えげれす通信補遺 ex-02

えげれす通信補遺ex-02 ■Seafood Lovers■ Autumn/2000

今朝、注文してた本が手元に届いた。

アマゾンコムの日本ができたらしいけど、
僕は専らアマゾンUKを使っている。
専門書も結構揃ってるし、
ない場合も、探してくれるし、
そして何より、古本も扱っているというのが便利。

さらに、今や、大きい本屋が身近にない環境なので、
ネットで注文して配送してくれるアマゾンは
矢張り便利です。

で、今朝届いたのは、
実はそんなお堅い本ではなく。
『rick stein's seafood lovers' guide』というもの。
名前が良いじゃないの。
「British Seafood Lovers Association」の会員である僕は、
いてもたってもいられなくなった(間違い探しが一箇所あります)。

この国にも、一応料理番組は結構あるのだ。
頑張る人たちは、頑張ってるらしい。
どう頑張るのかは、依然、「問題多し」だったりするんだが・・・。
で、たまにその手の番組を見るんだけど、
矢張りなんというか、ぱっとしない。
最近流行のモダンブリティッシュなんて言っても、
所詮、フレンチの真似みたいなもので。
(2002年9月加筆:「Naked Chef」を「裸のシェフ」と和訳するのはいかがなものか)

で、先日、BBC2を見ていたら、
或る漁師が映っていた。
そして、一緒に船に乗ってる、
なんか一寸カッコイイおっちゃんが、
なにやら結構しゃべってる。

次の瞬間、なかなか景色のいいキッチンに
そのおっちゃんがいて、
次々と料理をしていく。
この手際が鮮やかなのは、
プロだから当然なんだろうけど、
これ、シーフード専門の料理番組だったのだ。

その名も「seafood lovers'」。
「BSLA公認」である←もうええ。

コンセプトとしては、
このおっちゃんが、えげれす各地を訪ねて、
その土地に揚がる「seafood」を素材に、
その場で料理したり、
あとはその土地の美味しいレストランで食事したり。
BBCは、カメラワークというか、
画面構成は、恐ろしく洗練されているので、
画的にも素晴らしく綺麗。
で、料理そのものも、
おっちゃんの手際よさも映えて、
とっても美味しそうに見えた。

この国は島国の癖に、
あきれるほどシーフードを食べない。
捕れない、ということではないと思うんだけど、
ほんとに、情けない程、
海産物系は虐待されている。

日本は凄いじゃない?
種類で言ったら、
「食用海産物」は星の数ほどありそう。
大体、「出世魚」なんて概念があるくらいだから、
如何に日本文化にとって、魚が重要かがわかる。

然るにこの国は。
おまえら、「海」を何と心得る。

助さん、格さん、試しに「生の蛸」でも食べさせてあげなさい!

黄門さまは、きっとそう言って、お叱りになるであろう。

こっちに来たばかりの頃、
コーンウォールの海辺の港町に行った事がある。
そこは、ブリテン島でも有数の港町だという。
僕らの感覚からいくと、当然、

港町→新鮮な魚

という発想が生まれるわな。
刺身は無理にしても、
なんか、そういうシーフードレストランがあるに違いない。

僕はまだまだ甘かったのだ。
その時は、来英二週間といったところ。
この国の実情を知るには、
些か日数が足りなかった。

この国で、所謂「シーフードレストラン」ってものは、
ほんまに、あきれるほど、数少ない。
海があるから、港があるから、
そんなことには一切関係ない。

じゃぁ何があるのか?

そう。
「フィッシュバー」、つまり、フィッシュ&チップス屋。

なんで揚げんねん

このツッコミ台詞、
夢でうなされるくらい、毎回言ってる。

そして、例えばダイエークラスの大きいスーパーに行っても、
鮮魚コーナーがなかったりする。
さらに、パック売りのコーナーさえもなかったりする。
あったとしても、割合で言うと、

牛5:豚3:鶏3:羊2:ターキー2:魚1(←10になってないけど気にしないで(笑))

そして、売ってるものは、

鱈+鮭+エビ

こんだけ。
その他、ちょちょことあったりするけど。

ながーい前振りになったけど、
兎に角この国の魚事情はこんなんです。

そこへ来て、シーフード専門の料理番組!
僕は、実は、なかなか感動してみてた。

例のおっちゃんが、船の上で
漁師と一緒にホタテを捕っている。
彼は、ナイフで貝をこじあけて、中身を出した。

「お?どうすんねん??」

僕は興味津々見てたら、
何と、おっちゃんは、さくっと生で食べてるやん!
日本なら、当然過ぎるくらい当然なこの流れ。
いくら寿司ブームになってるイギリスとはいえ、
ごく自然に生でホタテを食べたこのおっちゃん。
ただものではない。
きっと、黄門さまに叱られても、
さっくり「生蛸」を食べて、

「こりこりして実にんまい☆ですな」

とか言いそうなくらいの風格を感じた。
そう思って、速攻、注文したレシピ本が今朝届いたというわけ。

そういえばその番組で「シャコ」の料理をやってたのだ。
僕は、段々コーフンしてきて、

「どこやーー。どこに行けば売ってるんやーー」

と絶叫しながら見てた。
然し、漁師さん曰く、

「いえね。そら『採れ』って言われればなんぼでも採るがな。
 でも市場がないんで、採っても売れへんねん」

矢張り、この国で、驚く程限られた種類の海産物しか入手できないのは、
こういう理由があったのか。
黄門さまの世直し旅はまだまだ続く。


 



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