えげれす通信補遺 ex-03

えげれす通信補遺ex-03 ■奴らが来るぞ■ June/2001

本日、2001年6月7日は、イギリス総選挙の日。

イギリスでは、1647年の市民革命と、
1688年の名誉革命という、
二つの、然も世界初の「市民革命」以来、
近代議会政治が発展してきたわけだけど、
ここ暫く、二大政党政治が続いていた。
つまり、保守党と労働党。

保守党で有名なのは、
言うまでも無く、サッチャー元首相。
「変わらない英国」「英国病」などの停滞を打破すべく、
かなり抜本的な改革を断行した。
それと共に、ユーロ反対などの、
英国独自路線を打ち出して、
次々と、この国独特の、古い因習を変えていった。
「鉄の女」と呼ばれたのも彼女である。

同じ女性と言う事で、
クイーンエリザベスとは不仲だったらしいが、
とりあえず、「実行力」という点では、
素晴らしいものがあった。
この国は、日本以上に保守的で、
物事は「100年単位でしか変わらない」と言われる。
だから、時代遅れの法律とかかなり残っているし、
良いか悪いかは別にしても、
何世紀も続いている慣習なんかも多い。
彼女は、相当色々なところを改変したのだ。

それに続くメージャー首相は、
あまり存在感が無かった(笑)。
ま、森みたいなもんだ。

そして。
1997年だったかな。
総選挙で、労働党が歴史的勝利を収める。
指導者は、若き労働党党首、トニーブレア。
彼は、労働党本来の、左路線を離れて、
保守よりの政策を掲げた。
そして、彼もまた、かなり色々な改革を進めてきた。

僕らに関係することでは、
例えば、入国の時のビザが下りやすくなったこと。
これは、ブレアの「留学生拡充政策」の一環。
留学生をこれまで以上に増やすことで、
質を向上させる目的。
おかげで、昔と比べると、
遥かに空港でのトラブルが減った。

あと、例えば、貴族院議会における、
世襲貴族の議員継承権も廃止した。
イギリスには、未だに「貴族」がいる。
それは、大きく二つに分かれる。
「候、公、伯、子、男、準男」爵という、
昔、日本が真似をした元になる「世襲貴族」と、
Sirという「一代限りの貴族」。
前者は、代々受け継がれるけど、
後者は、首相の推薦で叙勲を受ける一代限り。
前者は、だから、代々貴族院の議員に無条件でなれたわけだけど、
これを廃止したのもブレア。
彼は、本当に実行力があって素晴らしい。

今の、国民の関心は、
医療問題、税金問題、福祉問題、教育問題など。
慢性的な医師不足、ベッド不足、病院不足が続いてる英国では、
医療問題は最優先課題の一つ。
ブレアは、確か、ここ数年で、何人だかの、
看護婦・医師を増やすと、具体的数字を挙げて公約している。

しかるに、現在の保守党党首、ウィリアムヘイグは、
独自の政策を掲げずに、「反ブレア」を主張するのみ。
「このままでは労働党の一党独裁になる」なんていう、
全然中身の無い選挙戦略しか掲げることが出来ない。
ユーロからの離脱という、もう一つの支柱も、
「外交問題は票になりにくい」という定説通り、
国民の関心を引くには至ってない。

ユーロに関しては、ブレアは、
その是非を国民投票に問うと言ってるし。
矢張り、どう見ても、労働党の圧勝に終わりそう。

保守党党首のヘイグは、
なんだか、あんまり人気ないのだ。
で、未だに相当な影響力を持つサッチャー女史が、
応援に飛び回っているのだが、
矢張りブレア人気には敵わないみたい。

というわけで、この写真である。





これが、英国一流のブラックジョーク。
このセンス、僕は愛してやまないねぇ。
見るたびに、笑ってしまう。
そして脱力してしまう。
素晴らし過ぎる。

説明しよう(本当はジョークに説明は野暮なんだけど)。

英文の意味は、

「外に出て、投票してや。早よせんと、奴らが来てまうで」

そして、この顔写真。
顔の部分がヘイグ党首。
髪型がサッチャー女史。
そして、この広告を出してるのは労働党。

どう?このセンス。
素晴らしいと思わない?
日本の選挙ポスターなんて、
面白くもなんともないものが多いけど、
英国は、こういうセンスをもってるのだ。
政治でも、こういうことが許されてしまうお国柄。
全く以って素晴らしい。

僕は、これ見ただけで、労働党支持に回りそうである。


 



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