えげれす通信 vol.58

えげれす通信vol.58 ■ワカメちゃん■ 4th/Nov/2003

(注釈)
本当は、この間に、
素晴らしい新作の数々があったのです。
然し、パソコンクラッシュのせいで、テキストは消失です。
いやぁ、残念ですねえ。
筆者、渾身の作だったんですがねえ(泣)。


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オオヤさんのジーンにキッチンで会った。

「Hi、玲、元気?」
「ありがとう。元気よ」
「いい天気ねえ。でも外に出たとたんに雨降るんだからいやんなっちゃうわ」
「まったくイギリスらしいですねえ」

僕はその時、
鶏肉のクリーム煮の「具」がなくなってソースだけになったので、
それに足すジャガイモを茹でていたところ。
なので、鍋についていた。
そしてコシヒカリも同時に炊いていた。
ジーンは買い物から帰ってきたと見えて、
買い物袋をいっぱい運んできていた。

「しかし、このライス、いい香りがするわねえ・・・」
「そう?米の香りはいいでしょう?」
「なんか、甘いような・・・」

ジーンとその息子のアンドリューは、
オリエンタルフード好き。

「何の香りなの?」
「米の香り」
「え?何も他に加えてないの?」
「そうそう。お米ってのは、甘い香りがするものなのです」
「私も今日、ライスを買ってきたけど、こんな香りはしないわ」

当然の如く彼女が見せてくれたライスはロンググレインの泰米。
こっちのスーパーで普通に売っている米は、
泰米もしくは印度米で、どちらもパサパサのロンググレイン。
僕は、ショートグレインの日本米の素晴らしさを懇々と説いた。

「・・・だからね、ジャポニカはね、水々しくて、香りがいいのよ」
「違うのね。私たちにとっては、ショートグレインは、ライスプディング用だものね」

米に砂糖入れてデザートにする。
あのシロモノだけは、許せない食べもんの一つ(笑)。

「でも、私たちはオリエンタルフードが大好きだから、色々と買ってあるのよ」

そういって、ジーンは、
棚の奥から色々なものを取り出して見せてくれた。

ライスビネガー(米酢)、醤油、みりん、チキンティカペースト、グリーンカレー・・・

なるほど、オリエンタルではある。
然し、和洋折衷ならぬ、東西亜細亜折衷。
みりんの使用法に少なからず興味を覚えた僕だが、
彼女はさらにスゴイものを取り出してきた。

「これなんか素敵よ」

缶に移し替えられたこの物体。
見てみると、なんかの粉末である。
香りを嗅ぐと、
これはまさしく・・・昆布出汁の粉末(「もどき」かも?)。

(ど、ど、どうするんだ??)

おののく僕にジーンは涼しげに続けた。

「サンドイッチに振り掛けるの。とってもヘルシーで素晴らしいわ」

「!」

先般、
大手スーパーのSainsbury'sにて売り出された「乾燥ひじき」には、
その「調理例」として、袋の側面に、

 ナッツと〜共に〜炒めましょう♪

お前は小柳ゆきか?<それは「あなたの〜キスを〜炒めましょう♪」

・・・炒めんといてやってくれ。。。

フィジーでは、出前一丁系インスタントヌードルは、
麺をバキバキにして炒めてカレーの具になり果てている。
「あんぱん」を発明した日本人としては大きいことは言えないが、
ううむ、
まさしくこれは、acculturation(文化変容)ではないか。

そうこうするうちにコシヒカリが炊き上がった。
僕は、最近の定番である「わかめご飯のおにぎり」を握るべく、
釜のご飯の中に「わかめご飯 まぜるだけ」をぱらぱらとふりかけ、
ご飯を混ぜ始めた。

「オリエンタラー」なジーンはそれを目ざとく見つけ、
彼女が暖めていた「ベイクドビーンズ」の皿を手に持ちながら、
案の定、僕に聞いてきた。

「玲、これは何を混ぜてるの?」
「これは乾燥した海草(seaweed)の一種。さっきのと似てますな」

彼女は興味津々だったので、
僕は、ほかほかのわかめご飯をスプーンで少し掬い、
ジーンに言った。

「少し食べて見る?」

彼女は、ベイグドビーンズをたっぷり盛った皿を指して、

「ありがとう。ここにのせてもらえるかしら?」
「い、いや。それはやめましょう(苦笑)」

全く以って、何でもかんでも重ねようとするのがえげれす人。
そんなことしたら、繊細なワカメの香りが消えてしまうがな。

ジーンはおそるおそるスプーンを口に運ぶと、
ぱっと顔を輝かせてこう言った。

「なんて素晴らしいの!おいしい!!素敵!!!」

身振り手振りを交えて、
ありとあらゆる賞賛の語句を並べて、
彼女はワカメご飯に感動していた。

ワカメご飯にシビレルえげれす人。
ううむ。
なかなかじんわりくる風情ですな。


 



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