フィジー通信 vol.01
2002年3月11日(月)。 FJ303便にて成田を出国した僕は、 翌12日早朝、Nadi(ナンディ)国際空港に到着しました。 航空券の関係で、この日は入国せず、 一旦、シドニーにやってきました。 本格的な、フィジーでの生活は、 シドニーから帰ってからのことになります。 というわけで、フィジー通信vol.01は、シドニーから。 なお、通信環境が不明なため、 英国でのような更新頻度にはならないかもしれないことを、 予めご了承下さい。 ----------------------------------------------------- 僕は、今、シドニーに来ております。 豪州は、初めて。 初めての土地に来たときに、僕がいつもそうするように、 今日は、当ても無く、ブラブラと街を歩いてきました。 すると、何となく、見覚え・聞き覚えのある臭いがする。 しかも、何となく、懐かしささえ感じる。 そう、「えげれす臭」である。 考えてみれば、豪は、英連邦の一員。 日本とブラジルほども、本国・英国から離れているとはいえ、 やはり、共通するものは多いのだろうか。 そう言えば、昔、豪に留学してる先輩がロンドンに遊びに来たとき、 「G馬場の雪駄」級のフィッシュ&チップスを見せても、 「給食に納豆が出た日の5時間目」級の臭さが広がる、 ビネガー塗れのフィッシュ&チップスを見せても、 それらを笑顔で全部平らげ、その後爽やかに、 「見てる方がゲップが出そうになる程生クリームが乗ってるケーキ」を、 ゲップも出さずにさくっと食べる80代のおばあちゃんを見せても、 こちらが期待したような反応は示さなかった。 やはり、豪は、えげれすの一味なのか? 共通した点は、既に、空港に着いたときから垣間見られた。 僕は、到着すると、「i」に向かい、ホテルの予約をしてもらった。 応対してくれたのは、オペラ歌手級のメイクの濃さを誇るおねえちゃん。 眉などは「麻呂」系なのだが、いかんせん、顔が濃いから、麻呂っぽくはない。 手には、リンゴを持ってる。 「すんません。ホテルの予約をお願いしたいんですが」 ねえちゃんは、笑顔でこちらを向く。 「はい」。リンゴを齧る。「どんな条件でしょう?」 「ええと、シングルで。安いのをお願いします」 「都心でいいわね」。齧る。汁が垂れる。「この料金でいいかしら?」 (まだ、さっきの飲みこんでないんちゃうか)「はあ。じゃ、それでお願いします」 「じゃ、今、バウチャーを作るから」。齧る。あと少しや。「一寸待ってて」 僕は深く頷いた。 全く以って、どっかで見たことある光景。 然もいっつもリンゴと相場は決まってる。 客の応対するときは、せめて剥いて食わんかい<ポイントが違 ねえちゃんは、リンゴを片手に持ったまま、バウチャーを渡してくれた。 「じゃ、はい、これ」。最後の部分を齧る。「良い旅・・・(ガリ)・・・を!」 (種、噛みよった・・・) 街中を歩いてると、さらにえげれすちっくな光景は続く。 えげれすでは、信号無視は非常にポピュラー。 あれは、個人の責任で無視する分にはかまわんので、 みんな、老いも若きも、さくさく渡って行く。 あの光景は、さながら、ゲームを見てるようである。 然も、中央分離帯はおろか、 安全地帯もないようなところでも、 みんな、「センターラインを安全地帯のように使って」渡る。 車も別に減速もせずに、何事も無いように通過する。 つまり、何十センチかしかないような「島」に立ってる人間の間を、 高速通行の車が走りすぎて行く。 靴の長さよりもラインの幅が短いっちゅうねん。 やっぱり、ここもそうだった。 シドニーの街中、車はがんがんに走るが、 歩行者もがんがんに渡ってる。 それを見越してか、青信号の時間もめっちゃ短い。 横断歩道なぞ、絶対渡りきれない時間で、赤点滅になる。 あれは、えげれす以上のスキルを必要とするわな。 そんなこんなで、えげれす臭をそこここで感じる豪であったが、 明らかに違う部分も当然ながらあるのである。 例えば、街並みが、非常に近代的で、洗練されている。 広告も、ペンキの手書きじゃなく、ちゃんと電飾だし、 ビルも、100年前からいっこも変わってない何処かの街と違って、 近代的な高層ビルが立ち並んでいる。 「都会」という感覚は、日本のそれと似ており、 あまり違和感を感じない。 ホテルはさらに驚いた。 リンゴ好きの似非麻呂が紹介してくれたホテルは、 値段の割に、素晴らしく綺麗で、素晴らしくお洒落で、 設備も申し分の無いもの。 中でも、お湯と水の蛇口が一緒になってるのが良い。 えげれす在住者なら誰でもが一度は体験する、 「熱湯と冷水の過酷なるランデブー」。 えげれすでは、蛇口が別になってるのが多い。 冬など、普段は、ボイラーの調子が悪く、ぬる湯しか出ない癖に、 そんな時に限って、熱湯が出るもんだから、 頭や顔を洗うときは、最初、冷えた頭を熱湯で温め、 次に、冷水でそれを覚醒させなければならない。 ・・・こんなん、交互にやってたら、死んでまうわ。 然し、ここは、ちゃんと蛇口が一緒になってる。 熱湯と冷水は、華麗にランデブーを果たしている。 僕は、かなり豪が気に入ってきた。 そして、街中の、なんてことないコンビニに入って、 さらに好感情は倍増した。 「コーラ。ファンタ。アイスティー。・・・カルピス。うん?カルピスぅ?」 カルピス、金のウーロン茶、おーいお茶、ポッカ缶コーヒー・・・。 そればかりか、いかくん、せんべい、カップラーメン・・・。 そんな、素敵なものたちが、普通のコンビニに常備されているなんて。。。 やはり、ここは、欧州ではない。 アジア・オセアニア地域なのだ。 うーん、豪、恐るべし。 魚市場はさらに凄まじかった。 えげれすの魚市場は、「新鮮な魚お断り」の魚市場だが、 豪は違った。 見てくれが既に旨そう。 てかってるし。 種類も多いし。 えげれすにいると、魚の名前なぞ、すぐに覚えてしまう程に、 要するに、売られている魚の種類が少ないのだが、 ここは、かつて見たことも聞いたことも無いような単語が並んでる。 ということは、それだけ、種類が多いということ。 然も、刺身用がちゃんとあって、 それを頼むと、スライスして、醤油とわさびと箸までつけてくれる。 ここでは、「My醤油」「My箸」など要らないのである。 然も、恐ろしく新鮮。旨い! 食べてから数時間、今当たるか?今当たるか??と、 恐怖におののき、冷や汗流し、ありったけの胃薬と正露丸を飲んで、 宣告のときを待つという、えげれすでの、 「刺身用として売ってるのではない魚を刺身として敢えて食う」 という体験をもつ僕としては、まさに天国。 豪は、とにかく、素晴らしい。 僕は、すっかり良い気分になって、 海の傍までやってきた。 シドニーハーバーに開けるサーキュラーキーは、 黄昏時の夕日を浴びて、金色に染まっていた。 僕は、ベンチに座り、海を眺めることにした。 「ええやん、豪。えげれす臭はあるけど、似て非なるものの方が多いやんか」 左隣のベンチには、おねえちゃんが一人で座って本を読んでいた。 すると、おねえちゃんは、ふと左を向いた。 僕は、ある予感、というか確信をもって、彼女の背中を見た。 ・・・! 丈が短いTシャツとジーパンの間から背中が見えてるし、 やっぱり、、、パンツ見えてる(溜息)。 だから、もっと長いTシャツ着ろっちゅうねん! パンツ見せるなっちゅうねん!! もっと、恥じらいを持てっちゅうねん!!! 矢張り、ここは、えげれす連邦であった。 信じたオレがアホやった。 |
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