がんばれ!!難病患者 日本一周激励マラソン1999.7.25〜11.29

今,北海道在住の澤本和雄さんが難病患者への支援を訴え,
6200Kmを走り続けています

がんばれ!難病患者 日本一周激励マラソン
【1999.9.4 澤本さん〜中央ブルーのパンツ〜と(高尾山口駅前にて)】

 この日のコースはユネスコ村(所沢市)から京王線高尾山口駅を経て大月駅までの68K。夕べの宴会と帰宅後の「もう一杯!」の名残りで家を出たときは高尾までのつもりだった。
 私とぴょっちが西武線西武球場駅に着いたのは6時。スタートの7時まではずいぶん時間がある。今ごろ,澤本さんは何をされているのだろう,と考えながら球場前のテラスで自販機のブラックコーヒーを飲んだ。昨夜の宿舎だったユネスコ村入り口近くの小さな民宿の前には日本一周の絵や激励の看板を掲げたワゴン車が止まっていた。もうすでにスタッフの人は準備を始めていた。事務局の伊藤さんに挨拶をしていると,奥から真っ黒に日焼けした小柄な澤本さんが出てきた。
 勝手な想像なのだが,厳しい表情の中に疲労の蓄積が見えるようで声をかけるのがためらわれた。この日までに澤本さんが走った距離は2200Kほど,日数にして42日間。考えただけでも体中が重くなってきてしまう。
 スタート直前にともさんが自宅から走ってきて合流。私たち3人がまずは伴走させてもらって走り出すことになる。ワゴン車一台に事務局の伊藤さんと2日からこのあたりのナビをしている東京事務局の山崎さん,ワゴンの運転をしたり,写真を撮ったりと八面六臂の働きをする阿部くん,そして,実際にランナーのすぐ後ろを750CCのバイクで伴走をしてくれる佐藤くんの4名のスタッフとともに澤本さんは無駄のない,キロ6分のペースで走り始めた。
 武蔵村山市役所前で難病連のみなさんが出迎えてくれる。期せずして市長までが出迎え,ちょっとしたセレモニーになってしまう。ここからはこの地区の代表の方が五日市街道まで先導してくれる。しかし,本当に日本の道は車のための道になりきっている。ランナーは歩道が切れると車に接触しそうになりながら走らざるをえない。
 国道16号にでる少し前から雨がときどき降り出す。拝島でのりちゃん,マロンさんが合流。一気に集団が膨らむ。その後,雨の中を杖をついて待ってられる患者の方と澤本さんは力強く握手し,お互いが励まし励まされている感じだった。
 堂方上付近で豆蔵さんが合流し,国道16号を八王子めざして走る。途中1.5Kごとに給水をするが,澤本さんは電話連絡などで遅れるのりちゃんに気を使ってられた。八王子市に入ると急に雨がひどくなりだし,20号に入ってからのアーケード街がちょうどいい雨よけになる。西八王子駅前で,良江さんが合流。遅れて八王子に着いたまゆみさんが2Kほど後を追いかけている。雨は降ったり止んだりだが,それがかえって心地いい。そしてまゆみさんが追いついた高尾山口駅前で,たくさんの難病患者のみなさんやその家族の方々に歓迎を受けた。
 FWELLのみんなはここで見送ることになるが,私は大月まで行こうと決心した。なぜならここまでたくさんの伴走がついていたのに急に澤本さん一人になってしまうのがとっても寂しく思えたから。そしてもう一つは走りながら澤本さんのこの着実な走りのエッセンスを吸収したいと思ったから。
 というわけで昼食をとった後今度は私と澤本さんの二人旅が始まった。

 大月まで42Kと表示がある。あとフル1本分。緊張していた。足手まといになりそうならすぐにやめようと一方では思いつつ,何が何でも澤本さんの背中だけをみて走り続けようとも思った。道はすぐに上りになって,大垂水峠まではほとんど上り続けるのだが,澤本さんのペースは全く変わらない。そして不思議なことに私自身苦もなく上り続けられるのだ。二人きりになって少しお話をした。今回の日本一周の準備のこと,ここまでの道のりのこと,いまの体調のこと,レースのこと・・・ 寡黙な澤本さんの口からぽつりぽつりと出る言葉を独り占めしたかったから大月まで走ることにしたんじゃないかと思えるほど私はじっくりと味わった。

 しかし,距離は減らず,上り下りが続くうち私の呼吸が少しずつ荒くなっていった。1.5Kずつの給水なんて,と思っていたのが嘘のように待ち遠しくなっていく。たった1分ほどの休みを取るだけなのだが,それが次の1.5Kの力になる。雨が強くなって,それが私から体力を奪っていくのがわかる。わずかな給水時間に澤本さんが私に食べ物や飲み物をとってくれた。スタッフの伊藤さんや山崎さんも大丈夫ですかと聞く。でも,「さあ,行きましょうか?」と澤本さんに声をかけられるとたちまち重い体に力がみなぎった。
 相模湖町や上野原では秋祭りの最中で祭囃子に祭礼の飾りが私たちを迎えた。祭りの人たちや追い越していく車の人たち,コンビニから出てくるちょっとヤンキーなお兄ちゃんたちまでがんばって!と声をかけてくれる。その度に澤本さんは元気な笑顔を返していた。
大月駅にて,澤本さんと握手! 大月市にはいったころにはもう真っ暗になっていた。後ろをバイクで走る佐藤くんが歩道をライトで照らしてくれる。あと2Kちょっとというところで,休憩なしで行きますか?と澤本さん。ここまで来ればもう元気だから,「ハイ」とよいお返事。
 大月駅ではたくさんの難病連の方たちに出迎えられた。澤本さんはたぶん疲れているのだろうが一人一人と握手して話をされている。私は車の陰で着替えを済ますとお世話になったスタッフのみなさんに挨拶をして帰ろうとした。そのとき澤本さんが車に積んであったアミノバイタルをとって私にくれた。「今夜2本飲めば筋肉疲労に効果があります」そして,別れ際にもう一度握手しながら「しかし,強いですねえ。よく頑張りましたよ」とお褒めの言葉をくださった。「11月に東京に戻ってきたときにまたお会いしましょう」名残惜しかったが,私はそういって別れた。

 健康で走れることに私たちは感謝しなくちゃいけない。健康に感謝しながら私は走り続けなくちゃいけない。暑いの何のと言ってはさぼってちゃ駄目だ。疲労が回復したら,11月の再会に向けて私も私なりのペースで走り続けよう。


きょうは あなたの町を走っているかもしれない・・・

全行程でなくてかまいません
1歩でも2歩でも思いを一つにして走りたい

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