えげれす通信 vol.28
いやぁ、客人が来た時くらいしか まともに観光しないので、 ネタが増える増える。 と言う訳で、奇跡的な、連日の「通信」です。 今日は、マンチェスターに行ってきました。 今回の、我々のコンセプトは、 「誰も行かんようなところを攻める」。 マンチェスターは、英国で5本の指に入るくらいの 大都市なのにも関わらず、 『歩き方』では、扱いが僅か2ページちょっと、という 結構哀しい都市であります。 その名は、世界に轟き、 大英帝国の礎を築いた石炭&紡績業の中心でありながら、 はっきり言って、観光地ではない。 見る所は、さっぱりない。 我々のコンセプトに、合ってる訳です。 列車は、Eustonから出る。 ここの駅は、隣のKings Xと並んで、 今では、えげれすの長距離列車が沢山出発する 重要なターミナル。 昔はVictoriaとかの方が格式があったけど、 今では、実質、この二つと、Paddingtonのみが、 長距離ターミナルとして機能している。 「機関車トーマス」シリーズで、 僕の一番好きだったゴードンが、 他の会社の機関車と、他から移ってきた機関車と 三人(?)で、ロンドンについてしゃべる場面。 (註:vol.0.4で英語で引用した) 「僕は、昔、ロンドンに行ったことがあってね。 その駅は、キングスクロスって言うんだ。」 「違うよ。ロンドンの駅は、ユーストンだよ。」 「冗談言っちゃいけない。ロンドンの駅は、パディントンだよ。」 この話のオチは、結局、ロンドンには「ロンドン駅」はなく、 方面によって、ターミナルが違うという話なんだけど、 とにかく、これらを含めて、10いくつのターミナルがある都市は ロンドンだけだという。 で、我がユーストンは、スコットランド方面の特急、 しかも西海岸線を通る線の、発着駅。 我々は、その特急に乗りました。 この特急の、運行会社は、あのVirgin。 先日、気球でどっか行こうとして、挫折したVirgin。 いつも、「乗りたい飛行機」で、上位にいくVirgin。 旅客業だけでなく、コーラまで出してしまったVirginです。 はっきり言って、僕は、 飛行機のサービスなんてもんは、 下を見たら色々あるけど、 欧州系ならば、そう大差はないという持論の持ち主なので、 Virginだろうが、何だろうが、 多少シートピッチが広くて、テレビがついてるくらいやろ、と ナメてた。 しかし、どうやら、僕は、Virginの信奉者になりそうです。 行きしなの特急。 マンチェスターまでは、2時間半。 結構な長旅である。 僕は寝ていたんだけど、 行きしに、ちと驚いたのは、 何度か、 「ゴミ、お願いします」 という、ゴミ回収の人が来たこと。 日本なら、、、全く普通のことであり、 何も驚かないでしょう。 新幹線で、そんなおばちゃんが来たところで、 当然という顔を、みんなするやろ。 しかーし、ここはえげれす。 知っての通り、うむ、えげれすなのだ。 パブで、前の人のゴミがあっても、片付けずに座るえげれす。 ビールがこぼれても、気にせず座るえげれす。 ゴミ箱はあるが、いつもゴミが溢れてるえげれす。 そのえげれすで、前もって、しかも何度も、 ゴミを回収するだけのための人間が車内にいるというこの事実。 相当、深いところで、僕はジャブを受けたような気がする。 でも、まだ、「ふーん」というレベルであった。 マンチェスターは、 矢張り大都市だった。 ロンドンより、近代的ビルが立ち、 ショッピングモールが充実し、 今風の街だった。 ロンドンを見なれた僕には、少々ショック。 さて。 帰りです。 今日は、暑かったのです。 えげれすのくせに、 しかも、中部イングランドのくせに、 夕方6時過ぎても26度もある。 僕は、暑いのが、兎に角嫌いなのです。 帰りもVirgin。 行きの特急は、中も綺麗だし、クーラーもきいてるし、 相当快適だった。 ・・・と思ったら、今度は、クーラーがきいてない。 こっちでは、クーラーは、ほんまに稀。 どこ行っても、窓が開いてる。つまり、クーラーなどはない。 然し、天下のVirgin。流石に、行きは、快適やった。 しかーーし、兎に角暑いのよ。 でも、僕は思った。 発車直前に、スイッチ入るやろ、と。 実際、そういうことは、よくあるし。 発車。 まだ、めっちゃ暑い。 1時間。 めちゃめちゃ暑い。 この列車は、とっても混んでいて、 ほぼ満員だった。 しかも、マンチェスター発ロンドン行きということで、 ビジネスマン、つまり、スーツ姿が多い。 未だにわからないのが、 えげれす人の、気温の感覚。 真夏でも、皮のコート着てる人。これ、よくいてます。 暑いやろ!!自分。 ロンドンは、北海道とか樺太とか、 そのくらいの高緯度。 真冬は、それなりに寒い。 そんなかで、タンクトップ、短パンのにぃちゃん。 凍えるんちゃうのん??なぁ。 その感覚、未だにわからないのやけど、 今日も、このクソ暑い車内で、 上着を脱がずに、平然としてる人間の多いこと。 大体ねー。 クーラー効いてないねんから、 誰か、車掌に言えや。 オレは、英語でいわなあかんねんから、 ネイティブが言ってくれなあかんやん。 誰も動かないので、しゃぁないから、 検札に来た車掌に、僕が言った。 そしたら、 「○△×」←何で英語やのに、わからんねん>僕 兎に角、何や、調子悪いらしく、謝っていた。 謝られたので、気持ちは納まったが、 わからんのは、周りの態度。 僕が「Air Condition」と言った途端、 みんな、僕のほうを見た。 「何言うてんねん」って顔で。 つまり、彼らにとっては、 クーラーは、「普通」のことではない。 加えて、奴ら、きっと、暑くないねん。 別に、どおってこと、ないねんや、きっと。 ま、しゃぁないから、 耐えることにした。 あと1:30。 す、すると、 おっちゃん(スーツ)と、ねぇちゃん(Virginユニフォーム)が 何やら、がたがた言わして、やって来たでぇ。 僕は、絶句したね。 Virgin、何と、乗客全員に、ミネラルウォーターを タダで配り始めた! 何回も繰り返しますが、 ここは、日本ではなくて、えげれすなのです。 日本やったら、ラーメンに蝿浮いてたら、タダで、新しいもん持ってくるけど、 指を汁に沈めてそれを取り、そのまま持ってきそうな、えげれす。 Hospitalityの精神はあるけれども、 同時にNever Mindがついてくる、えげれすや。 僕は、真面目に、言葉を失いましたわ。 タダやで、タダ。 全員やで、全員。 列車で、やで、たかが。 僕は、感動の嵐の中、 おっちゃんを見送った。 彼は、普通の、スーツ姿。 きっと、特命を受けて、途中の駅から列車に乗りこみ、上司に、 「全員に水配って、ほんで、ロンドン往復してきてや」 って言われたんやろな。 だって、ほんま、普通の事務職系のおっちゃんやったし。 言うたら、なんばCITYの抽選会場に、南海電鉄正社員が現れて 手伝うみたいなもんですな。(わかる人にはわかる) 水配るそのためだけに、ひょっとしたら、ロンドン初体験やったかもしれん。 彼の人生の中で、ロンドンにもし行くことがあったら、 大英博物館行って、ハロッズ行って、リッツでアフタヌーンティー飲んで、 ハイドパーク辺りのホテルに泊まれたらええなぁ、と思っていたかもしれん。 それが、唯の、 「水配り」 だけで、ひょっとしたら、彼のロンドンに抱いてた夢が 潰れてしまったかもしれんわな。 しかも、多分、日帰りやろし。 兎に角、僕は、感動したのだ。 ここは、えげれす。 間違っても、そんな「行為」ではなく、 そんな「発想」自体が出て来ない国。 Virginの会長は、えげれすで生まれたかしらんけど、 別な国の人間やな。 感動の嵐が漸く収まって、 ふと周りを見てみると、 乗客の連中、水を飲んでる。 然し、別段、何かで扇ぎもせず、 上着を脱ぐでもなく、 誰かに文句を言うでもなく、 別に普通の表情で、貰った水を飲んでる。 結局、奴らは、この水の意味さえ、 わかってないに違いない。 「お、気がきくやんけ」という程度にしか思ってないんでしょう。 そういう国民を相手に、サービスを売らなきゃならないVirgin。 よくぞここまで伸びたと思うけど、 このからくりを知ってしまうと、 その努力たるや、ほとんど神業やね。 奴らを感動させようとするのは、至難の技だ。 嗚呼、Virgin。 嗚呼、えげれす国民。 |
Copyright(C) 玲(Ryo)1998-2006