| TYPE-MOON | |||||||
| 同人ソフト界でスマッシュヒットを放ったTYPE-MOONだが、とどのつまり、ほとんどライターとイラストレーターの力のみであれだけのムーヴメントを引き起こした豪腕メーカーといっても過言ではありません。奈須きのこ氏の重厚なバックボーンを背景にしたシナリオ力は、新伝奇ブームの火付け役の一角を担いました。 どちらかというと、付姫という作品を世に出すためだけに発足した感が強いメーカーですが、気力十分、その後の展開が楽しみな本格派メーカーです。 あと、きっちり濡れ場も書いてるのは、好感がもてます。 |
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| Fate/hollow ataraxia | |||||||
△Fate/hollow ataraxia
あなた、ロックスターみたい 「Fateのレビューはやらへんの?」との声がありましたが、正直、Fateについてはあまり書くことはありません。チャンバラシーンの演出などには見るべきものもありましたが、作者が抱えた膨大な世界観のバックボーンを、そのままえんえん説明されても困る、というか、タルかった、というのが正直な話です。「空の境界」「付姫」は、同じ世界観ではあるものの、昨シャンが一個の共通した世界を構築し、あえてその中から必要な情報のみを抽出して話を作っていったところに凄みがあったわけで、魔術とはなんぞや、とか、聖杯戦争とはなんぞや、という説明ばかりで、一番大事な、キャラクタの個性や会話文の軽妙さが失われているのでは、やっててだるくなってしまうのはしかたないかとおもわれます。月姫なんかは、膨大な、水面下の設定の中から氷山の一角をうまく露出、さばいて、あくまでストーリーを作ることに専念し、説明は必要最小限にとどめていたからこそ、あれほどの名作になったのだと思います。 その、月姫を作ったメーカーが、歌月十夜というファンディスクもそつなくこなし、次に着手したFateにもおなじくファンディスクを出しました。元々、Fateがらみの感想文は書く予定はなかったのですが、比較対象もあることだし、リクエストもあったので、筆をとりました。 さて、このFate/hollow ataraxiaですが、ぶっちゃけていうと、Fate本編より面白いです。原因は簡単なもので、早い話、本編では話の節目ごとに、えんえんながったらしい魔術の説明が入って話のコシわ折られ続けたのに対し、こっちはそういうのがなかった、ということにつきると思います。バックボーンとなる設定の分量は変わっていないのですから、情報の説明手法が、月姫のように必要最小限に押さえられたのが成功の秘訣だと思います。 ただ、やはり歌月十夜よりは見劣りしてしまう、というのが本音です。歌月十夜は、ファンディスクでありながら、本編で説明不足だった箇所をうまくおぎない、さらに新しい話の展開もあり、さらに無理のない設定、軽妙な会話文で、ファンディスクの域を超え、十分にやりごたえのあるゲームでしたが、Fate/hollow ataraxiaは、あくまでファンディスクにとどまり、本編では殺伐としていた連中を使ったコメディありシリアスありの、ただの寸劇集になってしまっています。それでも本編より楽しめたのは、前述した説明文の冗長さがなかったためでしょう。ランサーと釣りの話や、遠坂家探検、魔法少女、タイガー、諸葛凜などなど、楽しませてくれる要素は十分でしたし、実際楽しかったです。では、そんなファンディスクの中にも一本芯を通すのがTYPE-MOONだと思いますが、歌月の話に比べると、Fate/hollow ataraxiaのアンリマユの話は、やはりパンチにかけていました。また、説明が多すぎるくらいなのに説明不足な部分があり、結局、サーヴァント達が全員楽しく生活を送っているというユートピアの状況に、説明がまったくついていません。セイバーは死なず、キャスターも生きている。本編では、どこをどういじくったって、どれかのサーヴァントはしななくちゃ話がそもそも終わらないのに、安易なユートピアが出現してしまっているところに、芯の弱さわ感じました。もちろん、月姫もユートピア状況なわけですが、いちおうあちらは、アルクェイドのハッピーエンドシナリオをベースに、適度に、遠野家ルートの話も拾っている、という説明でそんなに破綻はしていくませんでしたが、こちらは元々サーヴァント同志の生き残り殺し合いの話なのだから、どう転んだって、こんな、どのサーヴァントも平和にだらだら生きている世界は出現しえないはずです。 とはいえ、アンリマユが天空の階段を上がっていくシーン、バゼットとの別れのシーンなどは、さすが奈須きのこ、という読み応えのある代物でした。また、現在のソフトハウスになってからグラフィック能力が格段にあがっているため、どちらも感動的なシーンにふさわしい演出になっています。 さて、バゼットはなかなかよいキャラでしたし、シスターもよかったのですが、やはり個人的にはタイガーにがんばってほしかったんですが、今回も結局端役で終わってしまいました。タイガー道場もないから、出番が減る減る。それでも、風雲イリヤ城など、あちこちでタイガーが出ていたので、これは大歓迎でした。まあ、このへんはただの好みなんですけどね。タイガーシナリオは望むべくもないみたいだし、これで我慢しときます。 士郎にとりついたアンリマユのラストシーンは、爽快でした。自らの出自を受け入れ、そのありようを好ましいと思ったバゼットの背中を優しく押した彼は、Fate本編の士郎より、100倍格好良かったです。 てなとこで、ほとんど感想文というより説明文になってしまったこの原稿ですが、このあたりで幕を引くといたしましょう。 最後に付け加えますが、新伝奇小説としては、そこそこ以上絶賛以下くらいには、読み応えがありました。 |
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