…河口の生態学的考察 |

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今回は、私達シーバスアングラーのホームグランドであります河口部を、少々小難しく論じてみたいと思っております。『河口』とはすなわち、淡水である河川が海に流れ込む部分を差すわけですが、この流域には実に多く興味深い点が見られるのです。 水産業としましては、私達の食生活にも大変なじみ深いシジミやノリ、カキなどの養殖の場として、この流域は大きな価値を、本来はもっております。河口部の深みを利用して港を建設しているケースは、それこそ星のようにあまたありますし、多くの人々のレクリエーションの場としても、この河口部は活用されております。 また最近では、長良川などいくつかの環境破壊問題も露呈しておりますが、用水確保の名目で河口堰が建設されたり計画されたりしております。このように河口部は、色々な使われ方を通じて、実に多様な価値をもっている地域であると言われております。 ヒト、とくに日本人やアジア人の価値観では、川の水はは絶えることなく流れ続け、川に捨てられた汚ない物は流されて、いずれ海に流れ出て奇麗になるという思いが誰しも心の奥にもっておりました。 ところが、それは実は誤りで、傷つけられた川から、我々は生態系のもつブーメラン作用を受けはじめているということに、少しずつ気がついてきました。 河口部は言うまでもなく、淡水と海水が混ざり合うわけで、その結果として汽水域を形成することになります。ところがこの汽水域の規模(長さ)は、いくつかの要素によって、それぞれの河川でまちまちですが、傾向としては以下の分類になります。
汽水域の長さを規定するパラメータは大きく三つあるようです。
A河川の傾斜(流速) B流量 そのなかでも20km以上の汽水区間を持つ、日本の代表的河川は、石狩川・手塩川・利根川・長良川・筑後川などです。それ以外も5km以上の汽水域をもっております。 これらの河川の底質はほとんどの場合、細砂か泥になっております。上流から流れてきたマイナスに帯電した懸濁物質はシルトと呼ばれますが、下流の汽水域で上げ潮と混合して、海水中に含まれるマグネシウムやカルシウムなど塩類のプラスイオンによって中和されて、凝集され河口部に泥として堆積されます。 また海水の潮汐によって酸素の補給が行われるため、富栄養化が保たれ、底生生物を豊富にして、結果として汽水域の生産性を高めることになっております。汽水域の生産性を高めた好例は十三湖や宍道湖などでしょう、また河口堰建設前の長良川の生産性は注目に値してました。 このように長い汽水域をもつ河川は、一般的には生産性は高いわけですが、都市部に隣接している河川の大半は全く異なる事情をもっております。これらの河川では生活廃水や工場排水の影響により、有機物が過剰となって、河口域の泥中に多く蓄積して、低酸素や無酸素状態を作ってしまうというリスクがあります。 一方、日本の河川の約三割程を占める、汽水領域が1kmに満たない河川群の特徴は、波浪の影響を直接受ける外海に面している点、下流部まで石礫底で水深も浅く、河口部にいたっても水深が大きくならないで海に流れ出るような形となっております。 底質は河口部においてもほとんど粗砂で、砂洲の発達によって下流部の川幅が極端に狭められて、海に流れ込んでいることが多いようです。この場合は上流からの懸濁物(シルト)は河口部に堆積することなく、砂洲や河口に近い河岸部にわずかに残るだけで、大半は海に流れ込んでしまいます。したがってこれらの河川群の河口部は小動物の棲息の場が少なく、生産性はあまり高い流域とは呼べないようです。 とはいえ河口部のもつ有為性は、そこに棲息する生物にとってだけではなく、そこを通過する生物たちにとっても、極めて大きいものです。アユの遡上率を決める重要なファクターは河口部環境です。棲息に適しない河口部環境に対しても、これはこれで仕方がないと複眼的な視点が必要です。 大事なことは、河口部は異なる生態系をつなぐ重要な役割を果たして来ましたし、これからもそう有り続けなければならないということなのです。これは人為的には出来ない役目なのです。 最後に、いくつかの近隣河川の生態学的分析結果がでておりますので、ここではエッセンスの紹介をさせて頂きます。
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