。
著者は、ブローバ社のpresident、 Harry B Henshel 氏。
タイトルは、
「我々を含めて、クオーツ時計に年差1分の精度を約束する時計メーカーは、実在しない」
というもので、当時のスイスのメーカーは広告ではどれも高精度を約束していたようなんです。じゃあセイコーはどうなんだ?と思ってしまいますけど、中の文章には、具体的に「セイコー」の名前は出てきてないのでなんとも言えないのですが、とりあえず以下に紹介しましょう。
* *****
ディーラーの皆様や顧客の皆様は、クオーツ時計の精度について、ジラールぺルゴー、ハミルトン、グリュエン、ベンラス、ロンジン、他多くのメーカーからの多くの主張(年差1分の精度!)を読んでこられていると思います。ここでなぜ、皆様はアキュクオーツの広告では、同じような主張を目にしないのか、説明いたします。
なぜ年差1分の精度がすべてのクオーツ時計に保証できないのか、3つの理由
はじめに、クオーツ時計の精度は、水晶振動子の一定の周波数に依存することを忘れてはなりません。この周波数は、以下に述べる理由のどれかあるいはすべてにより、予測できない範囲で増減します。
1.Aging(経年劣化)。すべての水晶振動子は劣化するが、ふたつとして同じように劣化するものはありません。一年たったら、ある水晶振動子は月で最大45秒の誤差がでることがあるのです。
2.ショック。すべての水晶振動子はショックにとても鋭敏です。これもまた、予測できないものです。3フィートの高さから硬い床に落としたら、あるものは月に30秒ずれ、あるものは止まり、あるものはそのまま影響なしということがあります。
3.温度。すべての水晶振動子は、温度の変化にとても鋭敏です。手首の温度から室温に移っただけで、月に30秒もずれる時計があります。
これらの出来事のすべては、現時点ではメーカーのコントロールを超えたところにあり、各水晶振動子ごとに予測しえない反応を呈し、クオーツ時計の精度調整がディーラーで容易にできないため、ブローバ社は、つぎのような見解をとります。
現時点でのクオーツ時計の技術水準では、年差1分の精度を保証し主張することは、あきらかに顧客の不満足感とディーラーのフラストレーションを引き起こすものである。
ブローバ アキュクオーツの優位性の比較
ここで、あなたがたの何人かは、我々が単にブローバ アキュクオーツの弁明をするのに懸命であるだけじゃないかと感じたかもしれません。しかし、真実を遠ざけることはできません。アキュクオーツは、マーケットにある他のあらゆるクオーツ時計よりも優れているタイムピースであるという事実があります。
最初に。明確で、連続した機械式時間表示をするあらゆる時計の中で、アキュクオーツのムーブメントのみが水晶振動子の周波数のステップダウンのために音叉を使用しています。過去200万本を超えるアキュトロンでテストされてきた、ブローバの音叉のような証明された信頼性のある、ステップモーターやバランスホイールエスケープメント様メカニズムを用いた時計は存在しません。
二つ目として、LED(発光ダイオード)を表示に用いた時計は消費電力が莫大で、バッテリー寿命の信頼できるデータがない。さらに太陽光のもとでは数字が見えにくい。
三つ目として、LCD(液晶表示)を用いた時計は、ディスプレイそれ自体の寿命が不明です。このタイプは、見る角度によってほとんど数字が見えなくなることがあります。
最後に、アキュクオーツはマーケットにあるクオーツ時計のなかでもっとも薄く、より進んだ複合機能を持っています。
瞬時に日付と曜日表示が進む
瞬時にカレンダーを合わせることができる
瞬時に秒針のスタートストップができ、秒針のセットに便利である。
連続して動くスイープセコンドは、1秒以下の時間のチェックを可能にする。
さらに加えて。
我々は長年、水晶を作ってきました。ですから我々は、この業界の誰よりも水晶に詳しいのです。
我々はこの業界で、なぜ誰よりも少ない約束をするのでしょう?実際、すべての水晶振動子がもっと予測しうる反応性をもって作られるようになるまで、我々は我々のディーラーや顧客に「ブローバ アキュクオーツは我々がかつて作ったなかでもっとも正確な時計であると考える」と説明するでしょう。
それは、間違いの無い声明であります。
* *****
というような論文なんですが、1970年代初頭の時計業界のクオーツ事情がわかって、とても面白いと思います。実際には、ブローバはまもなくステップモーターのクオーツ製造を開始しますし、1973年にはオメガが月差1秒のメガクオーツを発表。1975年にはシチズンが年差3秒のメガクオーツを発売、1976年にもオメガが年差1.1秒のメガクオーツ・マリンクロノメーターを発表し、上記論文の内容は、あっという間に過去の遺物となってしまいました。