フィジー通信 vol.04
掃除のおばちゃんのノックで目が覚める。 ここまで、一度も掃除をしてもらってない。 僕は、とりあえず、自分でやれることはやってるから、 いいっちゃいいんだけど、 おばちゃんは気になるらしく、 今日は入ってくるなり、 「何時だったらいいかな?」 と聞いてきた。 いつも、僕がいるので、掃除が出来ないのを 気にしていたらしいんよね。 いい人だ(笑)。 僕は、最初、15時と言ったんだけど、 おばちゃんは難色を示した。 午前中がいいみたいだったので、 「なんなら、僕がいるときにやってくれてもいいですよ。僕は構いませんが」 久しぶりに「If you don't mind」を使ったぞ。 これがさくさくでるようになると、 英語圏にいるんだなぁという実感が涌く。 昔、えげれすで、ジョークカードの絵柄で気に入ったのがあった。 それは、川かなんかで溺れてる人がいて、 助けを求めるために、岸で見てる人になんて言うかという話。 (無作法な人の場合) Help me!!!!!!!!!! (正当なるえげれす紳士の場合) これが、異様にpoliteな英語で、 「I am terribly sorry for disturbing you. But if you don't mind, could I ask you to ・・・」 とかなんとか、やたら丁寧に頼むのよ。 浮き輪を投げてくれってことを(笑)。 溺れてる人の「助けて」の台詞なんやけどね(笑)。 確か、無作法な人には、 岸で見てるえげれす紳士は、プイとあっち向いて、 機嫌を損ねて、浮き輪を投げない。 でも、溺れつつも、politeな英語で「ちゃんと」ものを頼んだ人には、 えげれす紳士は、鷹揚に頷いて、ちゃんと助ける(笑)。 #オレ、このネタ、前に書いたかな? さて、場所はフィジーである。 おばちゃんにそう言うと、じゃあそれでということになった。 こっちがいるときに掃除してもらうのは、 ロンドンの寮時代には、日常茶飯事だった。 僕も、既に、上半身裸+パンツ一丁で、おばちゃんと接してるし(笑)。 まぁ、気にしないということやね。 然し、ロンドン時代は、 僕が余裕で寝ていても、 部屋が真っ暗でも、 掃除のおばちゃんは、勝手に入ってきて、 僕の存在を完全に無視して、 やることやって(実際はやれていないが)、帰って行く。 フィジー人のおばちゃんは、矢張り、もう少し人間的で、 なんとなくすまなさそうに、 然し、天性の陽気さを、その鼻歌かなんかに表しつつ、 ええ感じでやってくれる。 夜になり、メシをどうしようか、 ここのところ、毎日の懸案事項に頭を悩ませる。 買い物行くのも面倒だし、 シリアルとカップヌードルだけにしようかなぁと思いつつ、 大学の門のところを見ると、 なんと、旨そうな、バーベキューちっくな屋台が出てました。 鉄板の上でじゅうじゅう焼ける肉は、なんとも旨そう。 然し、何が最終的にできあがるのかがいまいちわからず、 僕はしばし、そこで見ていた。 奇しくも、先客がオーダーしていたと見えて、 屋台のにいちゃんは、何かを、一生懸命作ってる。 とりあえずは、肉を焼いてる。 「あの肉だけなのか。それとも、なんか、サンドイッチみたいなのになるのか」 見届けないと分からない。 日本の屋台みたいに、ご丁寧に、メニューと値段が出てるわけもない。 自分で見極めないといけない。 スキルがいるのだ。 すると、今度は、兄ちゃんは、ソーセージを焼き始めた。 「へ?ソーセージもあるんや?」 僕は、カリっとパリっと、 シャウエッセンとかの「粗挽き系」ソーセージの、 あの食感を思い出していた。 鉄板の上で焼ける粗挽きソーセージ。 表面がパリパリで、弾けるような噛みごたえ。 日本のバーベキューの心象風景が一気に蘇る。 旨そう。。。 すると、兄ちゃんは、肉を一度、なんとも旨そうな臭いのするタレにつけてから、 再び鉄板に戻した。 タレが焦げるたまらん臭い。。。 兄ちゃんは、同じように、ソーセージも、浸して、戻す。 この辺、見てて、「おぬし、なかなかやるのう」という感じである。 屋台の、そして、「ジャンクフード道」の何たるかを心得てる。 そう、こういう業界は、プレゼンテーションが何より重要なのだ。 滴るタレが、鉄板の上で、じゅうじゅう音を立てて、焦げる音と匂い。 くぅ。 「ほんで、最終的に、何が出来るんやろ?肉とソーセージは別メニューなんか?」 兄ちゃんは、さらに僕を惑わす。 惑わすには、充分過ぎる、必殺のアイテム、 なんと、炒めたまねぎがどこからか出てきて、 彼はそれを肉の上にのっけた。 「乗っけて。ほんで、どないすんねん?」 好奇心は膨らむ。腹はへこむ。 兄ちゃんは、最後に、ケチャップをかけた。 いよいよフィニッシュか? しかし、どう終わらせるんや?? 見届けなければなるまいぞ。 じっと、出来あがるのを待ってた先客のおばちゃんは、 おもむろに金を用意しはじめた。 ということは、完成間近ということか? 兄ちゃんは、ここで、なんと、 紙袋(昔のパン屋とかでパンを入れてくれるような、茶色の紙袋)に、 ソーセージと、たまねぎがのっかった肉とを、 無造作にいれてしまった。 だって、あんた、紙袋やで。 ダイレクトに、肉入れるって、なぁ。。。 肉汁だらだら垂れてるがな。 それを、紙って、おい。 案の定、茶袋は、色々なものに染み出されて、 ぐしょぐしょになっていく。 紙だか、食べ物だか、全然わからない、 不思議と渾然一体となった空間が醸成される。 然し、ここは屋台。 流れが重要。 所詮、ジャンクフードなんて、こんな雰囲気でよろしいのである。 兄ちゃんは、紙袋を、もう一度、ビニール袋に入れた。 ふむ。それなら、まぁ許せるか。 然し、あの袋の中、何かが入ってそうだぞ。 なにげに膨らんでたし。 そうこうしてるうちに、僕の番になった。 「三つ下さい」 何を?とか聞かれるかなと思ったけど、 兄ちゃんは大きく頷くと、又同じ手順を踏み始める。 結局、3つで9ドル(500円弱)を払って、 ブツを受け取ると、かなり重いのである。 期待は膨らむ。腹はへこみまくり。 一体、袋の中には、何が?? 出来あがったので、とりあえず受け取り、 部屋で、広げてみると、 中には、ゆで卵と、それからこれは一体なんぞや? 多分、「キャッサバ」ではないかと思うのだが、 芋に似た食感の、やたらポコポコしたシロモノが入ってる。 だから、出来あがりとしては、 結構、普通やね。 肉の焼いたの、ソーセージ、炒めたまねぎ、茹で卵、そして多分キャッサバ。 充分、ちゃんとしたメシやないの。 肉は骨付きで食いにくかったけど、 それでも、僕としては、なんとなく、「ジャンク満足感」に浸れたのでした。 ジャンクは、味じゃない。 ましてや雰囲気でもない。 要は、「勢い」と「ノリ」なわけで。 日本に帰国したとき、 矢張り一度は「牛」をしばきたくなるのは、 海外在住者の、特に男性の、共通した意見である。 「特盛 つゆだく ネギだく おしんこにけんちん汁。あ、卵もつけて」 こんだけの情報量を一気に伝えて、 なおかつ、それを克明に記憶する店員がいる、「牛」の世界。 深く酔っ払っても、ラーメンと同じ位の支持率を誇る「牛」の世界。 そして、、、よっぱの戦士たちが、自分の立場をわきまえず、 気丈に「特盛」を頼んで、自ら撃沈していく「牛」の世界。。。 くぅ。。。食いてぇ(笑)。 おっと、閑話休題。 というわけで、フィジーのジャンクは、 なかなかに満足させてくれたのでありました。 骨付きの肉片にかぶりつきながら、 僕は、ふと、その隣に鎮座してる、ソーセージを見つけた。 奴も、相当ええ感じの、「タレ焦げ臭」をさせとったのぅ。 食ってみよう。 ・・・? シャウエッセンなら、カリッ、あるいは、シャキーン、パリーン、 そういう、キャシャーンみたいな(笑)歯ごたえがあるはずだし、 また、多くの日本人は、ソーセージとは、今や、そういうものだと思っている。 マルハの魚肉ソーセージさえ知らない小学生は多いだろうと思う昨今、 ソーセージは、「シャキーン」「パリーン」「スワニー(謎)」、 こういう音を立てなければ正しくない。 僕は、去年の6月から、約9ヶ月、日本にいました。 日本人が、似非ガイコク人になるのは、それ相応の時間がかかる。 然し、似非ガイコク人が、真正日本人に戻るには、そんなに時間はいらんのです。 僕は、かなり油断してた。 ソーセージ=カリーン、シャキーン、パリパリーン♪ 響けキャシャーン♪♪ これがデフォルトになってた。 えげれすソーセージは、 ここでも何度か書きましたが、 「パン粉」が入っていて、 食感は、「もしゃもしゃ」「わしゃわしゃ」「ぶにゅぶにゅ」。 およそ、日本人とドイツ人が想像するソーセージとは違うものである。 一発で、アンドロ軍団にやられてしまうくらいの 情けない音しかでないシロモノなのである。 (5パラ戻る) 食ってみよう。 ・・・?! フィジーが、えげれす連邦だということを忘れてた。。。 Oh dear...。 |
Copyright(C) 玲(Ryo)1998-2006