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夏、夜の加茂川に潜る。
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昼間でも加茂川の水は冷たいが、夜には更に冷たい。川岸でウエットスーツを着てマスクをつける。暗さからくるちょっとした恐怖心のせいで何となくざわざわしていた気分も、水に入ると落ち着いてくる。ゆっくりと深みに入り、首まですっかり浸かる。カワウソはこんなふうに景色を見ていたのかもしれない。夜の暗さは、自分のヒトとしての存在と、周りの自然との境界を曖昧にしてくれるような気がする。
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水中ライトで水底を照らす。驚いたアユやオイカワが一瞬反応するが、逃げることはない。暗闇が魚との距離を近づけてくれる。天然水族館だ。昼間は隠れているテナガエビも夜には水底を這い、ライトに目が反射する。モクズガニに出会うことも多い。エラがないのがくやしいが、息が続く限り潜っては水底にへばりつく。やがて寒くなりお手上げ。
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それぞれの生きものにそれぞれの活動時間があり、もちろんヒトの活動時間とは一致しない。私たちが昼間に見ている自然の姿は、その自然の半分の姿でしかない。そこにすむ生きものの全てを理解するのは不可能だが、できる限り深く知りたいと思う。そして、その知識を残し伝えたいと思う。
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(西条自然学校主宰 山本)
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2005年8月9日 愛媛新聞 コラム欄「伊予弁」掲載
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