…

 

 おばあさんは包丁を砥ぎ終わると、早速桃を切ろうと思って包丁を構えます。

 

      …

 

「そのままザックリいって、桃太郎は死んじゃいました、なんてオチは言わなくていいからな」

 と、すぐさま突っ込みをいれたのはやはりいずみだった。

「ちっ!」

 舌打ちする。

「『ちっ』って相川お前……」

 大輔が冷や汗を流して呟く。

 真一郎は先を続けることにした。

 

      …

 

おばあさん(小鳥)「わたしでは難しいですから、おじいさん切ってくれませんか?」

おじいさん(大輔)「そうだね、けれど何か変なものでも出てきたらどうするかね」

 おばあさんは反論します。

おばあさん(小鳥)「何言ってんのよ、もしかしたら甘くて美味しい桃かもしれないじゃない」

おじいさん(大輔)「食べるんですか、おばあさん?お腹でもこわしたら……」

おばあさん(小鳥)「つべこべ言わずにさっさと切る!」

 年上女房であるおばあさんの尻に敷かれていたおじいさんは、仕方なく桃を切ってみました。

──(そこ、文句言わずに聞く!)

 すると、なんと桃の中には、小さな男の子が入っていたではありませんか!

 おばあさんは、もし自分が切るなら真ん中からざっくりやろうと思っていのたで、やはりおじいさんに任せてよかったと思いました。

──(やっぱりか……)と小声でつぶやいたのはいずみである。真一郎は無視した。

 二人は驚きましたが、一人息子も家を出ていってしまっていたので、喜んで育てることにしました。

──(ねこばばですか?)

──(根性座ってるよね、二人とも。だって赤ちゃんだよ?)

──(新鮮な生ものですよね?)

──(唯子、さくらも変な突っ込み入れない!)

──(さっきまで相川が脱線してたんじゃないか)と、いずみ。無視して続ける。

おばあさん(小鳥)「名前は何にする?」

おじいさん(大輔)「やっぱり桃から生まれたから、桃太郎でしょう」

 おじいさんが言います。が、おばあさんは乗り気ではありません。

おばあさん(小鳥)「安易だわね」

おじいさん(大輔)「いいじゃないですか、こんなに可愛いし」

おばあさん(小鳥)「ひょっとこハム太郎とかどうですか?」

おじいさん(大輔)「ひょ……なんですって?」

おばあさん(小鳥)「ハム太郎」

おじいさん(大輔)「は、はむ?」

 おじいさんは困りました。そんな言葉、聞いたこともございません。

 

      …

 

「当たり前だよー」

 そう言って怒ったのは当のおばあさん役の小鳥だった。

「それじゃあ、この物語は『桃太郎』でなく、『ひょっとこハム太郎』になるじゃない」

「いいじゃないか」

「よくない」

「あははは、かっわいいー」

「唯子は黙ってて」

「はい……」

「真くん。真面目にやってくれないと脚本他の人にやってもらうよ」

「うっ。それは……」

「ほら相川君も、あまり野々村さんを困らせちゃ駄目ですよ」

 そう言って小鳥に助け舟を出した瞳の一言で、真一郎は脱線するのをやめた。

 話は続く。



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