seabassbox …スズキのウンチク

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先般(11/21)にJGFA創立20周年記念として、東京湾のスズキシンポジウムが、神田全電通ホールにて開催されました。内外の関係者が集まって盛況でしたが、小生も少し聴講をしてまいりました。今回はその概要と感想を述べたいと思います。

JGFAが推進しているタグ&リリースから読み取ったスズキの習性&行動パターンが、従来漁業ベースでしかデータ蓄積がなかった分野に厚みを加え、この興味深い対象をよりよく勉強出来るようになって来ましたのは嬉しい事です。



まずは東京湾のスズキ漁獲高の推移についてですが、ご承知の通り、1970年台前半の水銀騒ぎで、釣る事が無くなり、スズキは大増殖を致しました。

この結果、少ないアングラーの手によって何処でもボカスカ釣れるスズキのルアーフィッシングが始まって、それはやがて1977年の小峰丸ルアー船開始をもって一般化したものでした。

ところが1979年に突然釣れなくなるという事態が発生してしまいました。その後つい最近までその低位安定状態が続いてましたが、ここ一年ほどはまた大ブレイクの徴候がみえてきております。



スズキの漁獲は当才魚の多寡が大きく影響いたしますが、これは色々な要素が重なるため簡単には原因を論じる事は不可能ですが、一つには黒潮の影響があります。

房総沖を流れる黒潮の流軸が遠い年は当才魚尾数が増え、逆に流軸が近い年は当才魚が減るといったパターンがあります。これは産卵期の湾口水温が高いことによるもので、浮遊卵であるスズキの卵を食べてしまう魚が多いという点と、孵化時の適正水温との絡みになっていると思われます。

スズキの産卵に伴なう移動パターンは12月〜2月の水温低下とともに産卵場に移動、いわゆる下りスズキです。現在知られている産卵場は三浦半島沖合いの東京湾口〜浦賀水道です。卵は浮遊卵で潮目に集まり孵化をする訳です。

やがて幼魚は浅場の湾奥に移動していく。7月〜8月に当才物のセイゴがハゼ釣の外道として掛かるのはこの時期、これらはやがて20〜25cmになって初めての冬を迎えます。湾奥の水温は10度まで低下してしまい、彼らは水温の比較的高い湾口にまた下って行く事になります。

オスは二年目から生殖能力を備え、メスは魚体の大きく
なった三年目から産卵をするそうです。



以前は冬期に湾奥でのスズキ捕獲はまるで無かったそうですが、最近は黒潮が隆盛であるのに加え、温排水等の人工水温維持インフラもあるので周年湾奥にとどまる固体も増えてきている感じがします。

スズキの場合も他の魚類同様、急激な温度変化(特に低下)には弱く、2〜3度いきなり低下すると死んでしまうケースもあるそうです。ある冬発電所のトラブルで数日間、温排水が出ないときがあったそうで、その時はあたり一面にスズキ他の魚類の死骸が浮いたそうです。



魚体の大きさの目安ですが、大きさ(叉長)の目安は以下の通りです。
当才:24cm
二才:37cm
三才:48cm
四才:56cm
いわゆるスズキサイズである60cm以上の場合は6才以降と思われ、80cmにもなると十才超と推定されます。

またこれらは、年次によっても微妙に変化し、面白いのは個対数の多い年はサイズも小ぶりになるそうです。これはベイト量とのバランス調整とみなされており、自然界のバランス感覚はすごいものがあります。
昨年あたりから漁獲高が上がってきており、それに関連付けて、逆に平均サイズは小型化しているそうです。

漁法についても活発な意見が出ました。パネラーの一人船橋漁協の大野さんの発言は結構切れ味ありましたね。一般的には巻き網、小型底引き、沖合い定置網等々の漁法がありますが、小型魚まで対象にした場合の影響は釣りの比ではありません。汚染や開発乱獲で東京湾から魚種が減って(汚染に強いのはスズキとボラ)、漁業者はその対象を値の良いスズキに集中してきておりルール破りが横行、湾奥運河近辺にも湾口からの漁師が夜間入ってきて刺し網を入れたりしているとの噂です。(湾奥運河のドブスズキでも内房や三浦の港で近海ものとかできっと取り引きされるのでしょう。恐ろしい話です)



また意外にもフェミニスト?もおりまして、腹太とか乗っ込みとかのスズキの捕獲の是非についての論議も出ました。パネラーの水産大の水口助教授の言では、シーバスの場合はサケ等に比べて一尾あたりの抱卵数が圧倒的に多いので、漁獲制限は不要との意見もでました。但し大から小まで根こそぎ獲るような漁法(沖合い底引き等)は極めて危険とのことでありました。
まあ新聞等のメディアで腹太だ乗っ込みシーズンだとかの釣り記事を平然と流す神経は今の時代にはそぐわない事は事実でしょう。アングラーは釣果にこだわる前に、先ずはナチュラリストでありたいものです。

資源保護的側面から見ると小型をしっかりとリリースすること、漁法対象から外すこと等の方が重要であるような感じです。



最後にちょっとショッキングな話題ですが、奇形(異常)の報告がなされておりました。最近とみに上顎の無いスズキが良く釣れるのだが、という話しであります。
下顎は普通なのですが、両目から先の部分が無いといった状況で、生物学的には狆頭(イヌの狆に似ている)と呼ばれる異常だそうです。有機塩素系化合物の影響かリリース時のフッキング傷の後遺症なのかは不明ですが、引き続き確認が必要なアイテムです。船橋漁協では沖合いで全てリリースしてしまうそうですが。


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