生き残ったものたちの放浪記








その15 遅いお昼








 俺とエレンさんと理恵さんと父さんとでご飯を食べる
 父さんは最初毒見をするかどうか考えていたけど、みんな同じ物と言う事でしなかった
 それに、俺に先食べさせてやってくれないかとか言って
 エレンさんと理恵さんの手から口に入れてもらっていた

「多分今日一日は体ががくがくだろうから、あまり動くなよ
 鍛錬もしなくていいからな」
「え? 珍しいね、父さんがそんなこと言うなんて」
「まぁな……お前、今日の撮影中、爆破の時にモノクロの世界に突入しただろう?」
「うん……」

 俺は父さんの言葉に頷く
 理恵さんとエレンさんは俺と父さんの話を聞いて、どういうことだろうと考えてる

「あれが、奥義之歩法と呼ばれるものだ
 俺だって驚いてるんだぞ、こんちくしょ〜、俺より若い時に気づきやがった」
「でも、極度の疲労があるんだけど」
「それが歩法である由縁だ……
 名は神速……俺でも一日に5回から6回くらいしか使えない
 御神に名だたるものが使えるものだ」
「へ〜」

 俺は驚きつつも、限界を超えた動きというものの反動に体がついてこれないから
 父さんですらその数だということがわかった
 入っても数秒後には抜け出してしまう
 とても危険な技だと思う……諸刃というものだろう

「ま、恭也はまだ入ってすぐだから気にするな……」
「そうだね……それに、あの時は無我夢中だったから」
「そうだな……一応裏とったけど、爆薬の量が微妙にだが、多かった
 それとタイミングのほうだが、ほんの少しだけタイミングが早くずらされていたぞ」

 ということは、普通の20秒で行っていたら間違いなく死んでるね

「でだ、恭也はしばらく理恵さんとエレンさんに任せるから
 今日はゆっくりしててくれな……
 ま、積もる話もあるだろう」
「そうだね♪ 私はありますから」
「私も♪」

 こういう時の女性陣は強い
 それはクリステラでよく分かっている
 だからこそ、何も言わずに俺はあの時のモノクロ感というものを考えていた
 周りが遅く感じて重たいゼリーの中を歩いてるようなそんな雰囲気
 でも、自分は動けた
 そんな感じ……もう一度入ったら分かるかもしれないけど
 それはまだまだからだが持たないだろう
 ご飯を食べ終えると俺とエレンさんと理恵さんはセリフあわせと称して部屋へと戻った
 エレンさんだけという収録も終わって、後は俺が傷ついて寄り添う本当のラストシーンで終わる
 ただ、明日ほど辛いものは無い……
 実際に抱きしめられて5分ほどはそのまま……
 そして、ラストにキスまでするらしい……
 言葉は少ない
 本当に、コレで良いのかというほどに……
 でも演義で担ぐらしい

「恭くん、これって大変じゃない?」
「そうだな……スタッフロールの後にキスを受けるまで
 抱き合い、その後は痛みを堪えながらも腕を回すってシーンだもんな
 正直難しい」
「というか、5分間も恭くんを抱きしめられるエレンさんが羨ましい」
「あははは……理恵ちゃん、これ結構大変だよ
 私動けないし……」
「そうなんですか?」
「胸とかは動かして良いけど、スタッフロールの間はずっと待機状態で動かない
 そう書いてあるの」
「俺もですよ」

 お互いに台本を見せる
 簡単に買い込みがしてあるエレンさんのに比べ、俺のはかなりの書き込みがされてる
 これはエレンさん、監督さん、助監督さん、カメラさんの言葉が書き込まれてるのだ
 何せ分からないの一言で始まったこの数人掛かりで俺へと教え込まれる量が多く
 しかたないので書いてもらったのだ
 それで気をつける点などを何度も読み返してるのだ

「恭也、気に入られてるね〜
 監督さんがこうやって書いてくれるなんて珍しいことだよ」
「そうなんですか?」
「普通は台本渡してぽんってするから」
「でも、練習してないし」
「ほとんど本番だったもんね」
「そういうことです」

 お金の削減かどうか知らないけど、俺はリハーサルなんて物はほとんど無く
 そのままで撮りに入っていた
 ま、元から無いのかもしれないけど
 誰か相手になってもらう人も居ず、そのためにということだ

「この映画は人気出ると良いな」
「そうですか? 俺はあまり人気でなくて良いですよ」
「どうして?」

 エレンさん、俺、理恵さんの順番で会話が回ってるようだ

「恭也はね、売れて他人に顔がバレルのが嫌なんだと思うよ」
「そういうことです」
「なるほど〜」

 理恵さんが納得顔で頷く
 俺もそれを見てよかったと考えて、台本に目を通していく
 あ、この時コレに気を付けてって……そんな難しいよ
 え? 背中を撫でるの? これ却下だろう?
 出来ないことはないと思うけど痛いのやだぞ

「そう言えば夕ご飯どうします?」

 理恵さんが思い出したかのように俺とエレンさんに聞く

「そうね、遅かったし……かるくで良いから聞いてみたらいいんじゃないかな」
「俺も合わせますから」
「了解♪ 士郎さんにもそうやって話しておくね」
「お願いします」

 理恵さんがそう言って電話のボタンを押していく
 俺とエレンさんはセリフあわせをしていく

『ごめん、誤解してた』
『いいんですよ……俺は守れたから』
『でも』
『泣かないで下さい、俺は貴女の笑顔を守りたかったから』
『秀介』

 俺に回される腕
 そして、俺とエレンさんは微笑みあいながら、エレンさんにより抱きしめられる
 ここから5分同じ体勢……で、その後に……

『秀介……目を閉じて』
『分かった』

 そして、キス……で、俺が此処で腕を少し震えさせながらも背中に腕を回して撫でる
 エレンさんの目には一筋の涙が流れるで終わり!!

「つらっ!!」
「長いよ〜〜〜!!!」
「大変そうですね」

 大変というよりは辛いです……そらぁ、何がって言うか……
 体を腕を動かして振るわせる部分とか……いやできるんだけど、それでもなぁ

「キスから1分の演技って書いてるけど、これって辛いよね」
「本当です……しかもハッピーエンドだけど最後悲恋だし」

 そうなのだ、これは悲恋である……
 俺と彼女では住む世界が違いすぎるから
 そして、それを言って分かれるのだ……俺が体を休めてる病院まで来てのはなし
 最後はだからベットシーンに近いのだ
 ま、最後の時間まで来て、部屋に一泊して最後の朝というわけだ

「凝ってるつくりですよね」
「ま、でも悲恋ってのは嬉しくないけど、少しでも違う世界でも通じない愛があるって分かるなら
 それはそれでいいんじゃないかと思う」
「そうですね……でも、通じて欲しい部分もありますよね」
「ま、コレはお互いがお互いを大切に想い合うで止まりますから」
「なるほど……続編出たら彼を志望するミッシェル・フラウさんが現れるわけですね」
「ま、でたらね……」

 というか、そうなったら俺はまた出演になるのですか?
 それはちょっと嫌なのですけど……

「俺は続編が出ないことを祈りますよ」
「え〜!? 私と映画に出るの嫌?」

 潤んだ瞳、上目遣い(俺より背が高いのに)、そして、組まれた手
 理恵さんが同じことを試そうとして最初の潤んだ瞳で失敗してる

「難しいですね」

 んなこと言う前に助けて欲しい
 それでも、答えは言わないといけないものだ

「別に嫌じゃないです……ただ、恥ずかしいから」
「もう、毎回こんな役じゃないって……私だってそうだし」
「そうですか?」
「そうだよ」

 そう言って微笑みを浮かべるエレンさん
 理恵さんは自分に演義の才能が無いことに気づきショックを受けてる

「私って演義の才能無いんだ……」
「まぁまぁ、演義って結局人を騙してるみたいな部分があるから難しいんだよ
 根が正直で真っ直ぐな理恵ちゃんには難しく感じるんじゃないかな?」
「でも、私以上に真っ直ぐな2人に言われたくないです」
「私は真っ直ぐじゃないよ……」
「俺も」

 理恵さんの言葉に俺は返しておく
 俺は……真っ直ぐでないと言い切れる部分がある
 そういうのが分からない分、理恵さんは真っ直ぐなのだ

「ま、ほら私はクリステラソングスクールに通ってるし、恭也もその場に居たりするから」
「そうなのかなぁ」

 少し不満気にそういいながら俺とエレンさんを見ている
 しばらく、その話題で盛り上がり、また台本を見ながら演技という意識をせずに
 そのキャラクターになりきりながら
 ベットシーンをする……隣で理恵さんがタイムを計ってくれている
 抱き合ってからの5分とか1分とかを考えるためだ
 そして、しばらく演義をしながら時が過ぎていった






「夕飯だぞ〜♪」

 父さんがそう言って料理を持ってきた
 それは、紅茶とパン、他にクッキーなどの軽いお菓子だった
 なるほど、確かにコレで十分だろう

「ん、映画の練習か?」
「ええまぁ、でも、うらやましいなぁ」
「ま、あれだけじっとしてる2人が凄いと想うぞ」
「私も抱きしめたい」
「理恵ちゃんも言うね〜」
「ま、言わないと通じない人たちと話してましたから」
「そうかい?
 ま、それはそれでいいことだと想うよ」
「いえいえ……」

 そう言うのを聞こえながらも時間を気にして合図を送り
 そして、お互いに言葉を交わし、キスをする
 俺は手を背中に添えて……撫でて、目薬仕込みの瞳で涙を一筋流す

「くはぁ〜」
「疲れた〜」

 2人してそのままベットにダイブ
 というか、そのまま上にのしかかるエレンさん
 疲れだろう
 俺もそのまま手を投げ出している

「何て言うか、すっごいエロティックに見えるのは気のせいか?」
「気のせい」
「私たちは疲れが一気に来るよ〜」
「でも、いいな〜」
「今日の夜は好きなだけ抱いて寝れるよ♪」
「そうですね♪」

 エレンさんの言葉で理恵さんは復活した
 というか、持ち前の明るさを取り戻してる

「さ、夕飯食べたら、俺は廊下に居るから……
 恭也もゆっくり寝ていいぞ」
「寝れたらね」

 父さんにそう答えながら美女2人に囲まれて寝れるほど俺は神経が図太くない
 って、そう言えば父さんに聞きたい事があったんだ

「ね、父さんはさ、美沙斗さんから怒られなかったの?」
「今逃亡中だ」
「帰ったら大変だね」
「思い出したじゃないか……美沙斗なんか自分の料理を取り出して俺に無理やり
 子猫が震えながら殺されるのを待つ感覚を味わったぞ」
「父さんなら大丈夫だよ」
「根拠無いぞ」
「無いもん」

 パンをはぐはぐとかみながら食べる
 フランスパンみたいだ……
 そして、夜も大分ふけて、俺は理恵さんに抱かれながら眠る
 エレンさんは俺の手を握って寝ている
 俺は天井を見上げながらも温かな感触が何かに思えてならなかった
 ただ、とても気持ちがよくて眠りへと落ちるのだった







 つづく







 あとがき
 本当に久々って感じだけど、1月経ってるね
 シオン「二ヶ月とか更新してないとかあるからいいんじゃない」
 そうも言えないだろう
 ゆうひ「で、実際問題どうなの?」
 ま、何とかやってけるよ
 シオン「どうだか」
 ゆうひ「後は?」
 次で映画がラスト入って、その次に映画を初公開して……
 シオン「ついでに日本寄ったりするの?」
 さぁ
 ゆうひ「放浪はするんでしょ?」
 そうだね……、でもね、自分気づいたんだけど、海外知らないから
 シオン「土地が分からないと?」
 うん
 ゆうひ「愚か者〜〜〜〜!!!」
 (ハリセンが唸り、スパパパパパパパーーーーーーーーーン!!!!)
 シオン「何っていうか、いい音ね」
 頭がくらくらする
 ゆうひ「あのね〜、少しは先を考えなさいよ」
 無理、というか、考えるほど力が無い
 シオン「眠いからって理由だよね」
 睡眠時間削られてるから
 ゆうひ「もういいわ……でわ、またね〜」
 ほなね〜(^o^)ノシ

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