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┏━━━━━━━.:*:・”━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ☆ 週刊 落maga 創刊号 2003.9.19(金) ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ・コラム「らくごの言霊」〜さりげない名文句 ・「はなしのついで」─1 『桂小米朝の世界』 ・「寄席めぐり楽天日記」 読者のお便り〜落語日記 ・「ピックアップ近日落語会」 **** 「じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ‥」と、電車の中で楽しそうに唱える幼児たちに出会うたび、思います。落語の芽が、おチビちゃんたちの胸の中でぴょこんぴょこんと顔を出し、知らず知らず育っていくのかもと。 **** 創刊号です。「にほんごであそぼ」ならぬ「落語であそぼ」って感じでしょうか。初めてお目にかかる読者の方、そして、8月に終わった「落マガ」から継続して読んで下さる読者の方も、ふつつかもんですが、これからどうぞよろしくお願いいたします。 **** 新聞でたまに落語評を書かせてもらっています。いつも悩みます。落語ぐらい演者によって印象が変わり、見た人それぞれに受けとめ方が異なる芸能はないですから。それだけ奥深くて多様でナマなもの。そんな上方落語を探検する「落maga」。ホームページ担当うっきぃ嬢の強力サポートの元、毎週金曜日にお届けします。 ◇========================================================================= コラム「らくごの言霊」〜さりげない名文句 =========================================================================◆ レコード屋で歌舞伎名台詞集のCDを見つけた。「知らざぁ言って聞かせやしょう」みたいな名セリフが詰まっているのだが、落語にも忘れられない名文句がたくさんある。それも、紋切り型や名調子ではなく、人生や社会の真理をついたさりげない言葉の数々が。 ポピュラーな古典や珍ネタ、落語家独自に入れたものも含めて、心に響いた名文句を拾っていく試み。まずは、個人的に多大な影響を受けた言葉から。 ☆『人間いうのものはね、これ、あんたのんやと思うたよってに、洗とい たげたで〜ちゅうもんや。悲しいかな、どうしても「たげた」いうのを はかすんや。けど、あいつ(お鍋)はそういう、ややこしいもんをはか さへん』 (桂枝雀口演「仔猫」より) …桂枝雀の「仔猫」は、恐ろしい習癖を持つものの、けなげな働き者・お鍋にとりわけ優しかった。お鍋が奉公する店の男たちにこんなことを言わせている。「人一化け九」と普通なら入れる不器量の形容も使わず「人に笑いを誘うオモロイ顔」としているだけだ。 恩きせがましく「たげた」をはかさないお鍋は、だれかれ構わず親切。その心根の誠が聞き手の胸をチクリと刺してしみ入る。独自の挿入にも、爆笑王・枝雀の人間観察の鋭さと普遍の情がにじんでいた。 ◇========================================================================= 「はなしのついで」─1 『桂小米朝の世界』 =========================================================================◆ 9/27にサンケイホールで開かれる「桂小米朝 落語の世界」。これを皮切りに来年3月の京都・南座まで、愛媛県・内子座や熊本県・八千代座など由緒ある芝居小屋を中心に全国計8カ所で公演する。 芸能生活25周年を記念した独演会。サンケイなどでは父であり師匠である桂米朝が出るほか、南光、ざこばといった看板も勢揃いする。お祭りのようでもあるが、さにあらず。桂小米朝という落語家の第二のスタートを期したもの。が然本気勝負なのだ。 「桂七光でございます〜」と、にこやかに自分を揶揄し、「ファンですの、お父さんの」と言う人がいかに多いか、で笑わせたりする。忘れんぼの数々の失敗談を披露して三枚目にもなる。そんな超楽天的とも言える明るさで、桂米朝の息子であるプレッシャーをはねのけてきたのだろうか。良くも悪くもずっとマイペースでやってきた印象がある。 モーツァルトの生まれ変わり、と自ら称し、最近の「オペらくご」まで、クラシックとの共演は数多い。「ドイツ語会話」出演も含め多芸多才ぶりを発揮した幅広い活躍は、かえって落語家として見えにくくもしていた。 そんな小米朝が変わってきたのは、一昨年の独演会あたりから。同じくサラブレッドの林家こぶ平に触発され「景清」に挑戦した。盲目になった男の焦りと哀しさ、最後に満願成就となってお月さんが見える感激・感謝を見事に演じきった。昨年は「地獄八景亡者戯」をオーソドックスな旅ネタとしてていねいに演じ、落語のダイナミズムを届けてくれた。 そして、今回の全国公演。どれだけ本気かは、この所のいろんな会への神出鬼没の口演回数にも表れている。この前のTORII寄席での体当たりの「愛宕山」や岡町落語ランドで見せたリハーサル的な「三枚起請」の熱演など。腕を磨くことに、こんなに真剣な小米朝さんを見るのは初めてかも…(笑)。 甘い二枚目のぼんぼん顔は、高座に上がれば惚れぼれするような華があって、話芸は王道の気品と細やかさを保って軽快だ。十八番の「たちきれ線香」や「親子茶屋」 「崇徳院」 「七段目」など、これ以上の若旦那はない!というぐらいニンにぴったりだし、「はてなの茶碗」 「替わり目」 「軽業」 「蛸芝居」 「質屋芝居」 「掛け取り」をはじめ「持参金」 「高津の富」 「青菜」 「皿屋敷」 「桃太郎」 「くっしゃみ講釈」など、持ちネタもバラエティに富んできている。 「これを機に飛躍したい」と言い、米朝師匠は「本芸をもっと」と叱咤と期待をこめている。27日は初心に返る意味で「子ほめ」と、古典の中でも難しさで群を抜く「三枚起請」を演じる。さて、桂小米朝はどう変わっていくんだろう。楽しみだ。サンケイは完売で見れない、という人は10/1のTORII HALLでの「奮闘会」をごらんあれ。 ◇========================================================================= 「寄席めぐり楽天日記」 =========================================================================◆ ちょっと前になるが、「桂都丸リクエスト落語会」(8/29〜31・Team火の車けいこ場)が面白かった。リクエストの行方に興味津々、全力でぶつかる都丸も痛快で3日間通ってしまった。トリの演目を5席用意し、開演前に客が投票して選ぶもので、結局、1日目は「質屋蔵」、2日目は「皿屋敷」。そして最終目は、大方の予想をくつがえして、「風の神送り」(ちなみに筆者も入れた、笑)が選ばれた。 何年もやってない、と不安げだったが、客は大喜び。わるい風邪がはやった時、町の衆が風の神をまつって川に流して退散してもらおう、という風習があった。そんな互助精神を、若い衆や親父さん、お手かけさん、やぶ医者、しぶちんの主人など、町内のさまざまな人々を活写しながら、ほのぼのと描いていく。 今では想像もつかないハリボテの風の神さんを担げて「か〜ぜのか〜み、送ろ!」と、はやして川に投げ込む。一貫して目に浮かぶ光景は、庶民の楽しげな暮らしぶりだ。どうして、こんなノスタルジックなイイ噺が埋もれてるのか、ふしぎ不思議。静脈瘤手術で入院してた都丸さん、病み上がりとは思えない力演。暑い8月が似合う人だ。 さて、先週見た中では「兵庫区民寄席」(9/12・兵庫公会堂)もうれしい手応えだった。 <昭和46年組同窓会>なる企画で、桂雀三郎、桂文太、笑福亭仁智、桂春駒という分厚い利尻昆布みたいに味わい深い面々が揃った。芸歴32年の揺るがない世界をそれぞれ披露した。雀三郎は南京豆のリフレインで大笑いさせる十八番「遊山船」、文太はうぶな若旦那が遊廓で朝を迎える描写がたまらない「明烏」、春駒は庶民的な語り口がぴったりの「あみだ池」。 そして、仁智が「源太と兄貴」だった。この前の「新世紀落語の会」(9/9・HEP HALL)でも演じた得意ネタで、2年前の独演会「笑いのタニマチスペシャル 仁智ライブ2nd」で「川柳は心の憂さの吹きだまり」とともに好評を得たもの。 「清貧の人々〜」と副題がついていたように、不況で食っていけなくなった愚直な?やくざ2人の物語。姉妹がやってるパーラーにいちゃもんをつけてゆすろうとするが、注文したウインナコーヒーを見て「ねえちゃん、ウインナ忘れてるで」と怒って逆に恥をかく…。 てな具合の時代錯誤ぶりで、伝書バト売りや埋蔵金探しや、どれもこれもズレた「しのぎの方法」ばっかり。仁智の新作は、自分を笑うような皮肉っぽさと、情けなさを肯定するペーソスがある。ことにこの作品は一人漫才みたいな、ボケとさらにボケたツッコミがテンポよく回転する中で、人間の可愛い滑稽味を出して共感させた。 仁智さん、さすがに巧いな! =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= <読者のお便り〜落語日記!> **** 9月前半を振り返れば、約5万人でにぎわった「彦八まつり」(9/6、7・生國魂神社)でヒロポンズ・ハイのライブに遊方の髪型はバンド向きと納得し、噺家の多彩な「住吉踊」では染丸と米左がさすがに美しく、川柳大会では女を扱った句を発表する露の五郎に老熟の艶を見てどっきりした。 **** しかしまあ、やっと優勝。ほんとうによかったね!! 今年ほど阪神タイガースがマクラの話題になった年はない。特に夏ぐらいからはどの会に行っても阪神の話が必ず。「六甲おろし」の合唱もあったりして、あまりファンでなくっても、そりゃもう歌うしかないです(笑)。 **** 落語会を見た感想やマガジンへのご意見、それに昔の思い出の高座とか、なんでもけっこうです。お便りを送ってください! お待ちしていますぞ。 あて先はこちら→ rakumaga@hcc6.bai.ne.jp ※読者のお便り窓口です。以前からの読者の方は(お便りを下さってありがとう!)アドレスを変更しています。どうぞこちらへ。 =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= ●落語は一人で見ても面白いが、笑う時にはだれかと笑いたい。感想もだれかとしゃべり合いたい。そのためにマガジンは必要です。「落マガ」ファンだったので、復活に期待しています。 (ゲンパチさん) ●突然、「落マガ」が終わったのであわてました。このメールが復活第1号に載るといいと思って送ります。8/27にあった「お米とお豆腐」(大阪能楽会館)で見た「太郎冠者伝説」という「落言」についてです。うまくできてました。ゲームに興じる教師を吉朝さん、そのゲームに出てくる男と狐、大魔王を狂言の3人が演じて、ドタバタ調でクモの巣まで飛び出し、大笑いでした。このドッキングはちょっと遊び過ぎという感じもしましたが、「落言」初体験はすごく楽しかった。…「週刊 落maga」、また、頑張ってください。 (子ネコの1365番さん) ** なんと、福岡からうれしいお便りが来ました。お互い、がんばりましょう! ● こんにちわ。 福岡でアマチュア落語活動をしております粗忽家企鵝(そこつやぺんぎん)と申します。 「週刊 落maga」創刊おめでとうございます。実は、私の所属するアマチュア落語会「内浜落語会」もこの度メルマガを創刊することになりまして、まぐまぐに登録していたところ、「落maga」を発見。さっそく読者登録しました!当方は大学落研OBを主体として、初心者もあわせて約30名で活動しており、月に 一回の「商店街寄席」を開催するなど、福岡市を中心に活動しております。メールマガジンもとりあえず、会の活動報告を中心に隔週での発行を考えており、9月19日に創刊号を発行する予定です(同じですね!)。 テーマが落語、しかも偶然創刊日が同じ、ということで不思議な縁を感じました。参考までに私が所属する「内浜落語会」のホームページ、私・企鵝のホームページをご覧いただければ幸いです。 内浜落語会ホームページ http://www.sokotsuya.com/~kanchyou/ 粗忽家企鵝ホームページ http://www.sokotsuya.com/~penguin/ ◇========================================================================= 「ピックアップ近日落語会」 =========================================================================◆ ◎「帝塚山 DE らくごパラダイス」 9/23(日) 午後2時 無学(南海粉浜・阪堺線東粉浜駅) 帝塚山でまた楽しそうな落語会がスタートする。第1回目は、個性さまざまな人気者が揃い、桂吉坊が「商売根問」、桂かい枝が「いらち俥」、笑福亭銀瓶が「天災」、それに桂雀々が「口入屋」を披露する。 笑福亭鶴瓶の会は予約殺到でなかなか見れないが、「無学」(この名は鶴瓶のアマチュア時代の芸名)は落語ファンならぜひ足を運んでおきたい所。六代目笑福亭松鶴が住んでいた家を鶴瓶が買い取って99年に小さなホールとして蘇らせたものだ。50人も入ればいっぱいのスペースながら、舞台は大きくて豪華。 ちょっと行きにくいが、まさに落語パラダイスな雰囲気に浸かりに、ぜひのぞいてみてください。問い合わせはリバーボトル・電話0798-33-5699まで。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* ◎「桂文太のあいうえおコレクション」 9/27(土) 午後6時半 文楽東ビル(大阪・日本橋) 99年9月に「あ」行からスタートした会も、ようやくこれで完結する。「一目上がり」 「いろはセレクション」と独自の会を実施してきた桂文太が、才能と持ち味をいかんなく発揮し、「話芸と作話術」を極めた会だ。 多くの東京ネタを上方流に移植。それだけじゃなく、豊かな創造力で大幅にアレンジし、説得力と情と無邪気な笑いを加味した。いくつもの後味の悪い展開やサゲを変え、温かみのある名編に仕立て直してもいる。独特の世界を作り上げて、落語の醍醐味と幸せを届けてくれる語り部。古典も手抜きはなく、軽妙さに心が宿っている。 五十音順で2席ずつ毎月(12月のみ休)披露してきた最後は「ん」。演目は古典の「ん廻し」と「贋作・ん」を演じる。受付でくれるぺろぺろキャンディをなめながら、じっくり楽しんで下さい。 |
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