調性のこと

 現在、テレビで流されている音楽の99.99%は調性のある音楽です。調性のある音楽、調性音楽は1600年ころから、1900年ころまで作られました。ポピュラー音楽の場合は、一貫して調性音楽です。ほとんど例外はありません。
 クラシック音楽でも、よく聴かれてる曲は調性音楽で、1600〜1900年の300年のあいだに作られたものです。20世紀の作曲家でも、ストラヴィンスキーやプロコフィエフはよく聴かれていて、調性感も濃厚にあります。
 20世紀の後半、クラシック音楽は暗黒時代に入ります。ふたつの大戦のあと、多くの作曲家が戦争の悲惨さを音楽にしました。それは聴いていて、つらくなるような音楽でした。そのため、現代音楽(20世紀後半のクラシック音楽はこう呼ばれます)はクラシック愛好家から見放されました。聴衆を失った現代音楽は、仲間内の「内輪うけ」をねらって、ますます難解になり、ますます聴衆から見放される、という悪循環を繰り返しました。
 それでは、これからの、21世紀のクラシック音楽はどうなるのか?その回答を、ぼくは作品という形で提示したいと思います。
 ※ 19世紀の終わりから20世紀前半の音楽を脱調性時代、20世紀後半を雑音時代と命名したいと思います。雑音時代の作曲家はさまざまな作曲技法の探求をしました。たとえば、何も書かれていない五線紙に、遠くからインクを投げつけて、できたシミを演奏する。ピアノの内部に消しゴムや針金を押し込んで演奏する。街中の音を録音して、そのテープを逆回しにしたり、低速・高速再生したりして音楽を作る。果ては、音が何もない曲さえ作られました。こんなにさまざまなことをやりながら、ひとつだけ彼らが避けた音がありました。それは協和音、単純で美しいドミソの和音、これを誰もが避けて作曲していました。

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