「もう一度確認するわ。」
パチュリーが本を仕舞い、向かいに座った二人に問いただす。
「夕刻には何時も通りのルーミアで、撃墜したのね?」
「あぁ、普段どおり撃ち落したぜ」
「そして、夜中にはリボンが無かった。髪、背が伸びていた。妖力が上昇していた。変わっていたのはそんな所ね。」
「えぇ」
どうやら、リボンが外れて封印が弱まったようね。」
「封印が解除されたんじゃないのか?」
「あのリボンは、封印の要だったの。
外すだけじゃ解除には至らないわ。
それでも封印の効力は激減してると思うわ。」
「要って事は・・・」
コンコン、
また誰かが来たようだ。
「どうぞ」
「失礼します。」
「お、お邪魔します・・・」
先ほど出て行ったばかりのメイド長、咲夜と
「なんだ、助っ人って半分幽霊か」
妖夢だった。
何故か顔が赤い。
「で、なにが大変なんですか?」
やっと落ち着いて質問ができた。
「ルーミアの封印が外れたのよ」
と、ジト目の少女が簡単に説明した。
「(この人、知らない人だ・・・)あの、ルーミアって誰ですか?」
はぁ、とため息を付くパチュリー。
「・・・宵闇の妖怪よ。咲夜、なんでこんな子連れてきたのよ」
「す、すみません、パチュリー様。思いついたのがこの子だったので・・・」
と叱られた子犬のようにしょんぼりした顔で謝る咲夜。
”こんな子”呼ばわりされてちょっとショックを受けた妖夢だが、
咲夜の子犬のような表情を見て
咲夜さんの為に頑張ろう!と硬く決意した。
「「・・・・」」
咲夜が謝っているのを見て、なぜか赤面し、拳を握っている妖夢を見て、
魔理沙、アリスの動きが止まる。
いち早く我に返った魔理沙が口を開く。
「さ、さっきの続きだが、リボンを探さなきゃいけないのか?」
「ん、あぁ、そういう事。」
「おいおい、大体の場所は判るけど、見つかると思うか?」
それなら、と咲夜が
「私が探してきますわ。」
「・・・そうね、けほッ、時間を止めて探せばどれだけ探しても大丈夫ね。」
「じゃあ、場所は・・・」
赫々云々と説明する。
「ふぅん、解ったわ。」
「あ、あの、私はどうすれば?」
「貴女は此処に居なさい。」
ガチャリ、パタン
・・・・・
咲夜を見送っていた妖夢に
「自由に座っていいわ。」
とパチュリーが席を勧める。
「あ、ありがとうございます。」
「それにしても、メイド長はなんであんなに必死なんだ?」
「さぁ?」
”過去の未来”を知らない者たちには一生わかるはずの無い疑問だった。


しばらく4人は、写本した闇、夜、黒の書を参考に色々調べていた。
「ふぅん、夜を操る能力って事かしら・・・月、星との関係?ふむ、」
「なになに、死、眠り、忘却を産んだ?・・・・ふむ、庭師〜、何か資料は無い?」
「んー、直訳で夜、昼、人、境は旱を従えて腐を討った、夜は腐を許した、んん?争いでもあったのかしら?」
「はい、資料これでいいですか?」
コンコン、
ドアがノックされる。
今日は本当に来訪者が多い。
「どうぞ」
カチャリ、
なんと、紅魔館の主、レミリアだった。
「パチェ、咲夜みなかった?」
「先ほど出て行ったわ。」
「ん〜、じゃあ、霊夢の所に遊びに行って来るからって伝えておいて。」
「けほけほ、分かったわ。」
キィ、扉を開ける。
「・・・パチェ、喘息大丈夫?」
部屋を出る時に何気なく容態を聞く。
「げほ、ごほッ・・・えぇ、気にしないで行ってらっしゃい、レミィ」
うん、と頷くと静かに扉を閉めた。

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咲夜は、魔理沙が教えてくれた場所まで来ていた。
「・・・・木ばかりね、」
それでも探さなくては。
あの時のような惨事にしないためにも。
決意を改めて固めると、木々に向って降下していった。
「さて、始めましょうか・・・」
先ほど、1時間程時間を操作したために、反動で1時間は時間操作ができない。
厳密には、操作可能だけど、その後の反動がより大きくなるので使わない事にしている。
木々が折れている箇所を中心にしばらく探したがリボンらしき物は落ちていない。
ゴミすらも落ちていないのだから赤いものが落ちていればすぐ解るはずだが・・・
「ふぅ、木に引っかかってるのかしら?」
魔法を使って空に浮く。
もうしばらく掛かりそうだ。

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谷底の崩れかかった城の中
ルーミアは居た。
その髪は背中まで伸び、別人のような印象を受けた。
「リカルド、マリー、そろそろ行くわよ」
老騎士と涙目のメイドにそう告げる。
「どこへ行かれるのです?」
「あの娘の所よ」
「何をするのでしょうか?」
クスリと笑いながら
「リボンを外してくれたお礼よ。」

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西の空が橙色だった。
まだまだ明るいが、日が沈もうとしている。
「う〜、もう日が真っ赤だわ・・・」
探し始めて1時間程たった時、
「♪〜♪〜、あら、メイド長じゃない何してるの?」
湖の氷精チルノがふらふらとやってきた。
妙に上機嫌だ。
「探し物、邪魔するならあっち行ってもらうわよ?」
その上機嫌な表情を見て、少しイライラしてしまう。
「邪魔なんてしないわよ・・・手伝ってあげようか?」
「へ?」
拍子抜けして変な声が出てしまった。
「手伝ってあげるって言ったのよ!」
イタズラ好きな妖精が手伝うだなんて!
「で、何を探してるの?」
「あぁ、えっと、赤いリボンなんだけど・・・」
「赤い、リボン・・・・・あぁ、アレ?」
「え、知ってるの?」
「うん、今日拾ったよ。」
がしぃっとチルノの両肩を掴む。
「返して!あれが必要なの!」
「いたい!もうラミィにあげちゃったからもって無いわよ!」
ラミィ?あの仲のいい大妖精の名前か?
「そう・・・」
チルノを離し、湖へ行こうとする咲夜。
「もし、ラミィから奪い取る気なら、容赦しないぞ!」
チルノが殺気立つ。
両者には決定的に実力差がある。
それが怖いのか、チルノの足が震えている。
「ふん、子供の氷精が私に勝てるとでも思ってるの?」
ナイフをどこからともなく出現させる咲夜。
正に一触即発。
両者に緊張が走る。
「二人ともやめてください!」
唯一止める事のできる第三者の声が掛かった。
大妖精のラミュスだ。
その目は涙でいっぱいになっていた。
いつもの片方だけ髪を束ねているが、今日は、あの、赤いリボンで束ねてあった。
「ラミィ!?」
「チルノさんは悪くありません、ただ、私が喜ぶだろうと思っての行動なんです。」
そう言うとリボンをしゅるりと解く。
まとめていた髪がラミュスの濡れた頬に掛る。
「ラミィ!せっかくの記念日なのに!」
「ごめんなさいね、チルノさん、折角のプレゼントなのに・・・はい、どうぞ」
赤いリボンを受け取る咲夜。
チルノがわんわん泣いている。
リボンを渡したラミュスがそんなチルノを抱きしめてなだめている
なんの変哲も無いリボンに見えるが、リボンに籠められた力を確かに感じる。
「・・・記念日って?」
「ひっく、ぐすっ、ラミィの大妖精になった日が、ひっく、今日なのよ、ぐしゅ」
「・・・・・」
まさか、そんなに大切なプレゼントだったとは・・・
しかし、今は時間が惜しい
くるりと後ろを振り向き口を開く。
「・・・明日、」
「「?」」
「そう、明日、夜が明けたら紅魔館の喫茶館に、2人で来なさい。」
ふわりと宙に浮き、
「門番の美鈴に聞けば分かるわ。」
と付け足し、高く高く舞い上がった。
「(後は、霊夢ね・・・)時間よ、止まれ!」

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あとがき! なんと、この日は大妖精の就任記念日だったようで、 チルノがいつも以上に必死です。 まぁ、咲夜さんもそこまで鬼じゃないのでなにか後でしてあげるみたいですね ルーミアついに動きます! しかし、レミリアお嬢様のんきですw

第四話


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