| イノセンス 押井守 背景の絵は非常に洗練され、微細に3D的に描かれている。そのような3D的な背景の中にバトーと、トグサという公安9課のキャラクターが平面的にのっぺりと描かれており、従来のアニメとは異なる不思議なややアンバランスとも言える表現となっている。 多くの見せ場の中で、特筆すべきは、まず、極東の無法都市・択捉における道行くお祭りの風景である。異形の大型張りぼての迫力が迫 る。そして、バトーと草薙素子の「再会」の場面は、やはり感動的であった。素子はバトーの守護天使であったのだ。 しかしながら、バトーやトグサの台詞の多くは古今東西の古典からの引用が多く、早口でぼそぼそとまくし立て、多弁であるからかなわない。ほとんど理解不能である。理解不能でもストーリーにはまるで影響はないのであるが。押井守の問題意識、人形論=人間論の反映であろうが、アニメや映画においてこれを実践するのは困難であろう。マンガや小説こそふさわしい。 バトーにはあまりしゃべって欲しくなかった。バトーには、内面を見つめ、ネットの深奥に思いを馳せていて欲しかった。そうすれば、最高にロマンティックなアニメになっていただろう。 さらに、素子はネットに拡散している帝王としてもっと劇的に登場させるという方法もあったはずである。原作者の士郎正宗の描いた攻殻機動隊2 のような素子である。 思えば、攻殻機動隊とは「草薙素子」という極めて魅力的なキャラクターを産みだし、一気にこれをネットに放り出してしまったので、我々の素子に対する幻想は膨らむばかりということであろうか。 |
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