…

 

おじいさん(大輔)「やっぱり桃太郎にしましょう」

おばあさん(小鳥)「それもそうね」

 こうして桃太郎は、二人の愛情を受けてすくすくと育ちました。

 それから数年。

 桃太郎はすっかり大きくなり、近所でも評判の働き者になりました。

 そしてそのあまりの可愛さと優しさに、老若男女問わず、お友達になりたいとか、ぜひウチの息子になってほしいとか、兄弟になってほしいとか、お兄ちゃんって呼んでもいい?って聞かれたりとか。

 そういう申し出をされるようにまでなりました。

 とにかく人望があったんですね。

 

      …

 

(なんだ?今の『お兄ちゃん』ってのは)

(ほら、みなちゃんところの管理人さん。耕介さんって言うんだけど、その人、私たちと同い年の子から『お兄ちゃん』って呼ばれてるらしいの)

(うーん。でも耕介さんは基本的には大人だからねー)

(でもなんかぁ、一度私や小鳥に頼んできたことあったよねー)

(それ、本当ですか?)

(ホントホント!あ、でもさくらちゃんならぴったりじゃない?)

(さすがにそれは)

(俺も男だからわからなくも無いが……)

(大輔さん!)

(でも、相川君も普通の男の子だったのね)

(瞳サン、普段どういう目でシンイチロのこと見てるデスカ?)

(頼りになる弟、兼、かわいい妹……かな?)

(ま、どっちにしろ危ない趣味だよな。相川なら、お兄ちゃんじゃなくてお姉ちゃんだろうにな?)

「わははははははははははははっ!」

 爆笑。

 その笑い声にこめかみをひくつかせながら、だが真一郎は至って冷静に口を開いた。

「あのさ、聞こえてるんだけど……」

「あ」

 皆が硬直する。

「続けていい?」

 頷く八名の顔を順番に睨みつけながら、真一郎は話を再会させた。

 

      …

 

 田を耕し、森で木の実を取るという、ほとんど自給自足の生活でも、桃太郎は幸せでした。

 そんなある日、隣村では大変なことが起こっていました。一人の男が海から流れ着いたそうですが、その様子は尋常なものではありません。男の話のよると、旅の途中何の気なしに寄ってみた島に、何と鬼が住んでいたとか。

 そこで男は危うく殺されそうになり、命からがら島から逃げ出してきたというのです。

 その話を聞いた桃太郎は、何故か心が騒ぎました。

 そして訳もなく「俺がなんとかしなくちゃ」という思いに駆られて、引きとめるおじいさんとおばあさんに無理に振りきり、鬼退治の旅に出ることにしました。

 

      …

 

「ちょっとその理由、弱くないか?」

 と、横から口槍を挟んだのは、やはりと言っていいのかどうか。いずみだった。

「い、いやだな。そんなに睨むなよ。たださ、この桃太郎が鬼退治に出る理由がどうも弱い気がしてさ。ほら、宿命とかそんなのよりも、なにか悪さを聞いたからって言う方が、自然じゃないか?」

「そうね。桃太郎がどうして鬼退治に出るのか、その辺ははっきりした方がいいんじゃないですか?」

「御剣と瞳さんはそう思うんですね?それじゃあ、こんなのどうです?」

 

      …

 

 その鬼の話を聞いた桃太郎は憤慨しました。

桃太郎(真一郎)「なんてひどいことを!許せん!」

おじいさん(大輔)「桃太郎!お前はこの近隣の村では負け知らずの強い男だ。どうだろう。やつらを許せないというのなら、ひとつ、村のためにも鬼退治に行ってはくれまいか」

桃太郎(真一郎)「おじいさん……」

おばあさん(小鳥)「おじいさん、なんてことを!」

 おばあさんは反対します。しかし、おじいさんは意思を曲げず、桃太郎に頭を深々と下げました。

おじいさん(大輔)「頼む」

桃太郎(真一郎)「……わかりました」

おばあさん(小鳥)「桃太郎!」

桃太郎(真一郎)「おばあさん。僕は桃から生まれました。何故かはわかりません。しかし、もしこの時のために生まれたのなら、僕は行かねばなりません。行って、ボクが成すべきことを果たさなければなりません」

おばあさん(小鳥)「そんな!お前が行ってしまったら、うちの炊事・洗濯・家事・掃除は誰がやるというの?」

桃太郎(真一郎)「おばあさん……」

おじいさん(大輔)「い、いや。おばあさんもおばあさんだが、桃太郎、今のは深刻になる場面じゃないだろう?」

桃太郎(真一郎)「いえ。これらは僕が物心付いた四歳の頃から、おばあさんに任されていた仕事。ならこれも僕がやるべきことのひとつです」

──(相川って、もしかして祖母にいやな思い出でもあるのか?)

──(さっきから聞いてると、おばあさん、完全に敵ですよね)

桃太郎(真一郎)「ですがおばあさん。それを放って旅に出ることを許してください。必ず帰ってきますから。それまでは、なんとかおじいさんを殺してしまわないように自重してくださいね」

おばあさん(小鳥)「……わかったよ。我慢する」

──(だからその設定はやばいだろ、って誰も突っ込まないのか?)という大輔の発言はあっさりと却下。

 そうして次の日。

 おばあさんは「何かの役にたつから」といって、きび団子を持たせてくれました。

 旅立ち。

 わなわなと震えながら桃太郎を見送るおばあさんの手には一本の包丁。

 自分が帰ってくるまでおじいさんが生きているかどうか不安になります。

 果たして、おじいさんの命を桃太郎は救えるのか!

 しかし、このあととんでもない事態に!

 

 後半に続く♪

 

      …

 

「え、続く?」

 皆の声がはもる。驚く皆をよそに、真一郎は言った。

「続きまーす」

 

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