高級品考
ポッカレモン(清涼飲料)が無果汁の合成飲料であるのに、天然のレモンジュースとまぎわらしい表示をしていたことから、商品の不当表示の問題が世間の注目を集めたことがある。これが契機となって、各種商品の材質や成分、割合等が明示されるようになり、消費市場に大きな進歩と改善をもたらした。
ところが、案外問題にされないのが、デラックスとかハイクラス、スペシャルといった横文字の表示である。最近は細かな日用品に至るまで、この文字が記入され、私たちも何となくそれに気休めと安心感を託して買物をしているのではなかろうか。
身近な例をとってみよう。
この夏、汗とりにざぶざぶ洗えるクレープの婦人用肌着が二、三枚欲しいと思い、出かけてみた。ところが、ハイクラスとやらで、装飾の刺繍やレース、フリルなどがひらひらしていて、価格の高いわりに生地そのものは上等ではなく、汗とりという本来の目的より装飾的な感じが強い。
夏物は生地や縫製がしっかりしていて、はげしい洗濯に耐えるものが、本当の意味で高級品だと思うのだが、デラックスとかハイクラスという意味は、今日では装飾過剰の代名詞にされ、横文字の語感やムードによって、商品を実質以上によく見せようという狙いと相俟って、濫用されているようである。
半面、このような品がよく売れているのは、みてくれがよかったり、インスタントに間に合えばよしとする、現代主婦かたぎにうまく迎合しているからで、主婦自身、反省しなければならないと思う。
昔から、ふとんわたは品質と等級をはっきり表示して来た商品である。「月雪花」とか「松竹梅」の印は、そのまま一・二・三級を表わし、掛けぶとん、敷きぶとん、座ぶとんの何れにするか、買い手はその用途に応じて、品質、価格とも納得のうえで、適当なものを選ぶことができた。使い途によっては、なにも一級品を求める必要はないわけで、漠然とした高級品ムードに釣られて品物を求めたりせず、目的と用途に応じた具体性のある表示と買い方をしていたのである。振り返って学ぶべきではなかろうか。
(42年9月11日)
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