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伝説の「イル・ジャルディーノ・アルモニコの四季」とは...
「ヴィヴァルディの四季」の録音の歴史の中で、「イ・ムジチの四季」と並ぶ、名演奏として、必ず話題にのぼる超名盤「イル・ジャルディーノ・アルモニコのヴィヴァルディの四季」。
1994年にこの録音が世に出るまでは、「ヴィヴァルディの四季」を含むバロック音楽というジャンルは、「のびのびと美音で演奏するバロック音楽」「癒しのバロック」「バロック音楽は情感が希薄」「宗教音楽(!?)」というようにクラシック業界では認識されていた様に思う。
勿論、1950年代後半から、まるで幕末の志士のごとく「19世紀に新たに作られたクラシックの慣習」と格闘してきたアーノンクール等がいたものの、彼らの成果がようやく認められてきたのもこの90年代である。
さて、イタリアの古楽アンサンブル、イル・ジャルディーノ・アルモニコ(以下IGA)は「アーノンクール・チルドレン」として、90年代前半よりアーノンクール等が開拓してきたバロック音楽のマーケットの広がりともに欧州のクラシック業界で頭角を現してきた。(実際にメンバーはアーノンクールのコンツェントゥス・ムジクスで演奏経験がある。IGAをテルデック・レーベルに紹介してくれたのも、アーノンクールだったとのこと。)つまり、イタリアの「アーノンクールの子供たち」が「90年代のクラシック業界への問題提起」として出した答えがこの「IGAのヴィヴァルディの四季」なのであろう。
ただ、甚だ残念なのは、当時のクラシック・マーケットは彼らの音楽を「イタリア人の情熱」「若手音楽家のロック的音楽」という様に受け取るばかりであった事だ。古楽奏者であり、「アーノンクール・スクール」で学んだ彼らは当然、彼らなりに古楽的な見地で作曲家、楽譜に対してアプローチしたであろうにも関わらず、だ。
常々オノフリが語っている事ではあるが、「作曲家の生活、心情」「当時生きていた人々の生活、心情」「当時の風景、匂い」を「推論」する事により音楽を創り上げて行くのだと。つまり「文献」「スコア」に書かれている事のみを「研究の成果」として演奏する事はしない。
とはいえ、どのような捉えられ方をしようとも、「IGAの四季」は世界的大ヒットとなり、数々の主要なクラシックの賞を総なめし、評論家からも絶賛され、IGAは「イタリアの古楽」というカテゴリーの先駆者となり、「アグレッシヴなバロック演奏」の代名詞ともなった。あまり知られていない事ではあるが、驚愕するべき点は、このCDのソリスト、
エンリコ・オノフリが若干26歳でこの録音をのこした、という点だ。また、より驚くべき点は、彼がヴァイオリンを始めたのが、何と14歳からだった、という点である。(20歳でIGAのコンサート・マスターになっている)
「若い」とか、「イタリア人の情熱」とか「アグレッシヴ系古楽」という世間の批評とは関係なく、オノフリという「本物の天才」の演奏が生み出した20世紀最後のヴィヴァルディの名盤がこの「IGAの四季」だ。
ここまでこの名盤を絶賛しながらも、誠に残念な事にこの「20世紀の超名盤」は昨今のCD市場の低迷により、テルデックレーベルを所有していたワーナー・ミュージックからの発売が休止されている。

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