日が沈もうとしていた。
赤、橙、紫、藍、黒
刻々と変わる世界の色。
そんな神秘的で、幻想的で、不安定な空を飛び回る2つの黒い影
「つぅ」
赤いリボンをした黒い少女が顔をしかめる。
相手の少女の放った魔力弾が掠めたのだ。
傷は浅いがバランスを大きく崩す。
「ふっ、これで終わりだぜ、ルーミア」
もう一人の黒い少女。
こちらは箒に腰掛けている。
その少女のかざした手に魔力が集中し、
カード状に魔力が形成され、弾けるように消える。
スペルカードだ。
「魔符・スターダストレヴァリエ!!」
魔法使いの周囲に星が無数に生み出され、全方位に向って撃ちだされる。
必死に体制を建て直し、回避しようとするが、数が多すぎた。
「ひ!、わ!、うぇ!うわぁぁぁあああぁああ!!!」
いくつかの星を回避したところで直撃を受けてしまい、吹き飛び、落下する。
「・・・・・・ふぅ。」
それを眼で追いながら一息つく。
助ける気は毛頭無い。
あんな事で死ぬのは人間位だろう。
相手は妖怪だ。
「さて、帰ってご飯ご飯」
霧雨 魔理沙は満足そうな顔で家に帰っていった。
ガサ、ガサガサガサガサガサ、ベキ、ビシ、ガササ、ドスン!
「ん、んぅ・・・・」
そこらじゅう擦り傷だらけで横たわるのは先ほど撃墜された少女。
ただ、特徴的だった赤いリボンが消えうせていた。
黒い世界、散りばめられた星々と上弦の月が静かに佇む夜空。
そんな静かな夜空を静かに飛ぶ人影があった。
「ふぅ、遅くなったわね。」
誰に言うでもなく、呟く少女。
周囲に2体の人形を連れている。
アリス・マーガトロイド
魔法使いという種族、略して魔族の少女である。
大きな紙袋を抱えている。
研究に必要な材料を購入、収集していたらいつの間にか日が沈んでいた。
「ん〜、少し足りないわね。これじゃあ、明日も遅くなりそう・・・ん?」
不意に妖力を感じた。
夜は妖怪の世界。
別に妖怪が現れてもおかしくないが、すこし、違和感を感じたのだ。
「え!?」
目の前には、いつの間にかルーミアがいた。
服が所々破れているが傷は無い。
「ウフフフ、清々しい夜ね。」
ぞくり、
違和感を感じる。
普段の彼女とはあからさまに違う。
違和感。
「えぇ、こんばんわ、ルーミア」
「フフ、なんだか、体が軽く感じられる。それに、力も湧いてくる。」
「あら、よかったじゃない。それじゃ、私は急ぐから。」
事実、彼女は急いでいたし、
意味不明な違和感を感じる相手と一緒に居たくないという心理が働いた。
「だめ、こんなに気分がいいんだから、遊んでもらうわ。」
妖力がルーミアに集中する。
「任せたわ」
紙袋を2体の人形に任せ、ルーミアと対峙する。
「フフフフフ」
ルーミアが手を広げる。
無数に妖力の塊が現れ、光を放つ。
レーザーが網目状に絡みながらアリスを狙う!
「ふん」
光の軌道を読んでいたアリスは簡単にコレを回避する。
確かに調子は良さそうだが
感じた違和感は気のせいだったのか?
そう考えた瞬間。
「フフ、捕まえた」
光がやむ気配が無い。
どうやら、嵌められたらしい。
「チェック!」
妖力がカード状に集中する。
光の格子に囚われた魔法使いに止めを刺す。
「夜符・ナイトバード!!」
妖力弾が鳥の羽のように展開しながらアリスに迫る。
光の格子によって行動範囲が狭められた状態で、アリスはニヤリとする。
「甘いわ!
操符・乙女文楽!!」
魔力弾を撃ち出す。
魔力弾はすぐに弾け、
4体の人形が光の格子の隙間を縫って現れ、弾幕を展開し、ナイトバードを相殺する。
この時、1体の人形が腕を飛ばされた。
そして、光の格子もようやく消える。
「むぅ」
「私は急いでるって言ったでしょ!」
新たな符に魔力を流し、術式を起動する。
アリスの目の前にカード状に魔力が形成される。
「蒼符・博愛の仏蘭西人形!!」
さらに1体、人形が召喚され、
4体の人形が回転しながら魔力弾を放つ。
放たれた魔力弾はさらに分散し、弾幕と化す。
ルーミアを取り囲むように弾幕が流れる。
左右から挟み込むような弾幕をなんなく回避し、妖力弾を放って反撃する。
「お返しよ・・・・あら?」
妖力弾が穿ったのは1体の人形だった。
「・・・帰ろう。」
遊び相手が消え、拍子抜けしたルーミアはそう呟くと、去っていった。
黒から藍と移り、そして青い世界、白く、まばゆい光。
時間にして昼である。
「お〜い、アリス〜昼飯食べに来てやったぜ」
同じ魔法の森の住人。
・・・・・・
返事が無い。
「まぁ、勝手に入るからいいけど・・・」
言いながらがちゃりとドアを開け、進入する。
アリスは工房にいた。
「あ、魔理沙、・・・また勝手に入ったの!?」
「返事をしないお前が悪い。修理か?」
アリスの手元には腕の無い人形があった。
「えぇ。昨日の夜、ルーミアに襲われてね。
面倒だったから転送魔法で逃げてきたけど。」
「お、復活したのか、中々はやかったな」
「復活?なにそれ?」
「いや、夕方くらいにな、撃墜したんだよ。私が」
「ちょっと待って、撃墜されたばかりでなんで調子がいいなんて言ってたのよ?」
そう言ってガラスケースに収まっている人形達を眺める。
霊夢、魔理沙、などアリスの知り合った人物の人形だ。
いくつかの人形には本人の髪の毛が仕込まれている。
ふと、ルーミア人形に眼が止まる。
「あ、髪の毛とリボンか」
「何が?」
「昨夜感じた違和感。
リボンが取れてて、髪が少し伸びてたのよ。背も伸びてたかも」
それを聞いて魔理沙が少し表情を曇らせる
「・・・何か嫌な予感がするな。」
「なんで?」
「いや、あのリボン、封印らしいんだ。」
「心配なら調べてみればいいじゃない。ほら、貴女の行きつけの図書館で。」
そう言ってアリスも外出の準備をする。
「ん、お前も行くのか?」
「えぇ、調べたい事もあるし。」
「そうか。その前に」
「何よ?」
「昼ご飯」
日が傾き始めた。
大きな湖の上を飛行中だ。
「まったく、ご馳走になっておきながら4回もおかわりする?」
「いや、美味しかったからつい、な」
と、本音が出てしまい、
さすがに恥ずかしかったのかポリポリと頬を掻く。
「ま、まぁいいわ」
そんな答え方をされて照れるアリス。
すこし目線をそらしている。
(あ、チルノだ)
そらした時に視界に入った。
何やら赤い物を持って嬉しそうにしていた。
「お、見えてきた。」
あとがき!
今までの話(永夜ネタ以外)のまとめ?な感じです。
さぁ、リボンの取れたルーミアの行動は?
魔理沙達はリボンを結びなおせるのか?