えげれす通信補遺 ex-01
ある日、いつもの道を歩いてたら、 「Sainsbury(大手チェーンスーパー)」が新装開店してる。 ここは、結構新鮮なものや、 一風変わったものなんかがおいてあるんで、 僕はお気に入りである。 「おっ。センズベリーやんけ。どんなんかなぁ♪」 早速店内探索を始めた僕は、 ちとガッカリした。 ここは、ロンドンの町のど真ん中。 大阪で言えば、心斎橋そごう前っていう感じ。 潰れるやん 兎に角、一等地には間違いないんで、 そないにでかい店を作る訳にもいかんかったんやろと、 一応フォローしたくなる程、こじんまりとした規模。 当然、品物もそれ程多くはない。 Sainsburyといえば、巨大スーパーのイメージが高かった僕は、 「ダイエー」を予想して、その実「サカエ」だった!みたいな(大阪ローカル)、 軽いショックを受けつつ、 それでも、店内を見回した。 デリカテッセン(すぐ食えるものたち)を見ると、 量り売りコーナー以外に、 サラダやパスタなんかが、 容器に入って並んでる。 その中に、寿司があった。 それまで僕は、 こちらの寿司には一度も手を出さずにいた。 何故って、、、信用できひんやん。 いろんな意味で。 いろーーーんな意味で。 然し、この日は、 各種寿司盛り合わせが、 これでもかといわんばかりに積み上げられ、 然もオレを呼んでる。 オレに微笑みかけてくる。 呼ばれるままに手にとって見ると、 シャリは輝き、ネタは踊ってる。 僕の頭の中を、 数々の思い出が駆け巡った。 トロ、甘えび、イカ、ウニ、えんがわ、しゃこ、、、 依然として信用はできないけど、 その誘惑を断ち切るには、 あまりにも思い出のパワーが強すぎた。 アタマに浮かんでしまったものはしゃぁないやん。 この微笑を見よ。 騙されたとしても・・・、ええわ、騙されてみようやないの。 僕は、各種の中から、 なんか、ひときわ異彩を放つ赤い物体が乗っかってる にぎりが入ってるセットを買って、 家に持って帰った。 新装開店だったんで、半額になっており、 勢いで、二つも買った。 さて、数ヶ月ぶりの寿司。 寿司ー♪ 醤油を取り出し、 わさびは、自分で買ってある「ハウス特選生わさび」を 台所から持ってくる。 いざ! ! なんじゃ、この、赤い物体は? もそもそしてて、しかし、妙な歯ごたえ。 めにょめにょしてる。 味はあるんだかないんだか、わかれへん。 兎に角、旨いものでないことは確かや。 表に説明があった。 「これは、ベジタブル寿司です。赤いのは、赤ピーマンです」 だーー。 ピーマンなんて、ネタに使っとんか、ぼけ。 オレは、数ヶ月ぶりに楽しもう思っとったんや、どアホ。 魚はどこや、魚は?! 魚(と書いてサカナと読む)を出さんかい、ぉら。 僕の身体のありとあらゆる器官は、 寿司を受け入れる体勢が完璧だった。 「・・・んまい!」という声をだそうと、声帯はスタンバっており、 目を閉じて、彼らの微笑みに応える心の優しさも持ち合わせていた。 多少の、ネタの古さや、握りの甘さ、しゃりの加減等に不都合はあるだろうが、 それでも、ここはえげれすなのだ。 多少は目をつぶらなければならないだろうし、 寛容な心をもつ人間であることを示さねばならぬ(誰に?)。 それが、ピピピピピーマンかい! さかなを出さんかい、ぉら! 然も、しゃりがベチョベチョしてて、 少しも毅然としたところのない寿司である。 もし、誘拐犯人に目隠しされて、 メシの時間に、目隠しをされたまま、 「おら。食べな」 と言われて、 何が何やら目視できないまま食べるようなシチュエーションだとしても、 つまり、それが「寿司」という食べ物じゃなくて、 何なのか把握できないで、全く新しい食べ物だと思いながら食べる状況だったとしても、 やっぱり、まずいもんはまずい。 えげれすで、誘惑に負けて、寿司を買ってはいけません(笑)。 ロンドン日本食事情、こんなんです。 |
Copyright(C) 玲(Ryo)1998-2006