えげれす通信 vol.58
(注釈) 本当は、この間に、 素晴らしい新作の数々があったのです。 然し、パソコンクラッシュのせいで、テキストは消失です。 いやぁ、残念ですねえ。 筆者、渾身の作だったんですがねえ(泣)。 -------------------------------------- オオヤさんのジーンにキッチンで会った。 「Hi、玲、元気?」 「ありがとう。元気よ」 「いい天気ねえ。でも外に出たとたんに雨降るんだからいやんなっちゃうわ」 「まったくイギリスらしいですねえ」 僕はその時、 鶏肉のクリーム煮の「具」がなくなってソースだけになったので、 それに足すジャガイモを茹でていたところ。 なので、鍋についていた。 そしてコシヒカリも同時に炊いていた。 ジーンは買い物から帰ってきたと見えて、 買い物袋をいっぱい運んできていた。 「しかし、このライス、いい香りがするわねえ・・・」 「そう?米の香りはいいでしょう?」 「なんか、甘いような・・・」 ジーンとその息子のアンドリューは、 オリエンタルフード好き。 「何の香りなの?」 「米の香り」 「え?何も他に加えてないの?」 「そうそう。お米ってのは、甘い香りがするものなのです」 「私も今日、ライスを買ってきたけど、こんな香りはしないわ」 当然の如く彼女が見せてくれたライスはロンググレインの泰米。 こっちのスーパーで普通に売っている米は、 泰米もしくは印度米で、どちらもパサパサのロンググレイン。 僕は、ショートグレインの日本米の素晴らしさを懇々と説いた。 「・・・だからね、ジャポニカはね、水々しくて、香りがいいのよ」 「違うのね。私たちにとっては、ショートグレインは、ライスプディング用だものね」 米に砂糖入れてデザートにする。 あのシロモノだけは、許せない食べもんの一つ(笑)。 「でも、私たちはオリエンタルフードが大好きだから、色々と買ってあるのよ」 そういって、ジーンは、 棚の奥から色々なものを取り出して見せてくれた。 ライスビネガー(米酢)、醤油、みりん、チキンティカペースト、グリーンカレー・・・ なるほど、オリエンタルではある。 然し、和洋折衷ならぬ、東西亜細亜折衷。 みりんの使用法に少なからず興味を覚えた僕だが、 彼女はさらにスゴイものを取り出してきた。 「これなんか素敵よ」 缶に移し替えられたこの物体。 見てみると、なんかの粉末である。 香りを嗅ぐと、 これはまさしく・・・昆布出汁の粉末(「もどき」かも?)。 (ど、ど、どうするんだ??) おののく僕にジーンは涼しげに続けた。 「サンドイッチに振り掛けるの。とってもヘルシーで素晴らしいわ」 「!」 先般、 大手スーパーのSainsbury'sにて売り出された「乾燥ひじき」には、 その「調理例」として、袋の側面に、 ナッツと〜共に〜炒めましょう♪ お前は小柳ゆきか?<それは「あなたの〜キスを〜炒めましょう♪」 ・・・炒めんといてやってくれ。。。 フィジーでは、出前一丁系インスタントヌードルは、 麺をバキバキにして炒めてカレーの具になり果てている。 「あんぱん」を発明した日本人としては大きいことは言えないが、 ううむ、 まさしくこれは、acculturation(文化変容)ではないか。 そうこうするうちにコシヒカリが炊き上がった。 僕は、最近の定番である「わかめご飯のおにぎり」を握るべく、 釜のご飯の中に「わかめご飯 まぜるだけ」をぱらぱらとふりかけ、 ご飯を混ぜ始めた。 「オリエンタラー」なジーンはそれを目ざとく見つけ、 彼女が暖めていた「ベイクドビーンズ」の皿を手に持ちながら、 案の定、僕に聞いてきた。 「玲、これは何を混ぜてるの?」 「これは乾燥した海草(seaweed)の一種。さっきのと似てますな」 彼女は興味津々だったので、 僕は、ほかほかのわかめご飯をスプーンで少し掬い、 ジーンに言った。 「少し食べて見る?」 彼女は、ベイグドビーンズをたっぷり盛った皿を指して、 「ありがとう。ここにのせてもらえるかしら?」 「い、いや。それはやめましょう(苦笑)」 全く以って、何でもかんでも重ねようとするのがえげれす人。 そんなことしたら、繊細なワカメの香りが消えてしまうがな。 ジーンはおそるおそるスプーンを口に運ぶと、 ぱっと顔を輝かせてこう言った。 「なんて素晴らしいの!おいしい!!素敵!!!」 身振り手振りを交えて、 ありとあらゆる賞賛の語句を並べて、 彼女はワカメご飯に感動していた。 ワカメご飯にシビレルえげれす人。 ううむ。 なかなかじんわりくる風情ですな。 |
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