■アカウミガメ、今治で卵を産む(2004年7〜10月)
 記念すべき第一話はウミガメのお話です。

 さて、あなたは愛媛の海にウミガメがいることを知っていますか?ウミガメやイルカやクジラなんて、どっか遠い外国の海の底の話のように感じられますが、いやいや、いるのです、愛媛にも。

 漁師さんの中には、実際に泳いでいる姿を見た人は結構います。漁の網に引っかかっているのを発見されることも良くあります。弱ったり死んでしまったものが浜に打ち上がって発見されることもあります。愛媛県では5種類のウミガメが確認されています。最も、この5種類のウミガメが愛媛県で生活をしている(生息している)というわけではなく、たまたま流れ着いただけかもしれないものも含まれています。

 さて、ようやく本題に。2004年の7月5日、師匠に1本の電話がかかってきました。それによると、前の日の4日の14時頃、今治市の海岸でウミガメが上陸したのを犬の散歩おじさんが見たということ。しかも、そのウミガメは穴を掘っていたというのでした。なんと!!それは「産卵」していたのでは?!徳島ではウミガメの産卵で有名な海岸があるけれど、愛媛での産卵なんて、しかも瀬戸内側の海岸だなんて、聞いたことない…。

 というわけで、早速海岸へ急行。電話をくださった今治地方局の職員さんに案内してもらって、ウミガメポイントへ。むむー、確かに穴を掘って埋め戻したような跡が。波打ち際からはかなり離れた内陸部で、植物が生え始める部分から4mほど離れていました。(写真右上)

 そこから波打ち際までの砂浜には、ウミガメの足跡らしきものが微かに残っていました。(写真右下の中央)

 でもなあ、昼間に産むかなあ。普通ウミガメは夜に産卵します。ただし、何らかの原因で夜に浜に上がるのが遅れたりして、早朝や昼間に産卵するものもいるようです。確かに7月4日の月齢は16.5、満月の2日後なので、潮の関係からしてもおかしくはないのかもしれないけれど。

 とりあえず、「産んだ」ものとして地方局の人に柵をお願いし、その日は帰ったのでした。

 次の日から、本当に産卵したのかどうだか気になってしようがないM。そこで、7月10日の午前中に一人でこっそり掘りに行ってみました。

 現場には、地方局の人が立ててくれたりっぱな柵がありました。産卵場所は海水浴場のはじっこ。ビキニのおねえさんがうふふあははと泳いでいる側で、帽子を目深にかぶって一人もくもくと手で砂を掘る、怪しい女。本当に卵があったら大変なので、スコップは使えません。

 ひょろっと背の高いおじさんが犬の散歩をしながらやってきて、「ねえちゃん、何やってるん?」「いやあ、ここにウミガメが卵産んだっていうんで、ほんまかどうか探してるんですわ」調査とか言う言葉も入れてみたりして、怪しい者ではないアピールをしつつ、穴掘りを続ける…

 真夏の炎天下、掘ること1時間。ようやく深さ20cmというところでギブアップなり…。

 倒れていると、さっきのおじさんが別のおじさんを連れてやってきました。「ねえちゃん、もっと深こう掘らないかんわ。カメの尻、見えんくらい掘っとったけん」おっと、このおじさんは第1発見者では?!

 おじさんの話によると、4日の昼間、散歩の途中で犬が吼えたことでウミガメを発見。頭から尾の先まで(全長)1m以上あった。穴を掘っているところだったので、産卵するまでには時間がかかるなと思い、しばらくしてから来てみたら、もう卵を産んだ後なのか埋めなおしていた(卵は未確認)。そのうちウミガメが動かなくなったので、近くの人が海水をかけてやると動き出し、海に帰っていった。穴はかなり深く、甲羅の後ろ側がすっぽり入って見えなくなるくらいだったそうです。甲羅の先が尖っていた、という話から、アカウミガメだったことが分かりました。

 ウミガメは普通、60〜70cmくらい穴を掘るそうです。20cmなんて全く問題外なのですが、このままでは倒れてしまうので、今日は終了。発見者おじさんに会えただけでも良かった。

 その後、Mも師匠も怒涛の夏に突入。忘れたわけではないけれど、半分「やっぱし産んでないかもねー」という気持ちもありながら、卵確認はできないままでした。

 ところが…!!なーんと卵はあったんですねー!!しかも孵化していた!

 「一応、確認しておきましょうか」ということで、地方局の人と一緒に師匠が掘りに行ったのは10月8日のこと。

 実はこの夏、砂浜のどこに埋まっているか分からんものを掘り出すという作業がいかに恐ろしいかを体験(※次項の「魚島でスナメリを掘る」をお楽しみに)していたMは、絶対卵は見つからないと思っていました。ところが、その恐ろしい体験から得た経験を生かし、発見時から撮影していた画像をできる限り出力して持って行ったのが大正解。

 60cmほど掘った結果、見事掘り当てた卵は88個、うち70数個が孵化し、殻だけになっていたのでした。

 中身が残っていた卵を割ってみると、中はゆでたまご状態。熱くなりすぎたんでしょうか。そういえば、Mが一人で掘っていたとき、土があまりに冷たいのでこんなもんで孵化できるのか疑問に思いました。かなり低い温度でも孵化できるのか?また調べてみます。

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