楽譜通りに演奏された音楽はおもしろくありません。おもしろさのひとつに、テンポの「ゆれ」があります。ジャズではスイングと呼ばれ、周期的な「ゆれ」になるのですが、その周期性がジャズの楽しさであり、単純さでもあるのです。
クラシック音楽のリズムの「ゆれ」には法則がありません。揺れは文脈 (context) によって決まります。というわけで、クラシック音楽を聴くときには、いくらのってきたからと言って、足をゆすったりして、リズムをとってはいけません。演奏家が演出した微妙な「ゆれ」を聞き逃すことがあるからです。メロディーを口ずさむのも、同じ理由でいけません。
クラシック音楽の場合、なぜ、同じ曲のCDが何十種類とあるのか?という理由のひとつが、その「ゆれ」にあります。演奏家によっていろいろな「ゆれ」があり、それが楽しみのひとつです。なかには、まったく「ゆれ」の意味がわかっていない演奏家もいます。困ったことです。
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