「幽々子さまー!!」
半霊の庭師が一着の服を持ってきた。
「どうしたの?妖夢」
「・・・・その服は咲夜のメイド服!?
一体どうして?」
「先ほどの光で・・・・」
水流の中でレミリアは静かに泣いた。
「あぁ、何故こんな・・・」
「レミリア・・・」
そこにもう1組がやってくる。
簀巻きになった霊夢を担いだ美鈴である。
「レミリア様!」
「今はそっとしておいて・・・」
と幽々子が言う。
「でも、どうしてこっちに?」
「光が差し込んだのを見て、紅白が騒ぐから・・・」
「だって、日光なんかに当たったら灰に・・・ってそのメイド服!?」
無言で頷く妖夢
それを見て、そう・・・と答えて霊夢は黙ってしまった。
「あと、二人」
「ア、アリス!!!!!」
「とっておきよ。
日符+月符・・・」
「遅い」
背中の揺らめく漆黒の翼を吹き上げて一気に加速して接近し、胴を凪ぐ。
避けようと身を引くが
「げほっ」
血を吐くパチュリー。
腹部からも大量に出血している。
それでも魔女の意地かスペルカードを完成させる。
「白夜に昇る満月!!」
複数の月符の大小様々な弾が低速と高速で発射され、細かい日符のレーザーが雨のように降り注ぐ。
巨大な弾に当たったそれぞれのレーザーは分裂し、角度をランダムに変え、瞬く間に周囲に光の蜘蛛の巣を張り巡らす。
予測不可能な光の弾幕を至近距離でまともに被弾してしまう。
パチュリー自身も、符の反動で吹き飛んで浮いていられないのか、
墜落しそうになるが、魔理沙に抱きとめられ、地上に降りる。
「ま・・魔理沙・・・・ごほっげふっ・・」
「パチュリー!」
「はぁ、はぁ、あ、後1回は、使えるわ・・・後・・・」
ルーミアが復元するまでのわずかな時間に日符を渡し、少し耳打ちをする。
「・・・・そんな事できるか!」
「げほッそれにまだ、何かある、みたいだから・・・気をつ・・け・・・」
「お、おい、パチュ・・・リ」
まだ辛うじて息がある少女を寝かせて
渡された日符を握り締める。
「さすがに驚いたわ。日符と月符を組み合わせるなんてね。」
復元が終了したルーミアが上空から魔理沙を見る。
「パチュリーは気がついていたようだから、先ほどのスペルカードのお礼に良い事をあげるわ。」
再度構成した漆黒の剣で大きく円を描く。
夜よりも暗い黒が環状になって夜空に広がる。
「ちなみに、さっきアリスのスペルを防いだのもコレよ。
これは・・・もう、年上の話は聞くものよ」
と逃げる魔理沙にレーザーを放つ。
「っう」
丁度振り返ったので、回避行動に移ったが、左腕に掠ってしまった。
血が滴り落ちる。
「フフフ、追いかけっこ?」
と魔理沙の後を追う。
地面すれすれを高速で飛行し、蛇行したり、急に曲がったりしている。
たまに漆黒の弾丸で牽制して、この追いかけっこを楽しむ。
しかし、反撃すらせずに、ただ飛び続ける魔理沙に対して次第に興味を無くし、再度レーザーを放つ。
「きゃッ!」
箒に当たってバランスを崩して転倒する。
左腕からの出血は止まっていない。
「あはははっ、今のは面白かったわ。」
でも、と続ける
「これで、終わらせるわ。」
揺らめく4枚の翼を広げ、漆黒の剣を魔理沙に突き出す。
「黒夜・真に暗き原初の夜!!」
ルーミアの体から黒が噴出す。
箒を構えて、防御体制をとる。
"黒"があたり一面を完全に覆ってしまう。
「何も、見えない!?」
「どうかしら?原初の夜は。」
「原初の・・・夜?」
「そうよ、最初は星なんて無い。光すら無い。
この、他に存在するものが無い夜こそが、最初。
・・・まったく、昼なんて私より後に来たくせに世界の半分を持っていくんだもの・・・
それに昼がいるから境界なんてできるのよ・・・」
「(・・・・なんか、愚痴ってるな・・)」
「さぁ、原初の夜に溺れなさい!」
と弾幕を張る。
「くぅぅぅ!!」
見えなければ防ぐしかない。
防御障壁を展開して、なんとか防ぐ。
「ふぅん、防げるのね・・・でも、この剣はどうかしら?」
と、黄昏と呼ばれる剣を構える。
魔理沙は魔力を広範囲に展開して、ルーミアの来る方向とタイミングを伺う。
「ふッ!!」
剣を構えたルーミアが接近する。
展開した魔力に反応がでる。
真正面からである。
その方向に向けて話す。
「ルーミア、なんで私の左腕の出血が止まっていないのか気にならない?」
ルーミアの動きが止まる。
「・・・何?」
「血液ってのは、それだけで力がある。
それが、力ある魔女の血ならば、高純度の魔力にも匹敵する・・・」
「それが?今の貴女には使い慣れていない日符のみ。
貴女を最後にしたのは、まったく脅威じゃないからよ」
と一歩近づく。
「日符しかないなんて誰が言った?
それに、この場所に覚えが無いのか?」
「・・・・ここは・・・追いかけっこの開始地点!?」
「そう、ここは中心。
私一人では無理な事も、ここでならできる!
聞こえたな、パチュリー!」
横たわっていたパチュリーが微かに返事をする。
「私の血で起動しなさい・・・恋符!!」
大地に血液で描いた巨大な恋符。
起動するだけで、今の魔理沙の魔力ではカラになってしまうが
パチュリーの血を使って巨大な恋符が起動する。
「ルーミア、教えてやるぜ。恋符はな、単なる増幅器なんだぜ!」
「!!!!」
「恋符+日符!!」
いくら夜があれば復元できるとはいえ、こんな巨大な恋符で増幅された日符なら
「眩き白!!」
黒一色だった世界が一瞬にして白一色の世界になる。
術者をも巻き込んで白い光は立ち昇る。
その光景はしばらく続いた。
そして、あたりは夜に戻る。
それと共にルーミアが復元する。
「ハァ、ハァ・・・朝が近かったら、やばかったかな・・・」
しかし、最大の脅威であった3人の魔女を葬り去った。
「さて、レミリア達を回収するか・・・」
パチンと指を鳴らす。
集まっていた5人の内、レミリアと霊夢が突如夜に包まれる。
ルーミアの左右に黒い球体が膨らむ。
中からレミリアと霊夢が現れる。
「二人とも、見ていなさい・・・これで終りよ。」
と暗剣・黄昏で円を描く。
そして、なにやら唱え、その円に剣を突き立てる。
「召喚・黒き深淵の顎!!」
先ほどまで、レミリア達が居た上空で突如、夜が渦を巻く。
最初に美鈴が気がついた。
「空が!」
渦の中から、巨大な「何か」が現れ、降りてくる。
渦の中心から何本もの黒い触手のようなものが現れ、3人を襲う。
「下がってください、幽々子様!!」
「天神剣・三魂七魄!!」
「彩符・極彩颱風!!」
現れた巨大な2つの「何か」に同時にスペルカードが叩き込まれる。
一部の触手を吹き飛ばしたが、1つの傷口から2本の触手が再生し、倍の数の触手が3人を襲う。
「キャァァアア!!」
3人を絡み取ると
その3つの「何か」が突然止まった。
「な、なによこれ・・・」
「くぅ、ほどけない!」
その後、暫くの間動く事は無かった。
「ふふふ・・・そんなにお腹が空いてたのね・・・」
遠くそれを眺めていたルーミアは
「よし、食べていいわよ」
と一言つぶやく。
巨大な「何か」が動き出す。
3人を挟み込むように・・・・・
「後は魔界ね・・・・」
最大の脅威であった魔女3を消し去ったルーミアは、魔界に対して「切り札」を使うことにした。
「レミリア、フランを屋敷の外の世界に招待するわ。」
全てを破壊する悪魔の妹も、陽光という恐怖に支配されていた。
姉に連れてこられた「切り札」に
「魔界へいってらっしゃい。」
と外出許可を出す。
ルーミアは魔界の神を倒すのではなく、フランドールの破壊衝動とその力を極限まで増幅させて
魔界そのものを破壊する策にでた。
1羽のコウモリが魔界の上空にいるフランにささやく。
「やりなさい。」
「ぅん。アハはハハハ・・・ゥふフ・・・フハハ・・ヒヒ・・・」
極限まで高められた破壊衝動により既に自我が崩壊しかけている。
それでも破壊する術は心得ている。
狂喜の表情でそれを行動に移す。
「禁忌」
所持している札に暴力的な魔力が送られ、破壊の術式が発動しその手にスペルカードが形成される。
「レーヴァテイン!!」
想像を絶する魔力量により、普段は振るうはずの炎の剣は出現せず、
フランドールの遥か上空より、巨大な炎の柱が降りてくる。
全体を見れば、一本の剣を象っているが地上からでは、燃える空が降ってくるようにしか見えない。
この一撃で魔界の中心部は消滅し、余波で全土が壊滅した。
正に世界を焼き尽くしたのである。
しかい、フランドール自身も巻き込まれてしまった。
「お掃除は終了♪」
ルーミアは紅魔館でそうつぶやいた。
この幻想郷には夜しか無い。
遥か太古に昼と夜に2分された世界を取り戻したのだ。
「次は・・・人間界ね、フフフ」
夜・ルーミアは止まらない。
全てを夜で染めるまで。
―終わり―
あとがき!
ルーミアエンド?です。
夜=宇宙って考えてもらえれば最後の方の文は分かりやすいかも。
太陽が現れる事によって、昼、夜の区別が、
区別されるという事は、スキマ妖怪発生。
そんな感じです。
ちなみに、昼の人はオリジナルキャラ&オリジナル設定ですが
天照(アマテラス)って名前の女性です。
最初は夜とも仲が良かったんだけど・・・
そのうち、封印されるまでのssも書きたいです。
スキマ妖怪・八雲紫も昼と同世代です。
元々、1つの話だったのを無理やり分割したせいで変な区切りになってしまいまいましたが、
読んでくれてありがとうございました。