猫は口がきけないと、とかく人間に可哀想がられます。しかし、それはとんだ誤解です。猫にだって言葉はあります。ちゃんと使い分けてます。なのに、いつまでも「特製和牛入り豪華猫缶が食べたい」と「5個200円の激安猫缶が食べたい」を聞き間違える人間達には呆れかえるのケロヨンです。猫は人間語力が極めて高い(ヒアリングのみ)のに、大抵の人間は猫語の偏差値10以下なのが現実。そんな人間達からバカ扱いされるのにウンザリしている方、幼猫言葉が抜けきらなくて恥ずかしい方、受験生なのに猫だという理由で代々木ゼミナールに入れなかった方…このコーナーは、きっと貴猫のヤル気を育てます!
あお
【感嘆詞】 {ao}
口にしづらい欲求願望が、つい声になってしまった場合に使用される。ちょっと鳴いてみただけ、という場合もあり。人間語ではシャム猫の眼の色を示す。
あおん
【感嘆詞】 {aon}
欲求願望の強調表現。繰り返される場合は、我慢が限界に近づいていることを示す。ちなみに、いくら「あおん」を発しても無駄だと諦めかけた時によく使われるのが「あうん」であり、うちの同居人間はこれを聞くと向田邦子と仁王像を思い起こすらしい。
あお〜ん
【感嘆詞】 {aoon}
不安と困惑を伴う、非常に切羽詰った欲求願望の強調表現。自分でも何をどうして欲しいか分からずに発せられる場合もあり。大人猫は春・秋に頻繁に使用するが、近所迷惑のお咎めで避妊・去勢される原因にもなることも。
う
【感嘆詞】 {u}
高い場所からの着地の際に、振動で発せられることがある。深い意味はない。人間語では食べた魚を人間に渡す変な鳥を示す。
うぅ〜
【感嘆詞】 {uuhu}
落ち着かない状況で不安が高まった場合や、嫌な相手を追い払う際などに使用される。とても大きな声で周囲に響くように発するのが正しい用法。この言葉を発する場合、猫はマジである。
ううう
【感嘆詞】 {uuu}
「う〜」と似ているが、小さな声で可愛らしく発するのが正しい使用法なので間違われることは少ない。主に幼年から青年期にかけて、年上の猫や人間に甘える時に使用される。人間語では哀しみの表現でもある。
うぉ
【感嘆詞】 {wo}
人間が「ちょっと!」と言おうとして「ちょ」までしか言えなかった場合に相当する。軽い抗議を含んでいるが、得てして気弱な立場にある猫が発するため、気にかけることはない。人間語では猫の好物を示す。
うぉん
【感嘆詞】 {uwon}
「ちょっと!」という感じの軽い抗議。しかし、この程度では誰にも相手にされないので、実用性はあまりない。香港の女優さんの苗字でもあるらしい。
うるる
【感嘆詞】 {ururu}
ブルーな気分を表現した言葉。「るる」の部分は好きなだけ続けて良い(しかし、あまり続けると「大岡越前」の主題歌と誤解される)。欲求願望表現を駆使しても聞き入れてもらえない場合に使用して、人間の罪悪感を刺激してやろう。
おわお
【感嘆詞】 {owao}
突然の欲求願望表現。人間の背後に忍び寄って発すると効果的。特に欲求願望がなくても、驚く人間を見るだけでも愉快。
おん
【感嘆詞】 {on}
欲求願望が聞き入れてもらえず、とても不満な場合に使用される。ほとんど聞き取れないくらい小声で発せられることが多い。恨めしい気持ちを「怨」と表現していると解釈されることも。
しゃー
【感嘆詞】 {shaa}
防衛本能が高まった際に、警戒すべき相手に向けて使われる。同居人間に向けて発すると傷つくらしいので、余程のことでない限り使用してはいけません。口を大きく明けて、息を吐き出すので、この言葉を使う場合は口臭に気をつけましょう。間違えて「しぇー」と言ってしまうと、人間に何故かウケてしまい、逆効果です。
なう
【感嘆詞】 {nau}
後述の「にゃう」が上手に言えない仔猫がよく使う幼児言葉。軽い自己主張の表現。西洋の人間語では「今」という意味で、下に「い」をつけると死語となるらしい。
にゃあ
【感嘆詞】 {nyaa}
返事や呼びかけなど多目的に使える。人間に好評なので、欲求願望表現として使用する猫も多いが、「カワイイ!」などと見当違いな反応しか得られない場合がほとんど。人間では名古屋出身者がよく使うらしい。
にゃう
【感嘆詞】 {nyau}
注目されたい場合などに効果的な軽い自己主張の表現。「にゃあ」の場合と異なり、人間も猫が何か言いたいことがあるらしいと認識してくれる。しかし、その後がすぐに続かないと「ちょっと鳴いてみただけね」と誤解を受けるだけ。
にゃは
【感嘆詞】 {nyaha}
「にゃあ」と言ったつもりが、息が切れて最後まで声が続かない場合の言葉。ビートたけしの古いギャグだと思われて、恥をかくので要注意が必要。
にゃん
【感嘆詞】 {nyan}
「にゃう」の同義語。中国の人間語では「人」に該当するためか、この言葉を発すると自意識過剰な人間はすぐに反応する。
みー
【感嘆詞】 {mi}
仔猫のうちしか使えない幼猫言葉。ほとんどの場合は哀しみを含んだ鳴き声。捨てられた場合は積極的に使って、誰かに助けてもらおう。しかし、あまり多用すると、この言葉がそのまま名前にされてしまう。
みは
【感嘆詞】 {miha}
めったに鳴かない猫が多用する。普段、鳴かないために声がかすれ、「は」の段階では息が吐き出されるだけである。また、非常に空腹な場合にも発せられる。「みーはー」とのばすと、芸能人の追っかけなどしている人間を示すらしい。
みゅう
【感嘆詞】 {myu}
少し淋しい時などの感情表現に使用される。二回連続で発すると「…のバッグ買って」と人間が言い出す場合もある。また、「み」を「ひ」に換えると華原朋美になる。
らー
【感嘆詞】 {laa}
少し投げやりな印象の欲求願望表現。どうせ聞き入れてもらえないだろうという諦めが含まれている。砂の惑星ではこの一言で敵を倒せるらしい。
りゃう
【感嘆詞】 {ryau}
興奮した時などに使われる表現。遊びの最中などつい口にしてしまいやすいが、現実の狩りでは獲物を逃す原因となるので要注意。
りゃっ
【感嘆詞】 {rya}
不意をつかれた場合など、驚きを表現するのに使用される。人間語の「びっくりした!」に相当し、むやみに口にすると人間に面白がられて不愉快な思いをすることになる。頭に「と」を加えれば、気合を入れる意味の人間語となるが、猫には発音が難しい。
わん
【外来語】 {wan}
多目的に使える、犬界からの外来語。稀に猫が使用すると、人間は非常に驚く。すぐにでも注意をひきたい場合に効果絶大。更に、人間が「2−1は?」と発した際にすかさず使うと、テレビに出れる可能性もある。
この馬鹿猫!
【無礼語】 {kono-baka-neko}
猫に対する苛立ちから、人間がよく発する大変失礼な表現。遠慮無く「この馬鹿者!」とガンコ親父風に鳴き返してやろう。
猫は、いいなぁ
【羨ま詞】 {neko-wa-iina}
社会という鎖につながれ、日々奴隷のように働きながら無意味な一生を終えていく人間達が発する最も正直かつ純粋な表現の一つ。イヤミとして使用されることもあるが、羨ましがっている事実に変わりはない。
ダメよ!
【否定語】 {dame-yo}
何かをしてはいけないことを示す言葉。猫が人間の食べ物に近づいた場合や、トイレの外でウンチしようとする場合などに最もよく発せられる。あまり真剣に気にとめる必要はないが、「いいかげんにしなさい!」と続いたらそろそろヤバイかも。
ゴハンだよ
【朗報】 {gohan-dayo}
人間語の中で最も美しいとされる言葉。人言語力があまりない猫でも、これだけは習得している。人間が英語を学ぶ際の‘ジス・イズ・ア・ペン’に相当する基本中の基本。
獣医さん行くよ
【警報】 {juisan-iku-yo}
この一言が聞こえたら即刻逃げるべし。猫に言うことをきかせようと、単なる脅しで使われる場合もあるが、何れにしても大事をとって逃げるべし。
どうしたの?
【疑問詞】 {dou-shita-no}
猫語力不足の人間が、鳴いている猫によく発する質問。心配しているわけだが、この問いかけに答えてもまた更に「どうしたの?」ときいてくるのでエンドレスになりがち。
こっち、おいで
【警報・朗報】 {kocchi-oide}
これを聞いて素直に人間のもとへ行くと、無理やり抱っこされてブチュ〜の場合もあれば、予定外の美味しいおやつがもらえる場合もある。使用法によって天国と地獄ほどの差があるので、状況と照らし合わせて判断が必要な要注意語。
何やってんの、アンタ
【侮蔑語】 {nani-yatten-no-anta}
猫がカケッコしていて壁に激突したり、高いところに登ろうとして失敗した時などに軽い笑いとともに発せられる非常に屈辱的な言葉。この言葉を発した直後にカメラを取りにダッシュするケースもあるので、恥ずかしい写真を撮られないように要注意。
可愛い
【誉め言葉】 {kawaii}
猫の魅力を余すことなく表現しきる一言。人間がいかに猫を大切に思っているかの尺度にもなるので言われるのは喜ばしいことだが、渋くキメてるオス猫や齢10年を過ぎたジジババ猫にも平気で言うのはちょっと迷惑。
良い子ね
【誉め言葉】 {iiko-ne}
猫を評価しているという意味だが、単に人間にとって「都合が良い子」ということにもなりかねない。逆に「悪い子」と言われる猫の方が自然界の基準では優秀な猫であることをお忘れなく。
お座り/お手
【犬用語】 {osuwari/ote}
犬のみに通用する特殊な言葉でありながら、一部の愚かな人間は猫に向って使ったりする。これに対して犬同様に反応しないと、「やっぱり猫はバカだ」などと酷いことを言われるが断固無視する勇気を持ちましょう。
愛してるから…
【感嘆詞】 {aisiteru-kara}
この表現の後には‘獣医さんに連れて行くんでしょ’‘お爪切りするんでしょ’‘お薬飲ませるんでしょ’‘ブチュ〜するんでしょ’などのイヤな一言が続く。「だったら愛なんかいらなぇよ」とハッキリ言い返してやりましょう。「愛」という言葉のもとに人間は何でもするので要注意。
ポンポンすいた?
【疑問詞】 {pon-pon-suita}
‘ゴハン食べたい?’という意味の非常に無意味な質問。しかし、「食べたいに決ってるじゃん!」と思っても、ここでは愛想良く振る舞っておかないと単なるフェイントで終わってしまう場合もある。また、この一言でもうゴハンをくれるものと早合点する猫も多いため、注意を引きたいだけの時にゴハンをくれる気もないのに人間が言う場合もあるので注意が必要。
邪魔!
【迷惑語】 {jama}
自分達の方が図体がデカくて何倍も邪魔くさいのに、(人間が読んでいる)新聞の上に乗ったり、(人間が開けようとしている)ドアの前に猫がいるだけで発せられる身勝手な一言。
あっち、行ってて
【感嘆詞】 {acchi-itte-te}
人間が何かに集中したい時や、見られたくないことをする際に猫に言う言葉。猫がトイレで踏ん張っている時に逆に人間に言ってやりたい一言でもある。
いいものあげる
【朗報・警報】 {iimono-age-ru}
「ゴハンだよ」と並ぶ最も素敵な人間語の一つ。しかし、喜び勇んで行ってみると値札シールを頭に貼られたり、鼻をかんだ使用済みティッシュを渡されることもあるので見極めが重要。
おしまい
【ウソ】 {o-shimai}
おやつなどを猫にあげている最中に、もうあげるものがなくなったことを宣言するために人間が発する言葉。しかし、ほとんどの場合まだ残っているので騙されないように。
やめて
【悲鳴】 {yame-te}
クーラーの効いていない真夏にスリスリしてやったり、寝坊しているのを起こそうと顔を舐めてやったりすると人間が卒倒しそうな声で発する一言。もちろん、やめるやめないは貴猫の自由。特に二番目のケースの場合は効果が出ている証拠なのでやめずに続けましょう。
…てよ
【嘆願詞】 {te-yo}
人間が猫に何かをお願いしているという意味の表現。この言葉の前には‘宝くじ当て…’‘埋蔵金掘り当て’などの土台無理なお願い事がついているのできいてあげる必要はない。中には‘代わりに会社行っ…’‘代わりに試験受け…’というのもあるので、何かにつけてお願いばかりするどうしようもない人間がいたらワザとそういうお願いをきいてあげて、人生メチャクチャにしてやるのも良いかもしれません。
うぇ
【感嘆詞】 {ue}
猫が獲物を食べるのを見て発せられる言葉。まだ意味が完全に解明されていないが、猫缶の匂いを嗅いでも発することがあるので「美味しそう」ということではないかと推測されている。
くっさ〜!
【感嘆詞】 {kussa}
猫がウンコやシーシーをした直後に、人間が必ずと言って良いほど発する言葉。人間の顔の前でアクビをしてやっても聞くことができる。
よくそんな事できるね
【尊敬語?】 {yoku-sonna-koto-dekiru-ne}
お尻の穴を舐めるなど、人間にできないことを猫がしているのに対して発せられる敬意の表現。反対の意味も含まれているという学説もあるが、深読みせずに誉め言葉として聞き流そう。
人間の言葉は、我々の言葉と比較して非常に数が多いのが特徴です。膨大な数の単語を駆使して、人間がペチャクチャ喋る姿を初めて目にした時は誰もが驚いたでしょう。一体、彼らは何をそこまで細かく語っているのか?どうしてそこまで細かく語るのか?聞きなれた今でも、ふと不思議に思われたことはありませんか。
人間の場合、自分以外の者に理解を求める気持ちが非常に強く、時としてこの欲求は言葉も文化も違う我々猫をはじめとする異種生物にも向けられます。人間のこうした気質はなかなか複雑であり、個体によって単なるワガママから理解を求めたり、芸術的特異性の表現における理解を求めたり、実に様々なケースがあります。この気質が極端に強まると、「思いっきり生電話」でみのもんたに嫁の悪口を言ったり、売れもしない私小説などの執筆にのめり込むなど異常行動に走る場合もあります。そこまでして、何をどうしたいのか人間もたいていの場合は分かっていません。「あんたと違って人間は忙しいのよ」などと我々に向って言うクセに、実際は得るところの少ない行為に没頭するヒマ人が多いわけです。
我々の場合は、わざわざ言葉を口にしてまで周囲に理解を求める欲求も低ければ、その必要性に迫られる状況も稀です。人間が自分のどうしてもという欲求だけでなく、取るに足らない感情や難解な思想まで理解を周囲に求めがちなのに対して、猫は以下の項目さえ理解されていれば、普段の生活は充分と言えるでしょう:
○暑い・寒い
○遊びたい(遊んで)
○眠い(そっとしておいて)
○ひもじい(缶詰開けて)
○外に出たい(ドア開けて)
○あんた嫌い(近寄らないで)
○やめて
○ここは私の縄張
これらの項目さえ伝達できれば、いちいち言葉を発することなく我々は自分以外の猫と上手く接することが大抵できます。これ以上の理解を他猫に要求することもなければ、必要もありません。しかし、こうした我々のシンプルかつ機能的な文化と異なり、人間は自分について必要以上に語ることで、相手により深い理解を求めがちです。「そこまでして何になる」と疑問を抱かれる方も多いと思いますが、彼らはそういう生き物であるという点だけここでは覚えておいてください。
さて、この言葉による理解を人間が我々猫に一方的に求めてくる場もあります。人間と同居している方なら、「○○ちゃん、ちょっと聞いてよ〜」などという調子で、人間語でわけの分からない泣き言や愚痴を聞かされた経験がおありでしょう。また、「今日は疲れてるんだから、ワガママ言わないで!」などと、一方的な人間の都合を押しつけられた体験者も多いはずです。人間は言葉で自分の事情を伝えれば、相手が我々猫でも受け入れてくれるものと思い込んでいる傾向があるのです。これは迷惑という以外に形容できません。
人間が機嫌悪かったり、疲れていたりすれば我々は言われるまでもなく察知してちょっかいを出しません。それで全ては済むはずですが、「自分はこうである」と面倒にも言葉を駆使して伝えなければちゃんと理解してもらえないと人間は懸念し、同時に言葉で語ればどんな相手とも理解し合えると彼らはある種の幻想を抱いています。バカバカしい話ではありますが、人間の数は我々よりもはるかに多く、彼らは彼らの世界をまとめるためにこうした行為を仕方なく続けている事情もあるのです。このことは、念頭に入れておいてあげましょう。
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