ギギィィン!
すでに何度目だろう?斬撃を篭手で逸らされる。
横薙ぎにしても軌道をそらされて、斬撃が打撃にしかならず、鎧で止められてしまう。
そして、逸らされる度に隙ができてしまい、そこを美鈴に助けられる。
「す、すみません・・・」
「いえ、あの方の技量が並大抵じゃないって事です。」
いくら妖夢の才能が素晴らしいとはいえ、剣士としての経験だけは埋められなかった。
妖夢でも、原理は分かる。

球という形はそれだけで逸れやすい。
騎士の篭手は楕円だが、半球形である。
斬る為には、垂直に刃を当て、引く事。
この、刃の当たった瞬間、引く直前に、刃を受けた篭手を捻り、横に弾く。
たったそれだけである。
しかし、実際に行うには相当な熟練が必要だった。

騎士が悠然と歩を進める。
「どうした?お二人さん」
「くっ」
悔しさの為か妖夢が楼観剣を強く握る。
「・・・妖夢さん、私に”とっておき”があるんですが・・・」
小声で美鈴が問う。
「え?とっておきって、切り札って事ですか?」
「はい。攻撃系の技ではないので、使うのに時間が掛るので、しばらく耐えてくれますか?」
「分かりました。」
「ふむ、作戦会議か?こないなら、こちらから・・・」
妖夢が2刀を構え、幽気を刀に篭める。
「畜趣剣・無為無策の冥罰!!」
騎士に向かい、無数に斬撃をする。
幾本もの衝撃波が発生し、騎士に襲い掛かる。
「むぅ!」
衝撃は甲冑に擦り傷程度しか与えられないが、衝撃は内部まで伝わる。
騎士の動きが止まる。
「まだまだぁ!!(よし!)」

妖夢が衝撃波による足止めをしてくれている。
「龍の字が伊達でない事を見せてあげます。」
地上に降り、そう呟くと、目を閉じ、精神を集中し、気を練り始める。
そして、
「スゥーーーーーーーーーー・・・」
大きく息を吸い、
「ハァァァ・・・・・・」
吐く、吐く、吐く。
肺の中の空気を吐ききる。
そして、拳に練り上げた気を乗せると、
ドスン!
自らの水月を突き、体の内部に気を送り込む。
「ぐっ、・・・くぅぅぅぅッ!!」
全身が熱い。
血液が沸騰しているような錯覚を覚える。
経絡が開いているのだ。
肺が空っぽになっている為、酸素が足りない、
体内で何かが変わる。
美鈴の周囲に彩色の気が滲み出る。
「ッッ、ガハァッ」
大きく息と共に気を吸う。

強制的に呼吸法を変え、
手の太陰肺経[11穴]手の陽明大腸経[20穴]足の陽明胃経[45穴]
足の太陰脾経[21穴]手の少陰心経[9穴]手の太陽小腸経[19穴]
足の太陽膀胱経[67穴]足の少陰腎経[27穴] 手の厥陰心包経[9穴]
手の少陽三焦経[23穴] 足の少陽胆経[44穴]足の厥陰肝経[14穴]
任脈[24穴]督脈[28穴]
の14の気の通り道「経絡」を強制開放し、
体内、体外の”力”(魔力など)を全て気に変換し、それを取り込み、全身に行き渡らせる。
美鈴の周囲の彩色の気は、魔力、霊力を含む全ての”力”を気に変換し取り込んでいる証で、気の供給量が半端じゃない。
この技法はいつ終了するか不明で、
しかも、終了時に身体にかかる負担が尋常じゃなく、良くて極度の疲労、
酷い場合は経絡が全てズタズタになって最低限の気すら流れなくなってしまい、衰弱していき死に至る。
故に、切り札、奥の手なのである。
「奥義・宿龍呼法、完了。」

「天上剣・天人の五衰!!」
「同じ手は食わぬ、刑罰・逆剥!!」
斬撃により発生した2つの衝撃波が相殺する。
「はぁぁぁぁ!!」
相殺されるのが判っていたのか、妖夢が突進する。
「ふん!」
真正面から向ってくる妖夢に、エクスキューショナーを縦一文字に一閃させる
妖夢の刀が届く前に大剣が妖夢に迫る。
ギギィィィン!
ズギィン!!
「なに!?」
なんと、白楼剣で断頭剣の軌道を逸らし、初めて斬撃を当てた。
リカルドの甲冑が傷付く。
さらに、半身である霊体による追撃が襲う!
「くッ!」
追撃である、幽気弾を防ぎ、間合いを離す。
「(戦いの中で成長しおった!?)む!!」
爆発的に巨大化した力がビリビリと大気を震わす。
「コォォォオオオ!!、虹符・彩虹の風鈴!!」
普段のスペルカードとはケタ違いの量の弾幕がリカルドの足元から襲い掛かる。
「!?い、いかん、」
今下からの弾幕を回避すると、横から妖夢の斬撃を受けてしまう。
瞬時に判断すると、
「開門!」
突如、リカルドの姿が掻き消え、
妖夢の遥か後方に出現する。
「なんと、お嬢さんは龍を宿せるのか!!」
実際には龍なんて宿してはいないが、そう思える程、力が増加した場合に
龍を宿す、龍を降ろすなどと言う。
「め、美鈴さん!」
妖夢が美鈴に近寄る。
「これが、龍の字の意味です。行きますよ!」
「はい!」
爆発的な加速で間合いを詰める2人。
「ふむ、ならば、」
2人との戦いになって初めて両手で柄を握る。
「本気を出そう!」

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スペルカードが相殺する。
「あぁ、泪符が・・・ぐすッこれなら!」
ありったけの妖力でスペルカードを3種同時に発動する!
「憂愛・亡国三仁-比干諫死-、-微子亡命-、-箕子狂奴-」
直線、曲線、反射と、3種の膨大な弾幕が複雑に絡み合いながらアリスに襲い掛かる!
「ふふ、3重起動なんて、やっぱり、貴女の事、甘く見なくて、正解だったわ。」
弾幕を避けながら魔力を持っている本に込める
「見せてあげるわ、人形使いの実力を!」
バチン!
いつも持っている封印された魔道書。
その封印を一部だけ解き、とあるページが開く。
開いた本のページに膨大な魔力を注ぎ込む。
足元に巨大な魔方陣が出現する!
「魔操巨兵・サモン・ゴーレム!!」
魔方陣が、光を発し、巨大な光の柱のようになる。
そこから現れたのは、人形と言うには巨大すぎる代物だった。
ゴーレムの頭に乗ったアリスが命じる。
「やりなさい!」
ガァァァアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!!!
ゴーレムは咆哮し、全身の魔法玉からレーザー、弾幕を放つ!
「ヒィィ!!」
マリーツィアの放った全力の弾幕を意図も簡単に打ち消し、周囲を焼き払う。
危険予知により、辛うじて攻撃を避けるがメイド衣装は所々焼かれ、涙符、泪符、憂愛と自分の持てるスペルを出し尽くしてしまった。
「ひぃぃん、ぐすっ、うぅぅぅ・・・」
「さぁ、もう終わりにしましょう」
不意にマリーツィアの涙が止まる。
「・・・”アレ”を使います。」
一本のナイフを取り出す。
「?」
ドッ!
そのナイフで自らの腕を切り付けた!
血が滴る。
「ちょ、ちょっと何を・・・」
ギギギッ
ブシュゥゥゥ!!
かまわず、刃を動かし、傷を深く、大きくする。
血が噴出す。
ナイフを腕から引き抜くとマリーツィアがつぶやく。
「太古、討伐され、昼と人は止めを望み、境は傍観した。夜だけが、許した・・・
滅ぶ運命だった命をルーミア様に、救われた・・・だから、
私の一族は、忠誠を、誓う。
命を、懸けて!」
血液が流れ続ける腕を高く掲げ、力を発動させる。
「腐陣・腐蝕血界!!」
流れ出していた血液が、爆発するように一瞬で霧状になり、周囲を覆う。
「ッ!?」
魔力障壁でその赤い衝撃を防ぐ。
周囲にいた上海人形、蓬莱人形が一瞬で崩れ落ちる。
「ッ、私の血液には、腐蝕の力があります・・・」
「腐蝕!!?」
「どちらが先でしょう?貴女の大きなお友達が崩れ落ちるのが先か、私が失血死するのが先か・・・」
「貴女が先に死ぬのよ!」
ゴーレムが数条のレーザーと共に弾幕を張るが簡単に回避される。
「私には、危険予知があるのを、お忘れですか?」
「クッ」
非常に相性の悪い能力だ。
人形を使わなくても魔法は扱えるが、今のアリスにはこの状況で有効な魔法が無い。

お互いに魔力、妖力を大量に消費していて、こちらの攻撃は回避され、
向うは攻撃するほどの体力が残っていない。
このままでは、本当にどちらが先に行動不能になるかの我慢比べになってしまう。

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封印が緩んで、力が増したルーミアだが、時間が経つにつれ、髪が伸び、力も大きくなっていた。
「ふふ、分かるかしら?先ほど、日が沈んだ事を。」
「・・・・」
周囲を旋回しながら、ゴソゴソとポケットを探り、小袋を取り出す。
「あら、無視は酷いんじゃないかしら?」
ルーミアがレーザーで魔理沙を狙う。
「しまった!」
取り出した小袋が破れ、中に入っていたビー玉のような物が落下する。
「あら、何か落しましたよ、魔理沙さん。」
わざとらしくそう言うと、スペルカードを発動させる。
「月符・ムーンライトレイ!!」
2対の月の光が魔理沙を襲う!
「くそ!」
「あははは!これでも力を扱えないというのかしら?ほら、ほらァ!」
月の光が3対、4対と増え、
いたぶるように、魔理沙を追い立てる。
「いまだ!」
一瞬の隙を見つけると、弾幕をかいくぐり、ルーミアの側面に回り込み、スターダストミサイルをばら撒く。
「何度も引っかかるか!」
先ほどの至近距離爆発を避けるため、大きく避ける。
立ち位置が丁度逆転した。
「ルーミア、動くなよ!」
符に魔力を流し、術式を起動、スペルカードが発動する。
「魔符・ミルキーウェイ!!」
周囲に無数の星が出現し、ルーミアに雪崩の様に降り注ぐ!
「星の力なんて、打ち消してあげるわ!」
夜の力がルーミアに集まる。
「闇符・、」
「かかったな!」
未だに魔符が起動しているというのに、もう1つの符を起動する!
「光符・アースライトレイ!!」
先ほど落下したビー玉が、魔法玉になり、ルーミアの足元から無数の光が迸る。
「く!、ディマーケイション!!」
夜の境界を全方位に展開する。
正面からの星の魔法を打ち消すが、足元からの光の相殺に失敗する。
弱まってはいるが、光の幾本かがルーミアを焦がす。
「グゥゥッ」
バッ
たまらず距離を離し、弾幕で牽制する。
「くッ・・・(あれで倒せないとは、どうする・・・)」
「さすがね、あの小袋を落したのも作戦だったなんて・・・でも、」
そこで言葉を区切ると、闇符に妖力を注ぎ込み、術式を起動する。
注がれる妖力が莫大な量である。
似ている、そう、魔理沙の持つ、最強のスペルに。
「これが最後のスペルだぜ!」
恋符を起動し、さらに自身をもそのスペルの術式の一部とする。
周囲の魔力を急速に、限界まで取り込み続ける。
「これで終わりよ!」
「そっちこそ、光の渦に切り裂かれろ!!」
「宵闇・暗く黒き夜の波動!!」
「魔砲・ファイナルスパーク!!」


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あとがき! 各戦線で奥の手やら出してます。 今回も魔理沙は策士ですw 美鈴も紅魔館の門番の実力発揮です。 アリスは巨大人形を(まるで悪役w ルーミアは封印が緩んでいるので大技が使えます。 マリーも「アレ」を使いましたし、 次で戦いの行方が・・・

第六話


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