GRUEN

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創業年

1874

創業者

デイトリッヒ・グリュエン

創業地

オハイオ州コロンバス

現在地

私が初めてグリュエンという時計メーカーの名前を知ったのは、その昔、たぶん昭和62年頃、光文社文庫から出ていた「男のグッズ100シリーズ1・腕時計」を読んだときだと思います。それは当時からエッセイスト、時計評論家として有名であった松山猛氏が監修したもので、序文にいきなり登場してきます。

「僕の最初の記念すべき時計は、1940年代のグリュエンだった。当時ベリスインというネーミングの、極薄モデルでかなり人気のあった腕時計らしい。1974年の春、はじめてアメリカに旅したとき、忘れもしないが、サウス・サンフランシスコのフリーマーケットで手に入れた物である。ほとんど未使用だったらしく、ゴールド・プレートにも傷はなく、S字型を組み合わせたエクステンション・バンドのスプリングもしっかりしている。120ドルの言い値を、100ドルにしてもらって、さっそく腕にしてみると、予想もしなかったフィット感がある。それはケースの裏が腕の曲面に合わせてカーヴがつけられているからである。ちょっと両サイドがふくらんだ長方形腕時計は、それからの数年間、僕のタイムキーパーをつとめてくれたのであった。」

当時は「ポパイ」などの腕時計特集には必ずと言っていいほど、松山氏が記事を載せていました。彼の時計に対する情熱というか情感には、とても共鳴するところがあり、私も彼の文章のスタイルにかなり影響を受けています。この序文の末尾の文章には、当時本当にシビレました。

「時計をすでに実用品としてだけでなく、一種のミクロコスモスであると感じたり、人間史の輝かしい知恵の結晶だと思っている人々よ、良き時計を友として、流れ行く時を楽しまれよ。」

思えば、そのときが私の時計コレクター人生の始まりだったのかもしれません。その後、松山氏はフランクミュラーと親交を深め、ブランド設立、日本進出の手助けをしたりしてどんどんメジャーになっていきます。そう、いまは誰も、あの1968年大ヒットのオチャラケフォークソング、「帰ってきたよっぱらい」の作者だなんて言わないでしょう(なお、松山氏は、「イムジン河」の日本語歌詞も担当しておりました)。

さてグリュエン社の歴史ですが、2000年4月発行の「ウオッチ・エキスプレス3」にグリュエンに詳しい市井の時計研究家、小林倫久氏が寄稿しています。そこから引用させていただきます。

1874

デイトリッヒ・グリュエンがオハイオ州コロンバスにGRUEN WATCH COMPANY を設立し、時計製作を開始する。会社はのちにシンシナティに移転。

1904

Veri-thin(ベリシン)を発表(当時は懐中時計)。

1908

腕時計の製作を開始(紳士用・婦人用)。

1911

サタディ・イブニング・ポストに広告を掲載。

1921

長方形のムーブメント(Gruen Cartouch)を開発。

1924

会社設立50周年記念時計を販売。

1925

角型ムーブメント(Gruen Quadron)を開発。

1928

ドクターズ・ウオッチ用ムーブメント(Techni-Qadron)を開発。

1931

ジャンピング・アワーモデルを製作・販売。

1935

不況のため経営困難になり、ベンジャミン・カッツを社長に迎える。カーベクス(モデル♯311)を発表。最初の広告は10月26日のサタディ・イブニング・ポストに掲載。

1936

婦人用カーベクス(モデル♯520)を発表。

1937

サイドリスト・モデル(モデル♯330)を発表。

1940

コンパクト・カーベクス(モデル♯440)を発表。

1947

自動巻き(モデル♯460)を開発。

1954

会社売却される。

Name

Circa

Case

Mov

Ref

Cal

TRIPLE CALENDOR MOONPHASE 1995? YGP&SS Manual valjoux 89

ヘンリーズオークションで落札した、グリュエン トリプルカレンダームーンフェイズです.これは有名なバルジュー89 を搭載した小さなモデルで、昔のムーブを使い、1995 年頃にケーシングされたようです.昔のデッドストックである、という解説をしているひともいますが、ケースは新しい年代のものですね.お月さまに顔が描かれているのが、とても可愛いです.

ほとんど未使用モデル.数年前から、かなり出回ってはいるモデルですが、いまこのような時計を一から造ろうとすると、コストがかかって大変でしょう.そこそこの値段で造るとしたら、オリスかモーリスラクロワあたりなら可能かな.有名ブランドでは、ブライトリングデイトラというシリーズにこのバルジュー89 を搭載したものがあり、ヴィンテージウオッチ2nd(日経BPムック)では俳優の奥田瑛二氏のお気に入り、と紹介されていました.一見ブライトリングらしからぬ時計で、ムーブはまったくバルジュー89 のままだと思います.当時は、各メーカーで同じムーブを使い回ししていたわけで、ブランドイメージの差が値段の差になっています.

日本ではショップで13-16万円くらいのお値段で売られています.今回は本命でなかったということもあり、最低落札価格1,050 DMのところに950 DMと入札したところ、競合者がなくそのまま落札.ヘンリーズオークションの旧い号では、1,500 DMくらいで落札されてるモデルでしたので、ラッキーでした.その理由は、今回のカタログの説明の冒頭に、「婦人用ウオッチ」と書いてあったためと思われます.説明にミスがあって変なことを書いてあるモデルは注目されないので、けっこう狙い目です.グリュエンの細いトカゲの純正バンド(多分婦人用)がついていました.ごらんのように、バネ棒が見えるくらいのすき間があります.

ただ、ムーンフェイズとかクロノグラフとかは、壊れやすいし、オーバーホールにもお金がかかって大変なんですよね(笑).