フィジー通信 vol.05

フィジー通信vol.05 ■四季■ 28th/Mar/2002

日本から来るメールは、昨今、
桜の話題ばかり。
晴れたの曇ったの、
暖かいの寒いの、
飲んだといえば一報、
中止になったといえば一報。

ええ。ええ。
今の時期の日本じゃぁ、
桜が話題の中心を占めてるでしょう。
ただ、この国には、四季なぞないねん。
ここに、ひねくれる人間一人。

桜と聞けば、
自動的に「春」と出てくる。
それほどまでに、日本人の中では、
桜は、ある特定のコードの上に乗っかった存在である。
そして、日本には四季がある。
これは日本の、特筆すべき素晴らしさの一つ。
万人が認めるところである。

但し。
四季が無い国(ある意味えげれすもそうだが)に来てみて、
気づいたことがある。

四季があるってことは、
冬もあって、夏もあるってこと。
つまり、寒いし、暑いのである。
然も、日本の場合、その程度は半端やない。
寒暖の両方に激しい。
38度とかになるのに、積雪1mとかになるんやで!
どんな気候やねん。
えげれすは、ある意味、それほど激しくないから、
昔登場のキース@関西弁習いたい、も、
日本の気候には辟易してた。

ここ、フィジーでは、めっちゃ寒い時期って言っても、
まぁ、25度を下回ることはそんなになく、
充分、素っ裸の生活を営める温度である。
勿論、瓶牛乳はデフォルト。
腰に手を当ててね。
あ、おばちゃん、コーヒー牛乳もう一本。イチゴちゃうで。

フルチンかい。

大体、キャンパスの中でも、
アフロだらけなのはいいけれども、
彼ら、時として、素足なのである。
雪駄を穿いてるならいいけども、はだし。

キャンパスで「はだし」。

見ようによっては、かなりインパクトある光景である。
めちゃめちゃ良さげな感じの女の子が、
コンパクトなファイルケースかなんかを小脇に抱えて、
図書館から出てくる。
・・・でも、はだし。

めっちゃいかついヤローが、
ラグビーの練習終わって、キャンパスを歩いてる。
・・・でも、はだし。

きょうび、幼稚園のがきんちょでも、
一日中はだしってことはないやろ。
彼らは、教室に行くときもはだしなんかな。
なんか、ピタピタ、音がしよるしな。

そうかと思えば、キャンパス内、
よくよく見てみると、曙ちっくな顔立ちが多い。
何故か、小錦ちっくよりもメジャーである。
古くは、高見山よりも多い。
男も女も、皆、総、曙。

奴は、見た目なかなか怖そうだけど、
内実はいい人そうやんか。
曙ちっくな学生も、そんな感じやねん。
ヒゲ、生えてても、
それが女性でも、
南国の強い日差しにヒゲがキラキラ輝いてても、
それが女性でも(二回目)、
あるいは、眉が繋がってる男でも、
バカボンに出てくる劇画の世界ではなく、
現実の世界で、生まれながらにして、
赤ん坊としてこの世に生を授かったその瞬間から、
眉が繋がってるオトコでも(ヤな赤ん坊だ)、
曙なら、人類、皆兄弟、ってな、もんよ。

いやしかし。
きっついわ。。。矢張り。
ヒゲ以上に、オザキキヨヒコばりに(古い)、
もみ上げが立派な、ヒゲも生えてて、曙顔の、
ラブリーな女性が沢山いてる。
いいのよ。
でも、きっついな。やはり。

何って、ヒゲはちゃんと、ジレットで剃れっちゅうねん。
産毛なら許す。剛毛は許さん。
そして、眉の間は開けとけっちゅうねん。
日本の散髪屋ではよく、顔剃りのときに、

「眉毛の下はどうされますか?」

とか聞かれるけど、こっちでは、

「眉毛の間はどうしときますか?繋げておきますか?道を通しておきますか?」

とか聞かれて、

「あ、まだ繋げといて。今むっちゃええ感じやねん。眉間にしわ寄せると、
 『ぐぅぅ』て毛ぇにも力入るっていうか、波打つっていうか」
「そんなんできるんですか」
「やってみよか。おりゃ!」
「あ、腋毛、動いてますわ。力入れるとこ、間違ってますやん」

とか言うんかなぁ。

話がずれてる。
四季の話ね。

こちらの建物の構造は、
物凄く通気性が良いんですわ。
外界との遮断性はまことに弱いが、
その分、風は、まことに心地よく入ってくる。
外と内の区別なんて時として分からなくなるくらい。
だから、太陽の日差しさえ遮れば、
風でだいぶ涼しいのだ。

然し、問題点はやはりある。
日本の家屋じゃ考えられないような、
虫とかの侵入がある。
食べ物とかをキッチンに残して、
ちょっとでも油断して寝ると、
翌朝は、絶叫してしまうことになる。

「アリやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

肉眼で、その構造がわかってしまうほどでかい、
えげつない蟻には未だお目にかかったことは無いんだけど、
その代わり、ちっこい蟻が、恐ろしい嗅覚で、やってくる。
一度、中華の食材を残したまんま寝たら、
翌日は、相当パニクってしまった。
ヒッチコックがいたら喜んで「蟻」とかいう映画を撮りそうな、
凄まじい蟻の群れ。
でも、当然なんよね。
ここは、「家屋」とは名ばかりの、遮断性の殆どない空間。
蟻の這い出る隙間くらい、苦労せんでもめちゃめちゃある。

そうかと思うと、ヤモリは普通にそこらを這い回る。
なんか、わからん生き物が、突然わからん声を出す。

「キャー」
「キーイッキッキッキ」
「キャー、イッキイッキイッキ」←一寸嘘

これ、女性が曙に襲われて出してる悲鳴やない。
ましてや後輩曙が、先輩曙に、

「オレのパパイヤが食われへんのか」
「すんません。バナナで勘弁してください」
「あかん。パパイヤや。いけ」
「勘弁してください。。。ぎゃー」

とか言われて、パパイヤイッキを強要されて出してる声でもない。
なんかの生き物やねん。でも何かわからん。
まさに、魑魅魍魎。

「家屋には生き物を侵入させてはならぬ」
こんな信条は、掲げるのがアホらしくなるほど、
当たり前に、外界と繋がってる「家」。
ありとあらゆる虫が普通にそこらを歩いてる「家」。
然し、これは、通気性の問題と切り離せない。
密閉したら、この国では、家は成り立たない。
というか、人が、成り立たない。
暑くて死んでまうねん。
ほんまに暑いねんぞ。

寒ーいところの家は、
隙間風一つで命取りになるくらい、
「遮断」というのが根本命題になる。
如何に外気をシャットアウトし、
如何に内気を保持するか。
アルミサッシとか、断熱材とか、
かつての「遮断の歴史」は技術史でもあった。

えげれすの家は、隙間風だらけだけど(笑)、
それでも、冬の室内気温は、
日本の家なんかよりよっぽど高い。
温水循環のセントラルヒーティングは、
ちゃんと壊れないで作動すれば、の限定付きだが(笑)、
ものすごくあったかいのだ。

さて、日本。
四季がある日本。
然し、冬の寒さは半端じゃなく、
夏の暑さも半端じゃない日本。

フィジーのように、自然の風を頼りにする、
つまり、通気性良く家屋を建築すれば、
夏はいいが、冬は死んでしまう。
逆に、寒さ対策でありとあらゆる努力を講じれば、
風が通らず、風が循環せず、夏は大変なことになる。
要は、寒暖の差が激しいという理由から来ている問題である。

これは、「四季」がある日本ならではのことなのではないのか。
勿論、世界中の、温帯気候の国も勿論そうなんだろうけど、
韓国とかはもっと凄そうだけど、
結局、この問題を、文明の利器が解決することになる。
暖房器具。冷房器具。

こいつらを使うと、温度管理が容易である。
適温を、季節に関わり無く、保持できる。

然し、その結果、都市を中心に、気温が異常上昇している。
日本の昔の夏って、こんなに暑かったか?

フィジーに来てみて、
然も、ここは熱帯の南国なんだけども、
自然の風が意外に涼しいことを、
久しぶりに思い出している昨今である。

・・・とか言ってみたけど、
オレはそもそも、真夏でも、クーラーの室温設定を16度とかにして、
毛布被って震えるのが好きなんじゃー。
やっぱり、クーラー欲しいよー(笑)。


 



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