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能力者遊伝B 我が友情よ、永遠に
あとがき
それはちょうど、梅雨明けの休日だった。からりと晴れ上がった空はどこまでも澄んでいて、雲ひとつないのが逆に違和感さえ抱かせる。まだ少し湿った空気を切って進む足取りも軽く、千堂真由は馴染みの洋食屋のドアを開いた。 カラン── ドアベルの音までもが爽快に聞こえる。店内に入ると、シックな音楽と見知ったウェイトレスが真由を出迎えた。 「いらっしゃいませ!」 軽くいつもの通りに挨拶して、真由は目的の席へ向かう。そこには先客がいたが、むしろ彼女にとっては彼のほうが目的だった。 「おはよ、双真クン」 「…………ああ」 ゆっくりとこちらを向いた青年は、見た者を射竦ませるほど機嫌が悪そうだった。 「あれ? 何かあったの? もしかして機嫌が悪い?」 「いや」 返ってくる答えも端的で、それはどう贔屓目に見ても機嫌がいい風には見えない。ここに来てようやく真由はどうしようか迷ったが、それでも一度話しかけた以上はと踏み切って先を続けた。 「ね、今日暇?」 「暇だ」 「ならさ、駅前に彫金教室をやってるお店があるんだけど、一所に行かない?」 「…………行ってどうするんだ?」 「自分でアクセサリー作ろうと思って。他にも誘おうと思ったんだけど、なんかみんな捕まんないのよね」 「…………」 「…………?」 今度は答えさえ返ってこなかった。話を聞いていたのだろうかとさえ不安に思い始めたとき、ふと何か妙な空気が漂っていることに真由は気づいた。あるはずのものがないという違和感。それは次第に強くなっていき、別の意味で真由を不安にさせた。ほどなくしてハッとなる。双真の口から、出ているべきものが出ていないのだ。 「ちょ、ちょっと双真クン! 呼吸してる?」 「………………………………?」 「首傾げないでよ、自分のことでしょ?」 「そういえば止まってたな」 「何で?」 「……忘れた」 「だから何で!?」 思わず叫び返すが、当の本人はいたって本気らしかった。軽く数分間は呼吸を止めていたにもかかわらず、顔色一つ変えないまましばし黙考した後、 「……暇だからだろう、きっと」 あっけらかんと、彼は言った。 「いや、それって全然意味わかんないんだけど。暇だと呼吸するのをやめて、それに気づかないあたりが特に」 汗が出てきたのは決して店内が暑かったからではなかったが、とにかく問題なのは、彼が暇かどうかということで、その疑問については解決したのだと開き直ることにする。 「ま、とにかく暇なのね?」 「ああ。というより、何もしてはいけないと言われている」 「何で?」 「知らん。この前風邪ひいたあとの事後処理をしていたんだが……」 「うん」 「もう暴れた後だったからな。建造物を建て直す前に、土地を整地する必要があると判断して……」 「うん?」 話の流れが微妙に可笑しな方向に向かっている気がした。 「まだ無事だったものまで完膚なきまでに破壊したら、何故か怒られた」 「何故かって……疑問の余地はないと思うけど……」 「そうか? しかしあの辺りいったいは、今は綺麗だぞ」 「そうなの?」 「ああ、なにもないからな。見事に」 「………………」 果たしてそれを綺麗というのだろうか。思ったが、口に出すのは怖かった。 「そういう理由で、しばらくの間、行動を起こすなといわれている」 「…………えっと、でもまぁ、彫金なら破壊活動じゃないわけだし……」 「暇だし付き合ってもかまわんが……」 「っていうか、付き合ってもらいます。下手すると知らないうちに死んでそうで怖いわ」 有無を言わせずに腕をつかむと、案外素直に双真はこちらについてきた。
こうして、神楽双真に『彫金』の特技が加わったである。
………… ネタがない。 何にも思い浮かばない。 さてどうしたものかなぁ……ということで、こんな形であとがきを送りしました今作。いかがでしたでしょうか。要約するとお馬鹿な魔女と愉快な仲間たちの話です。 このあとがき読んで、え? これ本当にあとがき? とか思ってくれたらうれしいです。って、そうやって人の裏をかくことばかり目指してるから友達少ないんだよなぁ、私も。 時間が足りない昨今ではありますが、暇見て書いていこうと思ってますので他作品も見捨てないでやってください。 では、今回はこの辺で。次回作はいつになるかなぁ……
二ヶ月ぶりに起動させたゲームの操作法をすでに忘れていたせいでやる気をなくした七月頭── ef-V
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