生き残ったものたちの放浪記







 その13 撮影と……








 俺は結構油断していたと思う……
 撮影中に襲われるとは思わなかった
 いや、正確には気づかなかったのだ……怪我をするシーンなどは血のりを使う
 でも実際に斬られるシーンなどは本当に斬るように見せるためにギリギリまでひきつけて倒れる
 そんなシーンを繰り返すのだけど……
 どうもナイフが光って見えた
 俺はそれを瞬時に交わすけど、すっと髪の毛が切れたのだ
 急いでナイフを弾くと相手を押さえてしまう

「カット!! どうしたんだい? 恭也くん」

 監督さんから声が掛かる……どちらにしろ、今自分が弾かなければエレンさんが刺されていただろう
 と、俺はすっとナイフを持ち上げる……もちろんハンカチで柄を持って

「恭也くん?」
「あ、すみません……これ、本物なので変えてもらえませんか?」
「何!?」
「なんだって!?」

 あちこちで声が上がる
 その俺はその時に周囲に気を配る……誰かが見ているはずだ
 そう、誰かが……エレンさんを狙った奴が居ても可笑しくないと思うのに
 居ないか……父さんたちに連絡をする必要があるな
 ん!? 理恵さんが……いない

「監督、ちょっと出てきます、すぐに帰ってきますから」
「ああ……しばらく、この騒ぎが終わるまでに時間がかかるから」
「すみません」

 俺は謝ると道具搬入口へと向かう
 表には警備のものが居て、早々出れるというわけじゃない
 荷物を持って出るなら、道具の搬入口を使う
 なら、大きなダンボールなどもそこから出すのだ
 居た!! 怪しげな3人
 多いというのか? 少ないと考えていいのか……

「その3人を押さえて!!」
「っち!!」

 舌打ちが大きく聞こえる
 搬入口に居る係員が急いで一人を押さえる
 俺はその間に最近綺麗に投げれるようになっていた飛針を投げる
 そして、相手の手を射抜くと、すぐ様小刀を取り出して、相手を押さえる
 もう1人は逃げていた……
 相手を鋼糸で拘束すると、ダンボールを開けた
 そこには理恵さんが気絶させられた状態で居た

「はぁ〜」
「すまん、重たい荷物だからって近寄って調べようとしたのだけど……まさか誘拐とは」
「すみません、遅れてしまって」
「いや、ベストタイミングというところだろう」

 搬入口のお兄さんと会話していると警備の方たちが来て、取り押さえてる者を連れて行ってくれた
 後で感謝状と謝礼金が出されるらしい
 なんとも嬉しいことだ……

「すみません、監督お待たせして」
「いや、かまわんよ……他の道具を調べていたら丁度良かったから」
「そうですか……」
「ところで、佐伯のお嬢様は?」
「一応、そこに寝かせました……何かあれば俺か警備が数人係で着くようにしましたから」
「もしかして、この騒ぎが陽動ってことかい?」
「ええ……悪質でした」

 監督さんは俺を見て驚いた表情から一変して映画監督の顔となった

「とりあえずは撮影を中止したいってのが本音だが、先に進めもしたい
 それにこの緊迫感のある状態というのも良いと思っている
 だから、みんなに聞くが、続けて撮るか?」

 監督の言葉に俺は手をあげていた……緊迫感を出すなら今が一番出るだろう
 エレンさんも今はかなり驚きながらも続けることに同意している
 俺はそれを少しだけ見て驚いた
 怪我させられかけたのに……

「大丈夫だよ……それに、私も守ってくれたからね」

 そう言って笑顔で言うと半数以上が手をあげる結果となった
 そして、撮影を再開……ナイフなどの道具もちゃんと切れないものとなり撮影は続く
 ちなみに、俺はおなかを刺されながらも何とか彼女を守って病院のシーンへと行くのだが
 エレンさんは他にも色々とある……
 一応エレンさんが主役だからなぁ……あまり撮ってるところ見てないけど
 俺自身は気になる所だ……
 閉じ込められたりというシーンで同衾という形をとるのだそうだ……
 はぁ、ちょっと恥ずかしいなぁ……実際には手錠をはめられて色気すらない状態なのだろうが
 それでも、一応その脱ぐらしい

「ふぅ、これで3割だな……恭也くん、何か気づいたことはないかい?」
「あ、いえ……これといっては無いと思います」
「そうか……しかし、今日は大変だったなぁ」
「ええ……そういえば、みなさんって普段何されてるんですか?」
「ん〜それぞれ家族もありだからなぁ……映画の時だけ集まって、泊りながらでもするんだよ」

 監督さんがそう言ってみんなの顔を見る
 真剣そのものの顔は凄くいい笑顔の人も汗を流している人もいる
 しかし、今日の事件は……危なかったなぁ
 さすがに佐伯さんが居ないから平気だろうと思ったけど
 気を抜けそうに無いな……それに俺も目が付けられただろう
 1人逃がしてしまったし

「そうそう、後で警察に行くぞ」
「え!? 何で?」
「ああ、所長からお礼の言葉を貰いにだよ
 君と一緒に居たお兄さんも一緒だよ」
「そうですか……エレンさんたちには、お願いします」
「ああ」

 監督さんは頷いて応える
 次は何があるか分からないし、誘拐未遂でも立派な犯罪だからだろう
 しかし、警察署長がいいのかなぁ
 こう言う事で時間を割いても……

「こちらも色々あるから、搬入口のお兄さんと一緒に行ってくれるかな?」
「はい、いいですよ……エレンさんたちも、行ってきます」
「行ってらっしゃい、ちゃんと帰ってくるのよ」
「はい」

 エレンさんに言われて俺はそう応える
 理恵さんはお姫様抱っこで部屋へと戻しておいた
 一応俺の部屋に居てもらっている……部屋が決まってなかったらしい



 警察署では普通に言葉を貰って、警備会社からも色々と言われた
 ほとんどが感謝の言葉だったけど……
 後は取り押さえるポイントらきものを聞かれてしまって
 適当に答えておいた
 さすがに無手ではなかったとはいえ、やはり上手くはいえないものだしな

「そういえば、ショーさん」

 搬入口のお兄さんの名前はショーさんだ……ショー・ハンクソンというフルネームなんだそうだ
 一応ショーさんと呼んでいる

「ん?」
「合気道ですか? 今日見せてもらったの」
「ああ……一応子供の頃やっててね、俺も映画俳優になりたかったんだけど
 今はそれを支えるほうに燃えてるんだ」
「そうですか……凄く綺麗でしたよ」
「ん、ありがとう……恭也くんも凄かったよ」
「どもです……でも、1人逃がしてもこんなにお礼もらえるとは思いませんでした」
「あははは……君はボディガードというわけじゃないからね……」
「そうでしたね……気づいてすぐに体が動いてましたから」
「ま、それがいいことだよ……さてと、かえって御飯御飯」
「楽しみですね」
「ああ」

 車に乗り込んで発進して俺とショーさんは戻るのだった
 ショーさんの話を聞きながら俺はあ〜いいなぁ、俺みたいな時にあまり苦労が無くて
 などと本気で考えるのだった




「お帰り〜」
「お帰り、恭くん」
「ショーくんもお帰り〜」
「お帰り〜ショーさん」

 2人の女性に出迎えられる
 ショーさんが真っ赤になってしまった……

「ただいまです……ショーさんどうしたんですか?」
「いや、エレンさんに挨拶されるってのはどうもなれてなくて……ただいまです」

 照れてるだけだったみたいだ
 まぁ、確かに恥ずかしいのは分かるかな……
 俺もまだ恥ずかしい時があるし
 理恵さんも目が覚めたみたいだね

「理恵さん、大丈夫ですか?」
「うん、一応検査してもらっても薬物反応は検出されなかったみたいだから
 多分クロロホルムで寝かされただけだって」
「なるほど……すみません、気づきませんで」
「いいよ、結果的には守ってもらってるし……ショーさんもありがとうございます」
「いやいや、役に立てて嬉しいよ」

 しかし、今回は何とかなったけど、もう無いことを祈るかな

「さ、御飯だよ〜御飯」
「そうだよ、御飯……ショーさんも早く」
「あ、はいはい」
「分かりました」

 そして、戻ってお夕飯を食べるのだった




 御飯を食べてるときに監督さんが残りは俺のシーンが大分無いとのことを教えてくれた
 まぁ、隠れてるシーンメインで写らないからな
 それでも、他に色々とあるのだから、大変なものだ(それでもエレンさんより遥かに少ない)
 一応半分は俺が出るらしいので後2割って所だろう……多分
 エレンさんは元気に笑顔を振り撒いてるけど、少し引っかかるんだよな
 気を付けとこう……理恵さんも少し塞ぎこんでるし
 あ〜やっぱ今日のがだろうけど……後で声かけよ
 理恵さんの部屋って結局どうなったのだろう
 エレンさんの部屋だったら早いのだけどなぁ
 ……そして、夕飯も終えて、俺とエレンさんと理恵さんは部屋へと戻るのだった









 つづく








 あとがき
 だ〜寒い
 シオン「暖房つけたらいいのに」
 電気代かかってるんだよ
 ゆうひ「いくらだよ?」
 聞くな……自分でもショック受けてるんだから
 シオン「でも、どうなの? これ映画終わるの?」
 一応ね
 ゆうひ「でも、大変だね〜恭也」
 ま、2人を守りながら平衡して映画俳優だからね〜
 シオン「た、大変そう」
 ま、夜は寝れるから大丈夫じゃない?
 ゆうひ「微妙でしょうに」
 そうだといいんだけど……
 シオン「でわ、またです〜」
 ゆうひ「ほなね〜」
 星が飛び始めた、またです〜(^^)ノシ

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