Sa


 

斎藤アンジュ玉藻

Tamamo Ange Saito

BWV.1002/4/6

2006

 

 

佐藤陽子

Yoko Sato

CHACONNE

1975

 

 

島根恵

Megumi Shimane

BWV.1001-1006

2000

 

 

白井英治

Eiji Shirai

BWV.1001/4/6

1999

 live

 

鷲見恵理子

Eriko Sumi

BWV.1004

2006

 live

 

諏訪根自子

Nejiko Suwa

BWV.1001-1006

1976

 

 

諏訪内晶子

Akiko Suwanai

CHACONNE

1990

 live

 

千住真理子

Mariko Senju

BWV.1001-1006

1994

 

 

ジナ・シフ

Zina Schiff

CHACONNE

1989

 

 

ハルトムート・シル

Hartmut Schill

BWV.1001-1006

2007

 

 

ハンスハインツ・シュネーベルガー

Hansheinz Schneeberger

BWV.1001-1006

1987

 

 

アレキサンダー・シュナイダー

Alexander Schneider

BWV.1001-1006

1950

 

 

ヴォルフガング・シュナイダーハン

Wolfgang Schneiderhan

CHACONNE

1947

 

 

ヴォルフガング・シュナイダーハン

Wolfgang Schneiderhan

BWV.1004

1955

 

 

ラルフ・シュレーダー

Rolph Schroeder

BWV.1001-1006

1952

 curved bow

 

ティモシー・シュワルツ

Timothy Schwarz

CHACONNE

2003

 live

 

ポール・セガル

Paul Segal

BWV.1004

 

 

 

ネリー・シュコルニコワ

Nelly Shkolnikova

CHACONNE

 

 

 

オスカー・シュムスキー

Oscar Shumsky

BWV.1001-1006

1980s

 

 

オスカー・シュムスキー

Oscar Shumsky

CHACONNE

1967

 

 

ジョセフ・シルヴァーステイン

Joseph Silverstein

BWV.1001-1006

2001

 

 

ドミトリ・シトコヴェツキー

Dmitry Sitkovetsky

BWV.1001-1006

1984

 

 

ドミトリ・シトコヴェツキー

Dmitry Sitkovetsky

BWV.1001-1006

1997

 

 

ユリアン・シトコヴェツキー

Julian Sitkovetsky

BWV.1004

1954

 

A B C D E F G H I J Ka Kr L M N O P Q R Sk T U V W X Y Z &


 

斎藤アンジュ玉藻
Tamamo Ange Saito

Jun & Jul, 2006
chaconne=14:16
( ART UNION ART-3098  CD-JAPAN )


 若い女性奏者のディスクのジャケは、ことごとくと言っていいほど、その「かわいこちゃんぶり」を強調するのが流行らしきなか、これはそれに対抗するかのようなジャケットだ。第一印象の強烈さでは、種類がまったく異なるとはいえ、セント・ジョンシフ以上のものがあり、私は瞬間的に、『怪奇大作戦』を思い浮かべてしまった。
 しかし、ジャケ内、および彼女のウェブサイトのお写真などを拝見すると、実際はごくふつうのお嬢さんであって、「怪奇――」などとはとんでもない失礼であることが判明する。すなわち、この異色ジャケはわざと狙ったものであるらしく、このあたり、制作者の創意をかいま見るようで、少々愉快である。

 パルティータ全3曲を、第3、第1、第2の順にならべている。
 超絶技巧とまではゆかぬが、まずまず安定したテクニックと堅実な解釈で聴かせる。
 ざっと聴いて、第2パルティータに特別の意欲と愛情、自信をもっているのが明らかだ。また、シャコンヌは冒頭から、それまでにない積極性がうかがわれ、前の4つの楽章と対置させているのが明確である。それだけに、このシャコンヌはなかなか聴きごたえがある。
 躍動感とためらいのない進行が魅力も、若干の球質の軽さを感じないでもない。まだ若いひとなので、そのあたりは致し方のないところか。

 録音については、残響をやや控え、直接音にウエイトを置いたもの。音像がたまに左へ振れることがある。斎藤が動いているのだろう。場所は杉並公会堂。

 斎藤アンジュ玉藻は、純日本人の由。海外でなじまれやすいようにアンジュ≠はさんだのだとか。ジャケのブルーの瞳はコンタクトレンズのようだ。
 バッハ無伴奏の怪演を残したドゥヴィ・エルリに師事した経歴が興味深い。

 デビュー盤がいきなりバッハの無伴奏というケースは、ヒラリー・ハーンを想起させる。斎藤にも今後、ハーンに負けない活躍を期待したいものである。

(2009/04/01)



 

佐藤陽子
Yoko Sato

Sep 17, 1975
chaconne=14:21
( TRIO RECORDS PAC-3532  LP-JAPAN )


  ヴァイオリンの名器の響きを愉しむ企画盤。同様のものとしてはリッチの「クレモナの栄光」がよく知られている。とはいえ、 楽器を違えて同じ曲を弾いているのは第3パルティータのガヴォットだけなので、聴きくらべ盤というよりは、 実質佐藤陽子のリサイタル盤と言っていい。
 日本人愛好家所有のストラディヴァリウス「サンライズ」 (※1677年製。ここでの日本人愛好家というのは《龍角散》社長だろう。社長の死後、アメリカ・スミソニアン博物館に渡ったとか。 ちなみに、《龍角散》は「サンライズ」というレコード屋を出していた)、それにグワルネリウス・デル・ジェス「バロン・グッドマン」 (1735年製)の2丁を佐藤が弾き分けている。曲目はヘンデルとバッハ。シャコンヌはグワルネリで奏している。
 これは再発盤で初版とはジャケのデザインが違う(はず)。池田満寿夫撮影。

 佐藤の師はコーガンシゲティという大物。それだけではない。 彼女は声楽をマリア・カラスに師事している。

 録音場所は石橋メモリアル・ホール。

(2007/07/08)



 

島根恵
Megumi Shimane

Feb 2&3, Jun 22-24, 2000
chaconne=15:29
( ALM RECORDS ALCD-7059/60  CD-JAPAN )


 情熱型の無伴奏であり、第2パルティータは、天満敦子ほどの凄絶さはないものの、そのぶん表情がゆたかで、音楽の進行が流麗、すきがない。
 ただし、最初のふた楽章は淡々としている。それぞれリピートは前半部のみ。不足感もなく冗長感もないのは、その刈り込みが奏功しているのかもしれない。サラバンドあたりから、なにかがたぎる気配がただよいだす。ジーグはてらいなく、力強く駆け抜ける。続くシャコンヌは気魄十分、えぐりも効いている。すばらしい。

 残響がやや過剰に入っている。もうすこし抑えてもよかったかもしれない。
 ジャケットは今イチ。全体を埋めつくす文字がちょっとうるさい。 

 島根恵は、海野義雄、江藤俊哉、久保陽子らに師事。1981年第8回ヴィエニアフスキ国際ヴァイオリンコンクール入賞、1987年第2回日本モーツァルト音楽コンクール・ヴァイオリン部門優勝などの実績がある。
 ここでの使用楽器は、現代のヴァイオリン製作者・マルチェルロ・イーヴェ(Marcello Ive: 1962-)の1995年製。かなり鳴りっぷりのいいヴァイオリンのようだ。

(2008/01/17)



 

白井英治
Eiji Shirai

Jul 03, 1999
chaconne=16:33
( ES70350  CD-JAPAN )


 白井英治については最近、「還暦を迎えられた」ということなので、1949年生まれのベテラン、と言えそうか。プロフィールはこちら

 プライヴェートCD。バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータから人気の3曲を収録。
 演奏会の際に制作したとあるので、ライヴ・レコーディングであるらしいが、聴衆は固唾をのんで聴き入っている。ノイズはまったく聴かれない。会場の外を走りすぎる自動車の遠い音が耳に届く程度である。
 思うに、これは、演奏のすばらしさに加え、聴衆の演奏家への尊敬の念が大きくはたらいているのではないか。

 本CDには白井氏自身の文章が掲載されていて、この演奏会の開催を「なかなか決心が着かず……」と振り返っておられる。
 しかしここで聴かれる音楽は、おだやかそのもの。今さらなにかをやってやろうというような野心的意欲も作為もない。積年のうちにおのれの内部に確立したものをそのまま外へ解放しているだけのようだ。
 こういう自主制作ディスクを聴くと、バッハの無伴奏が、ヴァイオリニストにとって、いかに大切なものかを教えてくれているような気がする。
 白井英治のみごとな作品≠ニ言っていい。

 録音については残響多め。客席に設置したマイクで拾ったように感じられる。
 
 使用楽器は、カルロ・アントニオ・テストーレ1730年製。
 1999年07月03日、小田原市民会館大ホールにて録音。

(2009/09/09)



 

鷲見恵理子
Eriko Sumi

Nov 30, 2006
chaconne=15:09
( Musicmici ES-1002  CD-JAPAN )


 髪をなびかせ、颯爽と楽器をかまえるジャケット写真は、なかなか内容を表していて、躍動感と情熱が魅力のパルティータ第2番である。
 が、これが鷲見恵理子のベストとは思いたくない感じもある。
 一夜の無伴奏リサイタルを丸ごと収録したものらしいが、バッハを中心と考えた場合、曲順がよくなかったのではなかろうか。
 初っぱなが第2パルティータであり、それ自体はかまわないとしても、音色、音程ともに、気になるほどのムラが散見される。ライヴゆえ、と納得できぬでもないが、プログラムの最後にもってきていれば、人も楽器もできあがって、このあたりが解消されていたのでは、と思えてならない。
 実際、後半のイザイ、パガニーニ、クライスラーのほうが明らかにデキがいい。
 バッハについては、再録音に期待したいところである。

 録音については残響と直接音のバランスがとれた良好なもの。
 ちなみに、この1年後、同じ紀尾井ホール、やはりライヴで藤原浜雄の演奏した無伴奏ソナタ第1番がディスクになっている。ずいぶん印象の異なる録り方なのが興味深い。

 鷲見恵理子は現在、イタリアを拠点として活躍中の由。日本を代表するヴァイオリン指導者である鷲見三郎の孫。 
 使用楽器は、アンドレア・グァルネリウス製。
 2006年11月30日、紀尾井ホールにて実況録音。

(2009/11/21)



 

諏訪根自子
Nejiko Suwa


Jun 16, 1979
chaconne=13:21
( KING RECORD K35Y-51/52  CD-JAPAN )


 これを購入したときの、「ずいぶんお歳を召された方の演奏」というイメージがいまだに残っているが、当時の自分との年齢差がそう思わせたのだろう。諏訪は1920年生まれであるから、59歳での録音だ。現役演奏家としてごくあたりまえのお歳である。
 ただし、現在の同年齢の演奏家が弾く無伴奏とはだいぶ違う。くぐり抜けてきた時代の違いか。遊びのないきまじめな演奏であり、凛として品格がある。説得力も十分。

 LPでも出たが、CDのほうが3000円も安く、 また当時はそれを「理想のメディア」とほとんど信じかけていた時期なので、ちゅうちょなくCDを選んだ。 今はLPにしておけばよかったと少々後悔している。なにがどうとは言えぬが、LP向きの演奏のように思える。
 テープは編集せずにそのままディスクにした由。キングレコード第1スタジオにて録音。

(2007/07/08)



 

諏訪内晶子
Akiko Suwanai

1990
chaconne=( unfinished )
( PIONEER PILC-1032  LD-JAPAN )


 レーザー・ディスクである。
 諏訪内は初めてチャイコフスキー国際コンクールを制した日本人(※実は、このサイトを準備している最中に、ここ豊中市出身の神尾真由子が二人目の優勝者となった)。
 このシャコンヌはその際の予選の模様であり、課題曲として演奏している。ただし、完演ではない。
 うまいと思うが、自由度に欠け、あまりおもしろくない演奏だ。審査中なので、それもしかたのないことなのかもしれない。
 今でこそ、そのルックスが人気の一要因となっているようだが、ここでの彼女は化粧気もなく、かなり素朴でヂミ〜な女の子である。しかし、度胸はありそう。この映像が復活しないのは、ご本人があまり観せたくないと思っているのかもしれませんですな……。

(2007/07/08)



 

千住真理子
Mariko Senju

Sep 27, 1994
chaconne=15:38
( VICTOR ENTERTAINMENT VICC-40229/30  CD-JAPAN )


 人気奏者、千住真理子の無伴奏全6曲である。彼女は1994年、1、3、5、8〜10の各月に一曲ずつ録音して全曲を完成させた。上記日付は第2パルティータの収録日。
 非常にていねいに演奏していて好感が持てるが、部品を磨きこむことに全力を傾注し、組み立てまで手がまわらなかったという印象だ。あと数年、録音を遅らせていたらと惜しまれる。
 真摯さは買うので、ちかい将来、あらためてもう一度、全曲を聴かせてもらえることを願いたい。

 彼女は実に、パガニーニのカプリース、イザイの無伴奏も録音している(※いずれも未聴)。この「3冠」を達成しているヴァイオリニストは多くない。いちいち調べないが、すぐに思い浮かぶのはリッチくらいである。それだけの実力があってのことと思いたいが……。

(2007/07/08)



 

ジナ・シフ
Zina Schiff


P1989
chaconne=14:06
( Stradivari CLASSICS SCD-8010  CD-USA )


 掘り出し物である。バッハはシャコンヌのほか協奏曲2曲、それにヴィヴァルディの同じく協奏曲が入っている。いずれもよい。心にくいのが曲のならべ方で、協奏曲を4曲やってのち、シャコンヌをラストにもってきた。にぎやかだったのが、一転して荘厳なソロとなり、いやでも耳がそちらに向いてしまう。そしてシフは、穴埋めと思わせない立派な演奏に仕上げている。

 このどぎついジャケットがまたよろしい。クラシック・フィルムのポスターみたいで。だいたい腹が立つのは、CD時代になってキャンバスがちいさくなり、デザイナーがやる気をうしなったのか、魅力ジャケの登場率が激しく下がったことだ。演奏者のポートレイトを使って事足れりとする安易なやり方が幅を利かせている。オケものなど、見たくもないオッサンのドアップを平然と持ってくる。それゆえ、たまにこうして目を愉しませてくれるCDに当たると、やたらうれしくならざるをえない。

 ジナ・シフはどうやらアメリカ生まれらしい。ガラミアンやハイフェッツに学び、一本立ちした後、全米の主要オケと協演、著名ホールでリサイタルを開いた。
 このCDがデビュー盤という。彼女はほかに、NAXOSからバーレイという人のvn&pnoの作品集をリリースしているようだ。

(2007/07/08)



 

ハルトムート・シル
Hartmut Schill


Nov, 2007
chaconne=14:40
( auris sbtilis   CD-GERMANY )


 タイトルからもわかるとおり、ドイツのケムニッツにある歴史的教会――ヤコビ教会での録音。
 ライナーが私的に無縁のドイツ語のみ。ゆえに誤解の可能性もあるが、どうやら教会では、大がかりな修復であるか建て直しであるかの工事がおこなわれているようであり、CDの売り上げの一部が、その費用の足しにされるらしい。ブックレットにも、足場の組まれた教会内部の写真が掲載されている。

 安定したテクニックと清澄な音色がすばらしい。上質な紙の上に、水性ペンでサラリと書き記してゆくおもむきがある。前回、アッカルドの大きな演奏に接したあとでもあり、この軽快と爽快はひじょうに心地よかった。
 逆にいうと、たとえば肺腑をえぐるような凄絶さは皆無で、重量や深度を求める向きにはもの足りぬかもしれない。

 録音優秀。ヴァイオリンという楽器とヤコビ教会の相性のよさもあるだろう。ふくよかな残響がまた好印象だ。オーディオ好きにも推せる。
 なかなか「好感度の高い」無伴奏全曲CDでオススメです。
 

(2009/07/04)



 

ハンスハインツ・シュネーベルガー
Hansheinz Schneeberger

1987
chaconne=
10:31
( JECKLIN JS-266/7-2)


 ビスムートに次ぐシャコンヌ演奏のスピード記録だ。モダン楽器に限定すればこれが最速となる。ただし、ジャケにtimingの載っていないものについては、計ったり計らなかったりで、そうしたなかに、これらを抑えるのが混じっている可能性がないわけではない。しかし、12分を切るシャコンヌというのはそうそうあるものではなく、やはりビスムート金、シュネーベルガー銀としていいのではないか。

 演奏は、「小気味よし」ともいえれば、「雑」ともいえる。どっちととるかはそのときのこっちの気分次第……と書けば、エエ加減なようだが、音楽鑑賞なんて、聴き手の気分や体調により印象が変わるものだ。初めて聴いたときは、「きょう、これから予定でも?」と問いかけたいほどだった。あまりにも急いでいるように聞こえたからである。第3パルティータのデキがいいと思う。

 ハンスハインツ・シュネーベルガーは1926年、スイスのベルン出身。マルタンやバルトークの協奏曲を初演した(バルトークは第1番)。彼の無伴奏は仏ACCORDからLPで何曲か出ていた。→

(2007/07/08)



 

アレキサンダー・シュナイダー
Alexander Schneider

1950
chaconne=
( MERCURY CLASSICS MGL-1  LP-USA )


 アレクサンダー・シュナイダーはブダペスト弦楽四重奏団のメンバー。カザルスのプラド音楽祭開催の膳立てをしたことでも知られる。
 そのシュナイダーによる全曲である。神韻を帯びたバッハを聴かせたカザルスの盟友によるものとしても、注目の演奏だ。第1パルティータに時間をかけたせいで、4枚のLPを必要としている。

 大バッハ没後200年記念に発行された。上記はアルバムに付された番号。レコード番号はMG-10017/20となる。

(2007/07/08)



 

ヴォルフガング・シュナイダーハン
Wolfgang Schneiderhan


1947
chaconne=14:50
( OPUS KURA OPK-2020  CD-JAPAN )


 ヴォルフガング・シュナイダーハンのSP録音と聞くと、ずいぶん古そうと早合点してしまいそうだが、1947年だからそうでもない。この時期、彼はウィーン・フィルのコンサート・マスターを務めていたはずだ。
 彼は、DGへの録音群、またフルトヴェングラーとの共演盤などでも知られる。この47年はそのフルトヴェングラーが戦後祖国への復帰を果たした年だった。
 最近までなんの根拠もなくドイツのヴァイオリニストと思いこんでいたが、ウィーン出身らしい。
 ケンペンと組んだベートーヴェンやブラームスの協奏曲は歴史的名盤として世評が高い。
 バッハではほかに、クナッパーツブッシュと協演した第1コンチェルトの演奏がよかった。

 このシャコンヌは、SPながら音は鮮明、演奏もいい。スタートからゴールまで緊張がなえることなく弾ききっている。のちにアルヒーフに入れたものよりも上だろう。また、このCDはナイスな復刻である。オーパス蔵はよくわかっているメーカーだ。

(2007/07/08)



 

ヴォルフガング・シュナイダーハン
Wolfgang Schneiderhan

Jan 12&15, 1955
chaconne=14:15
( ARCHIV 13029 AP  LP-W.GERMANY )


 シュナイダーハンがARCHIV (DGG) に残した第2パルティータで、40歳時の演奏である。彼はSPでシャコンヌのみを入れていた。
 ドイツ・グラモフォンは1967年、シェリングを起用して制作するまで無伴奏全曲のレコードを世に送っていない。メジャーレーベルにしてはずいぶんのんびりしたものだ。その前に、シュナイダーハンあたりを使い、全曲盤をリリースしておいてもよかったのでは、と思ったりする。ちなみに、シュナイダーハンがこれを入れた1955年、同じアルヒーフ・レーベルで、マイナルディが無伴奏チェロ組曲の全曲盤を完成させている。

 重心が低く、また骨格の太さを感じさせる演奏。ただし、シャコンヌは47年のSP録音のほうが、やや芝居かがっているとはいえ、必死さの伝わる、より訴えかけの強い演奏になっていたように思える。録音も、オーパス蔵のファインプレーもあってか、あちらのほうがリアルだった。和音が少々ヒステリックに聞こえぬでもない。この癖は両盤に共通している。
 わずかに残響を入れた聴きやすいモノラル。第2パルティータ一曲を10インチ盤の両面に刻んでいる。

(2007/11/20)



 

ラルフ・シュレーダー
Rolph Schroeder


Sep, 1952
chaconne=15:40
( COLUMBIA SL-189 )


 ラルフ・シュレーダーによる、湾曲弓を用いた史上初の全曲録音。バッハ研究、オルガニスト、また日本ではとくに医者として偉人伝などでおなじみだった(※昭和以前の話か)シュヴァイツァー博士監修。
 録音場所は、仏パリッシュ教会。博士の故郷、アルザス地方のギュンスバッハにある。
 
 当然のように、シュヴァイツァーが解説を書いている。こんな感じのことであったようだ。

 シュヴァイツァーは1930年、ラジオでシュレーダーのバッハ無伴奏の演奏(一部のみ)を聴いた。そのときシュレーダーは、職人(luthier)の手を借りず、みずから考案、製作した湾曲弓を使っていた。もともと湾曲弓の存在を肯定、そしてバッハ無伴奏においてはそれを使用すべきと考えていたシュヴァイツァーは興味をもった。
 1932年、シュヴァイツァーはシュレーダーと知り合う。
 湾曲弓においては和音をいちどきに響かせるために、必要に応じて弓の毛を弛緩させ、三弦ないし四弦に接触させる。その操作は親指によっておこなう。そのために、親指の運動がいちじるしく制限され、場合によっては演奏自体に支障をきたす。
 シュレーダーは弓に簡単な仕掛けをほどこし、その難点を克服していた。可動レバーをとりつけ、その操作によって毛の緊張と弛緩をおこなっていたのである。しかも、従来の弓とさほど変わらぬ重量を維持していた。
(この後、シュレーダーはシュヴァイツァーのアドバイスを受け入れながら、バッハ演奏を確立していったと思われる。)
 翌1933年1月24日、非公式の場で、シュレーダーが湾曲弓を使ってシャコンヌを演奏。シュヴァイツァーは、和音が「フォルテ」のみならず、「ピアノ」や「ピアニッシモ」でもしっかり響くのを耳にして感激する。
 手応えを得た二人は同年6月、パリでコンサートを開き、初めて湾曲弓による演奏を披露する。大成功だった。このとき、ジャック・ティボーが「このあたらしい発見」の重要性を強調した意見を述べた。

 ここで思い出されるのが、同じ湾曲弓全集を完成させたテルマニのことである。
 1930年当時、すでにシュレーダーは可動レバー式の湾曲弓を使っていた。すると、テルマニらは50年代になぜ、試行錯誤を重ねてまでヴェガ・バッハ・ボウ(※これもレバー操作式弓)を完成させる必要があったのか。シュレーダー弓のことを知っていれば、大きなヒントになったか、あるいはそっくり拝借する手もあったはずだ。
 おそらく、そんな弓があることなど知らなかったのだろう。このシュレーダー盤の録音が52年の9月で、テルマニ盤が54年3月。テルマニがシュレーダー盤の存在をいつごろ知ったのかは興味深いところである。
 テルマニが全曲に先行してTONOに入れたパルティータ第2番は、世界初の湾曲弓版無伴奏録音だった可能性が高いが、その後、使用している湾曲弓に疑問を感じ、ヴェガを完成させるためにあれこれやってるあいだに、シュレーダーがシュヴァイツァーと組んで全集を録音してしまった。
 テルマニがヴェガを得、これなら、と全曲録音に着手しはじめたころには、もうこのシュレーダー盤はリリースされていたと思われる。「な〜んだ……」と思ったかもわからない。史上初の湾曲全集を意識していたはずだし、あれだけ苦労した可動レバー式の弓について、シュヴァイツァーは解説ですでに言及ずみだからである。
 テルマニは全曲録音を達成した年、54年の11月、コペンハーゲンを訪れたシュヴァイツァーに会いに行っている。弓のすばらしさを見てもらうためだった(※テルマニ自身がそう記している)。ほんとうにそれが目的だったとすると、この時点で、依然として彼はシュレーダー盤のことを知らずにいた可能性もある。

 ……話が場外に飛んでしまった。レコード史上3組しかない湾曲弓による無伴奏全曲。そのうちふた組が同時期に登場したのがおもしろく、ちょっとしつこく書いてみた。
 ともかく、弓にしろ、全曲録音にしろ、テルマニはシュレーダーに先を越されていたことになる。もし、それが知らぬうちのことであれば、なにやら哀れさを感じないでもない。とはいえ、演奏となると話は別で、テルマニのほうがすぐれている。シュレーダーのは独自の解釈というより、シュヴァイツァーの意見を多分に入れたものに違いない。悪くはないが、全体にぎこちなく、かたくるしい感じがある。技巧的にもテルマニに劣る。
 最近では、ルドルフ・ゲーラーが湾曲弓を使って全曲を入れている。彼を教えたのはほかならぬ、このシュレーダーだった。

(2007/10/12)



 

ティモシー・シュワルツ
Timothy Schwarz


Oct 21, 2003
chaconne=13:04
( CENTAUR CRC-2819  CD )


 ティモシー・シュワルツ(シュヴァルツ)はフィラデルフィア生まれ。ブックレットに生年月日の記載はない。勝手な推測だが、1970年代前半生まれか。9歳でフィラデルフィア管弦楽団と共演したそうだ。現在はSerafin弦楽四重奏団のメンバーでもあるらしい。
 シャコンヌonly。ライヴ録音である。ライヴを最重要と考えているらしく、そこで奏者と聴衆のあいだに存在するエネルギーなどは複製芸術で伝えきれるか疑問と感じているようであり、このCDは、ライヴならではのそういったものを伝える試みであると述べている。ゆえに編集はいっさいおこなわれていないという。
 情熱的なシャコンヌだ。高度な集中力、演奏家としての気骨を感じる。悪くない。

 フィラデルフィアにあるテンプル大学でのライヴ。楽器は1741年製カルロ・アントニオ・テストーレ。

(2007/08/04)



 

ポール・セガル
Paul Segal



chaconne=
( un-numbered )


 第2パルティータ完演盤。ラベルは手書き、ジャケットも手作りのようだ。直筆譜のシャコンヌ冒頭部のコピーを貼り付け、そこに「Paul Segal/Solo/a Violino/Libro Primo/da/Joh. Seb. Bach」と筆ペンのような筆記具を使用して記されているだけ。
 このポール・セガル(シーガル?)という人が何者なのやら、この盤が、いつごろどこで発行されたのやら、トンとわからぬ。ズブの素人ではなさそうである。

(2007/07/08)



 

ネリー・シュコルニコワ
Nelly Shkolnikova



chaconne=
( MELODIYA C10-09843/4  LP-USSR )


 シャコンヌonly。
 ネリー・シュコルニコワの録音を加DOREMIが発掘・リリースしはじめた。このレーベルには音をいじくりたがるという印象があり、要警戒も、とりあえずは期待したい。それほどこのシャコンヌがみごとだからである。
 メロディアのLP。

(2007/07/08)



 

オスカー・シュムスキー
Oscar Shumsky


1970s
chaconne=15:10
( Musical Heritage Society MHS-4032/4  LP-USA )


 3LPの全曲盤。すばらしい演奏だ。
 CD化もされたが廃盤になって久しい。なんでや? これは絶対にカタログから外してはならないだろう。まったく「喝!」としか言いようがない。

 私の手元には、MHSのオリジナル、ASVの復刻盤、CD(韓国盤)と3種すべてがある。完全蒐集を意識していたわけではない。気がつくとそろっていた。バカげたことだが、それがコレクションというものであろう。もちろん、フツーの愛好家は、いずれか一種備えていればそれでじゅうぶんである。

 オスカー・シュムスキーは1917年03月17日、フィラデルフィアでロシア移民の子として生まれた。
 この偉大な録音は1980年ごろのものと思われる。シャコンヌのタイムは、MHS盤のラベルに記載されたもの。韓国CDでは15:03となっている。

(2007/07/08)



 

オスカー・シュムスキー
Oscar Shumsky


1967
chaconne=15:08
( VESTIGE CLASSICS(un-numbered)  CD-USA )


 若きシュムスキーの貴重な録音。シャコンヌonly。CD。
 これは放送録音のようだ。ノイズもかなり入っており状態はよくない。どうしてもほしいと思う人だけが持っていればよい。
 VESTIGE CLASSICSはシュムスキーの息子が関わっているらしいレーベルである。直販のみか。支払いはPayPal。
 ここでしか買えないディスクが今のところ3枚。続刊を期待しているが、停滞したままになっている。ライヴのクロイツェル・ソナタなど、さすがに聴き応えがある。

(2007/07/08)



 

ジョセフ・シルヴァーステイン
Joseph Silverstein

Aug 27-31, 2001
chaconne=12:41
( image recordings (un-numbered)  CD-USA )


 全曲。ジョセフ・シルヴァーステインは、かつてのボストン交響楽団名コンマスとして有名。1932年03月21日デトロイト生まれ。70歳の無伴奏全曲である。ひょっとすると最高齢記録か。(*)
 無伴奏はLP時代に第1ソナタを録音していた。

(2007/07/08)


(*) ホイトリンクの79歳というのがありました。

(2007/11/13)



 

ディミトリ・シトコヴェツキー
Dmitry Sitkovetsky

Dec 19-23  27-29, 1984
chaconne=15:11
( ORFEO S 130 853 F  LP-W.GERMANY )


 ドミトリ・シトコヴェツキー、第1回目の全曲録音。これ以前に、彼の無伴奏は、DGに第2ソナタのライヴ録音がある。

 デジタル録音だが、これはLP。3枚にカッティング。

(2007/07/08)



 

ディミトリ・シトコヴェツキー
Dmitry Sitkovetsky

Sep, 1997
chaconne=15:04
( hänssler 92.119  CD-GERMANY )


 第2回目の全曲録音。前作と聴きくらべて受けた印象、そしてこの13年という間隔(※やや短いと私には思える)、録りなおす意味があったのか疑問だ。本人よりも、メーカー側の意向が働いた産物か。バッハ全集を刊行中のヘンスラーがシトコヴェツキーを評価しており、無伴奏には彼の新録音をぜひ、と考えたのかもしれない。だとするなら、初めての人にお願いしてもらいたかったが……。

(2007/07/08)



 

ユリアン・シトコヴェツキー
Julian Sitkovetsky


1954
chaconne=
( MELODIYA D-2448/9  LP-USSR )


 上記ドミトリのパパが、このユリアン・シトコヴェツキー。
 オールド・メロディアに第2パルティータ全5楽章を入れている。
 オリジナルの10インチ盤。イザイの無伴奏と組み合わせた12インチの再発盤もあった。

 ロシアのSYDというレーベルがユリアンの録音をまとめてCD化した。これもそこに含まれている。1954年の録音という。

(2007/07/08)



chaconne

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