最近仕入れたネタだが、窓販に積極的な金融機関というのは、都市銀行・地方銀行よりも、信金とかのほうらしい。
まぁ、銀行の場合は別働体代理店(AG)が存在するのが普通だからな。
それはさておき、前回の予告どおり、銀行員と別働体AGに関する思い出。
某月某日、社有車で外回りをしている時のこと。
ケータイが鳴る。ぷるるるる。
俺「はい、○○です」
相手「もしもし、A代理店のBだけど」
俺「あ、毎度です」
A代理店とは、C地方銀行の別働体代理店だ。
Bのオッサンはここの使用人である。
このオッサン、以前はこの銀行のD支店長をしていたこともあり、引退後にA代理店に再就職している。んでD支店界隈のお客の開拓をしている。
というと聞こえはいいが、要はD支店関連で出てくるローン長期火災とかの事務処理を担当しているのである。
B「実はさ、D支店のお客さんの契約の件なんだけど」
俺「はぁ」
B「積立保険なんだけど、家族型で加入してたはずのが、個人型だったんだ」
俺「え、それっていつ契約した分ですが?」
B「1年前」
俺「新規契約だったんスか?」
B「いや違う。更改契約」
俺「そッスか。んでまた何で今頃気付いたんですか?」
B「たまたま証券をチェックしてたら見つけたんだって」
俺「・・・分かりました。とりあえず詳しく話を聞かないといけませんね」
B「そしたらさ、D支店のE君に連絡してくれない?彼が担当してるんだ」
俺「はいはい」
この時点で既に17時。これからD支店まで行くと18時過ぎになるなぁ。
うーんメンドクセー。でもしゃーないか。
ということでD支店に到着。
Eさんも今日俺が来るとは思ってなかったらしく、少々驚いた様子。
俺「Bさんから連絡有りましてお伺いしたんですが」
E「わざわざどうもすいません」
まったくだ。
まぁ事の重大性を相手に認識させるには、これくらいした方がよかろう。
ということで話を聞く事にする。
俺「積立の契約が間違って個人型になっていたんですか?」
E「そうなんですよ。お客さんから問い合わせがあって」
俺「継続契約だそうですが、前の契約は?」
E「家族型です。積立家族です」
俺「保険料ローンを使った一時払契約なんですよね?」
E「そうです。保険料一時払 200万の契約」
俺「そうですか・・・」
E「訂正出来ませんか?」
俺「・・・始期に溯ってってことですか?」
E「そうです」
俺「うーん、間違った経緯が問題なんでしょうけど・・・。そもそも何故、家族型の契約の継続が個人型になってしまったんでしょうか?」
E「・・・手続はBさんがやってますんで、よく分からないんですよ」
そのBのオッサンから「Eに聞いてくれ」と言われたからここに来たんやんけ。
まったく、お互いが責任転嫁しやがって。
俺「まぁ満期返戻金との絡みで、より多くの利息が付くように、個人型にしたのかもしれませんね」
E「そうですね」
俺「お客さんってどんな方なんですか?」
E「○○市の▲▲組合の会長さんの息子です」
俺「はぁ」
E「ウチの支店に結構な預金を置いて頂いてまして」
俺「・・・・そうですか」
しゃーねーな。何とかしないといかんやろ。
俺「分かりました。ほんじゃ手続取ってみます」
E「宜しくお願いします。始期から家族型になるんですよね?」
俺「うまくいけばそうなります。ただしかなりイレギュラーな処理なんで、可能かどうかは即答できません。稟議上げる必要があるんで」
E「どれくらい日数がかかりそうですか?」
俺「分かりません。そもそも可能かどうかから始めないといけないので」
E「お客さんに返事しないといけないので、できるだけ早くお願いします」
俺「了解しました」
まぁ別働体AGの事務処理なんて、御粗末なケースが多いからな。
こんなんもよくある話だ。取消再計上か・・・。
ところが、これで済む話ではなかった。
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ということで例の積立は、取再(トリサイと読む)をすることになった。
取再とは、契約を始期まで溯って取消し、別の契約を計上することである。
取再の手続は結構メンドクサイ。何てったってかなりイレギュラーな処理だから、手続には管理職の承認が必要になるのが通常だ。つまり稟議が必要になる。
で、その稟議書には、ウダウダと取再の「内容」「理由」等を書いていく。
ここでのポイントは、いかに「取再しないとどうしようもない」ことを、「自分(社員側)の責任じゃない」ことを主張しつつ説得していくか、である。
今回の場合は、
・個人型での積立保険を取消し、始期から家族型の積立保険を計上。
・新契約の保険料は同じ 200万の契約のため、保険料の追徴返戻は無し。
・そもそもAGの単純ミスにより、記入する申込書を間違っていた。
・契約者としては、当然、以前と同じ積立型で加入しているものと思っていた。
・よって契約者には責任は問えない。
・加えて当該契約者はC銀行の重要得意先であり、営業施策上も取再対応したい。
・AGへは厳重注意の上、再発防止策を取る。
・特に事故も発生しておらず、モラルリスク上も問題無し。
とまぁ、こんな感じでつらつらと書類を作成していく。
いかにうまく言い訳していくかが問題なのである。
ということで上司に一応口頭でOKを取り、稟議書を作成した。
んでもって新契約用の積立保険の申込書を作成し、契約者の署名捺印も取り付けた。
数日後、部長の承認印が押されて、稟議書は戻ってきた。
あとはこれを添付し、取消再計上の手続を取れば一件落着である。
Bのオッサンに連絡。
俺「いやぁ、何とか訂正処理できましたよ」
B「そうかい。ありがとう」
俺「いえいえ、・・・でも今後は気をつけて下さいよ。マジで」
B「うん、分かってるよ」
俺「今回の件なんかも、もし事故が起きてたりしてたら大変ですからね、ハハハ」
B「そうだねぇ」
俺「保険金の不正請求なんか助長してたりしたら、代理店も懲戒モンですし」
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それから約1週間後、一件の電話がかかってきた。
C銀行D支店のEさんである。
俺「あ、毎度どうも。何か?」
E「保険金の支払はもう終わりました?」
俺「は?」
何だ?何か事故報告受けてたっけ?
E「ほら、この前の▲▲組合の会長さんの息子の契約の・・・」
俺「あぁ、あの積立保険ですか?」
E「そうです」
俺「それならそろそろ家族型の証券が届いているころだと思いますが」
E「証券はあるそうです。で、会長さんが怪我したんですよ」
俺「あ、そうなんですか。会長さんって息子さんと同居してるんですよね?」
E「そうです」
俺「そしたら家族型だから、保険金の支払が出来ますね」
俺「事故の連絡は、もうしてるんですか?」
E「Bさんにしています」
俺「そうですか。んじゃBさんにも聞いてみましょう。ちなみに事故はいつ?」
E「2ヶ月くらい前です」
俺「え?」
おい、ちょっと待てよ。例の取再、再計上してまだ1週間だぜ。
最初に「契約が間違ってました」と聞いてからは、2週間くらいだ。
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以上、銀行員と別働体クソAGのオヤジにまんまと食わされた一件でしたとさ。
ちなみにこの件のその後については(思い出したくもないが)、要旨だけ。
・俺は、BとEに対し、「嘘ついてたんですか?」とケンカ。
・そしたらBのオッサンが逆ギレ。「そもそもこの継続契約を個人型にしようと言ったたのは、君の前任者だぞ!」
・課長に報告したら、「契約者に直接会って確認しなかったお前も悪い」
マジかよ。
・SCの所長から、「お前は保険金の不正請求を助長するのか!」と怒られる。
・んで結局、保険金は支払った。老人の入院は長いから、支払額がかさむぜ。
しかし冷静になって考えるに、どうみても最初の「契約間違ってました」報告の時点で、事故が発生してたとしかいいようがないな。
そもそも積立の保険証券の確認なんて、満期前以外にチェックなんてしねーって。
それ以外にチェックするならば、事故が起こって保険金請求するときくらいだ。
今回の場合は、ケガの連絡を受けた時点で契約を確認した、BのオッサンかEが、契約が個人型になっているのに気付き、あわてて俺に連絡してきたとしか思えん。
んで契約者には、「大丈夫ですよ。保険屋にうまく対応させます!」なんて感じで大ミエを切ってたのかもしれんな、けっ。
あーちくしょう、こんなになるんなら、契約者自身に会いに行けばよかった。
んで取再時点で契約者自身に「本日現在、事故は発生しておりません」という念書でも書かせるべきだったな。
それくらい大袈裟にしないと、BやEのナメきった姿勢は改められないだろう。
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ということでこの一件の後、俺のポリシーは人間性悪説となった。
銀行員の保険会社社員を見る目がどんなもんか、ということを痛感したのである。
某有名作家(「はみだし銀行マン」シリーズで有名)もその著作の中で、
「保険会社の人間なんて、火災保険のネタがあると連絡したら、ホイホイと尻尾ふってついてくるからな。犬のようなもんだ」
と記しているように、銀行員にとって保険会社社員は、ただの出入業者に過ぎないんだ。
もちろん今回のは一例に過ぎず、すべての銀行員がそうだ、ということではい。
しかし、これまでの保険会社と銀行との関係を考えると、彼らが保険会社を、それと保険商品を、どういうものかと捉えているかがよく分かる。
彼らにとって保険商品とは、顧客に対する資産運用やリスク管理のために活用するものではない。
保険会社から見返りの預金を得るための手段にすぎないのだ。
最近は保険会社も余裕がなくなってきたこともあり、銀行へのいわゆる協力預金は減ってきている。
ということで銀行にとっては収益の元が減ってきているので、しょーがないから保険窓販に力を入れて(代理店手数料による収益を求めて)いく、ということもいえるのかもね。
いずれにせよ、「一般契約者の利便性」というものはそれほど重視されてないな。