去年の10月に生まれた仔猫です。パパは人間と暮らす血統猫で、ママは野良の雑種です。一緒に生まれた兄・二匹と妹・一匹は、パパの同居人間さんが里親さんを探して、みんな養子に出ました。ボクだけ里親さんがまだ決まらなくて、パパのおウチでママと一緒に半野良生活をしながらお世話になってます。ボクのママは教育ママです。毎日勉強漬けで、ボクはウンザリです。どんな勉強かと言うと、媚びの売り方や、可愛いポーズの取り方や、お金持ちの人間の見分け方とかです。ママは立派なおウチと自分の仔猫を養子縁組するのに命懸けてます。売れ残ったボクは、落ちこぼれ扱いです。ちゃんとお勉強しないと、人間に可愛いと思われなくて、裕福なおウチの猫になれなくて、悲惨な猫生を送ることになるとママは言います。他の野良が仔猫にスズメ狩りや、木登りや、生ゴミあさりとか教えてるのをママは見下してます。そういう普通のお勉強と違って、ボクのは‘エイサイキョウイク’なんだそうです。でも、ボクは人間の持ってるバッグがブランド品か見極めたり、呼ばれたら「おニャー」と丁寧にお返事するのってバカらしいと思います。初めは頑張ったけど、「ウチの娘は世田谷の庭付3階建のお宅へ養子に行きましたのよ」と、野良の奥さん達に自慢してるママを見てヤル気もなくなりました。ママは近所の野良猫達の間でヒンシュク買ってます。ボクもママのことが嫌いになっちゃいそうです。ママはボクが3ヶ月になってから、「あんたはもう先がないの!」ってヒステリーを起こすようになりました。雨や雪の日はボクを連れて、お金がたくさんありそうな家や高級マンションのそばを延々と歩き回ります。ボクが帰りたがっても、「寒い日ほど拾われるチャンスが高いの!」と言ってきいてくれません。せっかく猫の子に生まれたのに、ボクはどうして人間や犬の子供みたいに努力しなくちゃだめなんですか?勉強するくらいなら、一生野良のままでいいです!



ボク君、こんにちは。3ヶ月も過ぎると、母猫の干渉が煩わしくなる年頃ですよね。でも、お母さんはボク君を愛しているからこそ、お勉強しろと言うのです。ボク君が野良のままでいいと言っても、野良生活の苦労を知り尽くしたお母さんが、人間付一戸建ての豊かな暮らしを貴猫に送らせたいと願うのは当然のこと。野良は人間界で言うところのフリーランス、またはプー太郎です。自由と引き換えに安定性を犠牲にするハイリスクなライフスタイルと言えます。ちなみに、私と同居している人間達もフリーランサーですが、ボーナスの時期には社会的疎外感に打ちひしがれ、仕事が途切れると神経性下痢ピーを発症し、フリーターと間違われては屈辱に身を焦がすという過酷な毎日を送っています。ストリート・キャットの一生もまた然り。フードショップに並ぶ猫缶を横目にゴミをあさり、コタツに憧れを抱きながら車のボンネットで丸くなり、人を見たら三味線屋と思わねばならぬ気の抜けない日々の連続です。これらの現実を踏まえた上で、ボク君がどのような進路を選ぶかは自由ですが、お母さんが貴猫をこうしたイバラの猫生から守ろうとしていることだけは忘れないでくださいね。








貴猫のお母さんは間違っています。人間ウケを良くするための‘お勉強’なんて笑止千万。貴猫のお母さんみたいなメス猫がいるから、主婦は馬鹿にされるのです。野良として生きることを貴猫にオススメする気はまったくありませんが、人間に媚びへつらうような生き方には猛反対いたします。そんなことをせずとも、何不自由のない猫生を送ることはいくらでも可能ですよ(参照事例:私)。しかし、その為にもお勉強は欠かせません。媚びの売り方よりもケンカの売り方、可愛いポーズの取り方よりも他猫や人間のゴハンの盗り方、お金持ちの人間の見分け方よりも猫の太鼓持ちになりそうな人間の見分け方…まずはこうした基礎カリキュラムから徹底攻略するべきです。今だけ楽して一生ホームレスとして苦しむか、今は苦しくても勉強して一生ホームキャットの極楽を味わうか、ガキの癖に長々と己の苦悩を物語るクソ生意気な貴猫なら、どちらの道を選ぶのが賢いか本当は分かってるんでしょ?万一その選択を誤って後々後悔することになれば、今度は貴猫が自分の仔猫に果たせなかった夢を押し付ける、まさに貴猫のお母さんのような悲しいオトナになってしまうでしょう。

‘お勉強’って何でチュか?‘猫生’とは何か?…みたいな深い質問ではないでチュよ。トラッチは生まれてこの方、‘お勉強’ってしたことないんで、文字通り何だかさっぱり分からないんでチュ。でも、そんなトラッチが現在こうして苦労知らずで世間知らずなお嬢様生活を送ってるってことは、多分‘お勉強’ってしなくてもどうってことないんだと思うでチュ。でも、このまま行くとボク君はママさんへの反発から近所の不良仔猫とお仲間になって、お魚屋さんでの万引きを始めの一歩として犯罪に前足を染め、カッコつけで舐めてみたマタタビもやがて中毒になり、ヤクザ猫の縄張抗争に巻き込まれて犬死にならぬ猫死に、ってところでチュかね。‘お勉強’とやらをしないで、おバカとして生きるってのも命懸けみたいでチュ。おバカはおバカなりに、ハサミみたいに切れなくちゃダメでチュ。でも、切れると言っても、やたらとキレる猫ではペケでチュよ。広い心で他猫にも自分にも甘く、脳味噌がトロケちゃってるようなおバカなら、どこに行っても人気者でチュ!幹事が欠けなくて誤字脱獄が多いお炭鉱那須と夜這れても、夜の仲は相凶で綿って逝けるんでチュ!鹿馬ライフ漫才、でチュ!








 
(C) Kayou Okaeda 2002 えぼまく倶楽部の全コンテンツ権利は岡枝佳葉とエボシ/マクズ/トラジャに帰属します。無断転載は固く禁じます。