私(←‘ワタクシ’と読む)の名前は、プリティ・プリンセス・オブ・グレースランズ…(中略)…マジェスティーズ・クラウン・アンド・オナー。血統書付きペルシャ猫である私は、心身の美と健康を日々気遣ってくださるブリーダーのロビンソン夫妻(仮名・日本人)と、15匹の仲間達と共に暮らしております。しかし、箱入りではありますが、甘やかされてばかりの御嬢様ではございません。私には高貴なるフェリス・カトウスとしての重要な使命が…優秀な血筋を絶やさぬよう、立派な純血の仔猫達を世に残さねばなりません。そのような訳で、年頃になりました私も近々お見合いをすることに。御相手はキャット・ショーで数々の華々しいチャンピオン歴をお持ちの、止ん事無き御方。容姿端麗にして精力絶倫で、シーズン中は常にフル・ブッキングというペルシャ猫界のゴールデン・スタッド。そのような御方と結ばれるとは、身に余る幸せにございますが…実は、私には既にトラ五郎様という心に決めた殿方がいるのでございます!ああ、無情!何たる悲劇でございましょう!しかも、トラ五郎様は我家に隣接する空地を縄張とする、紛う方無き野良。血統はおろか住む世界さえも違うのでございます。室内暮らしの私とトラ五郎様は頑丈なアルミサッシによって隔てられたロミオとジュリエットのよう。鳴き声すら交わしたことがないものの、私のことをジッと見つめられる熱い眼差しから、お互いの想いは一つと確信しております。一方、ロビンソン夫妻もトラ五郎様と私の関係に感づいており、塀の上に水入りのペットボトルを並べるなどして私達の仲を引き裂こうとなさいます。先日も、縄張パトロールされているトラ五郎様の御勇姿にうっとりと見入っておりましたら、「あのような卑しい雑種と御前とでは身分…いえ、品種が違うのです!」と、ミセス・ロビンソンに釘を刺されてしまいました。ですが、私の心はトラ五郎様ただ一匹のもの。男気を感じさせる虎縞、逞しくも寸足らずな尻尾、縄張争いで食い千切られたギザギザの耳…ああ、堪りませんわ♪私達二匹が結ばれる良い方法はないのでしょうか?いっそ、家を捨てて愛の為に駆け落ちするべきなのでしょうか?
ううううう、涙が止まりません!何て可哀想な恋猫達でしょう。その内、どちらかが不治の病にかかって死んでしまうのではと心配でなりません。でも、愛を諦めないでください!人間の都合で勝手に交尾相手を選ばれたり、避妊させられたり、仔猫を里子に出されたり…私達メス猫の一生は未だに明治・大正の域を脱しておりません。それどころか、さして仲良くもないメスばかり5匹で室内生活を強いられ、オス猫との出会いが一つもないまま不毛な生涯を送る哀れなケースもある程です。そんな状況において、プリティ・プリンセス…(割愛)さんとトラ五郎さんの出会いは正に運命的と呼ぶに相応しい奇跡です。ブリード猫さんとして品種の保存に対する使命感を抱かれるのも理解できますが、愛の無い交尾は断固お断りして、トラ五郎さんとの仲を何としても同居人間さんに認めてもらいましょう。時間はかかるかも知れませんが、ここは一つ根気良く頑張って説得です。ちなみに、「30過ぎれば、相手なんかもう誰でもいいから結婚してくれって、親は泣いてせがむもんよ」と実体験に基づいたネーネの心強いコメントもありますので、何年か経てばあっさり折れるかも知れません!
貴猫は現在、大変危険な色ボケ状態にあります。ここで我を見失ったまま、どこの馬の骨とも分からない野良猫と駆け落ちなどしたら一生を棒に振るでしょう。愛があればどんな苦難をも乗り切れるなどとお考えですか?愛だの恋だのは一、二ヶ月も持てば御の字で、発情期が過ぎればケロッと忘れてしまう程度の代物。増してや貴猫は苦労知らずの御嬢様…野良の女房になったところで、ゴミ箱の一つも漁ることができずに小室哲哉も真っ青のスピード離婚は確実でしょう。ブランド猫缶で満たされなくなったポンポンの隙間を、愛が埋めてくれるなどと勘違いしてはいけません!しかも、はっきり言って貴猫のオスの趣味は最低です。区画の狭い都内の空地一つを縄張にする程度の野良などは、明らかにただのチンピラです。まかり間違って地域のボス猫になるようなことがあっても、地位を利用して愛猫を囲っては浮気しまくることでしょう。猫の中でもトラ系は特に性欲旺盛で、その辺りの倫理観念が大幅に欠如しているもの。馬鹿トラジャのアドバイスがその事実を裏付けています(下記参照)。?認めるのは癪ですが、今回ばかりは同居人間の言うことに従うべきでしょう。
プッチン・プリンさん、迷わずにSAY NYA♪でチュ!お見合い相手とトラ五郎さんがこの先バッタリ出会っちゃう確率は限りなくゼロに近いという超美味しい状況…だったら、二股かけて両方とも頂きますしちゃえばいいんでチュよ!まっ、トラッチ的には同じシマシマ仲間としてトラ五郎さんの方がイケてるかなって思うでチュが、一生一匹の相手と添い遂げるなんて猫生の無駄遣いってもんでチュから。猫は丹頂鶴とは違うんでチュ!そもそも、全てのオス猫がイスラム教徒と化しちゃう交尾シーズン…一夫多妻制はオッケーなのに一妻多夫制はダメだなんて、神様がそんな不公平をお許しになるはずないんでチュ!産めよ、増えよ、痴に満ちよでチュ!それこそ繁殖が目的なら‘下手な鉄砲も数打ちゃ孕む’で、相手も回数も多けりゃ多いほど良しってもんでチュ。同居人間が結婚相手ならぬ交尾相手を紹介してくれちゃうお見合いシステムも捨てたもんじゃないでチュよ。プッチン・プリンさんは恋に恋してるみたいでチュけど、絵空事のトレンディ・ドラマやレディース・コミックに感化され過ぎてると交尾期を逃がすでチュ。ドラマチックなラブよりも、ダイナミックにメイク・ラブ!…でチュ♪
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