M


 

摩井暁子

Akiko Mai

CHACONNE

2007/8

 

 

前橋汀子

Teiko Maehashi

BWV.1001-1006

1988

 

 

トーマス・マジャール

Thomas Magyar

BWV.1004

 

 

 

アラ・マリキアン

Ara Malikian

BWV.1001-1006

2003

 

 

ヴォルフガング・マルシュナー

Wolfgang Marschner

BWV.1001-1006

 

 

 

ヨハンナ・マルツィ

Johanna Martzy

BWV.1001-1006

 

 

 

イゾルデ・メンゲス

Isolde Menges

CHACONNE

1924

 

 

ユーディ・メニューイン

Yehudi Menuhin

BWV.1001-1006

1934

 

 

ユーディ・メニューイン

Yehudi Menuhin

BWV.1001-1006

1956

 

 

ユーディ・メニューイン

Yehudi Menuhin

BWV.1004

1968

 live

 

ユーディ・メニューイン

Yehudi Menuhin

BWV.1001-1006

1976

 

 

ユーディ・メニューイン

Yehudi Menuhin

CHACONNE

 

 workshop

 

ペトル・メシェレール

Petr Messiereur

CHACONNE

1973

 

 

ロベルト・ミケルッチ

Roberto Michelucci

BWV.1001-1006

1991

 

 

ナタン・ミルシテイン

Nathan Milstein

BWV.1004

1935

 

 

ナタン・ミルシテイン

Nathan Milstein

BWV.1004

1953

 live

 

ナタン・ミルシテイン

Nathan Milstein

BWV.1001-1006

1954

 

 

ナタン・ミルシテイン

Nathan Milstein

CHACONNE

08/1957

 live

 

ナタン・ミルシテイン

Nathan Milstein

BWV.1004

10/1957

 live

 

ナタン・ミルシテイン

Nathan Milstein

BWV.1001-1006

1973/74

 

 

ナタン・ミルシテイン

Nathan Milstein

CHACONNE

1986

 live

 

シュロモ・ミンツ

Shlomo Mintz

BWV.1001-1006

1983/84

 

 

ブランシェ・オネゲル・モイーズ

Blanche Honegger Moyse

BWV.1004

 

 

 

ヴィクトリア・ムローヴァ

Viktoria Mullova

BWV.1004

1993

 

 

ヴィクトリア・ムローヴァ

Viktoria Mullova

BWV.1001-1006

2007/8

 

 

ヴィクトリア・ムローヴァ

Viktoria Mullova

CHACONNE

1989

 live DVD

A B C D E F G H I J M Ka Kr LN O P Q R Sa Sk T U V W X Y Z &


 

摩井暁子
Akiko Mai

Oct & Dec, 2007 & Jan, 2008
chaconne=14:44
( BDS MUSIC ENTERTAINMENT  CD-JAPAN )


 摩井暁子という方の無伴奏アルバム。自作曲などとともに、シャコンヌが収録されている。
 なかなかの演奏のように「想像」される。と言うのは、なにしろ直接音成分がすくなく、響きが過剰であり、判断がむずかしい。ただ、彼女がのびのびと弾いていることは伝わってくる。
 とにかく、音像が遠く、主役は直接音よりも間接音となっており、ヒーリング・ミュージックのような仕上がりとなっている。

 キュッヒル盤がやはり、すさまじい残響を取り入れていたが、あれはロケーション現場(※教会)のもつ特徴だった。
 こちらは秋川キララホール(東京都あきる野市)での録音。あきる野市のHPをのぞいてみると、700席ばかりの中ホールだった。写真の印象では、見るからに残響が豊かそうである。それでもこのふんだんな間接音は、制作者の、より意図的、確信的なものを感じさせている。
 彼女は某団体(※マスコミが話題にしていた)に所属しているそうなので、このCDも、そのメンバー向けという性格があるのかもしれず、われわれ俗塵にまみれた者にはキャッチできぬあれこれを、この演奏は発信しているのかもしれない。
 一般の音楽鑑賞者を視野に入れるなら、もうすこし直接音を重視したほうが、受け入れられやすくはあったろう。

 摩井暁子は富山県出身。どこでだれに師事したという情報はなく、プロとして活動しているのかすらもわからないが、その腕前はアマチュア・レヴェルを超越している。和音で苦しいところや明らかなミスもみられる。しかしこれは修正可能な程度のものなので、あえてそのままにしてあるのだろう。ツギハギ(編集)を嫌ったとも考えられる。

(2009/02/23)



 

前橋汀子
Teiko Maehashi

1988
chaconne=14:44
( CBS SONY-Japan 48DC-5215/6  CD-JAPAN )


 前橋汀子は、今はなき宝塚ファミリーランド内にあった《バウ・ホール》にて、シャコンヌを聴いたことがある(1984-11-10)。
 知名度のわりに、録音のすくない人であるが、無伴奏全曲を入れてくれているのはうれしい。非常に充実した演奏で、それゆえ再録音にも期待したくなるというもの。これを入れたのは1988年である。そろそろ頃合いではなかろうか。

(2007/07/08)



 

トーマス・マジャール
Thomas Magyar


chaconne=
(PHILIPS-Holland N 00238 L  LP-HUNGARY )


 ハンガリーのヴァイオリン――それだけで聴きたくなる。
 これも期待を裏切らぬ名演だ。第2パルティータ全楽章を入れている。第3パルティータとのカップリング。
 楽器は1698年製のピエトロ・グワルネリウス(マントゥーアのピエトロ)。有名な「デル・ジェス」のお師匠さんである。

(2007/07/08)



 

アラ・マリキアン
Ara Malikian

P2003
chaconne=16:26
( WARNER MUSIC SPAIN 5046701432  CD-SPAIN )


 アラ・マリキアンの全曲CD。
 ここでのマリキアンはきわめて沈着冷静であり、まるで、バッハを奏しつつ、思索に耽っているようである。聴き手は知らぬ間に森寂の世界へいざなわれる。
 実に味わいのあるシャコンヌだ。音楽全体の流れよりも、個々の変奏に埋もれた宝物の発掘に力点を置いている。これほど(「BAKA」を付けたいほど)ていねいに演奏されるシャコンヌは類をみない。典型的な求心力の演奏といっていい。
 マリキアンは1968年レバノン、アルメニア系の家庭に生まれた。ジャンルにこだわらない多彩な音楽活動を展開しているようだ。身近なところでは、財政難で廃止となった日本国際音楽コンクールでの入賞歴もある(※第6回。二村英仁が優勝)。
 彼はパガニーニのカプリース全曲、イザイ無伴奏全曲も録音、無伴奏三冠≠達成している(※ほかに、ルジェーロ・リッチ千住真理子など)。

 このCDは、スペイン国内での限定販売のようである。以前は、《フナック・スペイン》でも扱っていたが、現在はスペインの有名百貨店《エル・コルテ・イングレス(El Corte Ingles)》の通販部門(?)からの購入が唯一の入手法となっている。デジパック仕様。

(2007/10/23)



 

ヴォルフガング・マルシュナー
Wolfgang Marschner


chaconne=
(CHRISTOPHORUS SCK 70 335)


 全曲。CD化されていないが高名な演奏である。中古市場では高額で取引されている。出没頻度はそこそこ高く、ゼニさえ出せば入手は可能。
 ライナーは独語のみにて読めず。マルシュナーの名は、中堅クラスまでのヴァイオリニストの経歴などを読んでいるとしばしば目にする。指導者として実績のある人のようだ。彼はたしか、BWV1003 を別口で入れていた。

(2007/07/08)



 

ヨハンナ・マルツィ
Johanna Martzy


chaconne=
(TOSHIBA EMI EAC-60244/51)


 全曲。これは東芝が発売した「ヨハンナ・マルツィの芸術」(8LP)に含まれているものである。
 マルツィは昔っから人気が高く、そのオリジナル・イシューにはアホらしいほどの値がつく。財力勝負でかなわぬ酒呑み学生だった私にとって、このボックスのリリースはまさに狂喜乱舞モノだった。\16000 も惜しくなかった。オリジナルのバカ値を知っていたからだ。
 現在は、ありがたいことに、彼女の残した正規録音のほとんどはCD化されている。
 しかし、このセットの中身を今、すべてオリジナルでそろえたらいくらかかるのだろうか。
 私は、このうちブラ・コンだけ、初版(英COLUMBIA 33CX-1165)をもっている。カタログ・オークションでポロリと落手した。10000円ほどだったろうか。たまに、このように敵が現れず、まんまと単独逃げ切り勝ちを果たすことがある。

 昔、大阪の梅田にあった音楽喫茶『日響』(※のち、神戸・岡本に移転)にこのレコード(第2パルティータ)があった。彼女の演奏が聴きたくて、何度かリクエストした思い出がある。
 

『日響』のマッチ(梅田時代)


(2007/07/08)



 

イゾルデ・メンゲス
Isolde Menges

Apr 07, 1924
chaconne=14:20
( goodies 78CDR-1178 CDR-JAPAN )


 イギリスの女流、イゾルデ・メンゲスのバッハ。シャコンヌのみの演奏。

 たまに、オリジナルSPが海外市場に登場する。が、手を出さなかった。相場にしても、多少ムリをすれば、なんとかなる程度の額も、SP盤については過去に割れて届いたことがあり、それ以来、その輸入には二の足を踏むようになっていたのである。
 それを今年(2009)に入って、関東のディスク・ショップ《グッディーズ》が、みずから制作&販売している、ダイレクト・トランスファー・シリーズの1枚として復刻してくれた。
 で、さっそく入手、ようやくメンゲスのシャコンヌを聴くことができた次第。

 おそらく初のCD化。LPは外国製のプライヴェート盤を見かけたような記憶がある。
 当CDR入手により、このメンゲス盤の録音年を知ることとなった。1924年という。ということは、これが史上初のシャコンヌ・レコーディングである可能性がかなり高い。
 病膏肓に入り、シャコンヌばかりを飽きもせず聴きつづけてきた結果、どうもこの曲に関しては女性が優位である――という印象が強くあるが、初めて録音したのも女性だったとは、ちょっとした驚きだった。
 日本人初は、おそらく巌本真理であるはずだから、こちらも女性が先鞭をつけたことになる。
 ちなみに、パルティータ第2番の全5楽章を世界で初めて入れたのは、アドルフ・ブッシュで、この5年後、1929年のことである。

 85年前の録音だ。さすがに奏法など古めかしいものの、なかなか魅力的な演奏。技巧的にも、現代の奏者と比較して、やや劣るかという程度で不満はない。当時としては、かなりの腕達者として通っていたのではなかったかと想像する。
 電気以前の録音も、鑑賞にまったく支障はない。ノイズは多い。しかし、最新デジタルにはない、ふくよかな響きがある。ある意味で生々しく、85年前の演奏家の姿が目の前に立ち現れるかのような錯覚さえした。これは余計な細工を廃した、文字どおり「ダイレクトな」復刻によるところも大きいに違いない。 

 メンゲス女史は1893年、イギリスのサセックス生まれ。1976年に没している。
 ふつうに考えれば、1950年ごろまで活動していてもおかしくないはずなのに、録音はすくなく、それもSP録音にとどまるようである。はやばやと引退してしまったのだろうか。大物としてはベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲などがある。
 このシャコンヌは31歳時の録音。彼女のバッハ無伴奏は、ほかに第1ソナタのフーガ、第3パルティータのガヴォットが残されていたはずだ。

 ところでこのディスク、演奏はすばらしいのだが、物品としての魅力にとぼしい。
 CDRは市販(太陽誘電製)のブランクディスク(裏青)使用であり、インナーやディスクへの印字も家庭用プリンター(らしい)……と、率直に言って、この程度なら素人でも製作可能であるし、ちょっとセンスのある人なら、もっと気の利いたものをつくれるだろう。
 貴重な録音であり、ナイスな復刻であることは認めるものの、これで1500円か……と、シゲシゲとながめてしまう安っぽさだ。せめてインレイにはもっと上質の紙を使い、原盤のラベル写真の掲載、ディスクにしてもプロ用CDRを選択するくらいのことはすべきではないか。

 原盤はSP2枚4面であり、それを実際にプレーヤーでかけるとすると、面、盤、それぞれの切り替わりで一旦停止≠余儀なくされる。この復刻ディスクはその部分をつながず、そのままにしているので、計4トラック、3つのブランクが入っている。
 メンゲスは1面最後の音を、2面の冒頭でもう一度弾いている。ここはすなわち第1のブランクにあたるが、SPになじんでいない人には、すこしばかり興が削がれるかもしれない。
 オリジナルを尊重する姿勢は理解できるとはいえ、こうした場合は、各トラックをスムーズにつないだ編集版も同時収録するのが親切ではないかと思う。とくにこのCDRの収録時間の合計は、シャコンヌ1曲きりの15分足らずであり、余白はタップリある。
 私は、パソコンにて4つのトラックを連結し、音楽が自然に流れるよう継ぎ目を修正したうえで聴いた。上に記した演奏時間はその独自編集版によるものである。

(2009/04/15)



 

ユーディ・メニューイン
Yehudi Menuhin

May 25, 1934
chaconne=14:39
( EMI-France CHS 7 630 352 )


 メニューインほど有名でありながら、評価の分かれる演奏家もめずらしい。
 私の場合、率直に言って「嫌い派」に入る。
 決定打は、ずっと前に聴いた実演がまったくつまらなく、「カネ返せ」レベルのものだったことだ。かなり楽しみにしていたため、裏切られた思いがしたのである。「メニューインは生きた化石やナ」とため息をつきつつ帰った記憶がある。
 これだけ名のある人なので、もっと聴いてから判断をくだすべきだと思うが、そこまで手がまわらないのが実情であるし、まわす意欲も湧かない。

 無伴奏全曲録音の最多記録保持者。3回(4回という説もある)入れているが、古いものほどいいように思う。したがって、これがベスト。3つの全曲録音、すべてがCD化されている。これも仏EMI、ReferenceシリーズのCD。

(2007/07/08)



 

ユーディ・メニューイン
Yehudi Menuhin

1956-57
chaconne=
( ETERNA 8 20 495  LP- )


 メニューインはSP、モノ、ステレオとその都度入れた。だんだん悪くなるというか、退色してゆくようである。
 2回目の全曲。ただし、SPの全曲は、バラ録りを重ねてゆくうち6曲がそろったのであって、セットとしてリリースされたものではなかった。したがって、厳密な意において、彼の全曲録音≠ニ言えるのはこれが初となる。
 モノラル。オリジナルはHMVか。これはETERNA盤。20年ほど前、3枚セットを10ドルほどで買ったのをなんとなく記憶している。
 あまり特徴がなく、この人ならでは、というものが希薄で、歯がゆく感じてしまう。ただ、90小節あたりのアルペジオには迫力があり、魂を感じる。

(2007/07/08)



 

ユーディ・メニューイン
Yehudi Menuhin

Oct 6, 1968  live
chaconne=13:50
( TAHRA TAH-533  CD-FRANCE )


 スイス・ベルンでのライヴ。
 真摯さを感じさせるバッハではあるとはいえ、メリハリが効いておらず、なにかつかみどころがないような演奏で、深い感動を呼び起こしてはくれない。これをたまたまどこぞで耳にしたとしても、演奏者の名を知っておかねば、という気になるかどうか。
 私は技巧的なまずさや失敗にはきわめて寛容だが、粗雑やぞんざい、疎漏、かりそめなどに目をつむることはできない。ここでのメニューインには何度かそれらを感じる箇所があった。


 カップリングはモーツァルトの第4協奏曲で、こちらは1951年ベルリンでの録音。両者には十数年の開きがあるものの、音質に大差はない。むしろ、こちらのほうがいいくらいであり、さらにいえば、演奏もモーツァルトのほうがうんと印象に残るものだった。このモーツァルトは美しく、こぢんまりとしており、それがどこかしら大切にしたくなるようなけなげさを感じさせて、とてもよろしい。バックにベームを得たこともプラスになったかと思われる。

(2007/11/01)



 

ユーディ・メニューイン
Yehudi Menuhin

P1976
chaconne=
( EMI-Angel RLC-3203 )


 ユーディ・メニューイン、3組目の全曲録音。2組目の項で、だんだん悪くなると書いた。大エラーだったようである。
 このたび、おそらく10年以上ぶりにこのステレオ録音の第2パルティータを聴き、驚かされた。もともと早熟の人で、古い録音にいいのがあったために、全盛期を過ぎて技巧もおとろえ、エエとこなし、と実演での印象もあり、結論づけてしまっていた。

 枯淡の香味がある。テクニックの衰えも耳障りなほどではない。ほとばしる厳しさは、まれな集中と、聴衆への力強い発信を感じさせる。こちらのふやけた精神にカツを入れてくる。
 評価を180度転換せねばならない。反省しきり。これはすばらしい演奏です。
 彼のベストと思いこんでいたSP全曲との比較だが、第2パルティータに限って言えば、こちらのほうが上かもしれない。

 1976年リリース。ステレオとはいえ、音はよくない。3LPのアメリカ盤。

(2007/10/16)



 

ユーディ・メニューイン
Yehudi Menuhin

May 25, 1964
"Music Workshop At Bryn Mawr College"
( B&C RECORDING INC. )


 これは番外扱い。
 メニューインの、シャコンヌ演奏についての講義を録音、LP化したものである。会場はペンシルベニア州にあるブリン・マー大学。1885年創立の名門女子大であり、名女優・キャサリン・ヘプバーンの母校ということだ。

 プライヴェート盤らしい。私はヴァイオリンどころか、楽器自体と無縁、しかも英語のヒアリング能力もきわめてお粗末。したがっておもしろくもなんともない。持ってるだけ。

(2007/07/08)



 

ペトル・メシェレール
Petr Messiereur

1973
chaconne=
( ANTON 110373  LP-CZ)


 ターリッヒ弦楽四重奏団の第1vnを弾いているか弾いていたかしていた人の由。メシェレール、メシュレール、メッシェレウ……いろんな読み方がされている。メシェレール名義で、モーツァルトのソナタ集のCDが出ていた。
 シャコンヌonly。
 プラハ芸術家の家、ドヴォルザーク・ホールにおける録音。

(2007/07/08)



 

ロベルト・ミケルッチ
Roberto Michelucci

P1991
chaconne=15:28
( fone  90 F27/3  CD-ITALY)


 イ・ムジチ合奏団の2代目コンマス、ロベルト・ミケルッチが伊fone に全曲を入れている。3CD。録音データの記載なし。
 彼は1922年生まれというから、60歳代後半の演奏か。もっぱら、イ・ムジチのメンバーとして知られているが、ソリストとしても買われていたらしく、モーツァルトを得意としたとのことだ。
 イ・ムジチのコンマスとしては、初代のアーヨから4代目のカルミレッリまでがシャコンヌの録音を残している。3代目のアッカルドまでは全曲を入れており、その事実から、ここのリーダーはよほどの強者でなければ務まらぬらしいという見方もあるいは可能かもしれない。

 ミケルッチの奏でるシャコンヌは、訥訥としており、かなり地味。アルペジオなど、馬力のないクルマが登坂車線を行くようなマイペースぶりで、元気がないと言えば言え、そこに味わいがあると言えば言えるか。
 それよりもこのディスク、録音にそうとう問題があるようだ。これについては、バッハ無伴奏についてのサイトとして大先輩的存在であるT.S.さんの『CD試聴記』にくわしいので、その分析をお借りしたい。T.S.さんはそこで、「左右の位相が完全に逆」であること、「波形エディタで見ても逆になっていることが明らか」であることを指摘されている。また、この不具合は、第2パルティータのみならず、第2ソナタ、第3パルティータにおいても同様にみられるという。
 なにやら、こっちに背中を向けて弾いているような違和感を覚えるのはそのためらしい。
 しかし、なんでまたこんなことになってしもたんですかネ……?

(2007/11/22)



 

ナタン・ミルシテイン
Nathan Milstein

1Dec 27 & 30, 1935
chaconne=13:44
( BIDDULPH LAB-055 )


 1935年のSP録音。英ビダルフがCD化した。ミルシテインによるシャコンヌのファースト・レコーディングである。また、彼が生涯愛しつづけたバッハ無伴奏を初めて記録したものでもある。第2パルティータ全5楽章を演奏している。
 この時点ですでに自信が横溢している。とはいえ、ここでの彼はすでに32歳であり、この曲については充分弾きこんだうえでの録音だっただろう。

(2007/07/08)



 

ナタン・ミルシテイン
Nathan Milstein

1Mar 13, 1953  live
chaconne=14:18
( BRIDGE 9066  CD )


 アメリカ国会図書館でのリサイタルをライヴ収録したもの。第2パルティータ完演。終演と同時に熱狂的な拍手につつまれる。このあとに続くブラームスの第3ソナタもすばらしい。のっけからミルシテインとバルサムが丁々発止の渡り合いであり、きわめてスリリング。

(2007/07/08)



 

ナタン・ミルシテイン
Nathan Milstein

Mar, 1954
chaconne=
( EMI ELECTROLA C187-81 815  LP-W.GERMANY )


 ミルシテインがキャピトルに残した第1回目の全曲録音である。
 これは2LPに詰めこみ復刻したエレクトローラ盤。オリジナルの3LPボックスにはファンが殺到し、運動会の棒倒しのような様相を呈するのが常となっている。
 3LPの再発盤はなかったと思う。そのあたりがコレクターのファイトをかきたてるのだろう。
 廉価CDで現役。

(2007/07/08)



 

ナタン・ミルシテイン
Nathan Milstein

Aug 04, 1957  live
chaconne=
( ORFEO C 400 951 B )


 ザルツブルグ音楽祭におけるライヴ。第2パルティータ完演。ほかに第1ソナタ、第3ソナタも。
 アンコールのパガニーニを除き、すべてバッハ・プロ。ひょっとしてこのとき、もう一日無伴奏リサイタルをやっていて、全曲を演奏したのでは、と思いたくなるが、その事実の有無、録音の存否は不明。

(2007/07/08)



 

ナタン・ミルシテイン
Nathan Milstein

Oct 11, 1957  live
chaconne=
( ERMITAGE ERM-107  CD-ITALY )


 シャコンヌのみ。上記、ザルツブルグ音楽祭より2ヶ月後、イタリーでの録音である。

(2007/07/08)



 

ナタン・ミルシテイン
Nathan Milstein

1973/1974
chaconne=
( DG 2709 047 )


 全6曲の3LP。ミルシテイン自身の代表盤であるだけでなく、この曲集のもっともすばらしいものの一つ。雑誌の投票企画などでは、これとシェリングのDG盤が覇を競うことになっているが、私なら断然ミルシテインだ。

 DGのオリジナルスCDでじゅうぶん愉しめるものの、LPのほうが音の質感でやや上まわるような気がする。日本盤やイタリー盤なら安価で出まわっている。オリジナルのドイツ盤でも、旧録のキャピトルと違って、それほどムチャクチャな値はつかない。
 極上の演奏、入手も易。MUST-HAVE ディスク。

(2007/07/08)



 

ナタン・ミルシテイン
Nathan Milstein

Jun, 1986
chaconne=
( Warner Classics 0927-49563-2)


 1986年におこなわれた、ミルシテインの『ラスト・リサイタル』。私の所有盤は廉価再発されたもので、つまらないジャケになってしまった。前のを買っとけば……と悔やむが、ジャケのためにわざわざ買い直す気にもなれぬ。

 クロイツェル・ソナタ〜シャコンヌ〜ヘンデルのソナタ、とならべている。彼のシャコンヌの録音が、いったいいくつ残っているのか把握しえていない。だが、これが最後の録音であることはまちがいなさそうだ。

 SPにも残した。ライヴでもひんぱんに採りあげた。2度の全曲録音を成し遂げた。そして最後のステージでも……。
 無伴奏を生涯にわたって奏でつづけた演奏家なら、ほかにもメニューインがいる。リッチもそうだろう。しかし、ミルシテインほどの魂を感じさせてはくれない。
 シャコンヌをもっとも愛した男――。私は彼をひそかにそう呼んでいる。

(2007/07/08)



 

シュロモ・ミンツ
Shlomo Mintz

Jan & Dec, 1983  Mar & Jun, 1984
chaconne=15:09
( DG 413 810-1 LP-W.Germany )


 デヴュー時に話題になったミンツの、当時は、「はやくもバッハか」といぶかしんだ全曲盤。調べてみると、4作目のディスクがこの3LPのボックス入り豪華盤だった。それだけDGが期待をかけていたともいえる。
 なにぶん、その前に録音したパガニーニがすばらしい演奏だったために、かえって慎重になった。腕にまかせた押せ押せの演奏を想像し、経済的事情もあって、私は購入を見送った。
 あとでCD(3枚)になった(※LPと同時発売だったか……)が、それも買わなかった。
 長らく忘れていたころに、2枚組の廉価CDで登場、ようやく手を出すこととなった。それを聴いて感心したので、さらにあとになって、ドイツ盤のアナログが手ごろな値で中古屋に出ていたのを見つけて買った。私の(装置の)場合、デジタル初期モノはアナログのほうで、より安心して聴ける場合が多いようである。

 ミンツが20代半ばの記録。
 まったく深刻ぶらない陽気なスタイルと、流麗と艶めき、てらいのないすがすがしさに魅了させられる。テクニックは完璧だ。シャコンヌではあきらかにテンションが上がり、終盤では好青年ぶりが抑制され、情熱の音楽家へと変貌している。

 録音場所は、ユーヘン(デュッセルドルフ近郊)のニコラウス修道院。こういう場所で入れたものにしては、残響はほどほど。
 ネット上には修道院の外観画像が流布されている。田園に囲まれた、なかなかすてきなところである。

 若手有望株と騒がれていたミンツも50歳を過ぎた。バッハについては、おそらく再録音に向けて準備を進めているはず――と思いたいが、彼はそれほどレコーディングに固執していないようでもある。
 もし出るとなれば、今度は発売確定と同時にオーダーをかけたい。
 仮にそれが実現しても、この真摯な演奏を忘れることはないだろう。

 ミンツは1957年モスクワ生まれ。2歳でイスラエルに移住し、ピアノ&ヴァイオリンを始めた。
 メータやスターンに認められてデヴュー。20代前半、ドイツ・グラモフォンからすぐれたレコーディングを連発し、話題を呼んだ。

(2009/07/18)



 

ブランシェ・オネゲル・モイーズ
Blanche Honegger Moyse


chaconne=
(Marcel Moyse Records(un-numbered))


 ながらくこのひとがどういう人なのか皆目わからなかった。フルートのモイーズの親戚かなにかだろうとは思っていたが。
 ネット時代の到来で、ようやく正体が判明。ヴァイオリンはとうにやめ、カンタータなどの指揮者として活動してはるようである。日本流にいえば、もうすぐ白寿をお迎えになる(2007現在)。

 ブランシェ・オネゲル・モイーズはスイス系アメリカ人。1909年、ジュネーヴに生まれた。8歳でヴァイオリンを始め、すぐにアドルフ・ブッシュに師事。その後、パリに移り、エネスコやランドフスカ、セゴビアに学ぶという夢のような日々を送る。第2次世界大戦前にマルセル・モイーズの息子ルイと結婚した(後年離婚)。1966年(57歳)、腕の故障で弓を置き、合唱指揮者としてあらたなスタートを切る。そして78歳時には、バッハのクリスマス・オラトリオを指揮してカーネギーホール・デヴューを飾った。コレクターに人気のチェリスト、アンリ・オネゲルは姉(1904年生まれ)。

 プライヴェート盤らしい。第2パルティータ1曲のみをLPの裏表にカッティング。
 もはやどこで手に入れたのかすら記憶にない。アメリカの通販店からだったろうか。今までにこれを見かけたのは、入手したこのときかぎりである。一期一会の出会いだったのかもしれぬ。このレコードの演奏についてであるが……これだけの情熱をもった人のバッハに批評など無意味だろう。

 ※作曲家オネゲルの娘という話もあるが考えにくい。そうするとオネゲルが17歳時の娘ということになる。姉のアンリにいたっては12歳時の娘となってしまう。

(2007/07/08)



 

ヴィクトリア・ムローヴァ
Viktoria Mullova

Jun, 1993
chaconne=13:57
( PHILIPS 434 075-2 )


 ちょっと色香があり、ヴァイオリンを弾けちゃう――。最近はそれだけでレコード会社が黙っていない。「弾いてみようか」の前に「撮ってみようか」と声をかける。まあ、べっぴんに越したことはないけれども、しっかり弾いてもらわんと困りますわナ。そこへくると、ムローヴァなどはなかなかの美人であるうえ、実力的にも文句なし。まことにけっこうである。

 パルティータ全曲。第1パルティータはそれ以前にバルトークなどと入れており、再録音となる。
 モダン楽器を使っているようだが、まるで古楽器のような音の響きだ。そういった奏法があるのか、そういう響きを生む弓を使用しているのかよくわからない。異彩を放つパルティータ集といえる。
 録音データは第2パルティータに関するもの。

(2007/07/08)



 

ヴィクトリア・ムローヴァ
Viktoria Mullova

Mar 18-19, 2007 & Oct 20-22, 2008
chaconne=13:33
( onyx ONYX 4040  CD-EU )


 彼女がこのレーベルに入れるようになってからの、ラベックと組んだリサイタル盤がすばらしく、今や愛聴盤となっている。この無伴奏も期待できると踏んで、発売予告に接するや予約して待っていたもの。
 
 パルティータ第2番は14年ぶりの再録音。
 どんなものが飛び出してくるかとやや身構え気味に聴きはじめたら、意外に渋い仕上がりだった。私は楽器に暗いのでよくわからないのであるが、ここでは415というピッチだそうで、耳には(普段聴く一般的なピッチによるものよりも)半音低く聞こえることになるらしく、このことが聴感上、それだけにとどまらない効果を生んでいるのかもしれない。
 解釈的には、変わったことはなに一つやっていない印象だ。
 前回録音と比較すると、ずいぶん弾きこんだらしいことが明白で、表面的な華やかさは抑えられ、骨格が太くなり、構造も強固になっている。強い自信がうかがえる。当然のように、そこに由来する説得力も大きい。
 楽音の背後に、広く深い空間を感じる。一聴して、「これは」と言わせる種類の演奏ではないが、そのかわり長く聴いて飽きない、そんな予感がある。

 ただ、私的に違和感をおぼえるのが、ふいに顔を出す、「いかにも」なピリオド風味だ。
 前回もそうだったが、第1パルティータのサラバンドなどを聴くと、「そこんとこ、もうちょっとふつうにやってくれないか……」とどうしてもお願いしたくなるのである。
 ピリオド楽器や奏法を否定するつもりはない。私的に古楽器鑑賞が苦手であるのは事実だが、やるならやるで中途半端なことはやめ、全篇同じ色に染めてほしいわけだ。
 バロック弓だ、ガット弦だ――と、前宣伝でもやたらそのことが強調されている。
 そんなに重要なことなのか?
 そんなことせずともモダン弓と楽器でやればいいではないか、というのが正直なところも、やる側にはやる側の信念だとか好みだとかがあるだろうから、余計なお世話に違いない。

 ひじょうに完成度の高い全集であることはまちがいないものの、モダン楽器でまっすぐにやってもらいたいという希望をどうしても捨てられない……というのが本音です。

 録音はまったく問題なし。強いて言うなら、エコーが若干強めか。


 パルティータ第2番の演奏時間を比較表にした。(※ジャケに掲載されているものは、そこから丸写し。反復の有無は未チェック。あくまで参考ということで)

 

 Allemanda

Corrente

Sarabande

Giga

Ciaccona

 1989

 ----

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----

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12:53

 1993

 04:11

02:30

03:28

04:23

13:57

 2007/8

 04:20

02:37

03:59

03:54

13:33


 ついでにパルティータ第1番の演奏時間を比較表にした。(※上に同じ)

 

Allemanda

Double

Corrente

Double

Sarabande

Double

Tempo di Borea

Double

1987

05:48

02:48

03:16

03:35

03:25

02:20

03:48

03:42

1993

05:46

03:01

03:46

03:47

03:20

02:40

04:06

03:58

2007/8

04:30

04:03

03:36

03:26

03:21

03:08

03:21

03:33

(2009/03/29)



 

ヴィクトリア・ムローヴァ
Viktoria Mullova

Oct 9, 1989  live
chaconne=12:53
( ARTHAUS MUSIK 100 039  DVD )


 DVD。
 ライプツィヒの聖ニコライ教会におけるライヴ・コンサート。ムローヴァが、第2パルティータからシャコンヌだけを演奏している。ムローヴァ・ファンなら、この映像はうれしいものだろう。
 このDVDにはブロムシュテットのベートーヴェン『第5』も入っている。ぶっとい石柱が林立するあいだに大編成オケを押しこんでの演奏である。よくもまあ、あんなせまいとこで……と妙なところに感心させられる。

(2007/07/08)



chaconne

FeFeFe