空飛ぶハナ○○と踊る虫。







それは年の瀬も迫ってきたある日の出来事でした…。 その日、アザラシーズとオコサマ達はアカの部屋でまったりとした朝を楽しんでいました。  ころころと転げ回る兄弟を「かわいいなぁ」と、でれでれしながら意味のない会話を楽しんでいたその時。 その惨劇は起こったのです。 

ハヤテさんの追跡を振り切って机の上に一時避難したゲンマさん。 ふと顔をしかめたと思ったら、次の瞬間盛大なくしゃみをはじめたのです。



「クシュン!クシュン!クシュン!………」

 

おお、猫でもくしゃみするときは手(前足?)で鼻をカバーするんだなぁ、とちょっとずれたことを思いながら見守るアザラシーズ。しかしゲンマさんのくしゃみはなかなか収まりません。 そしてその回数が20回も数えた頃でしょうか、ひときわ大きなくしゃみが…。



「ハックシューーーーン!!」



ヒュ↑〜〜〜〜〜↓ペトリ。

………?。

………???。

………ハナ○○だ……。



そうです。 ハナ○○です。 それも小指の先大もある、人間のモノとしても大きすぎるくらいの上物です。 床に弧を描きながら落ちた、ハナ○○を凝視するハヤテ兄とアザラシーズ。 生産者のゲンマさんだけが妙にすっきりした顔をして、顔を洗っています。

その日を境にゲンマさんは家中所かまわずハナ○○をとばすようになりました。 時には壁に、床に、ハヤテさんの毛皮に(…)。 鼻紙は必需品です。

この日以来、ハナ○○だけでなくすっかり鼻垂れになってしまったゲンマさんは、ティッシュを手離す事ができなくなってしまいました。  ティッシュを鼻に当ててやると、いい塩梅とばかりにうっとりとする姿はかわいいのですが…。





それにしてもたかがハナ○○、されどハナ○○。  さすがにこの頻度と大きさはまずいんじゃあ、と思ったアザラシーズ、病院に連れていこうということに。

しかし頃は師走。しかもテスト期間。 普段暇なアザラシーズもさすがに忙しく、なかなか病院に行く時間を作れません。 どうしようかと思っていた矢先、第二の惨劇は起こりました。





「のわーっ?!!」滅多なことでは動揺しないアカが猫トイレの掃除中、奇声を発したのです。  何ごとかとバスルームをのぞいたアオの目の前に、無言でスコップにのったウ○コを差し出すアカ。 眉をひそめながらも目を凝らすアオ。



「…………、だね…………」

「…………うん…………」



……!! な、な、な、なんで!? シェルターで「デワーム(虫排除)」したっていってなかったっけ!? なんか変なもの食べさせた?! と思いっきり動揺するアザラシーズ。 

ちなみに今回も生産者はゲンマさんです。  アカが掃除中のトイレに乱入して大きいのをし、砂もかけずに飛び出したばかりなので、虫、ウ○コ共にとてもフレッシュです。

これはもう、一刻の猶予もなりません。速攻で病院に予約の電話をしました。





次の日、朝一で病院へ。 もちろん一蓮托生なので兄弟揃って診察です。 干からびないように水に入れて保存(…)した虫を渡して、もちろん鼻の診断もしてもらいました。

どうやら簡単にいうと、鼻の方はもともともっていた鼻炎が悪化してしまったらしく、抗生物質をしばらく飲まなくてはいけないそう。

虫のほうは心配することもなく、特にFeral Catsにはよくあることで、お母さんのお腹の中から持ってきてしまうことが多いそうです。 その場合、デワームしてもまた虫がわくことがあるらしく、定期的な検査が必要とのこと。 とりあえずこちらもお薬をもらって、今回はおしまいです。 ちなみに今回はゲンマさんだけが「鼻炎」&「虫持ち」でしたが、ハヤテにうつるのは時間の問題、だそうなのでお薬はどちらも二匹分です。





ホッと一安心して家に帰り着いた一行。特にアザラシーズは、今思えばハナ○○と虫の原因がわかったことで気が抜けていたのでしょう。  その後待ち受けていることの方が、病院なんかよりもずーーーーーーーっと難関だということにこれっぽっちも気付かなかったのですから。



そう、薬をもらった以上、それを飲ませなくてはならないのです。



デワームは錠剤で一月に一粒を二ヶ月続けて服用、と…まあまだ不可能でもないのですが。 問題は鼻炎のための抗生物質です。これは濃い牛乳のような液体でこれをなんと朝晩二回与えなければいけません。

服用の説明をしてくれた、動物病院のおねーさんのにっこり笑顔が瞼に浮かびます。



「この注射器の一番上のラインまで薬を引き上げて、猫ちゃんのお口を開けてピュッといれれば、おしまいv 簡単よv」



……無理です。


いえ正確に言えば全く無理ではありません。

ゲンマさんは嫌なことをされるとき(例:爪を切られるとき、ドライシャンプーをされるとき、etc…)、目がうつろで体が弛緩状態、つまり死んだフリをするので(アザラシーズはこれを 「秘技・無我の境地」と呼んでいます。)素早くやってしまえば多分難しいことではありません。

問題は兄ハヤテです。

彼はどんなときも隙をみせません。 しかも注射器などという異質な物を一度でも目にしようものなら、どんなに身体を押さえていても、その自慢の後ろ足キックを披露して逃走すること うけあいです。
想像するだに痛そうな光景。…と、とりあえずゲンマのデワーム用の錠剤を飲ませてから考えましょう。
案の定、だっこして口を開けさせた瞬間「秘技」を発動させるゲンマさん。ぐったりして、目を決してあわせようとはしません。 よしよし、これなら…と錠剤をのどの奥に放り込み、口を閉じて更にのどを数十秒マッサージ。
「ごっくん。」
おお!飲み込んだようです。「いい子だね〜ゲンマ〜v」と床に置き、頭をなでて苦労をねぎらうアザラシーズ。ん?ちょっと様子がおかしい… 嫌なことが終わったのに、何故にまだ目をあわせようとしないのか…
するとゲンマさん、とことこと足取りも軽く部屋の隅へ。そして。




「ぺっ。」



………「ぺっ。」………?
だ…出した?!この人出しちゃったよ!何?!それじゃ、あの「ごっくん。」は演技だったわけ?!!
呆然とするアザラシーズを尻目に、悠々と毛づくろいを始めるゲンマさん…



ハッ!!(Σ ̄□ ̄)こ…このままではいけません。何としてもお薬は飲んでもらわねば!
そうだ!鼻炎の薬!あれなら液状ですから、もう「ごっくん。」の演技は通用しないに違いありません。
気を取り直して、ゲンマを捕まえ、別の薬で再挑戦するアザラシーズ。よし、口に入れたぞ。後はマッサージして 「ごっくん。」させれば…



「ぶはっ!」



勢いよく吐き出された薬はアカの顔を直撃。まるでドリフのような展開に、髪も顔も真っ白なアカはその場で固まり、アオは未だに「秘技」発動中の ゲンマさんを抱えたまま、笑い転げる始末。




完敗です。



苦々しい想いと味を胸に(薬は実際とっても苦かったです)直接服用させるのを完全にあきらめたアザラシーズでした。





結局、薬はご飯に混ぜて服用させることで落ち着きました。 ただしゲンマさんはともかく、ハヤテさんは微妙な味の違いが気にくわないようで、うんと空腹でないと食べてくれなかったりします。 美食家ですね…。





二週間後。 

さすがにハナ○○を飛ばすことはなくなりました。 くしゃみも滅多にしなくなり、兄弟も心なしかすっきりしているようです。 ただ鼻炎がひどかったゲンマさんの鼻水だけが多少残ってしまいました。

そのせいかしばらくの間、ゲンマさんは我が家では「ゲンマ・デワーム・ハナタレ」とどこかのインチキフランス人のような名前で呼ばれていたりしましたが…。














今回の教訓 「体を張って笑いをとる。 お笑いの基本です。」







kkkkkkkkkk