この話は、誰ともエンディングを迎えず
全ての話をクリアした状態・・・・・
所謂、ご都合エンディングの後です
DVDおまけシナリオの後ぐらいですね
「恭也のナンパ」
井上 ななか
ななか「・・・・・・・・・」
駅前で、一人佇んでいる
彼女を知っている人なら、何かあったのかと思うほどその姿は、おとなしかった
小さな声で、何かを話している
周りには、人は居ないのだが
ななか「ディレクター・・・・やめましょう・・・やっぱり私じゃ無理ですよ〜」
「何言ってる、ななか・・・大丈夫だから・・・・」
耳に付けた、小型イヤホンから男性の声が聞こえる
と言っても、小さい声なので、外には聞こえない
「ななかほどの子を、ほっとくなんて、海鳴の男は、全く・・・・」
ななか「でも、これでナンパされても、素直に喜べませんよ〜」
「最近、この辺りは、美男美女が結構、噂になってるんだ・・・色々聞いてるだろ」
ななか「はい〜」
返事のトーンも下がり気味だ
ななか(・・・・たぶん、私の知ってる人・・・何人か入ってるんだろーなー)
「ほら・・・来たぞ・・・・しっかりな・・・・・」
恭也 「あの・・・すいません・・・・・そこの喫茶店でお茶でもどうですか?」
恭也 (こんなので、ついて来る人なんか、たぶん居ないだろ)
ななか「はいー・・・・・わ、私ですか?」
緊張のあまり、返事が裏返ってしまった
恭也 「はい・・・・如何でしょう?」
ななか(わっ・・・美青年だ・・・・ごめんね・・・・望遠で撮ってるから・・・・回避しようがないの)
恭也 「?・・・・・・・!」
辺りをキョロキョロと見まわすと、望遠カメラのある方角で視線が止まる
ななかの方に向き直ると
恭也 「あの・・・・・・失礼ですが、誰かに狙われていたりしませんか?」
ななか「えっ?、どど、どうして?」
恭也 「・・・・人の視線と言うか、何かが、あなたを狙っているような気がしたんです」
ななか(う、嘘でしょ・・・カメラ、望遠で500mぐらい離れてるのに・・・・)
ななか「・・・そ、そうですか?」
恭也 「はい・・・・もし良かったら、ここから、離れませんか・・・落ち着かない物で・・・」
ななか「は、はい・・・・」
結局、ディレクターからの連絡で、続行不可能だから、しばらく時間潰してこいとの命令が下った
ななか(ほっ・・・・よかったー、でもどうして中止になったんだろ?)
ななかは、知らなかったが、ディレクターは、恭也と面識があったのだ
ティオレ・クリステラ主催のチャリティーコンサートで
テレビ関係者は、警備の関係上この二人だけは写さないようにと
厳重に注意を受けていたのだ
それが、恭也と美由希だったのだ
ディレクター「ふー・・・あの子がナンパとはね・・・・・面白そうだから、顔隠して声変えて・・出すか?」
等と、恐ろしい事を言ってのけていた
その頃、ななか・恭也は翠屋で、話をしていた
自己紹介も終え
桃子と助っ人で入っていた美由希に、一通り説明もした
もちろん、ナンパの件は伏せていたが・・・
恭也 「話にくければ、構わないんですが・・・・・狙っていた相手に心当たりなどは・・・・」
心配して、掛けてくれる言葉が、ななかには痛かった
ななか(心配してくれてるんだ・・・・何か心苦しいな〜)
ななか「・・・・・・・え〜とですね・・・実は・・・・・・・」
あまりに、真剣に掛けてくれる心配の言葉に、ななかは全てを話した
ななか「と言う分けなんです・・・・ごめんなさい」
恭也 「そ、そうだったんですか・・・・」
ななか「ごめんなさい・・・・せっかく心配してくれたのに、こんな落ちで・・・・・」
ななか「でも良く、気付いたね・・・・望遠で500mは、離れてたのに・・・・」
恭也 「古流ですが、剣術をやってますから・・・・気配とか視線とかに過敏になっているだけですよ」
ななか「私も、学生時代、護身道やってました」
恭也 「あれは、早いですね・・・・知り合いにやっている人が居ますが、護身道の方も達人だったので、かなり手強かったです」
恭也 「・・・何とか勝てたと言う感じでしたね」
ななか「へぇ〜・・・すごいんですね、なんて言う流派ですか?」
恭也 「御神流です・・・小太刀二刀流なんですよ」
ななか「小太刀ですか、珍しいですよね」
恭也 「はい、そうですね、珍しいと思います」
ななか「そう言えば、私も学生時代の先輩で、今まだ海鳴にいると思うんで・・・良かったら紹介しましょうか?」
恭也 「ぜひ」
ななか「千堂 瞳さんって言うんですけど、強いですよ〜」
恭也 「えっ・・・千堂さんのお知り合いでしたか、偶然ですね」
ななか「えっ・・・と言う事はさっき言ってた達人って?」
恭也 「ええ、千堂さんです」
ななか「せ、千堂先輩から一本取った?・・・・す、すごい・・・強いんだ恭也君」
恭也 「剣しか能がないだけですよ」
何となく、恭也の手を見る
切り傷、しかも結構深い傷跡が袖から少し見える
ななか(達人・・・ううぅん違う・・・もっと何て言ったら良いか分からないけど・・・・)
恭也 「でも、何も無ければ越した事はないですよ」
ななか「えっ?」
恭也 「撮影の件ですよ」
少し微笑んで、そう言う
その笑みには、怒っていると言う感情はなかった
ななか「怒らないんですか?」
恭也 「えっ?、特におこる事も無かったと思いますが」
ななか「でも、・・・」
ななかは、テレビ局の仕事をしていて、いつも楽しい
でも仕事の中には、こんな人を笑い者にしないといけない番組も多くある
ななかは、そんな仕事だけは、少し嫌いだった
恭也 「いいじゃないですか、俺も事情があって声を掛けた訳ですから・・・」
最初少し笑って・・・・後半、何とも言えない複雑な顔で、恭也は赤星との会話を話した
恭也 「と、言う訳だったんです」
ななか「そ、そうだったんですか〜」
残念そうに、そう言う
ななか「少しがっかりです・・・試しって事は、恭也君、誰でも良かったんですよね」
恭也 「い、いえ、そう言う訳では・・・・・」
ななか「でも、試しだったんでしょ?」
責めている訳ではないが、恭也は動揺を隠せなかった
恭也 「た、確かに、そうですが・・・・・」
ななか(困ってる、困ってる・・・・)
ななか「残念だな〜、恭也君かっこいいのに・・・」
ななか(かわいそうだし、これぐらいにしとこう・・・・)
恭也 「そ、そんな事はないですが・・・・・・・・・・・・・じゃあ・・・これから何処かへ行きませんか?」
顔を赤くして言う、姿が何とも初々しい
意外な言葉に、今度はななかが赤くなる
ななか「えっ!・・・・・それって、誘ってくれてるんだよね」
恭也 「は、はい・・・宜しければ・・・・・」
ななか「好きな所で良いかな?」
恭也 「はい」
道すがら、会話も少なく
只、恭也には、何処へ向かっているのかだけは、分かった
恭也 「神社ですか?」
ななか「うん・・・・・・よく行くんだ・・・・・悩んだり、迷ったりした時に・・・」
恭也 「悩みですか?」
ななか「今回は・・・・うーん・・・・どっちかって言うと迷いかな?」
それだけ言って、又黙ってしまった
神社に着くと、今度はななかから話しかけてきた
ななか「ちょっとだけ、聞いてくれるかな?」
恭也 「・・・はい」
ななか「自分では、努力でなんでもやってきたと思うんだけど・・・・」
ななか「好きで、今の仕事選んで・・・・好きでやっていた護身道も捨てて・・・」
ななか「好きで選んだ仕事にも、これで良いのかなって考えてて・・・・・・」
今日の事を考える、誰かを笑い者にしないと盛り上がらない番組
確かに、ななかが求めていたものとは、かなり違う
ななか「恭也君・・・・・私って、中途半端なのかな?」
恭也 「・・・そうですか・・・」
少し考えて、恭也は
恭也 「・・・・今一生懸命頑張っていれば、今好きな事を一生懸命やれば・・・良いんじゃないでしょうか?」
ななかは、目を丸くする
思っていた、答えとは少し違う、だけど、何となく実感出来る答えだった
ななか「・・・・・・・・・・・そうかもね」
ななか「悩んだり、迷ったりしてもしょうがないかもね!」
ななか「何にも考えずに、頑張らないとね!」
恭也 「はい、そうですね・・・頑張って下さい」
ななか「うん!、ありがと恭也君!」
吹っ切れたのか、笑顔で恭也へと振り向く
恭也 「い、いえ・・・(この人が、笑うと・・・何となく、嬉しいかも知れない・・・)」
ななか「ても、恭也君って、私より年下だなんて、少し信じられないかも・・・」
恭也 「?」
ななか「だって・・・・何だか、悟ってるって感じかな?」
恭也 「そうですか?、自分では分からないですが・・・・」
ななか「口調もすごく丁寧だし」
恭也 「こ、これは、癖みたいなものなので・・・・・・・・」
その日、送って行くまで終始そんな感じだった・・・
それから、ゆっくりと時間は流れ
何度も、会ったり遊びに行ったりしている内に
惹かれ合い、付き合い始めていた
ななか「恭也君♪」
恭也 「今日は家へ?・・・」
ななか「うん!、今日はお土産あるし・・・あっ、ちゃんとみんな居る?」
恭也 「ああ、昨日言われた通り、ちゃんと言ってあるが・・・?」
みんなにお土産と言うには、少し小さい包み・・・まるでビデオテープのようだった
並んで歩き、高町家へと向かう
ななか「こんにちわーー♪」
その後、恭也はかなり居心地が悪くなり
ななかは、笑っていた
高町家のみんなに色々と聞かれ
ななかは、笑顔で答えていた
ななか「少しそっけないくらいの人を・・・追いかけるの好きです」
桃子 「それで・・・恭也なのね・・・本当にこの子って愛想ないから・・・」
ななか「そうでもないですよ・・・優しいし、やっぱり追いかけるんだったら優しい人が良いですよね」
恭也は、無愛想は相変わらずだが、ゆとりが出来て笑顔がよく出るようになった
ななかは、あまりべたべたもせず、恭也が照れるか照れないかの所・・・丁度良い距離にいつも居る
恭也に取っては、そんな、優しい心遣いに愛しさが増し
ななかに取っては、そんな、何でも無いような事が幸せだった
〈後書き〉
ef-Vさんの所へ、贈り物です
「井上 ななか編」でした
如何でしたでしょうか?
毎回言ってますが、難しかったです
ななかの雰囲気出てますでしょうか?
それでは、指摘・感想お待ちしてます
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