端午の日・・・・ 殷尭藩
少年佳節倍多情
老去誰知感慨生
不効艾符趨習俗
但祈蒲酒話昇平
鬢糸日日添頭白
榴錦年年照眼明
千載賢愚同瞬息
幾人湮没幾垂名
「書き下し文」
少年の佳節(かせつ)倍(いよいよ)情(じょう)多し
老い去って誰か知らん感慨の生ずるを
効(なら)わず艾符(がいふ)習俗に趨(おもむ)くを
但(た)だ祈る蒲酒(ほしゅ)昇平(しょうへい)を話(かた)るを
鬢糸(びんし)日日(ひび)頭(こうべ)に添いて白く
榴錦(りゅうきん)年年(ねんねん)眼を照らして明(あきら)かなり
千載(せんざい)賢愚(けんぐ)瞬息(しゅんそく)を同じうし
幾人か湮没(いんぼつ)して幾(いくにん)か名を垂(た)れん
「語釈」
*端午・・月の端(はじ)めの午(うま)の日、やがて五月五日に固定
*艾符・・よもぎで作った人形、端午の節句に門戸にかけて邪気を払った
*蒲酒・・菖蒲酒、香りが強いので邪気を払う力があると信じられた
*昇平・・太平
*榴錦・・錦のように美しいざくろ
*瞬息・・瞬く間
「通解」
少年時代にはめでたい日はいっそう趣きが涌いたものだが、年老いた今、この深い嘆きを誰がわかってくれるだろう。
よもぎの人形を戸口にかけるという風習も行わず、ただ、菖蒲酒を飲みながら世の中の太平を祈るばかりだ。
鬢は日々に白くなり、錦のようなザクロは毎年日に映えて鮮やかだ。
千年という時間に比べれば賢者も愚者もあっという間の人生を終える。
幾人が滅び幾人が名前を残すのだろう。
「作者」
殷尭藩(780〜855)
中唐の詩人、秀州(浙江省)の人
814年進士に及第し、侍御史で退官、山水の趣にふける。
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