初心者のための株式投資入門

最終更新 2007.10.09
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あなたはチャンスを手にする
人目の人です。
| 「オレは株式投資をやっている!」と言うと「本当に大丈夫?」「損することもあるんでしょ」と心配されることが多い。事実これまで何度か損もしてき
た。もちろん損以上に得もしているわけで通算すればかなり得をしていることになる。ただ、それはあくまでも「これまでは儲かった」というだけのこと
で、将来も必ず儲かると言うことを保証してくれるものではない。そんな意味ではやはり株式投資とはリスクを伴うものである。それを承知の上で以
下のオレの見解を読んでもらいたい。
|
「これから投資をはじめようと思っています。」
「とりあえず何を買えばいいですか」
「上がる株を教えてください」
このような質問をよく受ける。 初心者にありがちなパターンである。はっきり言おう。「明日から確実に上昇する株など
はありえない。あればオレが買う」である。そんなことわからないのである。わからないものを予想して判断して、ある程度
のリスクを覚悟してそれから買うのである。だからオレは答える。「まず勉強してください」と。仕組みをじっくり理解し、ルー
ルを知った上でないと勝負に参加できないということを最初に理解して欲しいのである。
オレは実際に株式投資を始めるまでに一年かかった。一年間は「見(けん)」に徹したのである。勝負をするには
まずその場の流れや雰囲気を理解しないとだめだ。戦うには事前に相手を知るべきである。証券会社に口座を開設する
前に、オレはせっせと日経新聞を読んだ。世間で起きているさまざまな事象から起こる株価の動きをオレなりにあれこれ
シミュレーションした。円高や円安の影響、原油高や戦争のもたらすもの、実際に起きた事件と株価の変動。そんなことを
あれこれと考え、机上株取引を行いつつ自分の予想の確かさを調べていたのである。もちろん予想は当たるときもはず
れるときもある。ただ、100%的中させるのは不可能だ。せめて70%当てることができればそれで十分だと考えていた。
いくつかの銘柄をピックアップして、翌日に上がるか下がるかを予測し、結果を見て「何勝何敗」というふうに星取り表をつ
けた。その作業をかなりの長期にわたってオレは続けたのであるる。
買った株が翌日からいきなり大きな値上がりをはじめるというような僥倖は滅多にない。たいていはその逆である。そこ
で、「長期的には上昇だから」と持ち続けるか、あきらめてすぐに損切りするかの判断を迫られる。そのうち徐々に下がり
始める。いつかは取り戻せると思って待ち続けるうちにどんどん値下がりして、損失がどんどん膨らんでいく。オレは何度
もそんなことを経験した。いつか上昇してプラスになってからとか、せめて買った値段に戻ってからとか、そんなふうに考え
ながらいつまでもそのままにしておくこと、これが俗に言う塩漬けである。
投資を始めたばかりのまだ資金の少なかった頃、オレは無謀にも「液晶テレビならやっぱりシャープだ!」と1795円でシ
ャープ(6753)を1000株買った。すぐに100円近く値上がりした。「やったぜ!」と思ったオレは「2000円になったら売ろう」と
決めたのだが、韓国製品の攻勢などで株価はそれからどんどん値下がりをはじめてしまう。いったん底を打ってから値を
戻し、わずかにプラスになったところで売却するまでに実に1年以上の時間が掛かったのである。その間、180万近い資
金はどこにも動かせなかったのである。わずかな資金で投資してるのに、いきなりそのほとんどを使い切ったからこのよう
な失敗が起きたのである。騰がったら利益を確定する。損をしそうになったらすぐに損切りして逃げる。そうしたフットワー
クのよさこそが確実に利益を出す方法である。10年先を見据えた投資をしてるのではなく、自分は目先の利益を求めて
いるのである。どんなに長くても数ヶ月以内に勝負の結果を知りたいのである。(おそらく多くの投資家はそうだろう)だっ
たらやはり目先の利益を求めて投資行動を起こすべきなのだ。そういうわけだから
「今なら何がいいですか?」
という最初の質問にはオレはやはり答えられない。とにかくよく研究してくれと答えるしかない。そうして丹念に見ていると
次第に見えてくるものがある。特定の株の値動きが推理できるようになるのである。つまり
「じっくり見ていれば、何がいいかわかりますよ」
というのがオレの答なのだ。その上で実際の投資行動を起こせばいいということなのである。もちろん100%確実に勝て
る株式投資というものはない。そこにはリスクが存在し、判断が間違っていれば撤退する勇気も必要だ。何を買えばいい
かわからないときは、わかるようになるまで待てばいいのである。チャンスが来るまで虎視眈々と「見」を貫けばいいの
だ。
株式投資を専業にしていて、いつもカネを稼がないといけない人なら別だが、普通の人は投資は人生のオマケみたいな
ものである。だから自分にとってのチャンスが来るまで待てばよいのだ。毎日のように売買しているデイトレーダー
の中で、実際に生活費を株だけで稼げる人が一割もないというのは、毎日勝負しないといけないからである。馬券を買う
ときに、全レースに投票しないといけない場合と、自信のあるレースだけに投票する場合を考えてみよう。おそらく後者の
方が勝率は高いはずである。「今だったら何を買えばよいのか」と闇雲に探すのではなく、自分が興味を持った銘柄や、
自分の仕事の関係でよくわかる業界の銘柄などをまずはじっくりと観察し、その上で売買のタイミングを待てばよいのであ
る。
人に勧められて株式投資をやってみて、たちまち数十万、数百万という損失を出してしまう人がいる。そんな人が買った
銘柄を尋ねるとたいていが同じ失敗をしている。オレなら絶対に手出ししないような銘柄を買ってるのだ。その失敗とは
「値上がりしている株をその頂点(高値づかみ)で買ってしまう」ということである。確かにぐんぐん騰がってる株を見て、自
分もそこに乗り遅れたらいけないと思う心理はよくわかる。でも、その時にすでにその株が本来持ってる適正株価を超え
ている時はもう買ってはいけないのだ。
ITバブルの頃、光通信(9435)の株価は20万円を超えた。その後ブームが過ぎた時、この株は暴落して2000円を割
ったことがある。実に100分の1以下になったのである。オレならそんな銘柄は怖くて買えない。どうしても値下がりのリス
クをオレは考えてしまうのである。タカラ(7969)も同様だ。子供用のオモチャとしてベイブレードが大ヒットしたとき、オレが
気づいたときにはすでに株価は安値200円台のの3倍近く、600円を超えていたのである。「ここからはもう騰がらないだろ
う」とオレは見送った。まさかその後で株価が1000円を超えて株式分割されるとは思ってもみなかったのである。しかし、
オレはタカラを買えなかった臆病な判断を間違ったとは思っていない。投資する上で大切なことは、勝つことではなくて負
けないことだとオレは思うからだ。リスクの多い勝負をすれば確かに勝ったときに大きな利益を得ることができる。しかし、
負けたときの損失も大きい。
タカラはその後業績不振から急落し、トミーと合併することとなった。もしも高くなったところでつかんでいればやはり大きな損失を出したのである。自
分のとった「見送り」という判断はある意味正しかったと言える。
新興市場株の多くは適正株価ではない。ろくに配当も出していない銘柄が、分割を重ねて実態が見えないままに上昇し
ていくとき、そこに株価バブルが生まれる。ライブドア(4753)は2004年6月、株価が6000円台だったときに1:10の分割を
行った。600円台になって値頃感が生まれ、しかも新株の流通までに株不足の状況が起きたために株価は連日のストッ
プ高をつけた。プロ野球近鉄バファローズ買収という話がなぜその時期に出たのか。オレはそこに株価操作みたいなも
のを感じてしまうのである。ライブドア株は一時は1000円を超えたがその後急落し、2004年10月には300円近くまで下がっ
た。分割時の半値まで売り込まれたのである。このような株を売買することは「資産運用」ではない。ギャンブルである。オ
レの目指すのはそのような危険な投資ゲームではない。あくまで冷静な市場分析と確かな運用で資産を確実に増やすこ
とが目的なのである。たいした資金もないくせに株に手を出し、ヤフーみたいに株価が100倍になるような夢を描いて新興
市場株に投資する行為で一攫千金の夢を叶えられるのはほんの一握りの人たちであり、大多数は損失を出して撤退して
いくのである。
その後、ライブドアは粉飾決算と虚偽報告で証券取引法違反に問われ、上場廃止という結末に至ったことはみなさまもご存じのとおり。値動きの軽
さから人気があったライブドア株を大量に持っていたために、莫大な損失を出して撤退していった個人投資家も数多くいたのである。その会社がどん
なビジネスを行っているのか。何を作って何を売っているのか、そうした実態が見えにくい企業に対して投資することはかなりリスクが大きいと言うこと
である。
運良く何倍にも値上がりする株を手に入れることができればいい。しかし、どの株が大きく値上がりするのかというイン
サイダー情報は一部の者にだけ独占されていて、一般の投資家にはわからない。上昇し始めてから初めてわかるのであ
る。新聞や雑誌に取り上げられたときにはもう最初に持っていた人たちは売り抜けて利益を確定した後であり、躍らされ
た一般投資家が高値でババをつかまされるだけである。何倍にもなるという可能性は最初から捨てることである。そうで
はなく、資産を減らさないことを大前提にして投資を行うのが大切だ。そういう意味では投資信託もオレは薦めない。中国
株に対象を絞ったものなどの特殊な商品でない限り、投資信託の運用成績はどれも似たり寄ったりで、日経平均が下が
ってる時は同じように下がる。しょせん平均的な投資しかできないのである。ところが運用にかかる信託手数料はしっかり
と引かれてしまう。値下がりして損をしていても引かれてしまうのである。運用するヤツがバカなのでゼニを減らされたとい
うのに、その上さらに手数料をとられてしまう。これでは盗っ人に追いゼニだ。自分で判断して投資行動を起こすから、た
とえ損をしても納得できるのである。そして、自分で機敏に運用した方がはるかに勝率は上がる。それはオレの投資成績
を見ればはっきりしている。
定期預金の金利が0.1%台という信じられないような低金利時代にあって、株式の配当利回りはかなり期待できる。た
とえば北陸電力(9505)の株価は2004年10月末で1813円、配当利回りは2.76%である。電力会社は100株単位で購入でき
るので、18万1300円でこの北陸電力株を100株買えば、一株あたり50円(つまり100株で5000円)の年間配当を受け取る
ことができるのだ。定期預金なんかするのならこちらに投資した方がよっぽどいい。一時的に値下がりすることがあって
も、長期保有することでそのリスクを回避することができる。また、きちっと配当を出している企業の株価はそれほど値下
がりしない。配当利回りから考えて適正な水準に必ず落ち着くようになっている。電力株は各社2.5%以上の配当利回りが
期待できる。一般企業と違って倒産の恐れもない。関西電力の美浜原発では配管破損で死者を出すという事故が2004年
夏に起きたが、それによって起きた値下がり幅は最大でも5%程度だった。それくらいなら2年間配当金を受け取れば取
り戻せるし、実際には事故の前の株価水準にもう戻っている。オレに言わせれば、退職金などの資金を安全確実に運用
するなら、電力株がお薦めである。
オレが最初にこの稿を書き始めてから1年半のうちに電力株はどこも上昇し、北陸電力株は2510円(2006年3月28日)と実に40%近く上昇した。そ
のときにこの稿を読んでその通りに実践し、定期預金を北陸電力株に変えていた人は資産を40%増やしていたわけである。値上がりしたとはいえ配
当利回りが定期預金金利をはるかに上回るという状況は相変わらずであり、電力株が個人投資家にとって魅力的な投資の対象であることは間違い
ない。
電力株に次いでお薦めなのは鉄道株だ。公共輸送機関という特性上つぶれる心配がない。ただ、西武鉄道株みたいに
親会社の不正が明らかになって暴落するというリスクもないわけではないが。ここで阪神電鉄(9043)株を例に取ろう。下
に引用したのが1995年〜2004年(10年間)の阪神電鉄株の株価チャートである。

290円近辺まで下がることはあっても、そこから下に行くことはない。つまり阪神電鉄株は290円くらいが底値であるこ
とがわかる。ときどき上に長くヒゲのように線が伸びてるが、これは優勝争いしたりするという特別なイベントが発生したと
きである。そんな時に買うのではなく、300円以下の安値の時に仕込んで(2004年11月2日現在で337円だが、いずれ3
00円近辺に落ち着いてくるだろう。)おけば値下がりリスクはほとんどないと言える。なぜそれ以上に下がらないのか。そ
れは阪神電鉄が毎年5円/1株の配当を実施していて、株価が300円として年間1.67%の配当利回りに相当するから
である。1000株あたりで一年間に8枚もらえる優待乗車券は金券屋に売り飛ばせば1600円分になる。配当の5000
円と合わせて6600円と考えれば配当利回りは2.2%ということになる。電力株に比べれば利回りは良くない。しかし、
数年に一度思いがけなく訪れる「優勝争い」というビッグイベントの時は暴騰して値上がり益が見込める。もちろん高値の
時に売り抜けて、また安くなってから買い戻せばいいのである。5000株以上所有していれば甲子園球場での阪神戦の
観戦招待引換券(2席分)がもらえ、ホテル阪神で使える優待割引券もある。婚礼優待割引券などは何度も結婚する人に
はかなりお得である。そういうわけで電力株に次いで安定運用に向いてるのが電鉄株であると言える。
2005年秋、突如村上ファンドは阪神電鉄株の大量取得を発表した。優勝を前にして400円近かった株価はすでにある程度上昇していたがこのニュ
ースによって急騰、連続ストップ高で1100円を超えた。せっかく割安だったのがこの事件のために上がってしまい、かなりの割高株になってしまって
投資妙味がなくなったことが残念である。できることなら村上ファンドが投げ売りして暴落し、元の株価水準に戻って欲しいモノである。
高校の同窓会で逢った友人が、「ぼくの勤める会社、不景気だというのにめっちゃ儲かってるんですよ。国内シェア1位
なので安定していますし。今度株式公開するんでよろしくお願いします。」と語った。オレはその言葉を信じて当時900円
前後だったその株を2000株買った。後に1:1.2の株式分割が行われて持ち株は2400株になった。株価は600円近くまで
下がったこともあったが、「儲かってる」という友人の言葉を信じて持ち続けた。毎年約2.5%の配当金をもらい続けなが
ら。その後株価は上昇し、1200円近くになったのでオレは売却することにした。売却益は90万円近くになった。(もっとも
オレが売却した後で1400円近くまで値上がりしたのだが。)
投資する時に大切なことはその企業が実際に利益を上げているかどうかである。赤字会社でありながら大きく値上がり
していたりするのはまっとうな現象ではない。おおかた仕手筋などが介入して値をつり上げて、そこに食いついてきた素人
の投資家のゼニをカモろうとしているのである。
以下、オレが実際に投資に成功した実例をいくつか紹介しよう。
体験談1・いすゞ自動車 体験談2・JUKI 体験談3・明治乳業 体験談4・阪神百貨店
株価の動きを示すチャートと呼ばれる図表の中で、一日の値動きの指標として使われるのが、ローソク足というもので
ある。中が白いものが陽線と呼ばれ、始値よりも終値が値上がりしていた時に出現し、中を黒く塗りつぶしたものが陰線
と呼ばれ、始値よりも終値が値下がりした時に出現する。
陽線

陰線

その株が値上がりしてる時は陽線が出やすいし、値下がりしている時は陰線が出やすい。また、それぞれの上下に棒
のように飛び出た部分をそれぞれ上影(上ヒゲ)、下影(下ヒゲ)と呼び、その長さもまた値動きの動向を測る指標となる。
長い上ヒゲが出たときは値下がりのサインであると言われるし、逆に長い下ヒゲは値上がりのサインだと言う。(実際はも
っとさまざまな要素が絡んでくるので一概には言えないけれども)
株式投資初心者はたいてい現物取引しかしない。だから「信用取り組み」という数字の意味についてよくわかっていな
い。マネックス証券の銘柄ごとの画面では次のような情報を見ることが出来る。以下に示すのは明治乳業(2261)の2006
年8月2日現在での信用取り組み状況である。買残というのが信用取引で買われてる株がどれだけあるかであり、売残と
いうのは信用取引で売られてる(要するに空売りされている)株がどれだけあるかということである。表の左側は信用取引
全体の数字であり週に一度更新される。そのうち日証金の扱いの分だけは毎日更新された数字が出る。それが表の右
側の数字である。
2006年8月2日 明治乳業2261

なぜここで、明治乳業を取り上げたかというと、この銘柄は極端に売り長、つまり空売りされすぎた状態にあるからであ
る。信用取引で買った株は制度信用取引の場合は半年以内に反対売買(つまり、売り)を行って決済しないといけない。
同様に空売りした株は半年以内に返済買いしないといけないのである。大量に空売りされている株は、それから半年の
間にその空売り分が返済されることとなる。つまり、長期にわたって買い需要が発生するということで長期的に株価上昇
の圧力となる。同様に大量に信用買いされている場合は、それが長期にわたって売り圧力となるわけだ。たいていの株
は買い残の方が売り残よりも多い。それは市場全体での信用取引の金額が、買いの方が売りの4倍くらいあるからだ。
株が徐々に値上がりし出すと、当然「このくらい上がるともう上がらないだろう」という判断から空売りする人が徐々に増え
始める。また、何か悪いニュースがあったり決算が悪かったりすると、値下がりするだろうという期待から大量に空売りさ
れることとなる。
仕手株と呼ばれる一部の銘柄では、この信用取り組みの数字が売買拮抗していることが多い。その場合、株価は両者
の駆け引き次第で上下に劇的に動くことがある。買残が増えて売残が減る場合、株価にとってはマイナスの要因なので、
一般に「取り組みが悪化した」といわれる。逆に売残が増えて買残が減る場合は、上昇する可能性が高まるので「取り組
み良化」ということになる。大量に信用売りされたいわゆる「売り長」の状態のままで株価が上昇を続け、新たに空売りが
入ってもさらに上昇するという展開が起きることがある。これは「踏み上げ相場」と呼ばれる現象で、空売りしてしまった
投資家を犠牲にして(踏み上げて)株価が上昇するのだ。売ってる方はどんどん含み損がふえていくので、追加で空売り
してそこからの値下がりを期待するか、あるいは返済買いして損失を確定するか、あるいは売ってる数量と同じ株数の買
いを入れて(両建てと呼ぶ)、含み損がそれ以上増えないようにするか、いずれかの選択を迫られる。もちろん何もしない
という人もいるわけだが、そういう人にはいずれ追証という危機が待っている。これは含み損が拡大しすぎて、証券会社
に預けている保証金の金額を超えてしまうような状態である。そうなると追加で保証金を入れないといけなくなる。いずれ
にしても、信用取引というのは少ない手元資金で大きな利益を出すチャンスのある取引手法だが、同様に大きな損失を
出す可能性もあるということを忘れてはならない。
今回は売り長になってるサンプルとして適当なものとして明治乳業を取り上げたが、ここが空売りされた原因は2006年7月11日に公募増資を発表
したからであり、11%もの株式の増加を嫌気して大量に空売りされた分がこうして売残となっているのである。公募価格は667円であり8月2日現在
の終値702円から見れば、空売りすればその差額が利益として得られる可能性があるということで売られたわけである。信用取り組みを参考にする
場合はそうした情報にも十分に注意しておく必要がある。
株価というのはふつうは業績に連動して推移するものである。業績がよいから上昇し、悪いから下げる。ところがそうし
た理由とは全く無関係な形で劇的な値動きをする銘柄がある。それが仕手株である。株価が何倍にもなることもあるため
うまく安いときに仕込むことができれば大きな利益が期待できる。競馬で大穴を当てることを誰もが夢見るように、株式投
資で仕手株を上昇前に仕込むことも投資家誰しも思い描く夢である。仕手株として狙われるのはたいてい小型株か中型
株である。発行株数の多い大型株を動かすにはそれだけ大きな資金を必要とするために、狙われるのは中、小型株であ
り、一部よりも二部株、東証よりも大証がこの仕手筋のオモチャにされることが多い。まず本尊と呼ばれる仕手筋が安値
で買い集めてから徐々に値上がりを始める。その過程で少しずつ空売りが増えることで出来高も膨らんでいく。まずは下
のこのチャートを見て欲しい。東証一部の農機具メーカー丸山製作所(6316)の2004年7月〜2006年7月の2年間の株価
チャートである。ほとんど値動きのない200円台の銘柄だったのが、2004年の11月頃から突如上昇をはじめるのである。
別に業績がよかったとかいう理由はない。この丸山製作所を仕掛けた本尊はK氏筋と呼ばれる仕手グループであるとウ
ワサされたが真偽のほどは分からない。ただ、面白いのは上昇がはじまる直前にチャートは小さな動きを示している。こ
の段階で実は「仕込み」が行われてるのである。上昇前に一定の株を仕込むためには出来高を必要とするからである。
その後の上昇率はびっくりするほどである。1200円近くまで上昇したので6倍近く上げたことになる。もしも上昇前に200円
で1万株買っていれば、それが1200万円近くになるわけだ。それもわずか半年の間にである。こんな仕手株に多くの人が
とりつかれるのもよくわかる。しかし、話題になって人々が気づいた時にはもう十分に上昇した後なのである。この丸山製
作所のように半年掛けて上昇したような息の長い相場はまれで、たいていはもっと早く終わる。一日で終わることもある。
上昇の途中で飛び乗るにはかなりの勇気を必要とする。

この丸山製作所の場合、上昇が始まってすぐに大量の空売りが入った段階で「空売り禁止」の措置がとられた。相場の
沈静化を図るためである。通常ならそこで相場は終わる。誰もがそう信じて空売りした人は簡単に買い戻さなかったので
ある。しかし、空売り禁止のままどんどん上昇し続けた。400円付近で空売りしてしまった人の多くは財産をなくして退場し
ていった。年明けに少し調整したが、その後も丸山製作所は上昇し続けた。100万株単位の大きな買い板(いわゆる見せ
板)が常に株価の下支えのストッパーとして存在する実に不自然な上げ方だった。(東証はちゃんとこれを取り締まるべき
だったと江草は思っている。これこそまぎれもない株価操作ではないのか!)4月になってやっと空売り禁止が解除され、
大きく下げたので相場が終了したように見えた。大量の空売りが発生した。そこで相場は第二幕に突入したのである。G
W前の急上昇で多くの売り方は踏み上げられ、株価が1000円をこえてストップ高になった日に二度目の空売り禁止措
置が取られた。一日に100円近く上下する派手な動きで買い方も売り方も振り回されて損切りさせられ、2000円を目指す
と言われながら6月に入って突然相場は終わった。50万株近い大きなストッパーのような買い板が存在して下値を支えた
ので、「まだ終わってない」と多くの個人投資家がこの下げ局面で押し目買いを狙ったが、それはただ落下するナイフをつ
かもうとするだけの愚かで危険な行為だった。結局ジリジリと値を下げることとなり、その後一年を経て今は次第に定位
置である200円台に戻りつつある。丸山製作所のこの相場はもはや伝説となってしまったが、実際にその仕手戦の渦中で
売買した者は売り方買い方の殴り合いのようなあの激しさを忘れることはできないだろう。
その丸山製作所の相場が終わった後、丸山を仕掛けたのと同じ仕手筋が狙った銘柄であるとウワサされるのが紀州製
紙(3882)である。丸山製作所同様に2004年7月〜2006年7月の2年間の株価チャートを下に示す。200円台からストップ
高をつける上昇でいったん300円台に乗せて来た後、大量の空売りを浴びて値下がりする。その時にはなんと発行株数
の25%にあたる2000万株も空売りされてしまい、浮動株がほとんど空売りされてしまうという異常事態になったのである。
そんなに大量の空売りが入れば通常は株不足になって空売り禁止の措置が取られるはずである。しかし、紀州製紙はな
ぜか空売り禁止にはならなかった。株価は再び上昇し今度は400円を超えてきたのである。「丸山製作所の再来」と多くの
投資家が期待して400円近いところを買ってきた。東証がやっと空売り禁止の規制措置を取ったとき、一時は2000万株を
越えていた信用売りの残はかなり減っていた。どういうタイミングでこの規制が発動されるのかどうもわからない。

空売り禁止の中で上昇し続けた丸山製作所と違い、紀州製紙はそれほど粘ることもなくあっさりと相場は終わりを告げ
た。3ヶ月後には300円台を割り込み、そのまま緩やかに下がり続けた。途中何度か再度の相場到来を期待させたが、だ
まし上げと呼ばれる一時的な上昇に終わった。株価はいつのまにか定位置に戻ってしまった。紀州製紙にしても丸山製
作所にしても、全く業績とは無関係にこの相場は発生したのである。相場を仕掛けようとした本尊が、たまたま浮動株が
少なく値段も低位だったこれらの銘柄を選んだだけのことである。もしも業績の裏付けのある銘柄なら、上がりきったとこ
ろで値動きが終わる。それなら意味がないのだ。株価の上昇と下降と、この二つがセットにならないと意味がない。値上
がりで利益を確保し、空売りを入れて今度は値下がりの利益を確保する。この二本立てでかせぐのである。本尊と呼ば
れる仕手筋にとっては、往復で利益を取ることが肝要なのだ。そして個人投資家はたいてい安いところで空売りしては踏
み上げられ、一番高いところで買わされるのである。丸山製作所の相場が始まったとき、500円台で「高すぎるからもう買
わない」と言っていた人が、1000円台の激しい値動きを見てあわてて買ったりしたのである。結果は見てのとおりである。
君子仕手株に近寄らずである。個人投資家はこんな危険な銘柄には手を出さない方がいい。業績の裏付けのある
銘柄を地道に投資すればいいのである。
さて、5で仕手株のことを否定的に述べたが、たとえリスクを負ってもそんな激しい動きをする銘柄で勝負したいと思う個
人投資家も当然いるわけで、もちろんそれを江草は否定しない。投資は自己責任である。丸山製作所のような6倍にもな
る銘柄を誰しも初動の段階で買いたいと思うだろう。しかし、どの銘柄がそうして急に値上がりするかはわからないわけ
で、結局ある程度値上がりして注目されてから買うことになる。初動の段階での利益を手にすることはなかなかできない
のである。そして、その値上がりもいつまで続くのかわからない。自分が買った時が天井だったということもある。そうなる
とずっと塩漬けにしたまま損失を抱え込むことになる。そんなことにならない必勝法が、江草の得意な仕手株の空売りで
ある。次の3条件を確かめよう。
@チャートから完全に相場が終わったことの確認(頂点を過ぎている)
A大量の信用買い残があることを確認(一日の出来高の10倍以上)、
B出来高が激減(最も多かったときの1/10以下)してるのを確認
それからさらに時期を待って空売りにはいるのだ。本来の実力以上に上げられた株価はいつかは適正株価に戻る。信用
で株を買ってる人は半年以内に決済しないといけない。値下がりすればどんどん含み損はふくらんでいき、場合によって
は追い証を入れなければならなくなる。だから大量の買い残はそのまま売り圧力となって、長期にわたって株価を押し下
げるのである。以下に示すのは大証二部、6624田淵電機の例である。

2005年9月には瞬間的に400円を越えているのだが、そのあとは徐々に下がり、最終的には半値以下に下落している。
これは投資顧問がいわゆる「ハメコミ」を行って個人投資家に高値で買わせ、その後暴落した典型的な例である。株価が
一番高かったときのちょうど半年後(つまり信用取引の期限)に最安値を記録してることからもこの株価のカラクリがわか
るだろう。その高値から少し下がって、出来高が激減して、さらに解体相場と呼ばれる騙し上げを経てから仕手株は完全
に終わるのである。後に残るのは塩漬け株を抱えた個人投資家たちだけである。あとはもう値下がりするだけだ。
次いで示すのは小林産業(8077)の例である。ここも田淵電機と同じ投資顧問が推奨して株価を吊り上げたのだが、
2006年1月〜3月に一挙に崩れた。もともと出来高も少なく、さほど注目されていなかった銘柄ほどこういう形で仕手筋の
オモチャにされやすいのであ。崩れるまでに約半年という法則はここでも見事に生きている。焦らずに時を待って、下がり
出す前に空売りすればいいのである。こういう銘柄はいったん下がり出せば坂道を転げ落ちるように下がる。ただ、小林
産業の場合、崩れることはわかっていたが高原状態で維持してる期間が長かったために、焦れてしまって売り方が多く撤
退していった。仕手株はいつか必ず下がる。しかし、チャートの形は上記田淵電機とは大きく異なる。

この小林産業を1月末の520円の時点で1万株空売りするとしよう。必要な資金は520万円の30%だから156万円であ
る。(実際にはぎりぎりの資金ではなくて200万円くらいの資金があった方がいいが・・・)1ヶ月後の2/28の終値372円で
返済買いすれば148万円の利益が出る。156万円の資金で148万円の利益が出るわけだから100%近いパフォーマンスで
ある。値上がりするかどうかわからない現物株式を長期保有するよりもはるかに短期間で大きな収益を出すことができる
禁断の手法なのだ。
ちなみにすべての仕手株に共通することは、無配であったり極端に悪い業績だったりで会社の経営実態はかなり苦しい
ことである。なぜそんなところが値上がりするのか考えれば自ずとカラクリが分かるだろう。これは個人投資家を引っかけ
るための壮大な詐欺なのである。上がりきったままなら片道しか利益は上がらない。だからいずれ必ず値下がりする業
績の悪い銘柄を狙うのである。そうすれば値下がり時に空売りすることでその銘柄を仕掛けたグループは往復の利益を
取れる。残念ながら証券取引法にはこれを取り締まる項目がない。最近のいくつかの仕手株(丸山製作所、虹技、ルシア
ン、東日カーライフ、サンリオ、ノザワ、内海造船など)に風説の流布なんてものが適用された話はきかない。
2006年5月25日の時点で、この3条件に該当する終わってしまった仕手株と筆者が感じるのは、学研(9470)、ダイワボウ(3107)の2銘柄だと
予言した。学研の株価はその時は350円あたりをうろうろしていた。ダイワボウは580円という高値を付けた後急落して、417円まで下げた。その後少
し値を戻したが、長期ではやはり下落傾向にある。学研もじわじわと着実に値下がりしつつある。6月6日には終値300円を割り込み、6月末には280
円あたりを推移していた。3ヶ月後には200円近くまで下げるだろうか。日経平均がどんどん下げていくような相場展開でも、このような銘柄をねらい打
ちにした空売りならちゃんと利益が出せるのである。ただ、空売りは通常の取引よりもリスクが大きいからそれを承知の上で自己責任で取引するよう
に。死んだ仕手株の見つけ方は簡単だ。高値を更新しててからしばらく過ぎて、今は極端に出来高が減っているものをスクリーニングすればいいだけ
である。もしも自分の見つけた銘柄がこれに該当するかどうかを知りたければ、直接江草にメールするか、株式掲示板に質問の書き込みをすればい
いだろう。
2005年のクリスマス、子どもたちは一番欲しいオモチャを買えなかった。それはなぜか?子どもたちの一番欲しいオモ
チャである任天堂DSは品切れ状態だったからである。なぜ品切れ状態になったのか、それはそれまで子ども向けゲー
ム機という位置づけだった携帯型ゲーム機用に次々と大人向けのゲームが登場し、それがまた爆発的にヒットしたから
だ。(どんなゲームがあるかは私のサイトにあるネットショップ「ゲームヲタク」でぜひごらんになってください。)どこのオモチャ屋でも任天
堂DSは品切れとなり、ごくまれに入荷すると飛ぶように売れた。どうしても手に入れたい人は入荷情報を聞くと徹夜で並
んで買った。ヨドバシに200個入荷するというニュースが流れると、その200個は徹夜組がゲットしたのである。そうして入
手されたゲーム機はヤフオクで転売され、一時は倍近い3万円くらいしていたこともある。生産が全く追いつかない状態に
なったのである。そんな品不足の中、任天堂はさらにDS・LITEを発売する。これは携帯に便利にするためにさらに薄型・
軽量化された製品である。ますます人気は高まり、品不足はさらにひどくなった。2006年の1月から3月にかけて、トイザ
らスに何度通っても私は任天堂DSの影さえ見ることができなかったのである。これが任天堂の株価に影響を与えないわ
けがなかった。以下に示すのは2005年暮れから2006年夏にかけての任天堂の株価チャートである。

2005年暮れには1万4000円台だった任天堂(7974)の株価は2006年に入ると勢いをつけて上昇し、円高によって輸出
株が売られるという展開の中でも崩れることなく価格を維持し、5月になって日経平均が崩れだしたら今度は好業績株と
いうことで逆行高して上げ続け、2万円近くまで上昇した。半年足らずの間に40%近くも上昇したのである。生産が追い
つかないくらいにその企業の商品が売れて利益が出ないわけがない。そのようなニュースに接したら迷わず買うべきであ
る。そして上のチャートを眺めればわかるように、もしも出遅れたとしてもちゃんと押し目買いするポイントはいくつもある。
半年間ずっと一本調子で上がり続けるのではなくて上下の波がある。ちゃんとその波動を睨みながら少しでも安いところ
で拾えばいいのである。「今どんな商品がヒットしてるのか?」「今流行ってる店はどこか?」「今どんなことが話題になって
るのか?」身近のそんな話題にアンテナを張り巡らせて、しっかりと材料のある銘柄をまだ安いうちに仕込むべきである。
任天堂の株価はその後も上昇を続け、2007年の11月には瞬間的だが7万円を超えた。こんな大型株が実に5倍以上の
上昇をしたのである。もしも安いときに全財産を任天堂株に突っ込んで、しかも信用取引でも買いまくっていれば今頃江
草は一生遊んで暮らせるくらいの資産を手にしていただろう。残念でならない。
ちなみに江草も実は2005年12月に任天堂を買っていたのである。しかし、1月のライブドアショックによる暴落、円高による輸出株全般の強烈な下
げに不安になって、わずかな利益を出しただけで2月には売却してしまった。まさか品薄状態がその後半年も続き、2万円近くまで株価が上昇するな
んて思いもよらなかったのである。ちなみに江草がこれから市場が拡大する可能性があるものでまだ株価が低位のままで出遅れてると思って監視し
てるのはコロムビアME(6791)である。団塊の世代のオッサンオバハンたちもいずれ携帯で音楽をダウンロードして購入するようになるだろ
う。「着うたフル」の売り上げはやがてCDに匹敵する市場に成長するだろう。その時に見直されるのは、もうCDとしては売れなくなったはずの古い楽
曲である。その大量の著作権という財産を持つコロムビアはエイベックス(7860)(比較するのが無茶かも知れないが)などの同業他社と比較し
てあまりにも安すぎる。まあ、こんなに安い株だからここからさらに下げていくとしても知れてる。まあ夢を買うつもりで少しだけ投資するのも悪くない。
(9、以降は現在執筆中です)
さて、実際に投資にチャレンジしようと思ったら作戦会議だ。そのための掲示板が、私が毎日のように書き込んでいる
江草とeichanの株式問答である。ここで銘柄ごとの情報を入手して、果敢にチャレンジしていって欲しい。また、自分の
見解をここで語ることでさまざまな他の意見も知ることができ、冷静な戦略をたてることが可能になるだろう。情報を有料
で提供するサイトもあるそうだが、そんなケチなことは言わない。いくら勝っていてもこのオレもしょせんアマチュアの投資
家でしかない。だから自分の分析もただの戯れ言でしかないと思っている。軽い気持ちで読み流して、最終の判断はしっ
かりと自分でやって欲しい。
このテキストは2004年10月31日より執筆開始されました。以降の部分は徐々に完成させていきます。
