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目が覚めたら、そこは自分の部屋だった。
まだ眠い頭を無理やり起こして机の上の時計を手に取る。
時間は……げっ!もう昼の一時じゃないか。
慌てて起きて、寝癖で乱れたままの髪もそのままにボクは居間に向かった。
今日は平日だから、学生連中は皆学校に行っているはずだ。愛は仕事だろうし、真雪も多分部屋にこもりっきりだろうから、いるとしても耕介ぐらいだろう。
「や、おはよう。リスティ」
案の定、いるのは耕介だけだった。寮の仕事が一段楽したのか、のんびりとテレビを見てくつろいでいる。
「ああ、おはよ。ってそうじゃなくて。なんで起こしてくれなかったの!」
「疲れてたんだろ?今日の明け方に寮に帰ってきたはいいけど、いくら呼んでも起きないからそのまま部屋まで運んだ」
見ると、たしかに昨日の服のままだ。
「ありがと。ってだから、昨日のことで今日も仕事なんだってば。いくらなんでも死体解剖は終わってるだろうから、結果はどうなったか気になるけど。多分喜多さんがあの二人を見張るように指示してくれてるはずで……。ってああ!今から出たんじゃあっち着くのまた夜になる!」
やらないといけないことが次々と頭に浮かんできて混乱してるボクに、耕介はそっとお茶を差し出した。
それを受け取って一気に煽る。
「ふう……」
「落ち着いた?」
「Thanks!」
「それじゃ、お風呂でも入っておいで。その間にお昼ご飯作っておいて上げるから」
「え、でも……」
「喜多さんからも、事件の起きた時間が時間だし、解剖にはすこし時間がかかるだろうから、ゆっくり休ませて上げて下さいって言われてるからね。結果が出たら連絡もくれるそうだから」
「……そうなの?」
「ああ。だからゆっくり疲れを癒しておいで」
「……わかった」
そう言われては返す言葉もなく、ボクは大人しく二人の好意に甘えることにした。リビングを出る際に、チラッと耕介の方を見ると、エプロンをしてキッチンに向かうところだった。その彼を、ボクは小声で呼び止めた。
「耕介」
「ん?」
「ありがと」
こういうところを真雪なんかに見られたら末代まで笑われるだろうと思いながら、ボクは耕介にお礼を言った。いつもは賑やかな寮内だからこそ、こういう二人きりの場面はなかなかない。だからと思って、普段世話になっている分も含めて言ったつもりだけど、彼は気付いているんだろうか。
そんなことを思いながら、その頃には、どうやってあの二人を追い詰めるのか考えられるくらいには、ボクは落ち着きを取り戻していた。