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ヤスさん(仮名・♂・13歳)は2年前までマタタビ売買の組織に所属していたとのことですが… |

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1歳の時に、ダチに誘われましてな。捨てられてたもんで、たまらなくひもじい生活してたからねぇ…。でも、初めのうちは連絡係しかやらせてもらえんで、実際にブツ(マタタビ)を初めて拝んだんは3歳の時でしたわ |

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では、マタタビを売るようになったのは3歳からということですね? |

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兄貴分だったキジトラが引退しよってね。それからは、主に歌舞伎町界隈でさばいてましたわ |

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誰にでも売っていたんですか? |

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そうねぇ…払うもん払ってくれれば断る道理はないからねぇ。でも一度、若いミケの母猫が、育児ストレスでリラックスするために欲しいってきましてん。でも、小さい仔のいる母猫がマタタビやると母乳から仔猫の身体に流れ込んでくからね。乳離れしてない仔猫のうちから中毒になってしまうワケよ。だから、そん時ばかりは断りましたわ。お陰で元締には大目玉と猫パンチ数発くらって散々でしたわ |

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では、マタタビ中毒の危険性は認識してらっしゃるわけですね? |

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手ぇ出して若死にした連中もようけ見てきましたからなぁ |

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それでも、なお売り続けていらした? |

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あんたさんみたいな恵まれた猫には分からん思うけどね…野良で苦しい生活強いられとるモンは、一時でも現実から離れたくなるわけよ。ワシのお得意さんに16歳になる爺猫さんがおってな。7歳で同居人間に捨てられて以来ずっと野良やってんだけど、人間とおった頃にもらってたマタタビだけはやめられんで、物乞いして得た銭を全てマタタビに注ぎ込むんよ。人間に可愛がられてた頃の夢が見れるって…そうまでなっとったら、売らん方が酷というもんでしょ? |

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しかし、中毒ではない若猫にもマタタビが氾濫しつつあることが、現代の大きな猫社会問題としてクローズアップされていますよね? |

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ああ、確かにね。でも、ワシは野良の若い奴にはほとんど売っとらんかったよ。あいつら銭もないし、中毒になってしもうたら身体がボロボロになって野良では生きていけんから。ワシんとこに買いに来てた若いのは、みんな人間と同居してる連中さね |

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人間と同居している、一般家庭の猫がマタタビを闇ルートで買っているんですか? |

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同居人間に一度もらってから、味が忘れられんてな。でも、人間の間でもマタタビは高く売られとるから、そうなかなかは買ってもらえんわけよ。そんで、シビレ切らしてワシんとこに来よるんですわ…人間と暮らしてる猫が、いきなり家ん中を端から端まで猛ダッシュしたり、気が狂ったように爪砥ぎだしたりすることあるやんけ?アレ、実はフラッシュバックなんよ。当の同居人間は自分ちの猫がジャンキーになってるなんて夢にも思っとらんけど |

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衝撃ですね。ウチにも頻繁にそうした症状が出る、白眼がちなトラ猫が約1名います。ところで、闇のマタタビ販売ルートに人間も関わっているという噂…あれは本当なんですか? |

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この取材記事、人間も読むんでしょ?そこらへんの話はちょっと、勘弁してくださいよ |

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では、質問を変えます。クロさんはどうして組織を抜けられたのですか? |

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調達係にまわされることになってね。ワシも、もうそんなに若くないから断ったんですわ… |

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調達係とは? |

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ワシらが売るマタタビは“とあるルート”から入手するんだけど、注文が間に合わん時もあってな。そういう時は、調達係が近くのフードショップ行ってチョンボせにゃならん。いわゆる泥棒なわけで、体力ないと命取りになる一等危険な仕事なんよ |

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“とあるルート”とは具体的に…? |

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だから、そこんとこは勘弁してって!まぁ、マタタビで儲けとるワシらのような悪い猫だけでなく、悪い人間も一部おるということよ。これ以上は、言えませんな! |

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有難うございました。これからは模範市猫の私を見習って、まっとうな猫生を送ってください |