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内視鏡手術とは
”手術とは何か”のページで開腹手術を例に伝統的な大きく切る手術について説明しました。病変は小さくても大きくおなかを切らないといけない理由は”良く見えること”、”手が自由に使えること”を考慮するとたいていの内臓の手術は少なくとも20cm程度切開する必要がありました。右のイラストを見てください。なんと手術で最も重要な”目”と”手”がおなかの外に追放されています。神様が特別
にヒトに授けてくれた高い能力の”目”と”手”はもはや文字通り茅の外です。ヒトの裸眼は電子の目(内視鏡)に置き換わりヒトの手はわずか直径5mm程度、長さ35cm
のマジックハンド(鉗子)に置き換わりました。これが内視鏡手術の出現は近代外科学の大変革といわれる所以であります。
内視鏡手術の様子
右の写 真に示すようにみんなで同じテレビモニタを見ながら手術を行います。手術が良く見えるし録画もされていますのでごまかしがききません(^_^;)。開腹手術のときのように外科医どうしの頭がぶつかることもなければおなかの中に光を入れる作業も
不要です。 おなかの壁を大きく切開することはありませんが直径3mmから12mm程度の筒(シース)を入れる必要があります。胃や大腸の手術ではさらに5cm程度の比較的小さな切開を追加する必要があります。
内視鏡手術の利点
最も大きな利点はやはりキズが小さい、痛みが少ないという点でしょう。”病巣に至るためだけにもうけられた正常な腹壁の大きな切開創”は不要で必要最小限の切開だけを要します。(minimal
accsess)。その結果手術後のいたみが驚くほど軽く回復がはやくなります。最近では手術手技と手術機器の発展で当初は困難であった胃がんや大腸がんの手術でさえ可能になってきました。電子の目(内視鏡)は肉眼に比べて格段に解像度がよく非常に細かいところが見えるため精緻な手術も可能となってきました。
内視鏡手術の欠点
内視鏡手術にもやはり欠点はあります。まだ10年ちょっとの歴史しかなくハード面
つまり手術の道具やソフト面、つまり手術そのものの技術などがまだ十分には成熟していないこと、つまりまだ発展途上(医学自体も発展途上ではある)にあることです。手術のテクニックがこれまでの開腹手術とまったくと言っていいほど違うため修得に時間がかかります。しかし世界中の内視鏡外科医や技術者の涙ぐましい努力で
だれでも、どこでも、比較的簡単に修得可能な内視鏡手術のノウハウが日々蓄積され標準化されつつあります。最近の発展はめざましく数年以内には欠点の多くが克服されると思われます。
内視鏡外科の展望
胆石に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術は世界的に事実上の標準となっています。しかし他の臓器たとえば胃や大腸といった比較的難易度の高い手術においては普及はまだまだであります。私の認識では胃がんや大腸がんに対する内視鏡下手術は施行率も技術的にも日本が1番進んでいます。全国学会などで有名な先生の手術ビデオを拝見するとこの手術はもうほとんど完成の域に達しつつあります。もちろんこれからも発展し続けるでしょう。この素晴らしい可能性を秘めた、と言うよりはすでに素晴らしい内視鏡手術の技術を高め、発展・普及させ、ひとりでも多くの患者さまから手術に伴う肉体的な痛みやこころの痛みをとってあげることこそ、われわれ内視鏡外科医のミッション(使命)であると考えています。
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