えげれす通信 vol.46
この「年度始めのご挨拶」を書くのも、三度目になります。 ということは、えげれすに移り住んでから、丸二年が経過したということ。 殆ど何の情報もなく、 英会話学校にも行った事もなく、 英語テストのスコアも持たずに留学した僕も、 何とかここまで無事に暮らしてきました。 この場を借りて、色々お世話になった皆さんには、 深く御礼を申し上げたいと思います。 さて、堅苦しい挨拶は最初だけ(そうなんか)にして、 一応メールで報告した人もいるのですが、 この秋からの僕の環境の変化について、 簡単に書きましょう。 結局二年住んだロンドンを離れ、 僕は、北部イングランド、Durhamという地にやってきた。 所属する大学が変わったのがその理由だけど、 ここでは深くは書きません。 ただ、Durhamは、僕がまだ日本にいて、 えげれすの大学の情報を集めていたときから、 実は一番行きたかったところの一つであった。 この地は、むちゃくちゃ歴史がある町で、 城と聖堂がある。 町の規模自体はまことにちっこいんだが、 学生の町なので、活気はそこそこある。 町のど真ん中を、Wear川が流れ、 丁度「R」のように急激に蛇行するその窪みの中に、 城と聖堂がある。 つまり、小高い丘の上にひっそりと、 然し威風堂々と立つ大聖堂は、 三方をWear川に囲まれるという、 非常に独特な地形にあるのだ。 ノルマン人のイングランド征服直後から、 1836年に至るまで、この辺りの領地は、 「プリンスビショップ」と言われる司教たちによって、 支配されていた。 彼らは、国王と同等の権利を有していたという。 僕は、昔、えげれすを旅行したときに、 何となく興味を持っていたDurhamの街を 列車から眺めた。 ロンドン・キングスクロス駅から、 スコットランド方面に向かうIC(インターシティー)は、 必ずこの街を通過する。 その時は、僕は下車はしなかったのだが、 車窓からは堂々たる聖堂が見え、 Wear川の綺麗な蛇行を見るにつけ、 なんとも気に入ってしまったのであった。 さて、ヤサガシからヒッコシに至る イバラの道々は前回書いたので、 時を、ポルトガル帰りのStansted空港に戻そう。 流れから行くと、 通信Vol.35「ヤサガシ」 通信Vol.36「ヒッコシ」 番外編「葡萄牙通信」 と読んでいただくと、状況がわかります。 ------------------------------------ 「Cunt!」 オレは高らかに叫んだ。 同時に中指もおったてた。 心の中で、やけど(笑)。 まったく、どうなってんねん。 むちゃくちゃ腹立てながら、 僕は最後のロンドンを後にした。 さて、Durhamである。 とりあえず部屋に行ってみると、 何やら灯りが漏れている。 ん?誰か既に住んどんか?? おっかなびっくり入ってみると、 巻き舌リエゾン系英語で、 「Hiya!」 という声が頭上から聞こえてきた。 前を見ると、乳首が見える。 これが、我が同居人第一号マイケルとの邂逅であった。 マイケルは、アメリカ人。 想像を絶する巨人である。 身長は57メートルある。 勿論体重は550トンある。 顔が遥か頭上、雲の上にあるので、 ただでさえ声が届きにくいのに、 アメリカ英語ときてる。 僕はそれほど偉そうに言えるほど英語が上手いわけやないけど、 それでも、アメリカ英語とブリティッシュ英語の違いは、 来た当時よりは遥かに区別がつくようになっている。 いずれにしても、聞き取られへんねんけどね(笑)。 初対面で、然もこれから一緒に暮らすわけやし、 僕としても、色々と、 最初のガツン(いやガツンと言わせなくてもええねんけど)の 繰り出し方をシミュレートしていた。 そやけど、いきなり「コンバトラーV」が出てきた日には、 「VVVぃー♪」 くらいしか言われへんがな。 彼はアメリカ人らしい気さくさで、 色々と話し掛けてくれるのだが、 ほんまに、全く、わからん。 頼むから英語話してくれや。 僕は早々に撤退することにした。 部屋に戻った。 前に書いたかどうか忘れたけど、 うちのフラットは、僕を含めて5人が住むことになっている。 間取りは、一階(Ground Floor)に、 僕の部屋+ダイニングキッチン+バス+トイレ 二階(First Floor)には、 残り四人の寝室がある。 この時点ではまだ、あと3人がどこのどいつか、 さっぱりわからない訳である。 僕は翌日から、部屋の片付け作業に入った。 ほんまは、丸っきり新しい趣向でいこうと思っていたのだが、 ここはロンドンやない。 Habitatもなければ、Healsもない。 #どちらも、一寸お洒落系のロフトみたいなもん。 結局ロンドン時代のものを使いまわすことにして、 残りのものは、列車で15分の大都市、ニューカッスルに買いに行った。 ニューカッスル(New Castle)についても一言言っておかねば。 この街は、北部イングランドでは最大の町であり、 Tyne川という、えげれすでは最大規模の川の河口に開けた町である。 Durhamと違って、むちゃくちゃでかく、 地下鉄も走り、まぁ何でもあると言える。 Durhamはほんまにちっこい街で、 店の数もとても少なく、 ここだけでなんとかせなあかんとなれば、 それはそれでかなり大変やったと思うのだが、 ニューカッスルが近いので、 生活物資はいざとなれば買出しに行ける。 田舎に住んで、然しある程度の便利さもある。 この環境は、僕にはぴったりなのだ。 英和辞典を持ってる人は、 「Geordie」という単語を引いてみてください。 こういう固有名詞が存在するくらい、 Tyne川流域の文化には独特なものがあり、 それは、人々の気質や言葉、態度などに、 如実に現れている。 Poshなどの形容詞は決して冠されない文化だが、 何となくくすぐられるものがあるのね。 方言がかなり残っていて、 然も彼らはそれを誇りにしてるという。 ん? どっかで聞いたことあるやん? 山の手線乗って「ケツがこそばい」と感じたり、 東京駅のキオスクで、 「おばちゃん、ぬくいコーヒーちょうだい」と言って、 相手に引かれたり、、、 そして、この街には、 イングランドフットボール・プレミアリーグの人気球団、 「New Castle Utd」というチームがある。 ここのファンは特にアツいことで有名で、 イングランド最北のチームなのにも関わらず、 観客動員数は凄まじい。 街を歩くと、贔屓のチームユニを着て歩くのは、 えげれすではかなりメジャーだが、 ニューカッスルでは、ユニ着て歩く人間の数が、 はっきり言って物凄い。 おっさんから子供まで、おばちゃんから赤ん坊まで、 犬から羊まで、 みんなユニを着て歩いている。 そして、このユニは、 なんと、白と黒の縦じまなのである。 これはファンにならなあかんやろ。 僕は自動的にオフィシャルショップに走り、 トレーナーを買ってしまった(笑)。 恐らくこの街には、 「トラキチの焼き鳥屋」 に相当する、 「縦じま着用義務のフィッシュ&チップス屋」 とかがあるに違いない。 さて、Durhamに戻った僕は、 部屋の片付けを終え、 部屋に置くものは部屋におき、 台所に置くものは台所に置いた。 色々と聞いてるし、読んでるけど、 兎に角西洋人の「所有」の感覚には、 かなりイライラさせられるというのは知ってた。 共通部分に置いてあるものは、 容赦なく使われる。 去年までは、オオヤがコリアンやったから、 感覚的に似ていて、そのトラブルはなかったけれども、 今回は、恐らく全員が西欧系。 僕は、かなり身構えて、 色々と対策を練っていた。 最初は様子見をしていたのだ。 すると、 −キッチンタオルの共有化 うむ。 −トイレットペーパーの共有化 まぁね。そやろ。 −サランラップ&アルミホイルも 予想しとったわ。 −僕の使ってる冷蔵庫の棚への侵攻開始 きっちり分けてなかったから、しゃぁないわな。 −僕の気に入ってる皿がバナナ置き ・・・。 そして、一番予想してたことが的中。 −汚れ物を洗わない やっぱりか。 兎に角洗わんねぇ。 なんでやろ。 ここで、親切ココロを出して「洗ってあげたり」してると、 奴らは調子こいて、どんどん依存してくる、 という悲劇も、何度となく耳にしてるので、 僕は毅然と、「汚れ物をのけて」調理し、 自分の後片付けを終わってから、 「汚れ物をちゃんと元通りになおす」方策にでた。 誰に聞いても、結局これが上策だという点では、 在英日本人の見解は一致している。 何となく、生活のリズムが出てきたとき、 次なるトラブルが発生した。 マイケルが頭上から話し掛けてきた。 前を見ると、ヘソが見える。 #育ってるやん ##その前に、なんで裸族やねん 「洗濯機、壊れてない?」 「ん?まだ洗濯してないから、わからんけど?」 「ドラムが回転しないんだ」 僕は、エンパイアステートビルの下に立って、 てっぺんを眺める少年の如く、 頭を上に向けて答えた。 「もう一回やってみよう」 洗濯機は、見たところ、かなりの年代物である。 然し、この国での「年代物」は、 思いっきり「現役」の場合が殆どなので、 僕は慌てず急がず、扉を開けた。 いや、開けようとした。 「ん?」 開けへんやん。 すると、マイケルは、遥か57メートル上から頭を下ろしてきて、 洗濯機の前にしゃがむと、 スプーンを取り出して、何やらがちゃがちゃと。 パコン これもかい。 ワードローブと一緒やないか。 スプーンでこじ開けないと、 開かない洗濯機なのであった。 結局、電気系統がイカれてるらしく、 大家が後日、新しい洗濯機を設置していった。 新居のトラブルはまだ続く。 今度は、暖房が止まった。 この家は、えげれすの他の家と同じく、 暖房は、セントラルヒーティング方式。 熱湯が家中を循環して暖めるのだが、 そのガス湯沸し器が動かなくなった。 ダーラムは北国。 寒いのである。 僕は寒さには強い方だが、 それでも、むっちゃ寒い。 大家が来るまでの一週間、 我々は寒さに震えて暮らした。 マイケルは、家の中でも、 毛糸の帽子+マフラー+皮コート+手袋 という重装備である。 まぁ、57メートルも上空で呼吸をしているのだから、 色々と地表とは気候も違って大変なのかもしれないが。 寒い寒いと言って肩をすくめる マイケルの顔の辺りには、 うっすらと雲がかかっていて、よく見えない。 そして、今度は、水漏れ。 全く、ありとあらゆる、 考え得る限りのトラブルが発生するのである。 まぁ、えげれすの家の「改装」なんてもんは、 こんなもんなのだ。 多くを期待してはいかん。 僕は、はなから期待してないので、 まぁこんなもんかと、落ち着いたものである。 家のネタは、絶対これからぞくぞく出てくると思うので、 今回はこれくらいにして、 最後に大学のことを書きましょう。 ゼミもぼちぼち始まり、 今となっては、色々なことが決定したので、 漸く落ち着いたけれども、 ここまで来るのは、 例によって長い道のりだった。 最初の顔合わせのオリエンテーションの日。 一通りの説明があって、 僕は無事、手続きが終わるのかなと思っていた。 去年いた大学は、 全く以って「えげれすの大学」らしくない大学であった。 つまり、いちいちきちんとしてるのね。 各書類はきっちり郵送で到着するし、 不備があればさくっと訂正を求めるレスポンスが来るし、 授業料の請求書は始まって一ヶ月もしないうちに来るし、 オリエンテーションの日に全ての手続きが完了して、 写真付き学生証からメールアドレスまで即日交付されるし、 全ての説明が載ってる一冊のハンドブックをくれるし、 授業は翌日からきっちり行われるし、 あらゆる変更はネット上に表れるし、 重要なお知らせはその都度mailとe-mailの両方が来るし。。。 こういう、日本の感覚で言ったら「当たり前」のことが、 当たり前でないえげれすでは、 去年の大学のこのてきぱきさは、 普通は全く考えられないことである。 然し、そこに一年いて、 僕の感覚もなまってしまったらしい。 オリエンテーションが終わった。 「隣にお茶を用意してありますから、どうぞ」 司会者がそう言うと、 みんなぞろぞろと別室へ。 知り合いも居らず、 さりとてネイティブ軍団に割って入るほどの勇気もない僕は、 暫くうだうだとしていたが、 そのうちに、お開きになった。 お開き?! お開きって、なんやねん! まだ何も貰ってへんし、 大体次にどこへ行って、何をしてらええんや? 貰ったものはと言えば、 小冊子のみ。 そこには、学部の説明と、 ゼミの説明みたいなもんがあるだけ。 そこには色々な学生がいるので、 それぞれ取らなければならない授業も違うはずだった。 その説明も書いてなければ、話もない。 僕は事務の人に聞いた。 「次に何をすれば?」 「まず、Graduate Societyに行って登録をするのよ」 おいおい。 そんなこと、どこに書いてあんねん。 さっき、んなこと言うとったか? 僕は何となく、忘れてた何かが、 むらむらと内部から湧いてきたのを感じた。 然し、それは、決して不快なものではない。 これが「えげれす」なのだ。 去年の大学は、「えげれす」ではない。 「Graduate Society」なるものが、 一体如何なる機関なのか、 さっぱりわからんまま、 言われたとおり行ってみると、 果たして、オリエンテーションで会った顔が何人かいてる。 おばちゃんが、笑顔で、ちっこいカードをくれた。 「これに記入してね」 兎に角、誰も彼もが愛想がいいのね。 これが田舎のいいところ。 ロンドンみたいなギスギスした空気は全くない。 兎に角みんな親切である。 書いて渡すと、 点検して返してくれた。 然し、何だか、オレの書類だけ、 他の人のとちゃうぞ。 ええんか? おばちゃんは、ニコニコしながら、 「次はここに行って登録をしてね」 と言う。 僕は若干不安を残しつつ、 指定の場所に出向いた。 そこはどうやら、全ての学生の登録場所になってるらしく、 長蛇の列である。 待つこと数十分、僕の番が来た。 おばちゃんは僕のカードを見て、 「学生IDがないわ。今調べてあげる」 と言った。 そうなのよ。 ID番号が抜けてるのは、僕も気づいていた。 この国の大学は、 授業料は入った後に払うので、 自分が「合格してる」という保証は、 実はofferレターしかないのである。 僕はちと不安になったが、 一応、学部のオリエンテーションでは、 僕の名前は呼ばれたので、 後は何とかなるやろと思っていた。 おばちゃんは、そこの欄を空欄にしたまま ハンコを押して、返してくれた。 そして、 「ここに行って、ID番号を聞いてきてね」 と言う。 さぁて。 僕の彷徨はまだまだ続く。 今度の場所は、何やら大学本部の総務みたいなところ。 ここにも学生が結構並んでいる。 待つこと数分。 僕の番が来た。 今度はおねぇちゃん。 「僕のIDをここで聞けって言われたんですが。。。」 「今調べるから待ってね」 親切やないか。 こういう態度なら、こっちもいらいらせんと待ってられるわな。 「まだ書類が廻ってないらしくて。。。二三日後来てくれる?」 予想通りの返事である。 僕は、笑顔で「Sure」というと、 次の目的地へ向かった。 次は学部の研究室内にあるパソコンで、 自分のprofileを作らねばならない。 この説明だけは、オリエンテーションであったのだ。 唯一、この作業に関してだけ、 説明書類があるので、 それを参照しつつ、 ネスケをいじる。 すると、、、 「アカウント名?なんじゃ、そりゃ??」 そんなんもらってへんぞ。 どこ見ても書いてない。 一緒に彷徨っていた同僚に聞くと、 「最初に図書館に行って、図書館カードを貰い、」 「次にITヘルプデスクに行って、ログインを行い、」 「そして学部に戻ってきて、こちらのprofileを作る」 らしい。 誰もそんな説明してないやんか。 誰かに聞かとわからん仕組みになっとんか? 然し、僕は、存分に「えげれす」を感じながら、 そしてニヤニヤしながら、 図書館に向かった。 こうでなきゃ(笑)。 図書館は学生でごった返していた。 言われた列に並ぶこと数分、 僕の番が来た。 「図書カード、ください」 「一寸待ってね」 ・・・ 「名前が見当たらないんだけど。。。多分書類が廻ってないのね」 書類ってもんは、この日に間に合うように「廻す」もんやないんかい。 そう思いつつ、僕は何だか楽しくなってきた。 「いつ来たらいいですか?」 「そうねぇ。二、三日後かしらね」 さもありなん。 僕は、例の「ID番号」の件と、 それから「図書カード」の件とで、 少なくとも、後日改めてまた来なきゃならんことになったわけだ。 然も、これらがないと、メールは使えず、 図書館も利用が出来ない。 ダーラムは学生の町なので、 店の多くが学割を用意しているのだが、 学生証がないと、その恩恵にもあやかれないのだ。 僕は「二三日後」ではなく、「三四日後」に再び訪問した。 「ID番号教えてもらえますか?」 「ちょっと待ってね。。。ああ、まだ書類が廻ってないようねぇ」 「出直してきます」 「図書カードもらえます?」 「待ってね。。。うーん、書類が廻ってないようだわねぇ」 「また来ます」 僕が全ての貰うべきものを貰ったのは、 結局一週間後のことであった。 見よ。 この、激しくorganiseされていない仕組みを! これが「えげれす」なのである。 はっは。 思えばオレも、余裕が出てきたもんや。 大体この展開は予想してたからねぇ(笑)。 書類も書類だが、 授業も授業なのであった。 基本的に、今年からは、 ゼミが主体になる。 僕が行かなければならんのは、 ゼミ×2+講義×1+指導教官のチュートリアル。 信じがたいことに、 行かねばならん週二回のうち、 両日とも9時始まりである。 信じられん。 午後にしてくれや。 初日。 決死の思いで早起きをして、 さっくり行ったはいいけど、 人気(ヒトケ)がない。 然も、教室があるビルへの扉が鍵かかってる。 いつもそうや。 タームの始まりは、何かと右往左往することになる。 しょうがないので、事務に聞きに行った。 このおばちゃん(通称Pat)は、 我が学部の、影の総帥、 「スケバン刑事」で言えば、「暗闇指令」。 「必殺仕事人」で言えば、「中村主水」。 「Mission Impossible」で言えば、「カセットテープ」。 何でも知ってるし、 万能である。 空も飛べたりする。 誰もが知らないことでも、 パットなら必ず知っている。 逆にパットが知らんことで、 他の人間が掌握してる情報は一切ない。 もしそんなことがあれば、 間違いなくその人間は、 闇から闇へと葬り去られる。 学部の全ての情報はパットに集まり、 学部の全ての指令はパットから発せられる。 草木一本、生かすも殺すも彼女次第。 目ン玉に「貞」と書いてある。 怖わ。 いや、最近「リング」を観たもので。。。 まぁ言ってみれば、 うちの学部のホストコンピューターみたいなもんである。 然し、至って気さくな、優しい、親切なおばちゃんなのね。 コンピューターおばちゃーん♪(字足らず) そのパットが残念ながらいなかったので、 別のおばちゃんに聞いた。 「このリサーチメソッドって、今日ですよねぇ?」 「そうねぇ」 「で、ここの教室ですよねぇ?」 「そういえば、誰かが『変わった』って言ってたような。。。」 ここで、パット登場。おばちゃんは、パットに聞く。 「これって変わったのかしら?」 「昨日、木曜の、9:30からに変更になったのよねぇ」 またまた、踊らされた。 時間割の変更があるなら、 ちゃんと、Noticeボードに張っておきなさいな。 どこの時間割見ても、 「変更があるかもしれないから、訂正された個所に気をつけるように」 とわざわざ但し書きがある時間割にも、 「リサーチメソッド 金曜9:00から」 って、依然として書いてあるやないか。 やっぱり、最後の最後まで信用せずに、 聞いてぇ聞いてぇ、聞かれてぇ聞いてぇー、 聞いてぇ、聞き潰れて眠るまでぇ、聞いてぇー♪ いかないと駄目なんだな、こりゃ。 然し、ここからが、怪物パットの怪物たる所以なのだ。 「確かハンドアウトがあったと思うので、貰ってきてあげる」 こんなこと、普通言うかい? 僕は、感涙で前が見えなくなってしまった。 昼過ぎ、取りに行ったら、また前が見えなくなった。 「この印がある本を読んで、これとこれを・・・」 普通、説明までしてくれるか? ただのおばちゃんやで、セクレタリーの。 ・・・いやいや、そんなことを言ってるのがバレたら、 オレもバラされる。 いかんいかん。 矢張り、怪物は一日にして成らず、ということやね。 妙に感心して、帰ってきた。 一週間後の木曜日、 僕にとっては初めてのゼミに行った僕は、 一応言われたとおり、印のついた本をチェックして、 読むものは読み、コピーするものはコピーをするという、 必要最小限の準備をしていた。 結果。 「印」はゼミの内容とは何の関連も無し。 オレはこの国を愛するね(笑)。 そんなわけで、鬼長になってしまったけれども、 僕の生活はこうして始まったわけです。 |
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