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作品一覧 クリッブ&サッカレー バーティー ダイヤモンド警視 その他 短編作品


Sergeant Cribb and Constable Thackeray
1Wobble to Death死の競歩1970村社伸訳
2The Detective Wore Silk Drawers探偵は絹のトランクスをはく1971三田村裕訳
3Abracadaver殺しはアブラカダブラ1972風見潤訳
4Mad Hatter's Holiday帽子屋の休暇1973中村保男訳
5Invitation To A Dynamite Partyダイナマイト・パーティーへの招待1974中村保男訳
6A Case of Spirits降霊会の怪事件1975谷田貝常夫訳
7Swing, Swing Together 絞首台までご一緒に1976三好一美訳
8Waxworkマダム・タッソーがお待ちかね1978真野明裕訳
クリッブ部長刑事とサッカレー巡査のコンビが活躍するヴィクトリア朝警察小説。ちょっとジミな感じもするシリーズ。1〜3は文庫はなく、ハヤカワ・ポケットミステリ刊(1201、1361、1353)。

1)シリーズ第1弾。この時代に流行った過酷な競歩競技を題材にしてるところが、スポーツに詳しいラヴゼイらしい。
2)そして2作目はベア・ナックル(素手)の拳闘試合。
3)ミュージック・ホールで次々と起こる事故。
4)楽しみは避暑地ブライトンの浜辺での双眼鏡による人間ウォッチング。
1部ではそんな怪しいオジサンが一人の女性に一目惚れしちゃって近づいていく。2部でクリッブ達が登場。Mad Hatterとは、もちろん不思議の国のアリスから。
5)連続爆弾テロを阻止すべく、クリッブがIRAの前身組織に潜入しての冒険活劇。ちょっとロマンスも?謳い文句は『ラヴゼイ流007』。確かに、ちょっと昔風な雰囲気の007かもしれない(あれほど派手ではない)。
6)上流階級で流行の降霊会。その間を狙った窃盗事件を追っているうちに、人気の霊媒師が変死を遂げ…。
7)ベースはジェローム・K・ジェロームの『ボートの三人男』(+犬)。
誰も彼もがその話題の本の真似をして河下りをする中、容疑者の三人男(+犬)を探すクリッブ。ジェロームの本を読んでいなくても楽しめます。
でも、久しぶりに読んだせいか、ストーリーが甘い気もします。クリッブがあまり敏腕とは思えない。訳出が一番遅かったのはそのせい?ジェロームの本も日本ではあまり有名ではないしね。一緒に行動するお嬢さんハリエットが元気。読むとオックスフォード辺りを舟で旅したくなるかも。
8)高級写真館の助手が殺され館主の妻が逮捕される。彼女は恐喝されていた為毒殺したと自白し、絞首刑が決定。ところが後日、彼女の自白と矛盾する写真が内務大臣に届き、クリッブは単独で極秘捜査をを命ぜられる。刑の執行までは限られた日数しかない。果たして真相は?

当時は公開処刑が廃止された直後、「見世物」がなくなった為、処刑の日には人々は代わりにマダム・タッソー蝋人形館へその死刑囚の人形を見に行ったそうで。絞首刑執行人ベリーはそこに目をつける。脇役ながらも彼の行動も少しずつ関わってきて...。面白かった。邦題もいいですね。★★★


Bertie, Prince of Wales
1Bertie and the Tinman殿下と騎手1987山本やよい訳
2Bertie and the Seven Bodies殿下と七つの死体1990中村保男訳
3Bertie and the Crime of Passion殿下とパリの美女1993中村保男訳
英国皇太子アルバート・エドワード(愛称バーティー)が主人公のシリーズ。高貴な人物がお忍びで冒険しまくりって、それじゃまるで水戸黄門か暴れん坊将軍って感じ?のんのんのん、ホームズの時代に皇太子バーティーが探偵となって繰り広げるおちゃめで楽しいシリーズ。

1)自殺した騎手の友人に一体何があったのか?それも「来たか、あいつら」(Are they coming?)という謎の言葉を残しての拳銃自殺。本当に熱病による錯乱なのか?捜査を進めるうちに更なる殺人事件が...。バーティー、出番です。
2)若くて美しい未亡人主催の狩猟パーティーに招待されてわくわくのバーティー。ところが、ディナーの最中に招待客の一人が突然デザートに突っ伏し息絶えた!そしてその後も次々と。なーんとそれはある童謡の詩の通りに行われているではないか!と気が付いたバーティー。あれ?マザーグースの詩の通りに殺人が行われていくっていう有名な話がありましたねー。1990年はクリスティー女史の生誕100周年の年でした。
3)今回はパリ。女優サラ・ベルナールと一緒に探偵さ。画家のロートレックも出てくるよ。ムーラン・ルージュで起こった殺人事件、花の都パリでの殿下の活躍をご覧あれ。


Peter Diamond (すべて山本やよい訳)
1The Last Detective最後の刑事1991
2Diamond Solitaire単独捜査1992
3The Summonsバースへの帰還1995
4Bloodhounds猟犬クラブ1996
5Upon A Dark Night暗い迷宮1997
6The Vault地下墓地1999
7Diamond Dust最期の声2002
8The House Sitter漂う殺人鬼2003
9The Secret Hangman処刑人の秘めごと2007
ピーター・ダイヤモンド警視が主人公の現代もの。巨漢で昔気質の頑固オヤジタイプ。R.ヒルのダルジール警視、C.デクスターのモース警部、心理探偵フィッツと、イギリスではハンサムキャラよりそういうキャラの方が人気なのだろうか。

1)そうか、そうだったのか!
2)なんと日本が舞台に!でも、なんかちがう…。ミステリアス・ジャパニーズなり。ともあれ日本人の少女が鍵、謎の中心となり、ダイヤモンドさん日本やN.Y.へ。似ているようでもイギリスにとってアメリカは外国、別の国なのねというのがちらほらあっておもしろい。
3)1作目でバースの警察を辞めてしまったダイヤモンドのもとに再び警察からの要請が。かつて彼が逮捕した殺人犯が脱獄して、無罪を訴え副所長の娘を誘拐、交渉相手にダイヤモンドを指名。仕方なく協力するも、実は警察に復帰したいダイヤモンドさん、内心はシメシメ。
4)猟犬クラブとはミステリー愛好会の名で、その会員達が事件に巻き込まれる。世界最古の切手ペニー・ブラックの盗難、それがジョン・ディクソン・カーの本に挟まれて発見され、その後会員の一人が殺されて(それも密室殺人)、彼は特にカー(密室殺人といえばこの人ですね)に詳しい人物で…とミステリーファンには愉しいbitsがいろいろ。★★★★
5)
6)バースのローマ浴場の地下で白骨化した手が発見される。同じ頃、実はメアリ・シェリーが『フランケンシュタイン』を執筆したのがその付近だったという事が知れ渡り話題に。同作品を題材にしたウィリアム・ブレイクの絵らしき物まで発見されそちらの真贋も気になる。
目に浮かぶのはローマ浴場の深緑の水、ローマ風の遺跡。壁画。水から引き上げられた品々も展示されていたね。その横のバース寺院。壮観なロイヤルクレセントの景観。ブレイクの絵、詩。

感想は...まぁおもしろかった。バースと言えば作家ジェーン・オースティン。それは有名だけど、そこで『フランケンシュタイン』が書かれていたとは!というのが皆を驚かせ興味を惹かせる(文学好きだけ?)。警察官希望の金髪ジャーナリスト、インゲボルグは前作で異動してしまったジュリーに代わるのか?ダイヤモンド警視が今までよりも良い人物のようなイメージがしたのは気のせい?文学に対する知的好奇心&探究心旺盛なアメリカ人教授とその奥さん夫婦もいいね。★★☆★★★
7)ダイヤモンドの妻ステファニーが!!!
8)事件はふたつ。ダイヤモンドはなかなか登場しない。
@ 浜辺での女性の絞殺事件。
A 世間にもまだ公表を控えている連続殺人事件。

@の殺された女性は優秀なプロファイラーで、何度も警察の協力をしていた。それにしても、周りは人だらけの浜辺で一体どうやって誰にも気づかれずに殺すことができたのか?

事件が起こったのはワイトヴュー・サンズの海岸。担当はボグナー・リージズ署のヘン・マリン主任警部(+ステラ・グレッグスン部長刑事)。このヘン・マリンのシリーズがこの後2作出ているのです。だけど、読んでいてもそう切れる人物とも思えなかった。なぜだろう。。。ダイヤモンドとは気が合うみたい。葉巻をしょっちゅう吸っている。
被害者の女性エマの住まいはバースだった。そこでダイヤモンドさん登場。プロファイラーのエマが関わっていたのは連続殺人事件で、有名な映画監督がクロスボウで殺害され、コールリッジの詩『古老の船乗り』からの一節が残されていた。他に二人の有名人の予告がされている。
このエマという人物、最初はクールな才女のような印象だったのに、解読された秘密の覚書の内容が赤裸々で、ずっとこんなのを読まないといけないの?とちょっと思ってしまった。多分最初の印象とのギャップのため?

エマはこの連続殺人鬼に殺されたのか、はたまた全く別の人物に殺されたのか?

連続殺人の担当はサセックス警察署のジミー・バーネストン。若くて優秀、落ち着いた自信にも満ちている長身の刑事。ただの担当刑事かと思ったら実はエマと関係していた事が分かる。ならば容疑者リストにのるはずなのに、知り合いのためかヘンは疑うなんてとんでもないといった感じ。他に疑わしい人物として、エマが最近ふった彼氏のケン。

結局、、、犯人が分かった時には「えっ?!」っと思った。ラヴゼイの予想を裏切る結末や犯人は好きなのだけど、この「えっ!」は予想外というよりも、それじゃあちょっとつまんないじゃん、という感じもした。まぁ、予想外という意味ではいつも通りやってくれたのだけど…。そして、犯人は本の登場人物欄に出ている中のひとりに違いないのだから、おのずと限られてくるしね…。
浜辺の事件の方はと言えば、これまた「えっ、そんなことなの?!」でした。

確か初期のころは、押しが強くてズケズケものを言う頑固ガムシャラ刑事だった(?)ダイヤモンドさん、近頃どうしても‘押しが強い’とか‘イヤな’人物には殆ど思えず。ケンの尋問の時はちょっとって思ったけれど、全体を通してとっても良い人にしか思えないのはなぜだろう。もしかすると読み手の私の問題かもしれない。★★☆★★★


その他オススメ
1)偽のデュー警部
The False Inspector Dew (1982) 中村保男訳

これは必読!やられた!★★★★★
2)死神の戯れ
The Reaper (1992) 山本やよい訳

文庫の帯には“神をも震えあがらせる不埒なサスペンス”。そして、死神に魂をぬかれぬようとあるけれど、ホラーではありません。 悪事を働く牧師さん。期待した程のひねりはないような気もするものの、やはりそこはラヴゼイ流。最後にニヤリ、でもちょっとブラック?


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